表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
879/1289

槍の勇者の交渉

「面倒な事になりそうかい?」

「益々、無理矢理元康くんの作戦を実行すると危なそうだしね。確認に行くのが良いと思うよ」

「しょうがないですな」


 では、久々にあの最弱と会うとしましょう。

 最弱は最弱らしく下手に出ている限りは便利に使ってやりますぞ。


「ドラゴン退治ねぇ……しっかりと装備や人員を整えれば出来ない話じゃないけど、骨が折れる相手だよ」

「ははは、パンダは臆病ですな。奴は雑魚ですぞ」

「槍の勇者ならそうだろうねぇ」

「ふむ……キタムラ殿なら容易いであろうな。後、キタムラ殿が荒らした城門と教会に関してなのだが……」

「あー……そういえば前に元康くんが勝手に乗り込んでたよね」

「一応、女王の口から不問にするように仰せつかっている。だが……国民からの印象はあまり良くないので十分に注意して欲しい。それと国の魔物商がどうにか商売を再開したとの話だ」

「魔物商?」

「買占めしましたからな」


 まさかフィーロたんがサクラちゃんだったなんて微塵も思っておりませんでしたからな。

 買えるだけ買ったのですぞ。

 錬の事はあまり覚えていませんが、俺がフィロリアル様の事を忘れる事はないので、確実ですぞ。


「買い出しに行くと行ってたね……もう色々とあって随分と昔に感じられるよ」


 ルナちゃんの卵はありますかな?

 無いなら、何か理由があるのか気になりますな。

 今度探しに行くのも良さそうですぞ。


 ですが……キールなどが居ませんな。

 まあ、コウの問題もありますからなー。

 もう少し考えておきましょう。

 そんな訳で俺達は準備をする事にしたのですぞ。




 出発の時間を決めた俺達はその日の内に行動する事にしました。

 シルトヴェルトの代表二種は城でまだ話をする事があるそうで留守番ですな。

 元より戦闘に参加させるつもりは無かったので問題ないでしょう。

 なに……道中はポータルでそれなりにショートカット可能ですぞ。

 日帰りで帰って来れますぞ。


 サクラちゃん達は婚約者と共に城の庭で十分な程、遊んだのかとても楽しそうな表情をしております。

 ちなみに俺は出発準備の為に馬車の車輪を城の者達から借りました。


「行ってらっしゃい。みんな、また来てね」


 婚約者が楽しげな表情で俺達を見送りますぞ。

 それにサクラちゃん達は笑顔で応えておりますな。


「うん。また来るー」

「またあそぼー」

「とても楽しい時間でしたわ」


 ちょっと見ない間に随分と仲良くなってしまいました……。

 あの早業はなんなのですかな?

 そう言えばドラゴンの縄張りに行く事になるのでしたな。


「お義父さん、おわかりでしょうがフィロリアル様とドラゴンは仲が非常に悪いのですぞ」

「あ、そうだったね。相手が生きているのなら交渉をしやすい様にサクラちゃん達は近くで待機してもらった方が良いか……」

「ですぞ」

「えー……」


 サクラちゃん達が残念そうにしております。


「ごめんね。どうもこれから会わなきゃ行けないドラゴンが生きているんじゃないかって話でね。サクラちゃん達がいると拗れそうなんだ。だから近くで待っててね」

「ぶー……」


 サクラちゃんがとても不満そうにしていますぞ。


「まあ、メルティちゃんとお友達になれた代わりに……我慢して? これからの俺達には色々と必要だし確認しないといけないから」

「ぶー……」


 サクラちゃんは頬を膨らませながら渋々頷きました。

 そうですな。

 お義父さんとサクラちゃんの仲が良かったのでこのままお義父さんをフィロリアル様をシルトヴェルトの者達と同じ様に深く理解して頂こうと思っていましたが、サクラちゃんがフィーロたんに至るフィロリアル様であるなら話は別ですぞ。


 ああ……お義父さんに特別親しいフィロリアル様をサクラちゃん以外に提供したいのですが、それではサクラちゃんに悪いですぞ。

 この板挟みをどう解消すれば良いのですかな!?


「元康くんがまた百面相してる……」


 サクラちゃんを説得したお義父さんが俺の方を見ながら呟きましたな。

 その言葉を聞いて俺は現実に戻ってきました。


「とりあえず出発ですぞーポータルスピア!」


 東の村近くに俺達は飛んだのですぞ。




「毎度思うけど、勇者ってのは便利だねぇ」

「ええ、移動に関して私は色々と困る事があるので助かります」


 ゾウがここぞとばかりに同意していますぞ。

 まあ、お前は大きく、それでいて重いですからな。


「馬車にも乗り辛そうだもんね」


 この巨漢を乗せるのは確かに厳しいかもしれませんな。

 素直にフィロリアル様に台車を引かせた方が現実的かもしれませんぞ。


「プハント、乗り物に乗れないの?」

「船とかなら乗れるよ。飛行機はかなり窮屈で貨物室を借りたけどね」


 ゾウがコウに向かって返答しますぞ。


「じゃあコウがプハントを背に乗せたいー! さっきコウを乗せて高い高いしてくれたからお礼ー」


 ボフッとコウがフィロリアル姿になりました。


「え? でも……私は重いわよ?」

「大丈夫ー」

「フィロリアル様の力を舐めてもらっては困りますな」


 フィーロたんを初めとしたフィロリアル様達はとても強力な馬力を所持しているのですぞ。

 過積載した馬車であろうと容易く運びますからな。

 ゾウ程度を乗せるのはへでもありませぞ。


「試しに乗ってー」


 コウがお尻をふりふりしながらゾウを背に乗せようと腰を落としていますぞ。


「わ、わかったわ。だけど無理をしないでね……それと、私の事を家名で呼ぶのはやめてくれると嬉しいわ」

「じゃあエルー」


 コウの返事にゾウは満足したのか頷き、腰を落としているコウの背中にそっと股を乗せますぞ。

 持ち上がるのかしっかりと確認してから体重を掛ける気ですな。


「それで良いわ」

「じゃあエルー、立つねー」


 グイッとコウが立ちあがるとゾウの足が浮きますぞ。

 ゾウは不安そうにコウの背中にそっと手を乗せます。

 ややコウが小さい感じでゾウを乗せた姿は荘厳な物がありますな。


 ですが……なんでしょう。

 ゾウがアヒルのおまるに腰かけている様に見えますぞ。

 コウは元よりフィロリアル様に失礼なので考えをブリューナクですぞ!


「だ、大丈夫?」

「んー……ちょっと重いけど大丈夫ー。走れるよー」


 タッタカターっとコウはゾウを乗せて足軽に走り始めました。


「わ! わ……コウは凄いわね」


 ゾウが走り回るコウの背に乗り、驚いた顔をした後、優しげな声を掛けますぞ。


「おまるにまたがってるみたいだねぇ」


 パンダがその光景に野次を飛ばしました。

 なんですかな? コウに何か文句でもあるのですかな?


「敢えてみんなが思っただろう事をラーサさんが言うとは……と言うかこの世界にもあるのね」


 お義父さんは『むしろ元康くんが言うかと思ったのに』と呟きました。

 さすがのお義父さんでも聞き捨てなりませんぞ。


「お義父さん、フィロリアル様に失礼な事を俺は言いませんぞ」

「じゃあフィロリアル型のおまるってのはどうだい?」

「それはしょうがありませんな」

「基準が……まあ良いや。じゃあ早めに移動しようか」

「そうだな……だが、こんな調子でドラゴンに会いに行って良いのだろうか?」


 エクレアが俺達に対してそんな台詞を吐きました。

 問題ありませんぞ!


 ちなみにゾウは乗り物酔いに関してそこそこ経験があるとの話であんまり酔っている様に見えませんでしたな。

 と言う訳で俺達は東の村を通り過ぎながらライバルの親が生息する山脈へと足を踏み入れたのですぞ。


 確かに、荒廃した気配はありませんな。

 しかし、財源などが無い東の村は閑散としておりますな。

 ちなみに、一応行商用の山道が東の村からライバルの親の巣近くを通っておりますが、ライバルの親が巣を作ってから使われなくなったそうですぞ。

 ドラゴンの脅威で使われなくなった道ですな。




 そうして順調に進んで行きました。

 ライバルの親の縄張り近くで俺達はユキちゃん達を待機させる事にしました。


「ここから先はドラゴンの臭いがするー」

「じゃあサクラちゃん達はここで待機だね」

「ぶー……」

「本当にご一緒してはダメなのですか?」


 ユキちゃんが俺に懇願する目で尋ねてきますぞ。


「危ないですし、拗れるのはしょうがないですからな」

「エルが適度の重さで楽しかったー」

「ありがとう、コウ」


 ゾウがコウから降りてお礼を言いました。

 降りた時、ズーンと地響きが鳴りましたな。

 さすがコウですぞ。

 女性の顔を立てるとは……もう立派な男の子ですな。

 この元康、コウの成長に感動を隠せませんぞ。


「じゃあ、ここからは歩いて行くけど……どうやって交渉する? 買収とか出来る?」

「難しいですな。今までのループでライバルの親と会った際だとお義父さんが説得を担当していましたが、基本的には話を聞いてくれませんぞ」


 しかも急いで来たので交渉用の竜帝の欠片を持ってきておりません。

 あくまで俺の目的はライバル自身ですからなぁ……。


「お義父さんに手も足も出ない事を証明して、交渉材料に竜帝の核を持って行けば聞くでしょうが、そうなると出直しが必要ですぞ」

「いや、そういう事はもっと早く言ってほしかったんだけど……?」

「大丈夫ですぞ! 正直、あの時の交渉は不要なのではないかと思っていましたからな」


 お義父さんの交渉の手腕は中々のものですが、あんなドラゴン程度、話をするだけなら何の問題も無いですぞ。


「いや、不安しかないんだけど……」

「大丈夫ですぞ! 俺に任せろですぞ!」

「イワタニ殿、これは本気で止めねばならないのではないか?」

「あたいもそう思うねぇ……きっと何かやらかすよ」

「そ、そうなんですか?」


 エクレアとパンダが何やら納得した様に頷き、ゾウが俺とエクレア達を交互に見ていますな。

 何故かエクレアとパンダが仲間になった錬と樹みたいになっていますが、安心しろですぞ。

 ループを沢山経験した俺が居るのですからな。


「HAHAHA! 問題ないですぞ! お義父さん達はゆっくりと登って来れば良いですぞ! 俺に任せて欲しいですぞー!」


 俺はドラゴンの縄張りへと走って向かいますぞ。

 今こそ必殺技を披露するべきタイミングですな。


「あ、元康くん、待って!」

「元康! ドライブモードですぞー!」


 城から借りた車輪を使って俺はドライブモードにチェンジしました。

 久々の変身ですな。

 前回のお義父さんにいざという時に使った方が良いと言われていたので、今使いました。

 しゃきーん、ですぞ!


「ブルンブルンですぞー」

「うわ! なんだアレ!? ネタじゃなくて文字通り走ってる!? キモ!」

「わー! なんかすごーい」


 サクラちゃんが俺を見て楽しげにはしゃいでおられます。

 フィーロたんの様なはしゃぎ様ではありませんが、それでも嬉しく思いますな。


「これは……す、素晴らしいですわ……」

「ユキちゃん、無理をしなくても良いよ?」

「む、無理などしていませんわ! きっと効率的な移動方法なのですわ!」

「わー! コウも真似したーい。ブルンブルーン。だけどどうやって車輪を回すのかなー? 馬車を引く方が楽しいかな? よくわかんないー」


 コウは楽しさで混乱してしまった様ですぞ。

 子供の頃は楽しい事が重なると混乱してしまうものですからな。


「キタムラ殿は果たして人間なのだろうか?」

「勇者ってのはあたい達とも異なるナニカなんじゃないかい?」

「その理屈だと俺も混ざるから違うと言いたい」


 なにやらお義父さん達がお疲れの様ですぞ。

 では、素早く解決して来ますぞ。


「ウィリー! ですぞぉおおお!」

「ちょっ! 元康くん、待って――」


 あっという間にお義父さん達の声が遠ざかっていきました。

 ドラゴンの縄張りなど一秒でも早く抜け出したいですからな。

 ゆっくりと登るのは面倒ですぞ。

 ……出発してすぐ考えましたがお義父さんを背に乗せた方が早かったですかな?

 後で聞いてみましょう。




 そんな訳で俺はライバルの親の死体が転がっているはずの場所に到着し、辺りを見渡しますぞ。

 もちろん道中で出てきた魔物共は撥ね飛ばしてやりました!

 雑魚は引っ込んでいろですぞ。


「ここの主である最弱雑魚ドラゴーン! さっさと出て来いですぞー! それとも俺が怖くてお漏らししてしまうのですかなー! ぷぎゃぁあああですぞ!」


 ここぞとばかりに大声でライバルの親を呼び寄せますぞ。

 最弱の竜帝と言えど、ここまで言えば現れるでしょう。


「出て来ないと言う事は俺が恐ろしいのですなー! ちんけなドラゴンですぞー!」

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 激しい雄たけびと共にライバルの親が激怒した表情でこっちに急接近してきました。

 ははは、安い挑発に引っかかるとは、所詮はドラゴンですぞ!

 HAHAHA!


「ギャ!?」


 何故かライバルの親はドライブモードで走りまわる俺を見て、声を上げるのを途中でやめました。

 どうしたのですかな? 隙だらけですぞ。


 モードチェンジですぞ!

 俺は通常状態に戻り臨戦態勢になりました。


「では勝負ですぞ! 俺がお前を戦闘不能にしてやりますから、その時はしっかりとお義父さんの言う事に従ってもらいますぞ!」

「ギャ、ギャオオオオオオオオ!」


 毛頭聞くつもりは無いと言った様子でライバルの親は雄たけびを上げながら俺に向かって飛びかかって来ました。

 結果は……言うまでもありませんな。

 俺の圧勝ですぞ。

 交渉は成功しましたな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ