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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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カルマ

「勇者様方のお考え、確かに理解致しました。その考えに力添え出来る様に努力する所存です」

「……この考えは既にシルトヴェルトの人達に頼んで通達するようにしておいたんだけど、ね」


 お義父さんはシルドフリーデンの者達にここぞとばかりに言葉で追い詰めて行きますぞ。

 油汗をシルドフリーデンの者達はこれでもかと流しております。

 これはアレですな。

 お前等、盾の勇者であるお義父さんの言葉でなければ聞き流していたって事ですな!

 愚かにも程がありますぞ。


「そ、それは……全てはタクト派閥の者達の責任。シルドフリーデンでの利益計上に関しては後日……」

「まあそんな訳だから、よろしく頼むよ」


 やや投げやりな言い回しでお義父さんが脅しを掛けました。

 もう振りかかる火の粉に加減などしないという遠回しな脅しと、本気で事に挑まないと国が消される事になるという事ですぞ。


「ああ、君達が逃げても良いけど、そうなったらなったで好きに国を変えさせてもらうからね。逃げずにその席に残っていたからには相応に覚悟くらいはあるんだよね?」

「は、はい。国を背負う意識があるからこそ、この場にいるのです」

「じゃあ、国の為、膿を出す痛みにはしっかり耐えてもらうから。耐えられないからって揉み消しをしたら君達のいる場所ごと切除するだけだからね?」


 半眼で、高圧的な態度のお義父さんがシルドフリーデンの者達にトドメの脅迫を行い、これからの行動は決まって行ったのですぞ。

 ですが……なんと言いますかな?

 どうもシルドフリーデンの者達は時々お義父さんの言い分に納得しかねる態度を見せておりました。

 権利関連を変えるのを拒もうとする等、無数にですな。


 じゃあ戦後賠償をどうやって解決するの?

 とお義父さんが何度か詰問していました。


 とりあえず今日はそんな感じで会議を終え、明日の日程等が決まって行きましたな。




 そうして日が暮れた頃の事、小さな晩餐会とばかりに会食を終えて皆で休む、建物内でも最上位の者が生活する区画に俺達は案内されました。

 ああ、もちろん事前調査を行い、敵襲などが絶対に無い様にユキちゃん達も調査を終えております。

 俺はお義父さん達を一度部屋まで見送った後、俺の自室で待機しているユキちゃん達を迎えに行きますぞ。


 シルトヴェルトの様な俺とお義父さんに対する厳重な区別はシルドフリーデンにはないみたいですぞ。

 なのですぐに遊びに行っても問題ないですな。

 お義父さんもお疲れでしょうから俺が何か相談に乗って、ユキちゃん達フィロリアル様の魅力でリラックスをしてもらいましょう。

 サクラちゃんが既にやっているとは思いますが、数は多いに越した事は無いでしょう。


 俺はユキちゃん達を連れてお義父さんの部屋をノックし、すぐに入りますぞ。

 ああ、もちろん扉の前にはボディガードにいるシルトヴェルトの者達とシルドフリーデンの警備の者がいますが俺の顔パスで余裕で通れますな。


「お義父さん! 本日はお疲れ……」


 そう言おうとして俺は言葉が詰まってしまいました。

 何故かと言うと、お義父さんはパンダに上半身の鎧等を脱がせて後ろから抱きついて背中に顔を埋めている姿を見てしまったからですぞ。

 な、何があったのですかな?

 もうお義父さんはパンダとそこまで親しい間柄になってしまっていたのでしょうか?


「あ、あのな? 勘違いするんじゃないよ? あたいだって盾の勇者が何をしているのかよくわかんなくてね」

「んー? ナオフミ、部屋に戻って来たかと思ったらラーサに鎧を外してって言って脱がせたら後ろから抱きついたー。次はサクラちゃんだからって言うからサクラ待ってる」


 お義父さんはパンダの背中に抱きついてしばらくそうしていましたが、顔を放してこちらを見ました。


「ああ、元康くん、どうしたの?」

「いえ、お義父さんこそどうしたのですかな?」

「ん? ああ……なんか疲れて来てね……これ位は、やっても良いかもと思ったから試させてもらったんだ」


 答えになっておりませんぞ。

 いえ、深く考えるのですぞ、元康。

 お義父さんの行動には何か深い理由がある筈ですからな。

 うむむむ……は!?


「パンダとイチャイチャしたいのですな?」


 仲が良いのは良い事ですぞ。

 この世界のお義父さんにもお姉さんの様な頼れる異性の存在が必要ですからな。

 人は守るべき存在を得る事でより強くなれるのですぞ……。

 俺にとってのフィーロたんがいる様に、お義父さん……いえ、お義父さんだけではありません。

 錬や樹だって他者との関わりを得た事で変わって行ったのですからな。

 なのでパンダにはそういうポジションに収まってもらいましょう。


「深く考えてそれかい!? 違うって言ってんだよ!?」


 ここで何故かパンダが俺に違うと言ってきますぞ。

 ですが俺が聞いているのはお義父さんですぞ!

 ファイナルアンサー?


「違う違う……色々とドタバタし過ぎて疲れちゃってさ。シルドフリーデンの人達の意識とか齟齬を埋めたりするのに高圧的にし過ぎてね」


 長い時間お義父さんはシルドフリーデンの者達との会議で話を続けていましたからな。

 本来、お義父さんはお優しい方なので、誰かに辛く当たる事に負荷が掛っていたのでしょう。


 しかも今まで碌に休憩もありませんでした。

 シルドフリーデンとの戦争から始まった戦いの連続でしたからな。

 フォーブレイに行って、それからシルドフリーデン……お疲れなのも納得ですぞ。


 ですが今までのお義父さんを思い出すにそんな事で疲れを感じている様には見えませんでしたが……。

 とは思いましたが最初の世界のお義父さんが似た様に激務の中でお姉さんから作られた種類の魔物を撫でまわしている姿が思い浮かび、重なりました。


 最初の世界の事ですが、お義父さんがフィーロたん達と一緒にお姉さんのお姉さんの住処で居城を築く少し前、一際疲れた様な表情をしていたのを覚えておりますぞ。

 それまでの間に色々とお義父さんは誰かを叱ったり、皆を生き残らせる為に様々なお考えをしておりました。


 俺からしたらどうって事も無い事でも、罪悪感を募らせていたのかもしれませんぞ。

 おそらくアレはお義父さんの良心が誰かに辛く当たる等や領地の治安維持に対してのストレスが爆発した結果起こされた事なのでしょうな。

 世界が平和になった後のお義父さんは隠しステータスのカルマと仰っていましたが、俺はそう思っております。


 ……おや? 最初の世界の記憶が蘇ってきますな。

 いつの頃かは忘れましたが、お義父さんが俺の方を見ながらお姉さんと話をしている光景ですぞ。


「元康はなんでカルマが増えて暴走しないのか不思議だな」

「相変わらず冗談では済ませられない事をする時がありますし……既に暴走しているからではないでしょうか?」

「それもあるだろうが呪いが重ねがけにならないのは何故だ……?」

「呼びましたかな?」

「呼んでない、帰れ。それと大人しくしていろ」

「わかりましたですぞ!」

「実に不思議ですね」

「人それぞれって奴か……」


 そんなお義父さんもお姉さんと、お姉さんを元に作り出した生き物がいるお陰で同じ様な出来事はその後なかったかと思いますぞ。

 きっと癒しが必要なのでしょうな。

 それと同じ様な疲れが今のお義父さんに掛っているのでしょう。

 無意識にストレスを解消するため、毛皮を撫でる癖があると見ますぞ。


 キラーン☆ですな。


 なるほど……これはお疲れ状態であるお義父さん特有の癖みたいなものだったと言う事でしょう。

 サクラちゃんにも同様の事をしようとしていると言うのは信頼している者へ密かに頼っていたのでしょう。

 きっとフィーロたんにも似た様な事をしていたのでしょうな!


 うおおおおおおん!

 羨ましいですぞぉおおおおお!


 いや待て、ですぞ。

 お義父さんが誰の目にも明らかになる様子で撫でていたのは、お姉さんから作り出された魔物ですぞ。

 それ以外では精々キールを雑に撫でまわしていた位で、目立つ程では……。

 最初の世界のお義父さんはフィロリアル様を信頼していなかったと言う事になってしまう様な気がしますが……気の所為ですな!

 お義父さんはフィロリアル様が大好きですぞ!


「槍の勇者があたい達を見ながら百面相をしているけど、なんなんだい?」

「さあ……いつもの事だからあんまり気にしない方が良い気がする」

「同感だねぇ……ところでいつまであたいに抱きついている気だい?」

「ごめん、もうちょっとだけ」

「あいよ……これもあたいの仕事の内に入るのかねぇ?」

「上手い具合にシルトヴェルトの人達に乗せられてる気がするけど、もう少しだけお願い」

「はいはい。気が済むまであたいの背中に抱きついてるが良いさね。疲れてんならしょうがないよ」


 なんて感じでパンダは諦めた様に抱きつくお義父さんに合わせておりますぞ。

 お義父さんはパンダの毛皮を撫でていますな。

 なんとなくサラサラしている様ですぞ。


「パンダの毛はごわごわなのではないのですかな?」

「え? ああ、会った当初はそうだったね。だけど最近はかなり柔らかくなってるよ?」

「そりゃあ盾の勇者の護衛を任されてるからねぇ……城の連中共が清潔に、且つ勇者の支えになる様にってんで最高級の美容品が支給された挙句、護衛時間から外れるとエステを強引にさせて来るんだよ。趣味じゃないってのに」

「なるほど、だからここまで驚きの柔らかさを出せるんだ」

「無駄に毛が柔らかくなって落ちつかないけどねぇ。あとアイツ等が何か理由を付けて触れようとして来るからうっとおしいったらありゃしないよ」


 パンダが話すアイツ等とは配下の連中でしょうな。

 シルトヴェルトの方で留守番をしておりますぞ。

 より強くなる為に技術訓練をするとの話でしたな。


「話を変えるけど、良いかな?」

「もちろんですぞ」

「シルドフリーデンの話なんだけど、物量や国土で有利、みたいな雰囲気があって、タクト達との共同開発で兵器も完備。シルトヴェルト相手に勝てる……機会を窺っていた節はあるみたいなんだよね。こう……俺の知るある国みたいに、独立と言うかシルトヴェルトを疎ましく思っていたからこそ、イケイケだったみたいな感じだったみたいなんだ」


 パンダに抱きつきながらお義父さんが説明を始めますぞ。

 リラックスしながら相談ですな。

 真面目な話なので俺も真剣に聞きますぞ。


「間違いは無いねぇ……ま、正直言って政治に関しちゃ戦争なんかの類が起こってくれる方が傭兵としては嬉しい所だけど、シルドフリーデンの連中は頭が浮ついていると言うか、現実がわかってないって感じがあったねぇ。力こそ正義ってのはシルトヴェルトと同じだけど、考え方が違うね」


 お義父さんの脅迫を受けてやっと現実が見えたのか、会議の最中は震えていましたな。

 これで俺達に逆らったら命は無い事がわかったでしょう。

 結果、どうにかして利権を守ろうとしていた感じでしたな。


「会議に関してもね……元代表を捕縛、タクト派閥の根絶に関してはやる気を見せているけど、他の利権関係になると必ず食い付いて来るんだ。言った者勝ちみたいな言い回しが目立ったから疲れたよ」


 気持ちはわかるけどね、とお義父さんは付け足しました。

 まあシルドフリーデンの者達は浮付いた雰囲気がありましたからな。

 良くも悪くもタクトに踊らされて常識に疎い感じだったと思いますぞ。


「お義父さんがこの権利を死守したとして、君達はどうやって賠償金を支払うの? と仰っていましたな」

「うん。その利益を賠償金に当てないと払えないと言ってるのに、期限の先延ばしを要請するとか、そんな返事ばっかりだったね。挙句新たな利益を得るための作戦があるのでお待ちくださいとか……なんていうか、民主制の悪い部分が出ている感じがね」


 そういえばシルドフリーデンは民主制でしたな。

 この世界は王権制や君主制の国が多いので、国のトップが決めた事は迅速に行なわれる事が多いのですぞ。

 俺達は勇者なのでトップ側として意見を言い易いという事ですな。

 なのでメルロマルクの女王やフォーブレイの豚王などに助言したり、提案したりすれば割と簡単にプロジェクトを進める事が出来るのですぞ。


 対してシルドフリーデンは民主制。

 失敗は少ないかもしれませんが、何か事を進めようとしても反対派がいると迅速には動けない、なんて事になりますぞ。

 お義父さんの言っている悪い部分、とはそれ等を含んでいるんでしょうな。

 まあ王権制はトップの能力が低いとあっという間に滅びるそうですがな。


 おや? 最初の世界の記憶が蘇ってきますぞ。

 お義父さんや錬、樹が揃って溜息をしていた案件ですな。


「最初の世界でも世界が平和になった際、波の所為で世界が融合し、新たに見つかった大陸へ侵略行為を真っ先に始めたのがシルドフリーデンだった覚えがありますな」

「ああ、波ってそんな現象なんだっけ? ってそこから考えるに国の借金……賠償金を侵略で得た物資や金銭で返金しようとしていたって事か」


 ちなみにフォーブレイも同様でしたな。

 まあ、タクトの所為で実質フォーブレイは滅んだも同然だったのが原因ですが。

 フォーブレイの連中も似た様に侵略して賠償金を返済しようとしてお義父さん達に両国の侵略派閥は駆逐された、なんて覚えがありますぞ。

 相応の罰という奴ですな。

 それくらいまでしか覚えておりません。


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