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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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エヴァンジェルスピア

 俺が戦い方に悩んでいるとお義父さんが言いました。


「どうもシステムエクスペリエンスと言うのかな? 君は大事な事を理解していないみたいだから勇者として……ううん。この場の勝者として答えるよ」


 お義父さんが勝利を確信したのか一歩踏み出します。


「君が幾ら世界中から経験値を吸収していたとしても、それを力に変換しきれないのか、それとも俺達が、四聖の武器が強いのかは判断が出来ない。けれど、大事な問題としてそれだけ大規模な攻撃を放ったにも関わらず……俺の防御を突破出来なかったのが最大の敗因だ!」


 お義父さんの唱えるスキルマーカーが浮かんでいる様に俺は見えましたぞ。


「ディフェンスリンクⅩ! リベレイション・オーラⅩ! これでこの攻撃の雨の中でみんな突撃出来る! 存分に、相手をねじ伏せるんだ!」

「わかったなのぉおおお!」


 ライバルがお義父さんの指示を受けて結界内から飛び出して両腕に出現させたツメで辺りで援護射撃をしていた悪魔共を一瞬で仕留めて行きました。

 もちろん、ライバルに被弾しているはずなのですが傷一つ付きません。


「サクラも行くー!」


 サクラちゃんがライバルに張り合う様に結界から出て、システム経験値に駆け寄って踊る様にそれぞれの手で持った剣を振りかぶります。


「お姉さんもやるかしらね」


 お姉さんのお姉さんも持った槍に雷を落としてシステム経験値に向かって投擲しますぞ。


「雷撃銛……じゃなくて槍ね!」

「俺も行く!」


 錬も同様に飛び出して剣を振りかぶります。


「行くぞ!」


 それは宝物庫で見つけた剣で手に入ったスキルですかな?


「クラウ・ソラスⅩ!」


 錬が剣を振りかぶると、ブリューナクと同様の光の斬撃が飛び出して飛んで行きます。

 使い方を間違えたのですかな?

 やがて俺の放ち方と同じように腰を落として前に突き出しました。


「光の剣<クラウ・ソラス>!」


 クロちゃんが大興奮で叫びます。

 そんなクロちゃんも錬を支える様に寄り添っておりますぞ。

 錬も満更ではなさそうですな。


「私も行きます。ほらラフタリアちゃんも」

「う、うん!」

「あ、リファナ待ってー!」


 お姉さんと友人とコウが一緒になって飛びだしました。

 おや? お姉さん達を乗せたコウが分裂して、辺りの敵を全て仕留めて行っている様に見えますぞ。

 多重分身ですな!

 まるで全てに実体が有るかのようですぞ。


 息切れして休憩しているコウとお姉さんと友人がお義父さん達の隣で休んでいる者もおります。

 アレはなんですかな? 分身しているのに休んでますぞ?

 まるで全ての分身の疲労を肩替りしている様にも見えますぞ。

 そして本体らしきお姉さん達が自分たちを足場にシステム経験値に攻撃を仕掛けますぞ。


「グ――」


 バチバチとシステム経験値の機械部分に亀裂が生じてエネルギーが漏れ出し始めた様ですぞ。


「私達も行きますわ!」

「もちろん、俺も行きますぞ!」


 ここで行かねば倒せる相手も倒せません。

 俺はお義父さんの方を見ます。

 みんなのダメージを肩替りしているお義父さんの全身から煙が立ち込めておりますが、大丈夫だとばかりに微笑んでおります。

 主治医がお義父さんを心配する様に支える様に寄り添っておりますぞ。


「大丈夫、それよりも早く! 敵を倒すんだ!」

「わかりましたぞ!」


 俺は走りだすフィロリアル姿に変身したユキちゃんの背中に乗ります。

 そしてシステム経験値に向かって跳躍しますぞ。


「みんな下がるのですぞ! 俺の禁じ手で行きますぞぉおおお」


 本当はフィーロたんの背中に乗った時に使おうと思っていた、とっておきのスキルがあるのですぞ。

 フィロリアル様達の能力を最大限引き出しつつ俺の力を合わせた、まさに最強のスキルが俺の手の中にあります。

 このスキルはフィーロたんと共に紡ぐと心に決めていた事ですが、お義父さんの願いとあらばやるしかありません。

 四霊を相手にしても使う事の無かったこのスキル……見せてやりますぞ。


「F=エヴァンジェルスピア!」


 Fはフィロリアル様という意味だと思いますぞ。

 そう、このスキルはフィロリアル様に乗っている時にしか発動できません。

 俺と共に居るフィロリアル様……今まで一緒に居たフィロリアル様達から貰った力が俺の体を通してユキちゃん。そして俺自身の能力を上げて行きます。

 全てがスローに見える光景ですな。

 ああ、本来はフィーロたんと放ちたかった奇跡のスキルですぞ。


「ユキちゃん、大丈夫ですかな?」

「大丈夫ですわ!」

「では行きますぞー!」

「はいですわ!」


 12の強化を実践している錬や樹よりも、お義父さんよりも早く俺とユキちゃんはシステム経験値の下に駆け寄り、大きく跳躍致します。

 それから大きく槍を回転させると、俺を乗せていたユキちゃんが光の羽となって散り、俺の背後に天使姿で出現します。


「これは……どうしたら良いのですか元康様!」

「本能でわかるはずですぞ」

「はい……わかりました」


 今、ユキちゃんの体には俺が今まで出会ったフィロリアル様の思いが流れ込んでいますぞ。


「元康様を通じてフィロリアルのみんなの声が聞こえる様ですわ!」


 ユキちゃんは俺の背に身を寄せ、槍に力を流し込みます。

 槍から光の羽が生え、エネルギーが放出されますぞ。


「エネルギー充填完了ですわ! 何時でも発射可能ですわ。元康様!」

「もちろん行きますぞ!」


 俺は勢い良く槍をシステム経験値に向かって投擲しました。


「フィーロたんラブゥウウウウウウウウウウウウウウウ!」

「ナ――馬鹿な――メディ――」


 システム経験値は高速でスキルを放った俺とユキちゃんの攻撃で風穴が開き、更に風穴から光の羽が機械を浸食して光の羽へと変換して行きますぞ。

 バァっと俺の放ったスキルは空高くまで飛んで行き、システム経験値が張った結界を貫いて空高く飛んで行きました。

 悪魔共は既に錬とライバルの攻撃で跡形も無くなっております。

 このシステム経験値がいた実験場の屋根も完全に消し飛ばしていますぞ。

 後に残ったのは羽が降る廃墟でしか有りませんな。


「やりましたぞ!」


 ユキちゃんと共に着地した俺はお義父さんに親指を立てます。

 フィーロたん、見ていましたかな?

 俺はまたも世界を救いましたぞ。


「まあ……良いんじゃないかな? ところで……」


 システム経験値を倒した影響でしょうが、足元からゴゴゴと地響きが聞こえてきますぞ。


「ちょ、ちょっと危なそうだね。脱出を考えるべきかな?」

「そうですね。ガエリオンさん。結界はどうなりました?」

「完全に消えてるなの」

「じゃあ急いで脱出だ! 転移スキルは……使用不可能か!」

「何だかんだ言っても活性化地なんだろうね」

「ではフィロリアル様! 脱出ですぞ」

「ガエリオンちゃんには乗らないの?」


 お義父さんが脱出の為にドラゴン姿になってみんなを乗せようとしているライバルに乗りかかって言いました。

 フ……愚問ですぞ。


「俺達はドラゴンの力など借りませんぞ! さ、フィロリアル様の皆さま! 脱出ですぞ」

「「「わー!」」」


 という事でその足で俺達はササっと走りだしました。

 お義父さんは付いてこないのですかな?


「えっとー……うわ、壁を登って行ってる!?」

「ナオフミー行こう」

「早く逃げるなの! この際、サクラはガエリオンが連れて行くなの」

「う、うん! サクラちゃんごめんね」

「やー!」


 ライバルが羽ばたき、お義父さんを迎えに行ったサクラちゃんを掴んで飛びましたぞ。

 そうして俺達は実験場から脱出しました。

 崩落とかあるのですかな? と、都から出て集合したのですが……光が噴き出しただけで特に何かあった訳では無い様ですぞ。

 怪しげに歪んでいた空がもう完全に無くなっておりますな。


「そういえば陽が出ているのに暑くありませんね」

「むしろ涼しいな」

「砂漠にさせていた原因が取り払われたって事なんじゃない?」


 お義父さんがそう言った所で砂漠の一角から水が噴き出しました。

 雨が降り始めましたな。


「うわ……」

「恵みの雨ですね」

「そうなるのかな?」

「完全勝利ですな」


 都の一角でも泉が湧きだしたのか水柱が見えますぞ。

 やがて雨が止むと、何事も無かったかのように光溢れる地がそこにありました。


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