失われた武具
アッサリと門をぶち破ってやりましたぞ。
少しすっきりしましたな。
「やりましたぞ」
「……ゲーム風で言うなら必要ステータスが膨大ですが、突破できない程では無いイベントって所でしょうかね」
「ショートカット出来たんだんだから結果オーライって事で」
「そうだな。結局は力で勝る方が楽って事か」
「あらー、素敵ね」
「勇者達の強さが分かる状況ね……今まで見た事が無いくらい高密度の結界を正面から力押しが出来るなんて」
「こんな物造作もありませんぞ」
強いて言うなら前回の周回で戦った波の先の所から出てきた結界持ちの結界よりも弱い程度ですぞ。
幾重にも張り巡らせていたので、少し上ですかな?
「砂漠の方の結界も設置しておけば良かったのに、ツメが甘いなの」
ライバルの締めで俺の活躍が台無しですぞ。
「なんなの? 目からの光線勝負なら負けないなの」
「やりますかな?」
以前は不意打ちで負けましたが、今度は仕留めてやりますぞ。
俺とライバルが睨み合い(魔法視線)をしているとお義父さんが間に入って止めました。
「まあまあ、とりあえず中を確認して行こうよ。何があるかわからないんだし」
「そうですな」
という事で俺達は城内へと入りましたぞ。
言ってはなんですが、城の内装はそこまで違いがありませんな。
かなり古い建物で、所々荒廃しているのはわかります。
骨なども転がっていたのでしょうが完全に風化しているようですぞ。
「所々砂に埋もれてる場所があるね」
「倒壊している所も見受けられます。というか……僕達が開けるまで誰も開けた形跡の無い扉とかありますよ?」
「にも関わらず室内に悪魔がいる……空間転移で入りこんでるのか?」
「どうなのかしらね」
なんて感じに警備というか、悪魔が多い方向へと俺達は進んで行きますぞ。
お義父さん曰く、相手が来てほしく無い方へ行くのがこういう時の鉄則だとか。
そんな訳で中庭っぽい所へ行くと、憩いの場とばかりに水が引かれて泉となっておりました。
その畔に……見覚えのあるオブジェの残骸と、これまた壊されたっぽい碑文がありました。
「アレってー……」
「ドラウキューア山脈やカルミラ島にある碑文と同じ物ですな。壊されているのですかな?」
「というか、やっぱりここも活性化地域なんだね」
「皆さんの経験値はどうなんですか?」
「悪魔達の経験値はあんまり美味しくないなの」
ライバルの言葉にお姉さん達が頷きますぞ。
「そっか……とりあえず碑文の方を見てみようか」
「ですな」
俺達は碑文に近づいて書かれている文字を読み取ろうとしますぞ。
……何度も削り取ろうとした形跡が見えますな。
で、俺達が近づくと同時に俺達の武器の宝石が輝き、文字が浮かび上がり始めました。
「これは悪魔達にとって読んでもらいたく無かったという事でしょうかね?」
「かもしれない。えーっと……やっぱりリベレイションの魔法がここに書かれているみたいだね。ただ……続きが書かれてるね」
俺も書かれている文字を読みますぞ。
何々……固定化された疑似リベレイション・アブソーブ……更なる領域へ踏み込むには二つの魔法を勇者の力を織り交ぜて紡ぎ出せ……と書かれているようですな。
その方法はドラゴンからの加護とも書かれておりますぞ。
既に取得していますな。
しかし、ここにしかヒントが無いなら、ノーヒントでリベレイションに至った最初の世界のお義父さんは魔法の天才ですな。
「ドライファ以上、本来のリベレイション以下のランクの魔法という事ですか……」
「体験版リベレイションだな」
「それもどうなのかと思うけど、間違いは無さそうだね。有名なゲームだとラ系・ダ系・ガ系のダ系みたいな中途半端な感じ」
「有名ゲームの基準って言うのがこれまた……わからなくはないです。僕も齧った程度で知ってますから」
「樹の世界にもやっぱりあるんだね」
「何を言っているのですかな? メガ・ギガ・オメガ・テラのオメガポジでは無いですかな? 魔界大地ではこれでしたぞ」
「ゲームにもよるけど……まあ、そんな感じなのかな」
錬は反応が鈍いですな。
会話を理解していないのですかな?
とは思いましたが、間に入れなかっただけの様ですぞ。
無言で頷いております。
「何度も壊そうとした形跡か……転生者や転移者の話を聞いたが、神を僭称する奴がした妨害である可能性が高いな」
「そうだね。波側からして脅威となる事は尽く潰している所は徹底してるよ」
「まあ、どちらにしてもループしている元康さんの前では無意味だったという事ですね。じゃあ行きましょう」
お義父さん達が分析している最中、泉でお姉さん達やフィロリアル様は休憩をしておりました。
来る悪魔は俺達が仕留めますから余裕ですな。
「くんくん……お宝の匂いがするなの。ガエリオンの本能がこっちへ行く事を勧めているなの」
「じゃあ寄り道って訳じゃないけど、行ってみる? 脱出の手段を見つけるにしても行かなきゃいけないだろうし」
「だな。宝に興味がある」
「ゲーマーの性って奴ですよ」
そんな感じに中庭を抜けて、悪魔の警備が多い方へと進むと、厳重に封印された扉を発見しました。
見上げる様な大きな……何枚も羽を生やした悪魔、ベリアルという悪魔が何匹も守っておりましたな。
もちろん、完全強化をした俺達の前の敵ではありません。
擬似とは言え、リベレイションクラスの援護魔法をお義父さんが唱え、俺達の手によって秒殺しました。
ははは! 雑魚ですな。
「ここにもあるなの」
扉の方はこれまた厳重に封印されておりましたが、結界ごとぶち破ってやりました。
その先に扉がありましたが、今度はライバルが魔法を熟知していて封印解除したのですぞ。
「領域破壊よりも余裕なの」
舌舐めずりをしながらライバルは封印を解いて扉を開けました。
その表情は完全に本能に支配されたドラゴンですぞ。
最初の世界のライバル……雄の方のライバルもお義父さんが持ちかえった宝の山を見てそこに飛び込んだ光景を思い出しました。
「中は何があるなのー? ガエリオンの本能にビビっと来るのがこの城には一杯、隠してあるのがわかるなのー」
鼻歌交じりに明かりを付けますぞ。
すると俺達はその光景を見て絶句しました。
「な、なんだ!?」
「うわー……」
「これは……」
室内を見ると無造作という言葉が一番しっくりくるほど、様々な武器が捨て置かれていました。
剣に始まり、槍、弓、銃、杖、ツメ、斧、鞭……馬車もあるようですぞ。
もちろん、盾も捨て置かれております。
ここは宝物庫か何かですかな?
目利きで鑑定しますぞ。
統一して……破壊不可が付与されている武具達みたいですな。
とはいえ、破壊不可とは言っても勇者の武器程の性能がある訳では無いみたいですが。
刃こぼれしているのが多いですぞ。
壊れないだけで劣化はしているという事ですな。
「こ、これって!? もしかして過去の戦いで失われた伝承の武器じゃないの?」
主治医が珍しく驚いていますぞ。
失われた伝承の武器、ですかな?
「そうなの?」
お義父さんの質問に俺達はそれぞれ武器を目利きしながら頷きます。
「ゲーム上で伝説設定の武器が転がっているみたいだな」
「ええ、ボスがドロップする珍しい武器なども転がっています」
フィロリアル様の聖域でも似た様な物が転がっていましたがその埋蔵量は比ではない程いろんな武具が収められている様ですぞ。
「お宝の山なのー!」
ライバルの目が金になっていますな。
完全に宝に目が眩んでおりますぞ。
「勇者達なら対応する武器は持って見れば良いんじゃないかしら?」




