悪魔解析
「な、なの?」
滅びた城らしき所に到着した所でライバルが変な声を上げました。
お義父さんが心配そうにしていますぞ。
「どうしたのガエリオンちゃん?」
「よくわからないなの……高密度の魔力、汚染に感覚が麻痺してるなの。なんとなくドラゴンの気配がした様な、そんな気がしたけど、こんな所にいるとは思えないなの」
「否定するのは止めた方が良いかもね。何が飛び出すかわからないし」
「とはいえ……」
錬と樹が廃墟の畔にあるオアシスを見てホッとしておりますぞ。
「これで太陽が出ても問題なくなったな」
「ええ、水に毒素は無いですし、汚染も無い様ですからね」
「ああ……水がある事がこんなにも嬉しい事だとは思わなかった」
「錬は泳げないらしいからね……」
「お、俺は泳げる!」
なんて感じに俺達は襲いかかってくる悪魔どもを仕留めながら廃墟へと侵入しました。
奥の方に城があるようですな。
「あれがプラド城って事になるのかな?」
「かもしれませんね。しかし……言ってはなんですが古臭い魔王の居城に見えますね」
「だな。レトロゲームな匂いがする」
「滅びた砂漠の国の城に悪魔……」
「探検隊の前振りみたいですぞ」
俺の台詞にお義父さん達は若干転びそうになりました。
凄い反応ですな。
そんなに変な事を言いましたかな?
「言った俺も俺だけど元康くんの所為で更にそれっぽくなった!」
「なおふみ探検隊なの!」
「やめてよね! 恥ずかしい! カメラマンよりも後に入らないから!」
「やらせ風と言いたいんでしょうか?」
「否定はしないな。しかしもっと言い方は無いのか?」
「悪魔城<プラド>にしよー?」
「クロちゃんもそれはちょっと危ないネタかなーなんかアクションゲームっぽい」
こう……荒廃した砂漠の都と言うノスタルジーな雰囲気……禍々しさが無ければフィーロたんとのデートにも良さそうなスポットですぞ。
そう思いながら城の方へと行きました。
「凄いわね。歴史に名を連ねる危険指定の悪魔と思わしき魔物が勇者達の手で秒殺にされて行く光景は」
道中で主治医が悪魔の解析を行っていますぞ。
やはりこういう場面で役に立ちますな。
「信仰深い人達が見たら、泣いて喜びそうね」
お義父さん達は微妙な表情を浮かべています。
まあ宗教は三勇教の前例があるので、あまり良い印象を持っていないのですぞ。
「ところで研究の役に立てそうですか?」
「少し難しいわね。言ってはなんだけど悪魔って魔物とは私は呼びたくないし、身体構造もかなり適当なのよね」
「へー……」
「会話は成立しないけど知能を持って連携をしている……と思ったのだけど、何か違うし。勇者達が倒して行くのを見ているとわかってくるわ」
「どう違うんですか?」
「そうね……単純に言えばゴーレムかしら。アレは人工的に魔法で構築された魔法生物なのだけど、単純な命令で動くの」
「ゴーレムは俺も戦った覚えがありますぞ」
「迷宮でも稀にいるわね。話を戻すと、悪魔って生き物と思っていたのだけど、勇者達の戦いを見ていると実は複雑に見えて単純な行動をしているようなのよ。感情の動きが無い。怒っている様に見えているだけ、脅える個体が全くいない。迷いが無い。状況分析が早いけど応用が無い。これはオーバースペックで作られたゴーレムが暴走する前の挙動に似てる」
「つまり……どういう事?」
主治医の説明に俺達は首を傾げますぞ。
ですが錬は察した様に手をポンと叩いて答えました。
「ああ、なるほど。そういう事か」
「錬は何かわかったの?」
「そうだな。何に似ているかわかったぞ。樹や元康、尚文だって心当たりがあるんじゃないか?」
「そうなんですか?」
「ああ、この悪魔共の挙動……ゲームの魔物に似てるんだ。つまりコンピュータの簡単なAIみたいだという事だ」
錬の言葉に樹もハッとしている様ですぞ。
……言われて見れば悪魔達の戦闘方法はエメラルドオンラインの敵に似ていますな。
多少の知恵があるのも、ボスモンスターに設定されている、少し複雑な攻撃をしてくる敵と酷似していますぞ。
これはどういう事ですかな?
「あー……なるほど。それは錬のブレイブスターオンラインと樹のディメンションウェーブというゲームに登場する敵の動きって事かな? 元康くんもそう?」
「ですな。確かに似ていますぞ」
「そうですね。言ってはなんですが似ている、と言われれば頷ける程度には似ています」
「まあ、一概には言い切れないがな。サキュバスタイプの場合は人心の掌握が目的なのかもしれないからな。脅えを見せるかもしれない」
ああ、豚タイプですな。
近寄ると同時に俺が消し炭にしてやってますぞ。
「会話が成立はしませんがヌードな姿を見せる悪魔ですよね」
「なおふみは絶対に近づかせないの!」
「貴方が言っても説得力はありませんね。むしろ同類です」
「違うなの!」
ライバルの主張に樹とお義父さんは呆れていますぞ。
俺だって呆れていますな。
この豚と同格ですぞ。常時発情しているように見える所がですな。
「ガエリオンは、なおふみだけしかしないなの」
「フィロリアル達に発情した方が言っても説得力がありませんね」
「それは槍の勇者の所為なの!」
「まあまあ……どっちにしてもこの世界の悪魔は魔物では無く魔法生物。生き物とは構造が根本的に異なるって事だね」
「ええ。とは言っても……素材の一つ一つがかなり優秀で垂涎の人が居るでしょうから、持ち帰ったら一財産稼げる状況だし、上手く使えば技術の改革も出来るかしらね」
「悪魔系の素材で作れる物ですか……」
「何かのレシピにあるかもしれないな。戦力増強……村の連中の装備品とかにして行くのも悪くない」
「カッコいい装備欲しいー」
クロちゃんが目をキラキラとさせて告げますぞ。
そうですな。素材を持ちかえって装備にして貰えばクロちゃんの気に入る防具が出来るかもしれませんぞ。
「んー?」
「単純なドロップ品でも結構な品質の物があるみたいだけどね」
お義父さんがドロップ品からサクラちゃん用の剣などを取り出しておりますぞ。
杖なども出て、お姉さんが使っております。
友人はツメをもらって振るっておりますぞ。
以前は短剣だった様な気がするのですが、武器変更をしたのですかな?
防具類も出ているので、進む度に俺達は強くなって行っている自覚がありますぞ。
そんなこんなで城の目の前ですな。
門が思い切り閉まっておりますぞ。
「開けるには……」
隠し通路と言う訳ではありませんが、水路の堀に降りられる所がありますぞ。
「面倒ですから飛び越えますかな?」
「門の上には結界が張られているみたいなの」
「ではぶち破りますぞ」
俺は門に向けて構えますぞ。
ブリューナクでぶっ飛ばしてやりますかな。
「攻略の醍醐味とか矜持は現実では無意味ですね」
「まあ……そうなるね」
「やるしかないか」
「では先手必勝! ブリューナクⅩ!」
力を込めて門に向かってブリューナクを放ってやりますぞ。
するとバシンと抵抗するかのように門に結界が発生しております。
「うわ……まあ、ここまで厳重に結界が施されているんだから当たり前の結果か」
「ですね。面倒ですから攻略を――」
「行きますぞ! でりゃああああああああ! ですぞ!」
ドンと一歩踏み出して思い切り力を込めてやります。
バシンバシンと無意味だとばかりに結界が俺の放ったブリューナクの光を受け止めておりました。
まるで一点集中とばかりに幾重にも魔法陣っぽい紋様を浮かべて守ろうとしております。
小癪な抵抗ですな。
今の俺にしてみれば障子の紙よりも脆い防壁ですぞ。
「……凄い厳重だね」
「だけど突破できそうですね。僕達も――」
やはり樹が言い切る前に俺の高出力のブリューナクの前に結界が音を立てて壊れて行きました。




