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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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ンテ・ジムナ種

「的が小さくなって大変そうですけど、逆にリファナさんもサイズダウンで攻撃が難しいんじゃないでしょうか?」

「どうなんだろ――」


 と、お義父さんが言い切る前にお姉さんの友人らしいイタチが攻めに転じましたぞ。


「行くよー! シャシャシャシャ!」


 ブンと……今までの数倍の速度でお姉さんの友人は動いてコウの体中をツメを立てずに撫でまわし始めました。

 凄い速度ですぞ。

 俺ならなんとか出来ると思いますが、それでもかなり速いですな。


「うわ! リファナちゃんが増えた!?」


 お姉さんが声を上げますぞ。

 俺は十分にLvがあるので、お姉さんの友人がどう動いているのか見えますが、速度が足りないお姉さんには分裂した様に見えるという事でしょうな。

 いや、魔法の気配もしますぞ。

 お姉さんの友人も火の幻覚使いですから、分身をしている様に見せる攻撃をしているのでしょう。


「わ、わ、わあああ! リファナが増えたー!」


 コウも驚いて目でお姉さんの友人を追おうと必死ですぞ。

 複数に分裂したお姉さんの友人がそれぞれ、コウの体に手を当てて撫で回す姿……これが攻撃だったらとんでもない状況ですぞ。

 手も足もでずにコウは負けているのではないですかな?


「な、なんか声が出る。シャアアアア!」


 お姉さんの友人が威嚇とばかりに声を出しながら笑っている様な声を出しますぞ。


「くすぐったいーあはははははー! リファナやめてー」

「うん」


 ピタッと止まったお姉さんの友人がコウに背を向けてポーズをとりました。

 するとコウの全身の羽毛が全て逆立って、シュバっと無駄な羽毛が抜けて飛んで行きました。

 ドサッとコウはうつ伏せに倒れますぞ。


「うー……コウ負けたー! リファナちっちゃくて当てづらくて、速いー! 勝てないー」


 悔しそうにコウはお姉さんの友人に言いますぞ。


「残像を残してたぞ」

「ゲーム時代に似たスキルを見た覚えがありますが……」

「俺もあるな。演出が派手なスキルだった」


 ああ、ありますな。

 拳闘士のスキルに残像を残して攻撃する、それなりに優秀な攻撃ですぞ。

 イタチが放つのは知りませんが、そんな感じに見えましたな。


「勝った―! 勝利の雄たけびーシャアアア! なんてね」


 蛇の威嚇ではなく、ネコとか……まんまイタチの威嚇声だった様な気がしますぞ。


「えっとー……」

「あ! なおふみ様ー!」


 お姉さんの友人らしいイタチがお義父さんに気づいて駆け寄ってきますぞ。

 そしてぴょんと跳躍してお義父さんの体をよじ登り、お義父さんの肩に乗ります。


「おとと!」


 お義父さんは落とさない様に腕を上げると、お姉さんの友人はお義父さんの盾の上に乗ってポーズをとりました。

 勝利のポーズでしょうか、右腕を斜めに、左腕を追う様に少し引いております。

 おや……? 何処かで見た様な光景ですな。


「見ていましたか? どうですか?」


 お姉さんの友人はお義父さんの盾の上で踊る様に両手を前に出して回ってポーズをとります。

 お義父さんは無意識なのか、お姉さんの友人の喉へ人差し指で軽く撫でます。


「うん。見ていたけど……リファナちゃんなんだよね? 随分と小さくなったみたいだけど……」

「はい! なんか今日は凄く調子が良くて、獣人化したら、もう一段階出来る様な気がしたんです」

「で、実行したらこうなったと」

「はい!」


 誇らしげに胸を張るお姉さんの友人……完全にイタチですぞ。

 獣人というよりは小動物という感じですな。

 この大きさであの速度だと、かなり厄介かもしれません。


「イワタニ良いなーリファナを乗せてるー」


 コウが羨ましそうにお義父さんを見ております。


「ルナも羨ましいーキールくんと同じく小さくて可愛いー」


 いつの間にかルナちゃんがキールを抱えてやって来てますぞ。


「リファナちゃんが俺よりもちいせー! 強さはどうなんだ!?」

「前よりももっと速く動けるようになったよ」

「すっげー!」


 お姉さんの友人はそう答えましたぞ。

 一体何が起こっているのですかな?


「サディナさん、何かわかりますか?」

「あらー……そうねー。私もそこまで詳しい訳じゃないけど、シルトヴェルトで二段階目の変身をする亜人の伝承があったんじゃなかったかしら?」

「そういえば、フォーブレイの方でタクト一味にそういう技能を持った亜人がいたと報告がありませんでしたっけ?」


 樹がハッとする様に答えますぞ。

 そういえばそんな奴がいた様ないない様な。

 タクトの取り巻きはいつも瞬殺しているので、あまり覚えていないのですぞ。


「あー……確かシルドフリーデンの代表だったかがそういう技能を持っていたとか聞いた気がする。リファナもそういう資質持ちだったって事なんじゃないか?」


 そういえば……お義父さんが昔、世界征服に乗りだした時にフォウル辺りを解析して隠れた資質があるとか言っていた気がしますぞ。

 似た様な資質がここで開花したと言う事ですな。


「これからも一層がんばります!」

「うん。がんばってね」

「はい!」


 お姉さんの友人がやる気を見せております。

 お義父さんの盾の上で楽しげにポーズを取るその姿をサクラちゃんとライバルが羨ましそうに見ていますぞ。


「なおふみに注目されてるなの。それはガエリオンの立場なの! でもガエリオンは大人の女性をアピールしなくちゃいけないから我慢するなのー」

「サクラも小さくなってナオフミの盾の上でリファナと踊るー」

「やる?」


 来いとばかりにお姉さんの友人はサクラちゃんを手招きしますぞ。


「む! サクラがやるなら我慢はしないなの! でもガエリオンは小さくなり過ぎるのは難しいなの……」

「張り合わなくて良いからね?」


 お義父さんは困った顔でお姉さんの友人とサクラちゃん、ライバルを止めますぞ。

 そうですぞ!

 サクラちゃんは良いですが、ライバル、お前はダメなのですぞ。


「騒がしいわね」


 そこに、主治医がやってきましたぞ。

 バイオプラントの改造を一挙に背負い。村に自分の研究所の魔物を持ちこんで面倒を見ていたのですな。

 主治医のお陰で大分、村の造形が最初の世界に近づいて来ておりますぞ。


「あ、ラトさん。リファナちゃんを見てください。なんか二段階目の変身を習得したみたいなんですよ」


 主治医がお義父さんの盾の上で胸を張るお姉さんの友人を凝視しますぞ。


「へー……ンテ・ジムナ種ってハクコやアオタツ種みたいな、二段階目の変身があると言われる種族みたいな変化が出来るのね」

「ンテ・ジムナ種? それがリファナちゃんの種族名なんですか?」

「そうね。数日前にソウルバキューマーの研究の手伝いをした時に少し話したけど、亜人には死んでもある程度自我を強く維持し続ける種族がいるって話。それがンテ種。で、獣人化出来る種がンテ・ジムナ種なのよ」


 おや? そんな話をしましたかな?

 ああ、そういえばライバルの証言を元に色々と転生者や転移者、憑依者を倒した時の経緯を説明して実行していたのでしたな。

 お義父さんがその時に主治医と話をしていたのでしょう。

 ちなみにライバルは詳しく覚えていた様で、主治医に前回の主治医が研究していた事を見聞きしていたそうですぞ。


「まあ、私もその辺りは専門外だけど、発祥となった地域じゃ呪術と呼ばれる闇の魔法で生贄に使われるとか聞くわね」

「なるほど、リファナちゃんってそういう種族なんだね」

「何があっても私は私、更に強くなってなおふみ様のお役に立ちます!」


 お姉さんの友人は尻尾を振って興奮している様ですぞ。

 更なる力に目覚める興奮は俺だって経験しております。

 中々に味わえない期待に胸を躍らせる瞬間なので、馬鹿にはしませんぞ。


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