今後の方針
「ペッペ! なおふみの為に取っておいたガエリオンのファーストキスをなんでフィロリアル何かにやらなきゃいけないなの!」
「うー……メルちゃんー……ナオフミー……ドラゴンにキスされたー……」
サクラちゃんがしくしくと泣き始めてしまいました。
くっ……ライバルの所為でサクラちゃんがこんな悲しい経験を……。
「ライバル、死ぬ準備は出来ましたかな?」
今ならお義父さんの特技だった憤怒のカースを使いこなせる気がしますぞ。
迷うことなくライバルをこの世から消して見せましょう。
「よしよし……」
「なおふみ! ガエリオンも慰めて欲しいなの! フィロリアルなんかとキスなんか何かの気の迷いなの! 助けてなの!」
「自分からキスを迫っておいて……」
お義父さんが泣くサクラちゃんを宥めながらライバルを呆れたように見つめます。
「さあ、殺しますぞ!」
「なのー! 絶対に生き延びてやるなの! 死んでも復活してやるなのー!」
「元康さん、落ちついてください!」
樹と錬が間に入って戦いをやめさせようとしてきます。
何ですかな? ライバルの肩を持つ気ですかな?
状況次第では死なない程度に痛めつけますぞ。
サクラちゃんを傷物にした罪は万死に値しますぞ!
「なんと言いますか……原因は元康さんだと思いますよ。まずは話を聞いてください」
そこで樹が挙手をして説明を始めます。
何故俺の所為になるのですかな?
邪魔だてするなら、監禁した時みたいにしてやりますぞ?
「そうだな。さっきのガエリオンの動きに俺達は覚えがある。尚文もわかるんじゃないか?」
「え? まあ……なんとなくくらいは」
錬の問いにお義父さんが頷き、俺の方を見ますぞ。
そしてお姉さんと友人が頷きました。
「槍の勇者様がユキちゃんやコウとじゃれる時の動きに似てました」
「うん」
「うう……地獄なの……まだガエリオンに追い出したはずの槍の勇者の色欲が蠢いているなの」
何度も口を拭ってライバルは言い放ちました。
「全部俺の所為にする気ですな! そうはいきませんぞ!」
「フィロリアルとキスなんて死んでも嫌なの!」
と、言いながらライバルはサクラちゃんに突撃しようとしてお姉さんの友人に尻尾を撫でられて抑えられております。
「元康さんのフィロリアル好きが感染してしまったという事ですね」
「絶対に感染したくない病だな」
「槍の勇者の浸食を抑えなきゃダメみたいなの……早く竜帝の大きな欠片をよこすなの! それでも耐えられるかわからないなの!」
「く……わかりましたぞ」
出来ればやりたくなかったタクトのドラゴンの欠片をライバルに渡しましたぞ。
ライバルはその欠片をドラゴンに変身して食べ、噛み砕きました。
「うー……どうにか抑えられそうなの。だけどそれでも抑えきれるかわからないくらい勢いがあるなの。しばらくは療養が必要になりそうなのー……」
「上手く調節すれば……フィロリアル達と仲良くできるかな?」
「嫌なの!」
「いやー!」
サクラちゃんとライバルが揃って異議を唱えました。
俺も嫌ですぞ。
というか、近付いて来たら槍で追い返しますぞ。
「犬猿の仲であるはずなのにも関わらず、浸食する元康さんの色欲の槍の力ですか」
「強くなる為とは言え、とんでもない力に身を染めてしまったなの。早く制御しなきゃなおふみにガエリオンの初めてを上げられないなの。ガエリオン、フィロリアルとの卵を産む気は無いなの! なの、フィーロ――」
そう言いながらライバルはサクラちゃんを見て、またも飛びかかりかけましたぞ。
しかしそれをお姉さんの友人が尻尾を撫でて止めました。
「うう……さっきはとんでもない邪魔者がいると思ったのに助かるなの。制御が終わるまでガエリオンの暴走を止めて欲しいなの! もしくはサッサとフィロリアルがガエリオンの視界から消えて欲しいなの!」
「お前が消えろですぞ!」
「まあまあ……じゃあサクラちゃん達は先に村へ帰ってもらおうか」
「うん……サクラ、村に早く帰りたい」
「厄介なドラゴンが来る事になりましたわ! ナオフミ様、早く処分する事を提案しますわ」
「リファナに撫でられるのはコウなのにー……」
サクラちゃんは半べそ、ユキちゃんは不愉快、コウはお姉さんの友人に撫でられるライバルを羨ましそうに見ております。
「うーん……しばらくは隔離かなー? 一応、彼女の協力がこれから必須になるからさ」
く……技能だけは一人前にありますぞ!
サクラちゃんを始め、フィロリアル様達は先に村へ帰って頂く事になりました。
「それでガエリオン……」
「ちゃん付けで呼んで欲しいなの」
フィロリアル様がいなくなったらライバルがこれ幸いにとアピールを始めましたぞ。
「ガエリオンちゃん。念のために聞くけど、今までの周回で仲間にしていた君のお姉さんとお父さん? は、本当に仲間にしなくて良いの?」
するとライバルは何度も頷きますぞ。
「なのなの! 大丈夫なの。むしろ余計な戦いに巻きこむよりも平和に暮らしていて欲しいなの。これはガエリオンが心の底から思うなの」
「まあ……今の俺達に接点は無いから一概に言えないけど……」
「お前の親は助手を人の世に帰したいと言っていたはずですぞ!」
「そんなの世の中が平和になってからでも良いなの!」
「一理ありますね。ラフタリアさん達の村の場合はやった方が良い案件でしたが、その方は今やらねばならない事ではない様に思えます」
「そうだな。俺の所為で不幸になるかもしれないのなら、現状維持を続けて幸せな状況を築いて欲しいと思う」
「錬さん、良いんですか? 未来の彼女ですよ」
「その話は置いておけ!」
く……周りに敵が多い気がしますぞ。
ライバルの親はどうでもいいですが、助手はフィロリアル様の管理もやっていたので俺は評価していたのですぞ。
「わかったよ。じゃあ、ガエリオン……ちゃんの願いでその子達には不干渉って事で行こう」
「ええ」
「了解だ」
「ガエリオンちゃんのお陰で賑やかになりそうね」
「任せてなの! さ、なおふみ。ガエリオンに何でもお願いするなの」
「ああ、うん。考えておくからね。さて、じゃあ帰ろうか。ガエリオンちゃんはフィロリアル達に十分に気を付けるんだよ」
「わかってるなの! ガエリオンだってダメージ大きいなの!」
そんなこんなで村に帰って、日々は過ぎ去っていくのですぞ。
その後、ライバルが詳しく提供した情報によって、フォーブレイを初めとした国々は波の先兵である転移者と転生者、憑依者の炙り出しに成功し、一様に平和的な状況へと至ったのですぞ。
さて、俺達勇者は今、復興が進みつつある村の夜……お義父さんの部屋に集まっておりますぞ。
今後の方針を話し合う事になっております。
大体前回のお義父さん達に頼まれた事は片付いたので、相談したのですぞ。
非常に遺憾ですがライバルも同席しております。
お姉さんは最近やっと夜泣きが治まりました。
お姉さんのお姉さんとよく一緒に寝ております。
「それで元康くんとガエリオンちゃん。次は何が予定されているのかな?」
「んー……当面の問題は解決済みで、次の波が終わってからしばらくしたらカルミラ島の活性化が起こるなのー」
露骨にライバルがお義父さんにフェロモンを振りまいておりますぞ。
お義父さんも最近は慣れたのか流しております。
お姉さんのお姉さんのお陰ですかな?
「活性化ね。前にドラウキューア山脈に行ったからどんなのかはわかっているね」
「行く意味はあるんですか? 僕達は既に十分な強さを得ていると思いますよ」
「そうだな」
錬と樹が相変わらずの事を仰っております。
やはり十分にLvを上げたと判断すると動きが鈍くなる様ですぞ。
「意味はありますぞ! フィロリアル様の育成計画始動なのですぞ!」
「あー……まあ、そうなるか。元康くんの野望だもんね」
「フィーロって奴を見つけるんだったな」
「今まで見つけられないにも関わらずよくやりますね」
「狂人の領域なの。その所為でガエリオンも散々だったなの!」
お義父さんを含めてそれぞれ意見を仰いますぞ。
ライバルは後で殺しますかな?
「何回ループしているのかわからんが、これだけやって見つけられないなら、理由を探す事を考えた方がいいんじゃないか?」
「とは言ってもフィーロたんをどうしたら見つけられるかわかりませんぞ」
「手が無い訳じゃないでしょ? もしもループした時、最初の世界と同じような状況にして尚文さんを泳がせるんですよ。そうすれば状況の再現は可能ですからね」
「そんな真似は出来ませんぞ」
お義父さんを助けないのは俺の信念に反しますぞ。
赤豚に騙される所を黙って見ていろと言うのですかな?
その様な光景を見てしまったら、俺は飛び出して赤豚を殺害してしまいますぞ。




