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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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カウンセリング

 クズはフォウルの顔を見て瞳孔を大きく広げてからフォウルを右手で指差しながら、左手で大きく拳を握りしめましたぞ。


「なんという事じゃ! 城内にハクコが来ておるぞ! 妻は何をやっておるのじゃ!」


 それからクズは拳を振りかぶって俺に突撃してきました。

 攻撃してはいけないそうですからクズの顔面を鷲掴みしますぞ。


「ハクコよ! 死ねぇ!」

「うわ!」


 咄嗟にフォウルは腕を交差させて守りの体勢を取ろうとし背後にいる者の事を考えて全身で耐える様に一歩前に出ました。

 まあ、俺がクズを鷲掴みをしたので守る必要は無いですがな。


「ぐぬ! おのれ! 放せー!」


 クズが標的を俺に変えますが、俺はクズの頭を握って軽く投げ飛ばしてやりました。


「く……まだまだ! マルティの仇ぃいいいいい!」


 と、今にも飛びかかろうとするクズへ俺は急いで、フォウルの背後に立たされていた妹の背後に周り込みました。


「え……」


 クズの表情が一瞬で止まり、萎んでいくのが見てとれますぞ。


「あの……? 槍の勇者様、お兄様、私はどうしたらよいのですか?」

「なんでアトラを盾にしてんだ!」

「してませんぞ。これで奴は大人しくなるそうですからな。仮に襲ってきたら俺が抑えますぞ」

「信じられる――」


 フォウルが怒鳴るよりも前にクズはとぼとぼと背中を見せて窓辺に腰掛けました。

 それから時折こちらに視線を移しますな。


「さて、これが手土産ですぞ。フォウルでしたかな。お前は妹と共にそこに居る老害の面倒を見てやるのですぞ」

「は? なんだその仕事は! 俺がやると思ってんのか!」

「あの……そっちがお兄様……ですよね?」


 妹の方がフォウルに声を掛けますぞ。


「どうしたアトラ? ここの空気が悪かったか? なら急いで移動しよう」

「いえ……大丈夫ですわ。それでお兄様、あちらのお兄様に良く似た気配をした方の世話が私達の仕事との事……私、少々気になるのであの方と話をしてよろしいでしょうか?」

「ダメだ。奴は俺達に殴りかかろうとしたんだぞ!」


 フォウルは厄介な程過保護だと聞きましたな。

 前回も地味でしたが錬と樹が仰っていました。


「お兄様」

「く……」

「という訳で任せましたぞ。まあカウンセリングでもやっていれば良いですぞ。何かあったら入口の兵士に言えば俺が来ますぞ」

「はい」

「はい、じゃない! アトラ!」

「お兄様、お願いします。あそこには――」


 と言う事で俺は妹の方にクズを任せてサッサと立ち去ったのですぞ。

 その塔の入り口での事。

 女王が静かに塔の上を見つめておりました。


「……クズはどのような反応をしておりましたか?」

「顔を見た途端に大人しくなりましたぞ」

「そうですか……いえ、そうでしょうね」


 女王はそう呟くと何度も頷きます。


「やはり……キタムラ様は未来から来たと言うのは真の事のようですね。アトラさんの顔を見た時に私も確信いたしました」

「前回の女王に頼まれた事ですからな」

「そうですか。これであの人も変わってくだされば良いのですが……」

「とりあえず様子見ですぞ」


 前回の女王も祈る様に言ってましたからな。

 予定通りクズの暴走はある程度抑える事が出来るでしょう。

 最初の世界の様にお義父さんとの和解は出来ますかな?



 それから数日の事ですぞ。

 俺は前回の周回の知識を元に、三勇教の秘密研究所に女王と共に乗り込んで証拠を押さえました。

 まあ、最初の世界のような研究はまだしていない様ですが、それでも非合法で危険な研究をしているとの事で研究所は即座に閉鎖、証拠品は押収されました。

 その事を材料に女王は三勇教に攻め入ろうとはしているようですな。


「証拠品は確保できましたな」

「今回の作戦への協力、誠にありがとうございます。ですが……これだけで三勇教と教皇を追い詰めるのは少々難しいでしょう」

「そうなのですかな?」


 証拠品を押収し、帰還をしている最中に女王はそう答えました。


「ええ……おそらく『部下が勝手に非合法の研究をしていた事、誠に申し訳なく思います』などという白々しい言い逃れをするでしょう」

「トカゲの尻尾切りですな」


 非合法の研究をしていた者が悪いので、自身は悪くない。

 私達の宗教はそのような非人道的な事は手を染めてなどいない、全ては三勇教を利用した者が悪いと処分するつもりなのでしょう。

 権力者が良くやる手段ですな。


「四聖勇者の無断召喚をしたのも言い逃れをしようとしていましたし……七星勇者であるクズが主導で行ったと罰し辛い言い訳をしました」

「既にクズの権力は無いですぞ?」

「……そうとも言い難いのが苦しい所です」


 女王の話では、未だにクズを旗頭に亜人排斥を宣言しようとしている勢力がいるとの話ですぞ。

 中々難しい問題になっていますな。


「俺が三勇教の教会を襲撃すれば全て解決する様な気がしますぞ」

「今回は我慢を……近々お願いする事になるでしょうから」


 ふむ……女王もある程度はわかっているのですな。


「まずは勇者様方が復興をさせようとしているセーアエット領に従事して頂ければ問題は無いかと思います」

「わかりましたぞ」

「三勇教も今は鳴りを潜めている最中……完全に尻尾を出す時に全力で叩き潰すように致しましょう」


 という事で俺は女王と話を終えました。

 三勇教を滅ぼすのが今から楽しみですな。


「その為には……クズが事情を理解し、世界の為に戦う決意を持って頂かなくてはいけませんからね。少々お時間が必要なのですよ」

「何かするのですかな?」


 そう尋ねる俺に女王は扇で口元を隠してから頷きました。

 おそらく女王なりの作戦と言う物があるのでしょうな。


 それはそうと開拓をしながらのLv上げですぞ。

 お義父さん達も武器の種類を得るために様々な素材が必要ですからな。

 集まった奴隷や復興資金の中でプールした金でフィロリアル様を次々と購入して行きますぞ!


 とりあえず結果だけを説明して行きますと、お義父さんは変わらずお姉さんのお姉さんと力を合わせて奴隷達の世話をしております。

 元々面倒見の良いお義父さんのお陰で奴隷達は前回よりも明るく村の復興をしていますな。

 徐々にですが最初の世界の村の様に復興が進んで行ってますぞ。

 錬と樹もまんざらでもない様子で奴隷達を連れてLv上げに行きますぞ。


 もちろん時々すり合わせとして勇者同士でも狩りに行きます。勇者のLvは上がらずとも奴隷やフィロリアル様のLvは上がりますからな。

 なんて感じに開拓をしていたらいつの間にかメルロマルクの波が迫っていましたぞ。

 他の地域でも波が起こるので、時々は他国の波にも参加しましたがな。


 樹は既に銃器を使っております。

 前回よりも成長が早いですな。


「今度こそ波にリベンジだぜ!」


 キールが闘志を滾らせて準備をしております。

 メルロマルクの波まで後数分ですぞ。


「怖い……」

「大丈夫だよ、ラフタリアちゃん。君は波に参加しなくても良いから」

「でも……リファナちゃんが」


 お姉さんは不参加を申し出ましたぞ。

 その代わりとばかりにお姉さんの友人が立候補しておりました。


「コウがんばるー」

「がんばろうねー!」

「うん!」


 コウの背中にお姉さんの友人は乗って戦う意志を見せておりますぞ。


「ラフタリアちゃんは安全な所で待っていて。サディナお姉さんも村を守るためにいるから今度は大丈夫だよ。波で村が壊される事は無いはず!」

「で、でも……」


 コウからお姉さんの友人は降りて諭す様に頬に手を当てます。


「今度こそ、ただ逃げるだけだったあの時から脱却しなきゃ……ラフタリアちゃんは私達が波を乗り越えた事を見て欲しいの。村が再興出来るって、悪い人達を追い返せるって……その証明を、したいの」


 お義父さんが頷いて答えますぞ。


「そうだね。前回は多大な被害を出した波を、みんなで被害を出さずに抑えられれば……不安は無くなると思う」

「そうですね。どうやら、随分と多大な被害を出した様ですし」

「爪痕が相当ある。どれだけの事なのか……ゲームだと思い込んでいたら見過ごしていたかもしれないな」


 おお、錬も樹も波の爪痕を目の当たりにして決意を強めた様ですぞ。

 初期に村の復興をするとこう言う利点もある様ですぞ。


「だからラフタリアちゃんは村で待ってて、私達が……波を抑えるから」

「う、うん。わかった」


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