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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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身長

「まあ、この世界の文字はメルティ王女が夜になると丁寧に教えてくれるから助かっていますけどね」

「そうだな。手ごたえはある。だが、読み書きはまだ早く読めない」

「英語を覚えるみたいな物なんですけどね……元康さんに徹底的に叩きこまれていますから学校の授業の比じゃないのはわかりますよ」

「言い回しなどで躓いてなぁ……」

「尚文さんは授業料とか取れるLvの集中講座だね、と元康さんを褒めてましたよね」

「努力か……」

「……キールさんやラフタリアさん達も一緒に勉強していますが、習得率で負けている様な気がしてきました」

「読み書きが出来ない奴が多いのに、ここ数日でメキメキと覚えているな……負けられないとは思うんだが……」


 錬がペンを軽く放って面倒そうに背を伸ばします。

 嫌なのですかな?

 まあ気持ちはわからなくありません。

 俺もテストの類は嫌いな方でしたからな。

 まあ、赤点所か平均点以下になった事はありませんが。

 むしろ授業を受けて居れば80点はキープしましたぞ。


「お義父さんは英語の成績は良い方なのでは無いですかな?」


 異世界言語の読み書き理解率は高い方だと思いますぞ。

 何せ俺に教えてくれたのはお義父さんですからな。

 英語も要領は同じだと俺は思います。


「かもしれませんね」

「そもそも俺と樹は高校生で尚文と元康は大学生じゃないか!」

「高校の時の方が覚えは良いと思いますぞ?」


 年齢を理由にして逃げるのはどうかと思いますな。

 そういえば前回の周回でも似た様な問答を、実はしていました。


「結局は覚えないといけませんぞ。でなければ今の強さでは負けかねません」


 わかっていると錬も樹も言っていますな。

 まあ、がんばれば覚えられるのですぞ。


「尚文さんは勉強は嫌いだと言いながら元康さんの説明はちゃんと聞いてますよね」

「なんて言うか尚文は俺達の事に対して真摯に応えようとする気概はあるからな」

「そうですな。お義父さんは誰かにしてもらった事をちゃんと返す事が出来る方だと思いますぞ」


 善行も悪行も、お義父さんは誰かに優しくされればそれだけ優しくなれる方なのです。

 仮にお義父さんに悪意を向けられたとしたら、それはそいつが悪いのですぞ。

 俺が覚えて欲しいと頼んだのできっと真面目に取り組んでくれるのでしょう。


「全部武器の強化で覚えられたら良いのに、と思いますね」

「強くなる事自体は楽な分類なんだ。こういう難関があるってことなんだろ」


 錬が深く溜息を漏らしますぞ。


「夢の異世界生活が、異世界で勉学になってしまいましたね」

「とはいえ、異世界の勉強だからな。現実の勉強よりもやり甲斐はあるだろ?」

「まあ……そうですね」

「気分転換にいずれ世界旅行でもしますかな?」


 前回の周回では馬車に乗ってお義父さん達と雑談しながら読み書きをおぼえて行きました。

 きっと息抜きが錬と樹には必要なのでしょう。


「そうだな。尚文も言っていたが世界を見てみたい」

「ええ、世界各地を回りたいですね。十分に強くはなったようですし」


 とまあ、錬も樹も勉学に励んだのですぞ。

 ちなみにドラウキューア山脈にも温泉はあるので、毎日入り放題ですぞ。


 覗きをしようとしたらお義父さん達に止められてしまいましたが今回は大成功でしたぞ。

 戦闘慣れしていないお義父さん達の妨害などで俺は止められません。

 ユキちゃん達の魅力がまた一段と向上しました。


 ああ、サクラちゃんは婚約者を連れて一度垣根を越えて来てしまいましたな。

 キールは男湯に来て脱いだ所でお義父さんに女湯へ行くようにと婚約者とお姉さんの友人に連れられて行きました。


 良い環境ですな。

 温泉に行く場合はカルミラ島で毎回入っていましたが、山の温泉も悪くありませんぞ。



「なんて言うかあっという間だったね。部活の強化合宿とかこんな気分なのかな?」


 ドラウキューア山脈の活性化の期日を満喫した俺達は帰りの馬車に乗り込みながら話をしておりました。


「そうだな……色々とドロップ品も集まったし、悪くは無かったと思うぞ」

「というよりも来て数日で既に相当強くなりましたよね。勇者以外の皆さんはクラスアップしなきゃいけない所を資質向上で誤魔化しましたけど」

「だね。こっちも限界が近づく度に資質向上して、その作業が面倒かなって程度だったし」

「がんばりました」


 お姉さんの友人がガッツポーズをとります。

 お姉さんも釣られて腕を上げますぞ。


「うん。リファナちゃんは元気になったよね」

「はい。みんな成長しました」


 俺はお姉さん達を再確認しますぞ。

 んんー……? お姉さんの背格好が最初の世界と比べて、頭一個分低いですぞ。


 キールと同じくらいとは……。

 何か違いがあるのでしょうか? それともまだ成長が足りないのですかな?

 Lvではないと思いますぞ。

 何せ俺が最初に会った時のお姉さんの推定Lvは30から40……おや? もう少し低かったですかな?


 となると別の要素ですぞ。

 まあ、今のお姉さんは少々不気味な笑みしか浮かべませんから何かしらの要素で成長が遅れがちなのでしょう。


「とりあえずポータルで移動できる範囲になったら転移するんだっけ?」

「そうですな」


 まだ波まで日数がありますぞ。

 随分と強くなりましたからな。


「サディナさんって人がゼルトブルで見つかると良いんだけど……」

「ではゼルトブルへ行きますかな?」

「あ、あの……」


 お姉さんが身を乗りだして何か言おうとしています。


「村の人達は……ゼルトブルの方に集まっているんですか?」

「あー……そういえば女王様が集める様に指示していたよね」

「はい。母上が指示を出しています」

「じゃあメルロマルクじゃないかな? 報告も兼ねてさ。刺客が来ても、もう大丈夫なんじゃない?」


 お義父さんの提案に錬も樹も頷きました。

 ちなみ奴隷達を含めてみんな結構良い装備をしていますぞ。

 山脈で得たドロップ品で固めていますがな。


「ラフタリアちゃん、どう?」


 お姉さんとお姉さんの友人はペンギンのフードを羽織って確認を取っています。

 そうでしたな。

 今回の変わり種防具はフードでしたぞ。


 カルミラ島で手に入る着ぐるみよりも性能は低いですが、防具性能は中々ですぞ。

 武器も色々と手に入り、奴隷達が装備しています。

 血糊等を拭う事は出来ず、定期的にメンテナンスが必要なのが難点ですが、悪くない性能をしていますぞ。


 まあ、山奥で手に入るドロップ品に比べれば少々劣りますが繋ぎには良いのではないですかな?

 キールは錬の影響を受けたのか短剣で二刀流をしてクロちゃんとポーズを取っていましたぞ。

 錬が止める様にとお義父さんに説得をお願いしていました。


「とう! えいや! ほら、ラフタリアちゃんもがんばろう」


 お姉さんの友人はシャドーボクシングをする様に武器を模した棒を振るっていますぞ。

 中々様になっているのではないですかな?

 そう言えばお姉さんの友人は割と機敏に動いて戦うスタイルの様でした。


「う、うん!」


 逆にお姉さんの方は魔法の習得をしようと必死でしたな。

 婚約者の指導の下、ファストクラスの魔法を覚えた様ですぞ。

 お姉さんの友人も覚えた様ですが、お姉さんの方が数は多いとか。

 お姉さんの周りを光の玉が飛んでいました。


 そういえばお姉さんは幻覚魔法が得意で光と闇の両方が使えると聞いた覚えがありますぞ。

 どうも最初の世界とはお姉さんの戦闘スタイルが異なる様です。

 まあ、環境によって違いが出たという事でしょう。


「んー? もっと腰を深くした方が良いと思うー」


 サクラちゃんは前々回と同じく二刀流ですな。

 おっとりしながらも武器を振るうサクラちゃんはカッコいいですぞ。


「もっとがんばって行こうね」

「うんー」


 サクラちゃんと最近、稽古しているのがお姉さんの友人ですぞ。

 動きの良いサクラちゃんに追いつくとは中々の逸材ですな。

 しかし……最初の世界ではいませんでしたな。

 何処かにいたのですかな?

 なんて思いながら俺達はメルロマルクへと移動をしたのですぞ。


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