友人のやる気
「わかりましたぞ。ではどうしますかな?」
「確かフィロリアルって魔物なんだよね? 城のフィロリアルを譲ってもらう感じ?」
「城のフィロリアル様も良いですが買いに行きますぞ」
俺はフィロリアル様を差別する気はありませんが、それでもユキちゃん達を早く確保したいと思っているのですぞ。
即戦力という点では悪くは無い考えではありますが、何分、城のフィロリアル様達にも生活がありますし、仕事がありますぞ。
俺以外の主人がいるフィロリアル様を強引に奪って行くのは良心が咎められますな。
「へー……」
「なーに、毎回世話になっているフィロリアル生産者が居ますから今回も買いますぞ」
俺は女王の方を見ますぞ。
「女王が居るので資金はある程度潤沢ですな、大量に買いますかな? 100体は購入したいですぞ」
「100!?」
お義父さん達が絶句した様に唖然としています。
なんですかな? 前回の周回では500体は育てましたが。
「母上……とても楽しそうです。フィロリアル部隊設立ですね」
さすが婚約者。
フィロリアル様の素晴らしさを理解しているのでしょう。
「メルティ、落ちつきなさい」
「はい……」
婚約者が自己主張していますぞ。
随分と地味ですな。
「ま、まずは少数で良いんじゃないか? 管理がしきれないだろ」
「そうですかな? 前回のお義父さんは余裕そうでしたが」
「俺達はまだ低Lvなんだ。まずは俺達を育てないと行けないだろ」
「資金援助の件、出来なくは無いのですが、少々数が多すぎるかと思います。先方にも御迷惑がかかるかと……」
まあ、それもそうですな。
一緒くたに育てると管理が不十分になる可能性がありますぞ。
カルミラ島はメルロマルクの近海にあるのである程度融通が出来ましたし、ノースフェラト大森林はフォーブレイの所属国でしたからな。
大量に育てたフィロリアル様を受け入れる土壌が無いという事でしょう。
錬も樹も、お義父さんもまずは自身の強化を優先したいそうなので、俺は一様に納得しました。
「それで元康くん。フィロリアルはわかったけど、人間とかの人員はどうするの?」
「メルロマルクの兵士は信用できるか怪しいですからな。お姉さんのいた村の者達を調達して育てるのが良いと思いますぞ」
「え? ラフタリアちゃんやリファナちゃんの同郷の子を?」
お義父さんはお姉さんとその友人に目を向けます。
お姉さんの方は張り付いた気持ち悪い笑顔で居ますが、なんか同意しない雰囲気を持っています。
逆に友人の方はやる気を見せるかのように握りこぶしを作って同意しそうですぞ。
「出来ればお姉さんのお姉さんを確保しておきたいですな」
「ラフタリアちゃんのお姉さん?」
俺は頷きます。
お姉さんのお姉さんはとても頼りになる方ですからな。
「そうですぞ」
「ラフタリアちゃんって一人っ子だからー……えっと、それってサディナお姉ちゃん?」
お姉さんの友人が首を傾げながら答えます。
「確かそんな名前ですぞ。酒豪でとても強い方ですな。お義父さんと不自然なくらい仲良くなるんですぞ」
「へー……どんな人なんだろ? ノリが良いのかな?」
「とても優しい人です。ね? ラフタリアちゃん」
「う、うん!」
お姉さんが頷いて答えますぞ。
「ちなみに雷の魔法を使いこなし、敵を感電死させるのが得意でしたぞ」
「見てみたい様な見たくない様な奴だな」
「それで元康くん、そのサディナさんって人は何処にいるか知ってるの?」
「聞き忘れましたな」
俺の返答にお義父さんが転びそうになっております。
芸人ですな。
「知らないの?」
「お姉さんのお姉さんは前回の周回でしか会ってませんからな」
俺はゼルトブルでお姉さんのお姉さんが加入した経緯を説明しました。
パンダを仲間にしようとして、何故かお姉さんのお姉さんがやってきた、という流れですぞ。
「つまり尚文がパンダを勧誘させようとして釣れた相手がその女だったと?」
「ですぞ! ノリノリでお義父さんにじゃれてましたぞ」
「んー……じゃあ今夜ゼルトブルのその酒場で探して見るしかないのかな?」
状況再現ですな。
問題は時期が違うのでどうなっているかわかりませんぞ。
「他には?」
「奴隷になっている連中はそれだけなのか?」
「もちろん違いますぞ。昨日今日ならキール辺りは探せば見つかると思いますぞ」
「キールくんにまで会った事があるんだ?」
「ですぞ。前々回だと奴隷商の所で注文したら取り寄せてくれましたな」
お義父さん達が若干引き気味で視線を交差させています。
「まあ、ラフタリアちゃん達も奴隷扱いだった訳だし、わからなくもないけどね。俺は奴隷を購入したんだ?」
「最初の世界では村単位で使役しておりました」
ああ、ここから先の反応は覚えがありますな。
「元康くんの見てきた俺がわからない!」
「陰謀なのに誰も信じてもらえなくて相当荒れるらしいからな。むしろ村の連中の面倒を見ていたんじゃないか?」
「らしいですな。俺もまた聞きなのですが、錬がお義父さんの事を『むしろ尚文の方が村の連中の奴隷みたいな物なんだぞ!』とか言ったとかなんとか」
細部はよく覚えてませんぞ。
するとお義父さんは錬を見ます。
錬は心外だとばかりに首を振りますぞ。
前回の錬だったらサッと視線を逸らしますな。
まだ差異があるようですな。
「話が逸れてますけど、ラフタリアさんやリファナさんの故郷を復興させる意味も兼ねて、その村の子達を数日内で集められそうな仲間として連れて行くのはどうですか?」
「悪くは無いかもしれないな」
「とはいえ……精神的な問題を抱えていると思うよ」
お義父さんがお姉さんに視線を移しますぞ。
錬も樹もその意図を察します。
「だけど……その、どうか助けてください! その分、私がコホ! がんばりますから!」
お姉さんの友人がお義父さんにお願いしています。
お姉さんもワンテンポ遅れて頭を下げていますな。
「助けない訳じゃないよ。さっきも聞いたしね。ただ、これから移動した先で魔物と戦う事になるけど、二人は大丈夫かな? って心配なんだ」
「え……」
お姉さんの張り付いた笑顔が若干揺れますぞ。
逆にお姉さんの友人はやる気を見せていますぞ。
「がんばります! ね。ラフタリアちゃん。強くならないと行けないもん」
お姉さんの方は押しが弱そうですな。
俺の記憶の中に居るお姉さんとはずいぶんと違いがあるのですな。
もっと勇ましく、ここでやる気を見せるのがお姉さんですぞ。
「Lvは高い方が良いんじゃないかな? 何をするにしてもね。村の復興だって力があった方が良いよ」
お姉さんの友人の言葉にお姉さんはまた張りつけた笑みを浮かべて同意しますぞ。
やる気を見せているのではないですかな?
「ラフタリアちゃん……」
そんなお姉さんの様子をお姉さんの友人は心配そうに呟きました。
「じゃあ今日は出来る限りラフタリアちゃんとリファナちゃんの住んでいた村の人達を集める様にしよう」
「だな。群れるのは趣味じゃないが元康の話ではやっておいて悪い話じゃない」
「そうですね。では今日はそれで良いのではないですか? 明日か明後日辺りには出発して活性化イベントに行きましょう」
話が大分纏まったみたいですな。
今日中に村の奴隷達とフィロリアル様、そしてお姉さんのお姉さんを加入させるのですな。
パンダは雇用費が高いので後回しにしましょう。
まずはお義父さん達のLv上げですな。
「後は転生者や転移者に警戒しながら強くなっていく」
「その為には勇者である事は隠してイベントに励みましょう」
「中々難しそうだな」
「では国の奴隷商人を斡旋しましょう。キタムラ様、何処がよろしいでしょうか?」
これは俺に未来の知識で何処の魔物商に聞けば良いかと言う話ですな。
「では――」
俺はお義父さんが基本的に贔屓にしている魔物商がどんな人かを説明しましたぞ。
「わかりました。話は通しておきましょう」
こうして俺達は魔物商の所へ行く事になりました。




