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そんなこんなでノースフェラト大森林に行く日が近づいて来ました。
準備を終えた俺達は明日、出発を予定しておりますぞ。
で、出発前にみんなで集まってカルミラ島の温泉に入りました。
パンダやフォウル等も来ていますぞ。今夜はカルミラ島で宿泊ですな。
何だかんだ色々とあって、久しぶりな気がしますぞ。
「ふう……良い湯だったな」
「ですね」
風呂を出た後、火照った体を冷やす様に錬と樹は団扇で仰いでおります。
今夜も俺は覗きが出来ませんでしたぞ。
風呂上がりの一杯とばかりにミルクを一杯飲みますぞ。
そういえば樹はストーカー豚の面倒はどうしたのですかな?
なんて思っているとストーカー豚が女湯から出て来て樹の隣に座りました。
樹はストーカー豚の火照りを冷ます様に団扇を振っていますな。
結構元気になっているのではないですかな?
お? パンダも風呂上がりとばかりに少し離れた場所で涼んでいる様ですぞ。
ユキちゃんはサクラちゃんやコウを相手に駆けっこをしております。
元気ですな。
ライバルはまだ情緒不安定という事で助手と部屋で休んでいるそうですぞ。
「明日からノースフェラト大森林か」
「カルミラ島の時みたいにやってしまった感じになるんでしょうかね」
「今度は奴隷や各国の兵士の育成もあるんだろ?」
「勇者は大変ですね」
「だが、その先にある戦いを見越せば、やらねばならない事だろう」
「そう言えば聞きました? 連携を取るために模擬戦もするそうですよ」
「面倒だな……とはいえ、尚文の話じゃやっておいた方が良いだろう」
という所でお義父さんがお姉さんのお姉さんを連れてやってきました。
先にお義父さんは上がってましたからな。
おや? なんですかな?
お義父さんは恥ずかしそうにお姉さんのお姉さんと手を繋いでいますぞ。
「あのさ……もう少し早く報告した方が良いかなとは思ってたんだけどさ」
「ん?」
「どうしたんですか?」
何かあるのですかな?
今までにない空気をお義父さんは纏っている様に見えますぞ。
錬は冷やしたミルクの入った瓶を手に取り、更に魔法で冷やしてから口に付けますぞ。
お義父さんの話を真剣に聞くつもりの様ですな。
「俺さ……サディナさんと付き合う事にしたんだ」
ブーッと錬が盛大に噴き出しました。
「ゲホ! ゲホ!」
樹も扇ぐ手を止めて何やら絶句していますぞ。
おお、お義父さんがお姉さんのお姉さんと交際ですかな?
おや? 俺の記憶の中のお姉さんが不機嫌になった様な気がしますぞ。
こういう時にお姉さんはお義父さんに注意していた気がします。
いや、記憶の中のお義父さん自身が不機嫌になっていく様な……?
「そこまで驚かなくてもいいじゃないか!」
「ゲホ! ゲホ! タイミングを考えろ! 驚いただろ」
「あらー、ごめんなさいねー」
「狙って言ったんじゃないかと疑うくらいタイミングが絶妙でしたね」
お姉さんのお姉さんはテヘっとばかりに笑っております。
なんとまあ、気楽な様子ですぞ。
しかし……考えてみればお義父さんはお姉さんのお姉さんを必死に説得していましたからな。
考えられなくはない結論ですぞ。
最初の世界でもお姉さんのお姉さんはお義父さんに好意を抱いていると聞いた覚えがありますからな。
「アレだけ幼女を囲っておきながらサディナさんを彼女にする訳ですか」
「幼女を囲うって……別にそんなつもりがあった訳じゃないよ。みんな子供だよ?」
「なるほど。樹、尚文はロリコンではあるが彼女とかそういう考えじゃないってことだな」
「まあ……よりによってサディナさんですもんね」
「あらー?」
「なんかサディナさんの事を悪く言って無い?」
樹は首を横に振りますぞ。
「別にそう言うつもりはないですよ? ロリコンではなくホモかと思ったら年上好みだったのかと思いましてね」
「ああ、この結果には驚きだな」
「あのね……二人とも……」
お義父さんが半眼で樹を睨みますぞ。
それから悩むかのように眉間に手を当てております。
「まあ良いじゃないのーお姉さん、ナオフミちゃんの事が好きなんだし、ナオフミちゃんもお姉さんの事を好きで」
「そうなんだけどさ」
「しかしなんでこのタイミングで話したんだ?」
「いや、隠し事をするのもどうかと思うし、皆にはいつもお世話になっているから、ちゃんと話しておきたくてさ」
お義父さんの言葉に樹は頷きました。
「付き合うという件はわかりました。ですが元康さんの言う所の、最初の世界で仲が良かった方はどうするんですか?」
「もちろん諦めずに探し続けるよ」
「見つかったら乗りかえるのですか?」
「あらー? お姉さん捨てられちゃうのかしらー?」
樹の質問にお姉さんのお姉さんが便乗してお義父さんに尋ねます。
するとお義父さんは心外とばかりに首を振りますぞ。
「そんな事するはずないじゃないか! 別に最初の世界で仲が良かった子をなぞらないと行けないわけじゃないでしょ」
「一理あるな」
錬が同意しました。
そういえば最初の世界の錬はエクレアと助手が好きでしたな。
「そうですね。錬さんの場合は確かにそうですね」
錬はエクレアと助手と仲が良かったようでしたが、現在は疎遠と言うか、ただの戦友止まりですぞ。
別に仲が悪い訳では無いようですがな。
「そもそも恋愛なんてバカバカしい! 俺は知らん!」
「まあ錬の年齢を考えたら早いかもしれないね」
錬は16歳ですな。
俺は中学生の頃から既に豚を追っていましたから遅くは無いと思いますぞ。
いや、思い返せば物心付いた頃からのような気がしなくもありません。
「錬さんはまだ中二病を卒業出来て無い所がありますからね」
「樹が言うんだ……」
「お前が言うのか!?」
「正義執行というループがありますぞ」
樹が言える台詞では無いですな。
「ぼ、僕は良いんですよ。今は自覚はありますから! ですが恋愛もしたいんですよ」
「ブブェー」
「ああ、リーシアさん。脅え無くて良いですよ。僕はリーシアさんとゆっくり仲良くしていきたいだけですから、そもそも恋愛です。いきなり肉体関係なんて不純な事を思ってませんよ」
「ブ、ブブー」
ストーカー豚は未だにショックがあるのですかな?
「まあ、この中じゃ色恋に一番遠いのは錬になっちゃってるのかな?」
「元康はどうなんだ!」
「元康くんは……愛で形作られた様な人でしょ。意中の相手が見つかって無いだけだし」
「俺はフィーロたん一筋ですぞ!」
「よく言いますよ。フィロリアルなら何でも良くて、フィトリアさんには我を忘れていた癖に」
樹が何やら言ってますが俺は気にしませんぞ!
俺はフィーロたんを愛する愛の狩人なのですからな。
「く……」
「だからと言って何処の誰とも知れない相手と関係を持つのは辞めてくださいね。転生者の取り巻きにいる変な女だったら瓦解しますから」
「そういう意味で最初の世界を参考にしようって話だったんだしね」
「くそ! どうして俺の周りにはあんな奴しかいないんだ!」
そこにエクレアが風呂上がりで出てきましたぞ。
「む? 勇者殿達か。一体どうしたのだ?」
「エクレールさんは錬さんの事をどう思ってますか?」
「なんだいきなり。アマキ殿の事をどう思っているかだと? 共に戦う仲間だと思っているが……」
「あー……うん。錬も大変だ」
「この際、尚文さんが保護した奴隷でもフィロリアルでも良いですから好みの女性に育て上げると言うのはどうですか?」
「光源氏計画だね」
「俺で遊ぶな!」
錬がバンと壁を叩いて怒りを露わにしますぞ。




