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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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一撃

「予定よりも遭遇が早まる予定です」

「ガエリオンが偵察に行ってくるなのー」


 と、ライバルが変身して飛んで行きました。

 偶には役に立ちますな。


「山の様に大きな亀か……」

「尚文さんはどんな形状をしているか知らないんでしたっけ? 僕や錬さんはゲームで知っていますけど」

「まあね。ただ、時々別のネットゲームの魔物とかで見た事があるから知らない訳じゃないよ」

「ゲームだとそこまで強いボスでは無かったが……」

「モンスターをハンティングするゲームの大きな竜みたいな感じなのかな……」


 なんて様子でお義父さん達は不安に押しつぶされそうになっております。

 まあ霊亀は今まで戦った波のボスよりも規模が大きいですかな。

 実際に戦えばそれ程の敵でないとわかるはずですぞ。

 霊亀の後に鳳凰や麒麟などが控えていない今、訓練相手に丁度良いですな。


「あらー? そんなに脅えてもしょうがないわよーささ、ナオフミちゃんお酒を飲んでパーっと陽気に構えましょうよ」

「こんな時にも酒か……」

「戦闘中に酔っ払っていたら勝てる戦いにも負けそうですよ」

「休む時に休んで、戦う時には戦わないと身が持たないわよ。ね、ササちゃん?」

「あー……まあな。あたいも傭兵をしているから、わからなくもない」


 お姉さんのお姉さんが陽気に振舞っていて、お義父さん達は苦笑いしますぞ。

 ですが、先ほどよりも若干空気が軽くなった気がしますな。

 パンダも割とリラックスする様に手足を伸ばして座っておりますぞ。

 肝の据わった連中ですな。

 精神的な意味では頼りになりそうですぞ。


「なるようになるか……」

「挑んでみてから判断すれば良いですよ」

「そうだな」


 そんな沈黙がしばらく続きました。

 ちなみにフィロリアル様達は各々休んでおりますぞ。

 もちろん、遠くから聞こえる足音に警戒を緩めたりはしておりません。

 寝たフリをしている猫の様に、身体を休めている感じですな。

 それから1時間位した頃にライバルが帰ってきました。


「おかえり、ガエリオンちゃん。どうだった?」

「いたなの。大きかったなの! 使い魔いっぱい連れてたなの!」

「そりゃあね。で、後どれくらいで遭遇しそう? ……と言うかガエリオンちゃんが帰って来た時間から測定すると割と近そうだね」

「なの!」


 地響きが大分近くまで来ていますな。

 既に戦闘準備は万端ですぞ。


「では私が照明の魔法を上げます」


 女王がそう言って魔法を唱えましたぞ。

 パァっと魔法の玉が空高く舞い上がり、辺りを明るく照らしますぞ。

 お父さん達はライバルが帰って来た方角に目を向けます。

 すると遠くに霊亀が音を立てながらこちらへとゆっくり近づいて来る光景が見えましたぞ。


「うわ……確かに大きいね」

「あらー」

「山のように大きいねぇ。こりゃあ逃げた方が良さそうだね」

「見た目で判断しないで行くしかないでしょ」


 パンダの逃走を阻止するように言ったお義父さんに錬と樹が同意しますぞ。


「ですね。まずは近づいて、攻撃がどれだけ通用するか判断すべきです」

「ああ、それじゃあフィロリアル共と国の兵士達はそれぞれ戦闘準備に入ってくれ!」


 錬の言葉に兵士たちが敬礼して女王と一緒に戦闘準備に入りましたぞ。


「ではフィロリアル様達! お姉さんのお姉さんに従うのですぞ!」

「「「はーい!」」」

「大喰い共なんだ。こういう時こそ役に立つんだぞ」

「なんで錬が偉そうに言ってるのかわからないけど、みんな援護をよろしくね。サディナさんも」

「任せてー! お姉さんがんばるわよー」

「じゃあみんな……行くよ! 少しでも被害を抑えるために!」


 お義父さんの言葉にその場に居たみんなが頷きました。

 ちなみに先頭は俺達勇者が務める事になってますぞ。

 錬と樹の提案通り、どれだけ攻撃が通じるかを試したいそうです。

 俺は余裕だと言いましたがな。

 霊亀が近づいて来る影響か、霊亀の使い魔が辺りを飛びまわっておりますぞ。


「流星盾Ⅹ!」


 お義父さんが結界を作り出して俺達を守ります。


「エイミングランサーⅩ!」

「ハンドレッドソードⅩ!」

「ガトリングブラスターⅩ!」


 俺と錬と樹はそれぞれ広範囲に敵を薙ぎ払うスキルを放って使い魔を殲滅しますぞ。

 俺のエイミングランサーは言うまでも無く幾重にも別れる槍を投擲するスキルです。

 錬のハンドレッドソードは召喚した幾重にも出現する剣を降り注がせるスキル。

 樹のはガトリングガンで乱射するスキルの様ですな。


 これだけで大半の使い魔が消し飛んで行きました。

 俺達が撃ち漏らした使い魔をお姉さんのお姉さんと女王が仕留めつつ、儀式魔法での援護をしてくださいますぞ。


「よーし! じゃあ急いで接近するよ!」

「おう!」


 お義父さんの掛け声に俺達は各々フィロリアル様……俺とお義父さんはサクラちゃん。錬と樹はコウに乗って近づきました。

 助手とモグラはライバルで、エクレアは他のフィロリアル様に乗っています。


 当初、お義父さんを背に乗せるのはライバルだと騒ぎましたが、くじでライバルは負けて現在の編成なのですぞ。

 ざまぁないですな。

 そんなこんなで霊亀に近付きました。


「うわー……近くで見るとますます大きいな……」


 巨大な霊亀の頭が目の前に迫ってお義父さん達が見上げておりますぞ。

 お前と会うのはこれで三度目……ですかな?

 辺りには霊亀の使い魔が群がって来ております。

 早めに戦うのが得策でしょうな。

 お義父さんの話では前哨戦だそうですぞ。


「じゃあ僕が先制攻撃をしますね」

「わかったよ。念の為に援護魔法を掛けるね」


 お義父さんが意識を集中して魔法を詠唱しましたぞ。


『我、盾の勇者が天に命じ、地に命じ、理を切除し、繋げ、膿みを吐き出させよう。龍脈の力よ。我が魔力と勇者の力と共に力を成せ、力の根源足る盾の勇者が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者に全てを与えよ』

「リベレイション・オーラⅩ!」


 お義父さんの唱えた最高の援護魔法が樹に施されました。

 これで百人力ですな!


「ありがとうございます。では行きますよ!」


 樹が銃を霊亀の頭に向けてスキルを発射しますぞ。


「流星弓Ⅹ!」


 クロスボウのような形状に銃が変化して樹は光る矢を放ちました。

 その矢を追い掛けるように星が飛び散りながら、霊亀の頭に命中します。

 ブチャっと霊亀の頭が消し飛びました。


「え……!?」


 放った樹が唖然とした表情で霊亀の頭と自身の銃を交互に見ています。


「そんな……確かに力を込めましたが、こんなアッサリと?」


 ドスンと音を立てて霊亀は倒れ込みました。

 むしろ霊亀よりも、地響きと共に舞い上がった土煙の方が苦しいですぞ。


「凄いな。強化方法をちゃんとしていたら雑魚というのは本当だな」

「なのー……ガエリオン達、来る意味あったなの?」

「勇者だけで倒せそう」


 ライバルと助手が分析してますぞ。

 概ね間違っていない気がしますな。

 ですがお義父さん曰く、念には念をですぞ。

 しかも錬や樹もそれには同意らしいですな。

 あまりにも勇者に頼りきりではこの世界の連中の為にならないそうですぞ。


「近くにいる使い魔達の様子は?」

「霊亀が倒れて、逃げて行ったみたいだけど……」

「ならば早く仕留めるべきであろうな」

「そうだね。まあ霊亀が見かけ倒しで助かるけど、これで倒せた訳じゃないんでしょ?」

「そうですぞ」

「視界に映る数字と砂時計が消えていないな」

「すぐに頭が再生しますぞ」


 俺は警戒するのですが、霊亀の動きは今の所ありませんな。

 倒れたままですぞ。


「全然動かないけど……」

「おかしいですな」

「まだ本調子では無かったという可能性が高いですね」


 そうですな。まだ倒せたと判断された訳では無いですぞ。

 と言う所で後方で援護をしていた部隊がフィロリアル様達に乗って近付いてきました。


「拍子抜けする状況ですね」


 女王が杖を持って答えます。


「そうですね。とりあえず……いつ頭が再生するかわかりません。早く心臓への道へ行って討伐条件を満たすべきでしょう」

「わかりました。外の頭を潰す役目と内部に侵入して心臓を潰す班を分けましょう」

「どうわけますかな?」

「元康、心臓へ行く方法は知っているんだろ?」

「知りませんな」

「なに……? なんで知らないんだ? 三回目なんだろ?」


 最初の世界も、前回の周回の時も心臓までの道はお義父さんが行ったのですから俺はわかりませんぞ。

 そう答えると錬と樹は何やら呆れた様な表情をしています。

 それから何故かお義父さんの方を向きますぞ。


「尚文、俺と樹は女王と一緒に外を見張っている。元康と一緒に心臓を潰しに行ってくれないか?」

「良いけど、なんで?」

「もしも何かしらの不備でまたループする事になった時、元康さんに覚えていてもらう為ですよ」

「で、元康の手綱を握れるのは尚文だからな。内部に行くのには適任だ」

「更に言えば霊亀内部は狭い場所ですからね。尚文さんの防御能力を活かせるはずです」


 錬と樹の返答にお義父さんが頷きました。


「なるほどね。じゃあ元康くん、一緒に行こう」

「わかりましたぞー!」

「じゃあ女王様が外の方で勇者様達を援護するならお姉さんがナオフミちゃん達の援護をすべきよね?」


 お姉さんのお姉さんが手を上げますぞ。


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