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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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問題に取り組む

「今は違うんだから流そうよ。もしかしたら歩んだ別の未来……ってさ」

「……そうだな。振り返ってみればそんなもんだろ」

「……ところでなんの話をしていたんでしたっけ? なんか完全に脱線した気がするんですけど」

「尚文が幽霊を見たって話だろ」

「ああ、そうですね。次会ったらとりあえずソウルバキューマーの盾にでもして確認したら良いんじゃないですか? 幽霊が見えるかもしれませんよ?」


 樹に言われてお義父さんは盾をソウルバキューマーの盾に変えて辺りをキョロキョロと見渡していますぞ。

 しかし特に何もいない様ですな。


「うーん、幽霊とか魂とも違うのかなー?」

「気を付けておけば良いんだ。幽霊なんてこの世界では実在する。それこそソウルバキューマーでも連れて居れば良いんじゃないか?」

「ガエリオンちゃんも幽霊見えるじゃないか……」

「じゃあガエリオンでも連れておけ」

「そうなんだけど、最近ガエリオンちゃんが露骨にセクハラしてくるから、どうにかやめさせたいんだけどな……」

「脅える尚文さん相手に可愛いとか、脅かしたりしそうですね。サディナさんみたいに」

「あー……まあね。特にサディナさんはね」


 錬が何やらニヤ付いています。

 俺は絶対にそんな真似させませんぞ。


「何が来ようとも俺が消し飛ばしてやりますぞ!」

「うーん、まあ良いか。とりあえず近隣の波を適度に鎮めて行こう」

「ですな」

「フォーブレイの方の波もある程度は鎮めていますし……良い傾向ではありますよね」

「フィロリアル達ががんばってくれているから楽だな。俺達が出るまでも無く波が終わる」

「尚文さんの研究の賜物ですね」

「かと言って俺達が楽して良い訳じゃないからね? まだ弱い敵で済んでいるだけだと思うし……みんなの底上げをして行かなきゃ」

「なんかネットゲームのギルド経営……数を増やせば増やすほど楽になる。本当のギルド経営とはこういう物なのか?」


 錬がお義父さんに尋ねますぞ。

 お義父さんは違うとばかりに手を振ってますな。


「命じずとも勝手に波に突撃して被害が増えない様に戦ってくれるのが理想だけどね」

「どう違うんだ?」

「理想的に聞こえますけど?」

「本当はもっとぎこちない感じかな? フィロリアル達は仲が良いから、連携が上手くいってるけどね。城の兵士達が近い動きかな?」

「あー……確かに尚文さんの指示を受けてやっと動いている感じでしたね。そのタイムロスを考えたら僕達が突撃した方が早い感じの」

「戦いに慣れるとフィロリアル達のように戦ってくれるね。だけど、幾ら数が多くても限界が来るんじゃないかな?」

「そうでないと勇者の意味が無いですからね」

「まあね。で、活躍した人には相応の褒美とかあげなきゃいけないんだよ。本当は」

「僕達が代表して金銭とかもらってますね」

「うん。本当ならフィロリアル達に褒美を与えなきゃいけない感じかな。装備とか……狩り場とか、とにかくゲームだったら同じプレイヤーが辞めない様に継続させる旨みを提供するのがギルドマスターとかの仕事かな」


 樹と錬は難しそうに頭を捻っていますぞ。

 俺はよくわかりませんな。

 そういう難しい事は全てお義父さんに任せますぞ。


「ゲームと現実は違うと常々思っていますけど、ここでも似た様な事があると言う事、ですか?」

「そうなるかな。ゲームだと大規模なイベントは高価な成功報酬があるけど……現実の場合、俺達の方で報酬を準備する感じなのかな? まあ、フィロリアル達ががんばってくれているのは事実だね。何かご褒美をあげられれば良いんだけど」

「実験動物扱いもあるから尚文は頭が上がらない感じか?」


 錬の指摘にお義父さんは苦笑いをしております。

 実験動物とは失礼ですな。

 協力してもらっているだけですぞ。


「違いますぞ! フィロリアル様達はお義父さん達の力になりたくて協力しているのですぞ」

「そう思ってくれていたら嬉しいね。世界の為だし……後はとても強力な相手が出てきた時、俺達が守れるように戦わないとね。イミアちゃんの親戚やサディナさん、ラーサさん達も強くさせたいよ」

「楽ではあるが、敵わないと判断する様な化け物が出てきた時は、俺達の役目か」

「そうだね」

「まだ波の魔物が弱いだけ……強い波の化け物が出てきた時こそ、勇者の出番という訳ですね」


 そうですな。

 もっと戦力を強化していく必要はあるでしょう。

 お義父さんは何度か頷いた後、俺達に向けて云いました。


「ゲームでのギルド戦と実戦とは違うから、国の軍師とかの意見があったら参考にした方が良いと思う。何だかんだで彼らはその為に知恵を磨いて来た訳だし」

「結局僕達はゲーム知識の付け焼刃という事ですからね」

「うん。専門家には結局……勝つのは難しいよ。幾ら勇者の武器を持っていると言ってもね」

「自惚れない様にか……難しいな」

「何があろうとも俺が一騎当千の活躍をしてみせますぞ!」

「無双は出来るだろうけど、本陣が攻められたら敗北でしょ? 作戦を上手く実行できるように、俺達も常日頃から勉強していかないとね」

「なんかさっきから話が脱線ばかりしてますが、強力な波の魔物ですか……元康さんの話を思い出すと、前回の僕や錬さんは何をしようとしたんでしょうね?」


 樹が俺にまたも聞いてきますぞ。

 四霊復活ですな。

 正確には錬と樹は霊亀と鳳凰を復活させただけだと思います。

 そこから連鎖的に四霊が復活してしまったのですぞ。


「カルミラ島でLv上げをして、調子に乗っているとなると……」

「調子には乗ってませんぞ。樹も錬も俺やお義父さんの配下にボコボコにされた時期ですからな」

「ボコボコ……確かにこれだけの強化を蔑にして調子に乗っていたらボコボコにされますね。大方考えられるのは元康さんと尚文さんをチート扱いでしょうか? 僕が考え付きそうな事です」


 自分で言うのですかな?

 まあその通りなのですが。


「ですな。ちゃんと教えても信じてくれませんでした」

「既に自分のゲーム知識こそが正しいと信じこんでいたでしょうし、そう簡単に認める訳にはいきませんものね。それだけの事をやらかしているとなると、チートではない範囲で元康さん達の強さを得ようとして……」

「霊亀だな。ゲーム知識が正しいと仮定すれば、あのボスのドロップ品はそれこそ、倍以上の攻撃力の上昇が期待できる」


 おお、そこに行き着くとは、性格に違いはあっても本人という事なのですかな?

 とはいえ、実際霊亀の素材から手に入る装備は比較的に優秀ですぞ。

 今回は手に入れるのが難しいと思いますがな。


「もちろん霊亀の封印を解かない様にと注意しました。すると錬と樹は共謀して行方を眩ましましたな」

「自分の事ですが……全く救いがありませんね」

「ま、今の俺達ならやる必要は無いな」

「ですね。寝た子を起こしてどうするんですか……」

「あれ? でも早めに封印を解く事にも意味があるんじゃないの?」

「そうですね。その国では霊亀の刺客が国に潜伏しているかもしれませんね。ですが元康さんの話じゃ波から世界を守る守護獣です」


 お義父さん達はそれぞれ困った様に唸りました。

 確かに難しい問題ですな。


「ゲーム知識だと7度目の波近くで封印が解けるイベントが起こる……被害を避けるために早めに動くか、どうするか」

「難しい問題だね。人々の為を思うなら早めに動く必要がある。そもそも簡略化されているのか、波が起こる国とか違うし」

「確かメルロマルクが最初に波の被害を受けたらしいから……メルロマルク基準で計算していたんだろうな」

「まだ時間はあります。僕達は今、戦力を整えている状況ですし、フォーブレイのあの王様に伝えることから始めるべきじゃないのですか?」

「そうだな。無断で乗り込んで封印解除して霊亀が暴れ出す、なんて真似をするよりも、まずは国の連中に避難をしてもらうのが先決だ。他の国とも連携していけば被害を減らせるはずだ」


 おお! 錬も樹も成長しているのですな。

 前回の錬と樹はそんな事しなくてもすぐに倒せる、これが最適解だと突き進んでおりましたからな。

 きっと、今回はあの時のような失敗はしないと思えますぞ。


「じゃあ、後で王様に報告して外交をしてもらおうか。メルロマルクの女王様にも一緒にやってもらえば、避難くらいは出来るでしょ」

「ですね……とはいえ、安易に守護獣を倒すのもどうかと思いますが」

「確か前回では、守護獣が世界中の命を狩り取ってしまったんだったな」

「ですぞ。それで俺の槍が反応をしたのですぞ」

「平和の為に大多数の命を犠牲にする、か……」

「出来ないでしょ。俺達は霊亀の問題も近々片付ける必要があるね」

「ええ、少しずつ問題に取り組んで行きましょう」


 こうして俺達はフィーロたん捜索の合間に霊亀事件を解決しようと決めたのですぞ。


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