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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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会話ループ

「ガエリオンちゃんもササちゃんと同じ目をしてたわね。だからナオフミちゃんは一緒にさせてたけどー」

「ドラゴンは宝が好き」


 助手が補足しますぞ。

 ああ、だからライバルがいないのですか。


「だね。なんかすごく興味ありそうにしてたし」

「えっと……」


 モグラは何か言おうとして黙ってますな。

 そうですな。俺も一緒に聞こうと思った所ですぞ。


「お義父さん、ペンギンの着ぐるみの使い心地はどうですかな?」


 そうですぞ。

 お義父さんは今、カルミラ島で手に入れた水中用の着ぐるみをを着用していました。


「潜水服として優秀だねー。サディナさんと一緒に随分と深い所までいけたよ」

「見た目は凄いけど優秀」


 助手が分析していますな。

 お前も着たのですかな?


「うん、毛が濡れてもこれだと気にならなかった」


 モグラも着ていた様ですぞ。


「ラーサさんはドン引きしてたみたいだけどね。かと言って優秀なんだからしょうがないじゃないか」

「結局、パンダも着てたー」


 そうなのですかな?

 というかお義父さんはこの着ぐるみを何着所持しているのでしょうか?

 ちなみに俺は20着程調達しましたぞ。

 フィロリアル様の育成をしていたら集まりました。


「ナオフミちゃんのお陰でお姉さんも安心して深い所まで潜れたわ。今日は楽しめそうよね」


 お姉さんのお姉さんが携帯していた袋から古い酒瓶を出しますぞ。


「ラーサさんが潜っていた海底よりも深い所に沈んでいた船にあった酒だよね? それ、飲めるの?」

「大丈夫そうよー? ささ、長い年月を眠っていた高級酒を楽しむわよ」


 お姉さんのお姉さんはご機嫌ですな。


「まあ……良いのかな? そういえば元康くん」

「なんですかな?」

「海の中って結構経験値の多い魔物が居るね。サディナさんと一緒に潜ってサクラちゃんとガエリオンちゃんに強力な魔物と戦ってもらったんだけど、随分と経験値が入ったよ」

「そうなのですかな?」


 俺はあんまり水中戦は経験していませんからな。

 そういえば、タクトを倒した後にお義父さんがお姉さんのお姉さんを実験に資質向上をすると行って出かけて、俺達の仲間の中で一番の伸びを見せたとおっしゃっていた気がしますな。


「アレが標準ならサディナさんって……」

「私はLv40よ?」

「クラスアップする? 斡旋は簡単に出来るけど、サディナさんってすごく強そうだし」

「あらー。そう言ってもらえてうれしいわ。そうね、やってくれるなら考えちゃおうかしら」


 なんて陽気に答えつつ、お姉さんのお姉さんは若干真面目な目つきでさりげなく答えますぞ。


「それでナオフミちゃん。お姉さんもササちゃんみたいに仲間にしてくれないかしら?」


 お義父さんは当然とばかりに応じますぞ。

 まあお姉さんのお姉さんですからな。


「もちろん。ただ、サディナさんが面倒を見ているかどうなのかはわからないけど、帰りを待ってる子も一緒に保護はするよ」


 お義父さんの返事にお姉さんのお姉さんはキョトンとした表情をしております。


「あらー? どうしてそう思うのかしら?」

「所々でそれっぽい空気がしたしね。何か俺が居た方が有利な事があるからこうして良くしてくれているみたいだし、これからもお願いしたいかな。ラーサさんみたいにね」


 と言う所でお姉さんのお姉さんはお義父さんの腕に腕をからませますぞ。


「あらあら、お姉さんの企みが読まれちゃったわー。だけどナオフミちゃんは大きな勘違いをひとつしてるわよ」

「え? 何?」


 お義父さんがわからないとばかりに首を傾げてお姉さんのお姉さんを見ます。


「お姉さんがナオフミちゃんの事を気に入ってるのは、勇者なのに気付いたからじゃなくて、お酒にとっても強いからよ。それに最初は気づかなかったわ」

「あはは、話半分で聞いておくよ。それじゃあ……保護してる子を連れて来てください。一緒に……食事をしましょう」

「わかったわ。じゃあねー」


 お姉さんは陽気な歩調で手を振って去っていきました。

 しばらくして、ライバルと一緒に金銭に目が眩んだパンダがお義父さんと合流してから酒盛りと言うか楽しげな宴が開かれたのですぞ。

 錬と樹が期待したパンダの勧誘は完了しましたな。


 お姉さんのお姉さんは……亜人の子供……確か村に居た奴隷を二人ほど連れていたのが印象的ですな。

 さすがに飲み過ぎたら明日からの仕事に差し支えると言う事でお義父さんは注意してその日は解散となりました。

 お姉さんのお姉さんも泊っている拠点があるそうですぞ。


 二人の子供は食事を終えるとその家に帰って行きましたな。

 お姉さんのお姉さんが勧誘されたので引越しの準備をするそうですぞ。



 なんて様子で夜は更けた頃、錬と樹、そしてコウとエクレアがストーカー豚を連れてやってきましたな。

 コウに抱き抱えられて何やら茫然としているストーカー豚が居ますぞ。


「ただいま帰りました」

「おかえり樹、錬、そっちはどう……というか見つかったんだね」

「ええ……元々は没落貴族の娘だったのですが、卑劣な借金のカタとして強引に奪われ、金銭を払っても解放せずに色々と酷い目に遭っていたようです。女王に聞いて所在地を頼りにどうにか助ける事が出来ましたが……」


 俺はストーカー豚の前で手を振ります。

 目が死んでますぞ。

 これは廃人という奴ですな。


「心の傷が深いみたいでな……あと……な。その事件ってのは何処までもどうしようも無い事件でな。まさに正義の味方が必要な状況だったみたいなんだ」

「まったく! この世界は本当にどうしようもない人ばかりですね!」


 樹が憤慨するように言いました。

 今までの世界と比べると含みの無い感じですぞ。

 本当にそう思っている様ですな。


「樹が正義に凝り固まった理由もわからなくもないな」

「確かに問題のある貴族であった。勇者の権限と女王の指示によって既に更迭されたがな……失ったモノは大きい」

「リーシアさんのご両親に無理を言って僕が保護させていただきました」

「ブ……ブブ……」


 小声で茫然としているストーカー豚は樹の事など目に入っていない様ですがな。

 それから樹は俺の方を向きますぞ。


「元康さん、もしも次にループする時があったらリーシアさんを助けるようにお願いします」

「覚えていたら考えておきますぞ」


 ストーカー豚の事など、正直に言えばどうでも良いですな。

 何せストーカーですぞ。

 樹を何処までも追い掛ける病的な奴ですからな。


 そう思っていると樹が俺の肩を掴みます。

 すごく真面目そうな顔で樹が俺の顔を凝視していますな。

 身長差が若干あるのであんまり圧力は感じません。


「助けるようにお願いしますよ!」

「考えておきますぞ」


 また同じ頼みですかな?

 答えは一つしかないですぞ。


「助けるようにお願いしますよ!」

「考えておきますぞ」


 と、言うとまたも樹は俺を睨みました。

 さっきよりも更に緊迫した感じですな。


「助けるようにお願いしますよ! ちゃんと聞いてますか!?」

「だから考えておきますぞ」


 何度も答えているのに樹はしつこいですぞ。

 これが噂の会話ループという奴ですかな?

 もしや頷くまで続ける気ですかな?

 優先順位と俺の記憶力で覚えていたら伝える程度ですぞ。


「元康、そこは頷いてちゃんと覚えておけ。凄い悲惨な結果になったんだぞ!」


 何やら錬まで俺に注意しています。

 面倒ですな……。


「俺の所為ですかな? きっと違いますぞ」

「元康さん以外に誰の責任ですか!」


 ふむ……特別によく考えてみましょう。

 ストーカー豚が樹をストーキングするようになるのに必要な事はなんですかな?

 きっと調子に乗って正義の味方ごっこに嵌った樹の所為ですな。


「樹の所為でしょうな」

「どうして僕の所為なんですか! 元康さん、いい加減にしないと怒りますよ!」


 樹の声が段々と大きく、激しくなって行ってますぞ。

 既に怒っている気がするのですがな。

 豚がどうなろうと知った事では無いですが……。


「元康くん、お願いするよ。今度は錬や樹だけじゃなくさ?」

「わかりましたぞ」

「……どうして貴方はそこまで徹底してるんですか!」

「樹、元康だ。諦めろ」


 そう錬が注意すると樹は錬を睨みますぞ。


「錬さんは良いですよね。運命の相手であるエクレールさんとウィンディアさんが居て……と言うか元康さんに二人とも女性として認識してもらえて」

「俺に飛び火するのか……」


 錬ががっくりと肩を落としておりますな。


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