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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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現金なパンダ

 俺は黙々と櫂で漕ぐ準備をしますぞ。

 お義父さんはサクラちゃんのリクエストに応えてオーラを掛けた様ですな。


「では漕ぎますぞ」

「あ、うん。俺も手伝うよ」


 お義父さんと一緒に息を合わせて小舟を漕ぎますぞ。

 もちろん俺もお義父さんも漕ぐ力はあるので、舟はすごい勢いになりましたな。


「うお! 揺れる揺れる!」


 パンダ達が舟から落ちない様に縁に必死に捕まっていますな。


「あらーとっても楽ねー」


 お姉さんのお姉さんが、派手に海からジャンプして一回転しながら海に戻っていきました。

 アレですな。水族館のショーを思い出す跳躍でしたな。


「おー……」


 お義父さんはお姉さんのお姉さんがしたその行為に目を奪われていた様ですな。

 目が輝いてますぞ。


「そろそろかしらー? ナオフミちゃん達、止まって」

「う、うん。わかったよ」


 お姉さんのお姉さんの指示で俺達は舟を漕ぐのをやめますぞ。

 それとなく海面の方に目を向けます。

 綺麗ですな。透明度が随分と高いですぞ。

 ただ……岩礁が多い海域の様ですな。

 もちろん、島も近くにありますぞ。


「ちょっと泳げば島に行けるけど、今日はここで海水浴兼魔物退治とサルベージよ」

「聞いちゃいたが、大丈夫なのかい?」


 という所で近くに居たブルーシャークという鮫型の魔物がお姉さんのお姉さんに突撃してきますぞ。

 ですが、お姉さんのお姉さんは流れるように尾びれでブルーシャークの顔面をビンタした後、素早く銛で突きましたな。


「大丈夫、この辺りの浅瀬なら大した魔物も出て来ないわ。ササちゃんでも勝てるわよ」

「あたいを弱いと思って舐めんじゃないよ!」


 パンダがお姉さんのお姉さんに怒っていますぞ。

 そうですな。地上でなら良い所行くのではないですかな?


「まあまあ、俺達も一緒だから大丈夫でしょ」

「ですな。俺達が居ればどんな魔物でも雑魚ですぞ」

「ふん。その威勢、何処まで続く事やら」


 と、何やらパンダが全く迫力が無いにも関わらず言いました。

 そう思うならば見ていると良いですぞ。

 実力の違いという物を!


「では行きますかな?」

「そうだね。みんな、魔物が来ても焦らずに確実に戦って行こうね。これだけの布陣なら負ける事は無いよ。何かあったらサディナさんや俺、元康くんを頼ってくれれば良い」


 こうして俺達は海の中に潜ったのですぞ。

 ちなみに助手やモグラが着用していた水着には水中で動きやすくなる様な付与がある装備だそうですぞ。

 ユキちゃんとサクラちゃんは十分に泳ぐ事が出来ますからな。

 カルミラ島で泳ぎを習得していますぞ。


「あ、魔物はっけーん!」


 お姉さんのお姉さんが倒したブルーシャークが出した血の匂いに誘われて他の魔物が群がって来ている様ですな。


「じゃあお姉さんが先に行くわよー」


 と、お姉さんのお姉さんが海の中を素早く泳いで行って魔物を銛で突きますな。

 さすがに能力値がずば抜けて高いと言っても水中戦ではお姉さんのお姉さんに出遅れますぞ。

 スキルを使って撃ち抜きますかな?


「よっと!」


 パンダは配下の獣人と一緒に櫂を打ちつけて海中から海上へ突撃してくるピラニアのような攻撃をする魔物をおびき出してツメで切り裂いて行きます。

 海の中に入らないのですかな?


「ラーサさんは海の中に入らないのー?」

「適正を考えろ! 海はあいつに任せとけば……」

「ササちゃーん、海底には沈没した船があるのよー? お宝がザクザクかもしれないわね」


 パンダが櫂を放り投げて海へとダイブしました。

 現金なパンダですな。


「お宝ってのは何処だい!?」

「はやっ! 目が金になってる!? ラーサさんは現金だなー」

「うるさい! さっさと潜るんだよ!」

「ガエリオン達が魔物を倒してるなのー!」


 ライバルもドラゴンの姿になって……器用に泳ぎますな。

 くねくねと体を仰け反らせる気持ちの悪い泳ぎ方で助手とモグラを乗せて移動してますぞ。


「地上とはまた違った戦い方……泳ぐのも楽しい!」

「は、はい。土の中を掘るみたいで前に進めます。ただ、魔物相手に中々攻撃が当たらなくて……」

「抵抗が強いからね。突きを主体にした方が良いと思うけど、小剣じゃ難しいよね。魔法も土系統だから……」


 お義父さんがモグラからの相談に悩んでいる様ですぞ。

 そこでお姉さんのお姉さんがお義父さんの隣に来て、肩を叩きますぞ。


「そうだろうからお姉さんも準備してきたわよー」


 で、お姉さんは舟に乗り、乗せていたらしき長い箱を広げてモグラや助手、パンダやその配下に銛を渡しますな。


「安物だけどそれで戦ってねー」


 銛の下にはゴムらしき物が付いてますぞ。

 ああ、覚えがありますな。


「この後ろにあるゴムを引っ張って、狙いを定めて握る手を緩めるのよ。そうすると勢い良く銛が獲物に命中するわ」


 そんな感じでお姉さんのお姉さんはレクチャーしておりました。

 俺も銛は武器として使った事があるので知ってますぞ。


「さあ! 狩りの時間ですなー! さ、ユキちゃん! 適度に運動しますぞー!」

「がんばりますわー!」


 俺はユキちゃんと一緒に泳いで魔物に突撃しますぞ。

 パンダ達や助手、モグラと戦闘を経験する為に行われているのでしょう。

 なのでスキルは使わずに居ますぞ。


 Lvだけでは得られない強さ、信頼を得るために時に加減しなくてはいけないのが面倒極まりないですな。

 強い魔物の所へ行こうとも思うのですが、海の中は良くわからないのですぞ。

 もちろん、ゲーム知識で海中のフィールドやダンジョンがあるのは知っていますがここではありませんな。


 ユキちゃんと共に魔物を突いて仕留めて海面の小舟に放り投げますぞ。

 今夜は豪勢な食卓が期待できるのではないですかな?

 どんどんとお義父さん達と離れて行っている様な気がしますがな。


「元康くん――」


 水中なのもあって声があまり聞こえなくなりましたが、すぐに戻れるから問題は無いでしょうな。

 離れ過ぎた場合、海中なのもあって、魔物の素材は手土産にするのが難しそうですぞ。

 なので槍に吸わせました。

 そんな感じに、ユキちゃんが満足するまで、泳ぎながら魔物を倒したのですぞ。

 深い所へ行くには息が続きませんからな。


「そろそろ帰りますかな?」

「ですわ。ブリーダーの仰っていた距離は泳いだと思いますわよ」


 ユキちゃんの訓練も兼ねていますからな。

 こんな所でしょうな。ですが、ちょっと暴れ足りないですぞ。

 水中では俺の魔法の効果に問題があるので唱えられません。


 そんな中、お義父さんとお姉さんのお姉さんが何やら颯爽と俺とユキちゃんの近くまで泳いできましたぞ。

 サクラちゃんやライバルまで一緒ですな。助手とモグラは居ませんな?

 何でしょう。お姉さんのお姉さんの背びれに手を掛けたお義父さんがカッコよく見えますぞ。


「元康くーん、調子はどう? いきなりドンドンとどっか行っちゃったから驚いたよ」

「順調ですな。ユキちゃんの訓練のノルマは十分に達成したと思いますぞ」

「あらー凄いわね」

「そっかそっか。こっちもそれなりに大漁だったね。サディナさんも魔物の群れ、というか魚群を狙った感じ?」

「もちろんよ。狩りは十分出来たみたいだし、後で港に卸したら良いかしらね?」

「そうだね。新鮮な魚を降ろせばお金になるかな?」

「そういえばパンダとサルベージをしたのではないですかな?」

「うん。ちょっとしたお宝……埋蔵金と言うのかな? が見つかったね」


 そう言ってお義父さんが虹色の貨幣のような物を俺に見せますぞ。

 価値はわかりませんが、中々に良い物なのではないですかな?


「ラーサさんの話だと一昔か二昔辺りで少量だけ流通した貨幣なんだってさ。コレクターに高値で売れるらしい」

「金貨かと思いましたぞ」

「俺もそう思ったんだけどね。後は素潜りじゃ厳しいね。ウィンディアちゃんとイミアちゃんにはラーサさん達の方で待ってもらってるよ」


 水中装備や技能がありますが、何だかんだでまだ未収得な箇所なのですな。

 俺もその辺りは中途半端ですからな。


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