モグラ達
コンディションチェックに関しても色々と学びました。
訓練用のフィロリアル舎や休息用のフィロリアル舎に案内されたのですぞ。
フィロリアル様の足の具合等の知識を学びます。
「まあお前の所じゃ、脚に不安なんて無いだろうがな」
「ユキは丈夫ですわ」
「わかってる」
「しかし……見ればわかりますが、この為だけにがんばっている方々がいるのですわね」
ユキちゃんの目にはフィロリアルレースに出ようとしているフィロリアル様達がどんな姿に映っているのですかな?
なんとなくボクシング選手とかを連想しますぞ。
昔、ボクシングファンの豚と試合を見に行った事を思い出しました。
極限までそぎ落とした肉……骨と皮にしか見えないにも関わらず、激しい応酬のあった試合でしたな。
生で見ると白熱した物があると俺も感じたのを覚えています。
きっと……そんな感じで芸術的な攻防になるのでしょう。
全てはそのレースを乗り越えるための布石でしかない。
その事を否定しては始まらないのを俺は理解しましたぞ。
弱肉強食があるのは否定しませんからな。
フィロリアル様の中でもあるのでしょう。
一歩でも先へ行く為の努力……凄いと感心しました。
そんな歴史にユキちゃんは新たな切り口を刻むために出場するのでしょう。
この元康、ユキちゃんの活躍に胸を躍らせますぞ。
「フィロリアルクイーン&キング杯がいずれ開催されるかも知れないな。まさしくフィロリアルの祭典だ」
「おお!」
「勇者達にはフィロリアルに与える効果的な食事の研究をしてもらっているからな。俺も出来る限りフィロリアルに財産を注いでいく!」
生産者はまさにフィロリアルに関して鬼ですぞ。
ちなみに後で教わったのですが、負けフィロリアルは戦闘用のフィロリアル様がやるそうですぞ。
丈夫である事が優先されるそうですぞ。
足が遅い事が戦闘では大きなハンデにはならないと言う事なのですな。
フィロリアル様が関われば、極めずにはいられない……俺も負けられません。
「ま、しばらくするとフィロリアルバトルという競技も開かれる。その時はその時で手伝ってもらうぜ」
「わかりましたぞ!」
お義父さんは闘鶏と呟いておりました。
まわしを着用したフィロリアル様が相撲をするそうですぞ。
楽しそうな競技ですな。
「フィロリアルレースはドームを回るだけなのですかな?」
「ん? そりゃあ……大規模な町から町へ、国すら抜ける大レースなんかもあるにはあるな。フィロリアルラリーだな。そっちは持久力が求められるぞ」
「おお……」
「お前は全てをやりつくしたいようだな。だがその前にフィロリアルで学ぶんだろ?」
「ですぞ!」
ああ、フィーロたんに会いたくもありますが、フィロリアル様の事をもっともっと知りたいと言う欲求が俺の心を支配して離しませんぞ!
そんな感じで今日はフィロリアル様の勉強で過ぎて行きました。
朝だと思っていたら気が付いたら夜でしたぞ。
とは言っても夕方ですがな。
フィロリアル関連施設で資料を読み漁っていたのを中断して、俺は泊っている施設へと戻りました。
するとお義父さん達と錬達が既に集まっていたのですぞ。
「あ、元康くんとユキちゃん、おかえり」
「ただいま戻りましたぞ」
おや? モグラが沢山居ますな。
お義父さんの最初に配下になっていたモグラが何やら嬉しそうですぞ。
「モグラの親戚は見つかったのですかな?」
「うん! サディナさんがゼルトブルでも有名な奴隷商人の所へ案内してくれてね。色々と治療とかしている内にこんな時間になっちゃったけど、やっと見つけられたんだ!」
「あ、あの……ありがとうございます」
モグラがお姉さんのお姉さんにお礼を述べておりますぞ。
ほほう、さすがはお姉さんのお姉さん。
あれだけ探すのが大変そうだったモグラの親戚を見つけてくるとは……中々やりますな。
「力になれてお姉さん嬉しいわ。ナオフミちゃん、盾の勇者だったのね」
お姉さんのお姉さんも愛想よく答えておりますな。
「で、ナオフミちゃん、これから再会のお祝いをするのよね? お姉さんも混ぜて欲しいわ」
「うん。イミアちゃんもやっと親戚の人達と再会出来たんだし、サディナさんにお礼もしたいからね」
「イミアを大切にしてくださってありがとうございます」
おや? 確か鍛冶をしているモグラですな。
フィロリアル様のツメを大量に作って貰った覚えがありますぞ。
そう言えばモグラの叔父だったのでしたな。
「本当に……兄と義姉がどうなったのかも心配だったのですが……せめて姪のイミアが助かって良かったです。しかも勇者様に助けられたと言うではありませんか」
「偶然遭遇してね。もう少し早く助けに行けたら良かったんだけど……」
お義父さんは申し訳なさそうにモグラ達に答えますぞ。
ですがモグラ達は各々首を横に振っておりますな。
「いえいえ、こうして奴隷から解放してくださっただけで十分です。これ以上の事を望むのは我が侭でしょう。勇者様もお気になさらず」
「そう言ってくださるなら……ところでこれから皆さんはどうしましょうか? 良ければ俺が住む場所を提供できるように国や各所に掛け合いますけど」
お義父さんの問いにモグラ達は各々話し合いをしている様ですぞ。
確かにこれからどうするのかは重要ですからな。
お義父さんの言う通り、住む場所を提供するのも良いと思いますぞ。
それこそ最初の世界の様にお義父さんが領地を経営するのも悪くないですな。
「既に少数となってしまっている今、村を再建……それとも何処かで商売でも始めるか……」
「あの……」
モグラがお義父さんの手を握って鍛冶モグラに何やら提案する様ですぞ。
「私……その、勇者様の仲間として、やって行きたいです」
「そうだったね。だけど前にも言ったけどイミアちゃん。俺は君が帰れる、安心出来る場所を用意したいんだ」
鍛冶モグラはモグラとお義父さんを交互に見て、何やら察したように何度も頷いておりますぞ。
「勇者様、無理な要望であり、御無礼を承知でお願いしたいのですが……私達も勇者様のお力になりたいと思っています。どうか色々とお教えください」
鍛冶モグラの言葉にモグラ達は揃って頷きました。
中々に殊勝な心掛けですな。
「うーん……前に元康くんが言ってた村とか勇者が何処かで仲間を育てる施設とかを調達……したらいいのかな」
お義父さんが若干困り顔で応じます。
そうですな。お義父さんに自身の未来を全て託すのは世の真理ですぞ。
みんなお義父さんを頼りにするのですな。
「そして出来ればイミアとこれからも仲良くしてやってください」
「当たり前だよ。ただ覚えて欲しい事があります」
「何でしょうか?」
お義父さんはモグラ達に向かって若干厳しい目つきで答えますぞ。
「勇者が庇護しているから自分達は特別な存在である、や、勇者に頼っていれば何もかも万事解決! とは思わないでください。もしもそんな事を考えて実行していたら俺達は力を貸すのを即時に辞めます」
お? これは最初の世界のお義父さんも似た様な事を言っていた覚えがありますな。
言い方は違いますが、お義父さんはこんな感じの事を言っていました。
「世界を守るのは異世界から来た勇者だけではなく、みんなが一丸となって救って行きたいと言う方達と俺は協力して行きたいと思っています」
やがてお義父さんの言葉を受けてモグラ達が拍手をしました。
うんうん、当然の反応ですな。
そのままお義父さんを褒め称えろですぞ。
「イミアちゃんもわかるよね?」
「えっと……はい。みんな、勇者様が助けてくれるからって自分勝手は……ダメです。悪い人達と同じ事をしてしまうから」
モグラの言葉にモグラ達も同意した様ですぞ。
「とりあえず皆さんは一度……帰郷してから、これからの事を考えるべきかと思います。良かったらその地を復興、した方が良いと思いますよ」
「ですがメルロマルクは……」
「メルロマルクの三勇教は邪教と認定されて四聖教に改宗されました。ここにいるエクレールさんはセーアエット領の領主の娘であり、失われた権威も復権しています。安心して村に戻って大丈夫です」




