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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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コネクション

「うん。本来は面倒な手続きが必要らしいんだけど、強引にねじ込んで参加させる事が出来るみたいなんだ。重賞レースの予選にね」

「よく出来ますね」

「コネクションが結構あるみたいでね。無名のフィロリアルが参加するのは前代未聞らしいよ」

「競馬とかはよくわからないが、どう言うもんなんだ?」

「新羽戦って言うデビュー戦で上位入賞しなきゃスタート地点にすら立つ資格が得られないと説明すればわかる? しかも何個もレースで入賞しないと本来は通らないんだってさ」

「か、かなり凄い大会という事か」


 なんと、そんなにも権力のある牧場だったのですかな?

 確かに随分と大きな牧場だとは思いましたが、そんなにもフィロリアル様の愛を持っているとは……見直しましたぞ。


「ではユキちゃんを呼んできますぞ」

「お願いするよ」


 俺はカルミラ島で育ったフィロリアル様に戦闘における連携などを教育をしているユキちゃんを呼びに行き、そのレースの内容を説明しました。

 事前に生産者ともユキちゃんをレースに出す話をしていたので、スムーズにユキちゃんに伝える事が出来ましたな。


「私が……そんな重賞レースの予選にいきなりノミネート……」


 ユキちゃんはわなわなと武者震いをしていますぞ。

 きっと嬉しいのですな。


「元康様! このユキ! 何があろうとも期待に応えて見せますわ!」

「がんばるのですぞ! ユキちゃんが思いのままに走るその姿こそが輝くのですからな」

「はいですわ! ではナオフミ様の所へ行って詳細を聞きますわ」

「では行きますぞ!」

「がんばりますわ!」


 ユキちゃんは興奮を強めながら俺と一緒にお義父さんの方へと来ます。

 するとお義父さんの周りには助手やライバル、モグラもおりました。

 どうしたのですかな?

 もちろん、錬や樹もおりますぞ。


「あ、ユキちゃん、来たね」

「フィロリアルレース、このユキ! 全力で挑戦させていただきますわ!」

「やる気だね。じゃあ詳細なんだけど、レース会場はゼルトブルだってさ。レース日時はブリーダー曰く二週間後だって。今から出発しないと手続きに追われて間に合わないって言ってたけど」

「俺達はポータルで移動できるからすぐに登録事体は出来るな」

「そういう事、日程自体に余裕はあるけど、波が起こるからそれが終わってからだね。ただ、ユキちゃんはレースがどういう物かをゼルトブルに行って確認したら良いんじゃないかと俺は思っているよ」

「心遣い、感謝しますわ!」


 お義父さんはそれからモグラの方に視線を移しましたぞ。


「後は……メルロマルクの女王様に色々と亜人に関して調査してもらったんだけど、イミアちゃんの親戚が見つからないんだ。これだけいないならゼルトブルの方に連れて行かれたかもしれないらしい」

「あ……はい」


 モグラがお義父さんの服の裾を掴んで頷きました。

 ふむ、レースだけでなくモグラの親戚探しもある様ですな。

 目的がいっぱいで楽しいですぞ。


「見つかって欲しいです……」

「うん。ちょうどいいからみんなでゼルトブルへ行こうと思うんだけどどうかな?」

「異論はありませんよ。あそこには隕鉄シリーズを扱っている店があるのでしょう? 尚文さんのスキルの為にも行くべきだと思いますし」

「だな、行って損は無い」

「ゼルトブルなの?」

「何か変わった国?」


 ライバルと助手が首を傾げていますな。

 あそこは商店や傭兵など、人混みが激しい場所ですぞ。


「傭兵と商人の国らしいよ? コロシアムとかもあるから娯楽は豊富なんじゃないかな?」

「そうなの?」

「変わった魔物はいる?」

「どうだろうね? まあ、コロシアムって位だし魔物の大会とかもあるかもね。それにカルミラ島で毎日忙しかったし、次は娯楽場にでも遊びに行く感じで良いんじゃない?」

「フィロリアルの育成に追われた感じですからね」

「そうだな、魔物はそこまで強くは無いが油断は出来なかったしな……」


 錬と樹がお義父さんの言葉に納得してますぞ。

 なんですかな?

 あの天国のような日々に文句があるのですかな?


「育成で疲れたなら、錬と樹は留守番する?」


 お義父さんの問いに樹と錬は手を振りました。

 二人共やる気はあるようですな。


「冗談、コロシアムには興味がある」

「楽しそうな遊びに行くのを断る人はいませんよ」

「決まったね。じゃあこれから出発の準備でもしようか」


 お義父さんの指示で助手とモグラは荷造りの準備を始めましたぞ。

 エクレアは何処ですかな?

 そう思っていると、いつの間にか近くで準備をしておりました。


「じゃあブリーダーと合流して出発しよう」

「わかりましたぞ!」


 準備万端とばかりに俺達はポータルでゼルトブルへ向けて出発いたしました。



「へーここがゼルトブルか」


 お義父さんがゼルトブルに隣接する……飛行船を停泊させたらしき平原で呟きますぞ。

 今は飛行船は無いですがな。


「相変わらず勇者ってのはすげえな。夢でも見てるみてぇだ」


 生産者はポータルに便乗して一緒に来ていますぞ。

 まあポータルは俺達勇者の特権ですからな。


「とりあえずよ。俺の贔屓にしている宿舎を斡旋してやるからそこで寝泊まりしてくれよ。それとも勇者達はフォーブレイの城でいつも寝てるのか?」

「そういう訳じゃありませんね。まあ、近々波がありますが、城の食事も飽きてきた所ですし、ゼルトブルで寝泊まりは悪くないですね」

「商売も活気づいた国なら美味い物もあるだろ。尚文に食わせてアレンジしてもらおう」

「美味しそうー!」

「なの!」


 錬の台詞にサクラちゃんとライバルが一緒に言いますぞ。

 そうですな。お義父さんの料理はいつも楽しみですぞ。


「俺が作るの前提になっている事に関しては色々と言いたい事もあるけどしょうがないか……」


 そんなこんなで俺達はぞろぞろとゼルトブルの首都に入って生産者の斡旋した建物に案内されました。


「じゃあ俺はレース関係者と話を付けてくる。何かあったら呼んでくれ」

「任せます。俺達もゼルトブルで色々とやる事があるから、後で会いましょう」

「ああ」


 と、生産者はそのまま足早に出かけて行ってしまいました。

 働き者の良い生産者ですな。


「泊る所の確保は出来ましたね」

「そうだね。まあ、四聖勇者としてゼルトブルのギルドなり……確かゼルトブルって共和国だっけ?

 大使館とかに行けばフリーパスで入れるだろうけどね」

「フィロリアル様の匂いがしますぞ」


 さすが生産者が用意した宿ですな。フィロリアル舎があるようですぞ。

 見渡す限り、魔物舎の広い宿舎ですな。

 まあフィロリアル様以外の魔物もいる様ですがな。


「……元康くんはここが良さそうだね」

「下手にそう言った堅苦しい所に行くと夜会パーティーとか面倒な面談とかに巻きこまれるから、気軽なここで良いだろ」

「ですね。何だかんだでフォーブレイでも高頻度で呼ばれますし」

「樹は毎回演奏を頼まれるもんね」

「ええ……」


 確かに、貴族の暮らしとばかりに夜はパーティーに誘われますな。

 錬も樹もお義父さんもどうやらウンザリしている様ですぞ。

 カルミラ島にいる時にはそう言った事はなかったので、ゆっくり出来たのですかな?


「ある程度自由行動は許されていますし、ゼルトブルへ行く事もフォーブレイには伝えているんですよね?」

「抜かりは無いよ。勇者の行動はある程度、自由に出来るのはいつも通りでしょ」

「そうだな。波にさえ挑んでおけば後はおまけみたいなもんだ」

「最近じゃラトさんの発明もあって転生者や転移者も落ちついて来ているみたいだし、多少は自由に動けるよ。だけど、俺達も遊びだけでゼルトブルに来てる訳じゃ無いからね」

「ユキちゃん、コウ、フィロリアルレースを見に行きますぞ!」

「わかりましたわ!」

「わーい!」


 俺達はさっそくフィロリアルレースを見に出発しますぞ。

 楽しみで心がウキウキしてきます。


「元康くーん! 俺達は隕鉄の武器を探したいんだけどー?」

「錬も樹も心当たりのある、ゲームで武器を取り扱っている店ですぞー」

「あそこでしょうか? とにかく、わかりました!」


 樹の承諾を待って俺とユキちゃん達は颯爽とフィロリアルレース会場に行きました。


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