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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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歌と踊り

「フィーロって子が嫁に行くのはどうなんですか?」

「フィーロたんの相手は婚約者と俺ですぞ。他の奴が来たら例えフィロリアル様でも許しませんぞ?」

「ますますわからん!」

「あはは……」


 お義父さんが苦笑いをして俺達を見ております。


「とりあえずお見合い等の話は保留でお願いします。今はユキちゃんやコウ、サクラちゃんが珍しく思えるかもしれません。ですが勇者が育てたフィロリアルは大抵、特殊な成長をする様なので、その価値は相対的に下がると思います」

「コウ、今の内にここの牧場で歌って踊って誘惑するのですぞ。ハーレムですぞ!」

「沢山のお嫁さん?」

「何そそのかしているんですか!」


 樹がしつこく突っ込んできますな。

 知りませんぞ。これはコウの将来の話ですぞ。

 ですが、ここのフィロリアル様の中にフィーロたんがいるなら別ですぞ。

 フィーロたんであるのならば例えコウでも手を出す事は許しません。

 もちろん、穏便にコウには諦めてもらうよう努力しますがな。


「と、言うと?」

「わかると思いますが、俺達がここに来たのはフィロリアルの買い付け……仲間として数を増やしたいと思っているからです。その過程で御望みとあらばフィロリアルの提供は……可能かと思います」

「おお!」


 生産者の目が輝いておりますぞ。

 そしてユキちゃんにコウ、サクラちゃんを見ておりますな。


「まあ、その……繁殖等に関しては本人達が望めばという方向に留意して頂けるのならこちらも多くは言いません」

「わかった。気性の荒いフィロリアルなんて、俺からすれば毎日相手にしている様なもんだ。それこそ俺の仕事だな」

「お義父さん、目的が逆ですぞ」


 フィーロたんを探す結果、フィロリアル様が増えるのであって、フィロリアル様を探した結果、フィーロたんが見つかる訳じゃないのですぞ。

 お義父さんが指を一本立てております。

 何か考えがあるのですかな?


「その為、出来れば沢山のフィロリアルを提供して頂きたいのですが……どうでしょうか?」

「ううむ……」

「もちろん、信用の観点から貴方が育成に同行して頂いても構いませんし、魔物紋の登録も共同で問題ありません」

「美味すぎる話ではあるな。実際に実物が見られなかったら請けたモノじゃない。そもそも本当にフィロリアルなのかと言うのも無い訳じゃないな」

「もちろん、こちらからの要望もありますよ? 実際にクイーンやキング化を確認して頂くのもありますけどね。元康くん、勇者が登録すれば別にひな鳥じゃ無くても変化するんだよね?」

「ですぞ!」


 最初の世界でお義父さんの配下となっていたフィロリアル様、ヒヨちゃんは元々普通のフィロリアル様でしたぞ。

 話によるとお義父さんがクイーンにならない様にフィーロたんにお願いしていたとか。

 それを知らずに俺がさせてしまったのですぞ。

 同様に、余所から来たフィロリアル様の主登録をしてキングとクイーン化をさせた事が何度かありますぞ。


「そうですね。実際に……魔物紋の登録でフィロリアルが変化するか、ここで試すのも良いでしょう。機材はありますよね?」

「ああ」


 生産者は登録用のインクを持ってきて、フィロリアル舎から一羽のフィロリアル様を連れて参りましたぞ。


「今回は俺が登録しますね」


 お義父さんがフィロリアルの魔物紋登録を生産者の前で行いました。

 これで生産者とは共同のフィロリアルと言う事になりますな。


「グ、グア……」


 若干、登録したフィロリアル様に変化が出てきていますな。

 既に成鳥であるはずなのに成長音が聞こえ始めましたぞ。

 ちなみに最初の世界で主治医が調べた限りでは、何でも勇者が主として登録する事によって遺伝子的な何かの封印が解けるそうですぞ。

 呪われた盾に浸食されたお義父さんも似た様な事をフィロリアル様に言っておりました。


「変異が終わるのに少し時間が掛りますぞ?」

「目を離さず管理をお願いします。信用を得られるのはもう少し時間が必要でしょう」

「それで? それまでの間、どうする気だ?」

「信用がまだ置けないでしょう。それでもこちらは色々と要望を出したい。その為の金銭も持ってきています」


 お義父さんはそう言うと金貨の入った袋を生産者に見せますぞ。


「お金は重要ですよね? 何物にも代えがたい信用物。信頼を得るまでの繋ぎとしても潤沢に回せるモノです」

「……ああ」

「この金銭で買えるフィロリアルの提供もお願いしたいんですよ。そちらが信頼を作る時間の分、金銭は提供します。そして信用出来ると判断した場合は出来る限りの協力をおねがいします」

「……何をさせる気だ?」


 お義父さんは思わせぶりな目で生産者を見つめますぞ。

 その空気作りはお義父さんが得意としているモノですな。

 何かを察しろ……と、お義父さんは相手から情報を引き出そうとしているのですな。


「まさか……俺の目的であるフィロリアルレースの名羽の権利だとでも言うつもりか?」


 ……全然違いますぞ。

 ですがフィロリアルレースですな。

 アレはゼルトブルの名物で、他にもいろんな所で開催される、この世界でも割と有名なギャンブルだそうですぞ。


 馬は馬であるのですが、派手さが無く地味だそうですぞ。

 ドラゴンはスタミナとか餌の関係でコストが掛るし、空を飛ぶ種とか色々と制限が面倒だとか。

 グリフィンも同様ですな。


 その点で言えばフィロリアルは育て方ひとつで結果が大きく変わるので、人気が高いそうですぞ。

 この生産者はやはりフィロリアルレースに興味があるのですな。

 他に戦闘用のフィロリアルとかも手広くやっているのが分かりますぞ。

 お義父さんが思わせぶりな態度で外の牧場に目を向けますぞ。


「まさか、そっちもか!? 強いフィロリアルの産出にまで関わると言う気か!?」

「毒を食らわば皿まで……結果は出せると思います。まあ、信用が置けないなら別の牧場に話を持ちかけるまでだけど」


 お義父さんは興味無さそうに立ち上がりますぞ。


「ま、まった! 時間を……少し考えさせてほしい」


 にやりとお義父さんは笑っておりますぞ。

 ハッタリであると後にお義父さんは説明しておりましたぞ。フィロリアルのレースとかはありそうだと思っていたけれど、いろんな配合で戦闘用のフィロリアルが作れるとは思わなかったとおっしゃってました。


 で、重要なのですが、美味しい話をぶら下げて目の前でお預けをするのが一番、相手には堪えるそうですぞ。

 さすがお義父さんですな。

 相手が逆らえない様にしてから、無理な要望を出すそうですぞ。


「そうだな……明日の昼までには答えが欲しい。俺達も忙しくてね」

「わかった! それまでに答えを出す!」


 なんと言うか、俺達はその様子を言葉を無くして見ているしかありませんでしたな。


「では明日……そのフィロリアルの変化を時間単位で見る事を勧めますよ」


 と、俺達は足早に牧場を後にしました。

 生産者は凄く決断に困った表情で俺達を見送ったのですぞ。



「と言う訳で、明日の昼にはカルミラ島の船のチケットを用意しよう」

「イワタニ殿、先ほどの交渉は何なんだ? あの反応からして、今すぐではダメなのか?」


 エクレアの問いに錬と樹が頷いておりますぞ。

 なにかおかしな所がありましたかな?

 お義父さんはお義父さんに出来る事をしただけですぞ。


「交渉術に決まってるじゃないか。相手にも考える時間は必要だけど、断った場合のデメリットを大きく見せつけなきゃ」

「なるほど」

「まあ言い方は悪いけど、こちらの立場を理解してもらう時間かな? 一応あっちにも悪い話じゃないとは思うよ」

「フィーロたんはどうするのですぞ!」


 そうですぞ!

 フィーロたんを見つけるのはどうしたら良いのですぞ?


「見た感じと言うか、少し話をした感じだと、あの牧場主が近所の元締めらしいんだよね。だからサクラちゃんの親戚を追跡するにしても、フィーロって子の色合いを探すにしても、手を打たなきゃ始まらないんだよ」

「魔物商人に聞かないのですかな? 他にも手を打てるのでは!?」

「もちろん併用するに決まってるけどね。あんまり大々的に募集すると金目的の奴に偽物を掴まされる可能性が高いんだ」


 お義父さんは冷静に俺の言う事に説明をしてくださいますぞ。


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