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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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品目

「ブヒー!」


 思い切り抵抗しながら豚は俺達の方へ抵抗とばかりに魔法を飛ばしてきますぞ。


「エアストシールド! エアワンウェイシールド」


 お義父さんがスキルで弾いております。

 反撃にしても弱々しいですな。

 戦闘用では無いのですかな?

 そう思っていると、ドライファクラスっぽい魔法が飛んできました。


「え!?」


 騎士が驚いておりますぞ。


「姫はそこまで強力な魔法は使えなかったはずなのですが……」

「七星武器に挑戦させたら引き抜けそうですね。不正な方法で、ですが」

「ブブブブブブヒ!!」


 殺意を見せて今度はこちらに走ってきますぞ。

 しかも隣に居た騎士を人質にしようとしているようですな。


「姫様に何をする!」


 目つきのおかしい騎士仲間が現れて俺達に襲いかかろうとしております。

 亡霊赤豚の時と同じ雰囲気がありますな。


「その言葉そのまま返そう! 勇者様方に何をしようとしている!」


 ローリックが剣を抜いて応戦しますぞ。

 護衛騎士だけあって、中々に腕が立ちますな。


「ブブブブブーブ! ブブブブ、ブブブブ!」


 豚が何やら問い詰めるようにローリックに言ってますぞ。

 その言葉にローリックが言い返しました。


「私が愛しているのは姫であって、姫の体を乗っ取っている侵略者では無い! 早々に出て行け! 悪霊!」


 ローリックがそう罵ると豚は思い切り激高したように怒鳴り散らし始めました。


「なんて言っているのですかな?」

「私の知る貴方はそんな事を言わない! 絶対に修正させてみせる! 私は私の生きたいように生きるわ! って、いつもと同じ調子で騒いでるよ」

「とりあえず――」


 ターンと樹が素早く、豚とその取り巻きになろうとしていた目つきの可笑しい騎士の眉間に弾丸を撃ち込みました。

 ヘッドショット! ですぞ。


「やりましたな!」


 俺が親指を立てると樹が呆れた目で俺を見ますぞ。


「やってませんよ。麻痺弾ですって……」

「まったく、元康はどうしてこうも……」


 錬が何やら嘆いていますぞ。

 知りませんな。ここで不殺などしてどうするのですかな?

 で、仲間の方はあっさり倒れましたが、豚の方はモノともせずに立っておりますぞ。

 元気ですな。


「完全に化けの皮が剥がれましたね。肉体を操っているタイプにはこれが見分けを付ける手段になるかもしれませんよ」

「まずは私の実験を手伝って欲しいのだけど?」


 そう言えば主治医の道具は何をしてくれるのですかな?

 見た感じだと魂が見えるっぽいですぞ。


「ブブブブブ!」

「出力増強」

「――!!」


 主治医がソウルバキューマーの首輪のような部品に魔力を流した様ですな。

 ソウルバキューマーの吸引力が上がったようですぞ。

 メリメリと目標が幽体離脱して行きますぞ。

 この段階では肉体に魂がちゃんと普通に引っ付いているように見えますな。


『ブブブブブ!』


 しかしなんですかな?

 豚と豚の体の外見が違う様に見えますぞ。

 品目で当てはめると、体の方はイベリコ豚で魂の方はヨークシャーですかな?

 しかも魂の方が年を取って見えますぞ。

 魂と言うのは年齢とはそぐわないのですな。


「ブブブブブ!」

「さあ! 姫にその体を返せ! ……例え姫が既にこの世の者でなかったとしても、姫の体は姫の物だ!」

「ブブブブブブブブヒィイイ!」


 ローリックの言葉に激昂しながらも抗う事が出来ず、少しずつ魂が抜けて行きますぞ。

 ですが、まだ時間が掛りそうですし、戻りそうな雰囲気がありますな。


「無理? 無理ならすぐに諦めなさい」

「――!!」


 ソウルバキューマーが何やら主治医とライバルと助手に言っているみたいですな。


「そう……一人なら出来るけどやり過ぎ兼ねない……」

「難しい注文なの」

「勇者達にソウルバキューマー系の武器があれば良かったわね」

「どうしたの?」


 お義父さんが尋ねますぞ。


「今、ルーペで見てるから出ている部分は攻撃しても大丈夫だから弱らせてほしかったそうなんだけど――」

「わっかりましたぞー」


 俺はソウルイータースピアを豚の頭に突き刺してやりました。


『ブヒャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』


 豚の断末魔が騒がしいですな。

 ついでに魂を引っこ抜いてやりますぞ。

 ズルっと引きずり出してやりますぞ。


「うわ……何か綺麗に引きぬけたよ!?」

「やばいんじゃないか? 体の持ち主とか!」

「ですよ! 元康さん。早く戻して」

「弱らせろとか戻せとか面倒ですな」

「――」

「いえ、丁度いいわ。そのまま暴れるのを抑えつけて、ソウルバキューマーに掲げて」


 おや? 渡りに船ですかな?


「加減が難しいから私もそこまで出力を出せないようにしてたけど、ここまで頑丈ならやるしかないわよね」


 と、主治医は機材の出力を十分に引き上げた様ですな。

 バチバチと言いながら魂を吸い込む力が上がった様ですぞ。


『ブブブ……ブブブ……ブブー!』


 俺に突き刺されても元気にしていた豚の魂が剥がされているように見えますな。

 逆に、体の方に繋がっていた緒が少しずつ戻って行ってますぞ。

 よーく目を凝らすと、コーティングが掛っていた箇所がはがれて見えますな。

 なるほど、ここで巻き付いていたのですな。


 ソウルバキューマーは遠慮なく近付き、その巻き付いた箇所をほぐしながら吸い込んで行きますぞ。

 やがて魂が二つに完全に別れましたな。

 片方は体にあった大きさの豚で、もう片方は何ですかな? 醜い豚ですぞ。


「太めの日本人女性……?」

「おばさんって感じですね」

「だな、なんかあまり性格は良く無さそう」


 お義父さん達が各々呟きますぞ。


『ブブブブ! ブブ!』

「訴えるって誰に!? そもそも俺達は少女に取りつく悪霊を退治しただけだし……」


 またも問答ですかな?


「とりあえず、敵の使者なんだろうから、退治した方が良いだろ」

「ですね。ソウルバキューマーに命令です」


 樹の命令に従う様にソウルバキューマーは最後に大きく息を吸いました。

 ポロっと槍から抜け落ちて、幽霊豚はソウルバキューマーに吸い込まれて行きますぞ。

 思い切り抵抗しているようですが、魂の状態ではソウルバキューマー相手には無力ですな。

 貪られていきました。

 これで別の者に憑依して体を乗っ取る敵は倒されたのですぞ。


「大分、研究がはかどったわね」


 主治医がソウルバキューマーに付けた機材を外しますぞ。


「もう外して大丈夫なのですか?」

「問題は無いわよ。ソウルバキューマーは死霊しか食べないし、死霊なのに生者のフリをしているのが悪いのよ」

「良く分離出来たな」

「繋ぎ目さえ綻べばどうにかと言う事かしらね。後は出力とか色々と弄れば研究は進むでしょ」

「凄い戦いを見せられた気が……」

「姫!」


 倒れた豚をローリックが抱き起こしますぞ。


「ブ……」


 すると薄らと目を開けた豚がローリックに声を掛けます。


「ブブ……ブブブブ……」


 そして何やら言いながらローリックの頬に手を当てますぞ。


「ブブブブブ、ブブブブヒ」

「は、はい! 私も嬉しく思いますよ! 今度こそ、元気よく散歩に行きましょう」


 ローリックと豚は何やら約束をしてますな。

 まあ、俺は他人の趣味には文句は言いませんぞ。


「勇者様方、本当にありがとうございます! このお礼は必ず……!」


 で、ローリックは俺達に一礼してから急いで豚を背負って行きました。

 治療院にでも行くのですかな?


「なんて言っていたのですかな?」

「あの姫様、体を乗っ取られていた時の意識とか記憶はあったみたいなんだ。だからお礼をローリックさんと俺達に言ってた」

「すごく素直に礼を言ってましたね。乗っ取られていた時の様な嘘臭いのとは全く違う感じで」

「アレだな。あの王女とその妹のような違いを、僅かしか聞いていないのに感じた」

「ああ、亡霊とメルティちゃんの差ね。確かに、気品と言う点で違いがすぐに出てくるね」


 とまあ、俺達は依頼通りの結末へ、行く事が出来た様ですぞ。

 豚はともかく、誰かに感謝されるのは良い気分ですな。

 お義父さん達も久々に清々しい顔をしています。

 最近は厄介な事件ばかりでしたからな。


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