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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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ソウルバキューマー

「但し、何も不思議な要素が介在しなかった場合の、人間が起こしそうなパターンだね。だけど、上手く伝承が残されたという事は」

「ハイ。四聖、もしくは七星の勇者様が上手く召喚されて未然に阻止された事も多いです」

「と言う事、勇者達もむざむざ敵の攻撃に屈したりはしてなかったって事だね」

「それで話は戻るけど、教皇さん。どうやってそう言った敵を倒したかわかります?」

「えーっと……何個か資料があったかと思います。憑依された相手と力を合わせ諸共……武器の力で奇跡的に救い出す、魔物の力を借りて倒す……確かそんな感じだったかと思いますです。ハイ」

「初めのは実際にやった様なモノかな? メルロマルクの王様とさ」

「あー……確かに、順序は違いますけど、諸共ですね」

「武器の力か……」

「一応、ゴースト系に特攻の武器でも効果は薄かったですよね」

「元康の持っていたソウルイータースピアが効果的だったと思うが」


 錬が俺を見ますぞ。

 俺は槍をソウルイータースピアにしてみせますぞ。


「これで刺し殺せばいいのですかな?」

「良くない良くない。物理的に効果あるみたいだし」


 おや? 面倒ですな。


「そもそも敵が出てくる事前提になってますが。見分けを付けるのが必要なんですよ」

「だよね。乗り移りではなく憑依だったらと想定している訳だし」

「だが、その槍を上手く使えば肉体を傷つけずに魂だけを仕留める事は可能かもしれないぞ」

「まあ、その分別が出来れば良いよね。脳死状態なだけで肉体はまだ生きているとか、ドナー登録で使われるみたいな感じだし」

「別人の体に乗り移るのはそこからの発想ですか?」

「違うとは思うよ。うーん……」


 難しい問題の様で、お義父さんは唸り続けていますぞ。

 あの騎士は問題が難しいのですぞ。


「そんな末席の豚の暴走など、仕留めて終わりで良いのではないですかな?」

「……元康くんもさ、自分が他人に体を操られて暴れていたら嫌でしょ? 助かる方法が死ぬことだとわかってもさ」


 確かに嫌ですな。

 ですが、俺が乗り移られてお義父さんに迷惑を掛ける位なら倒された方が何倍もマシですぞ。


「えっと……じゃあ憑依されたのがサクラちゃん達だったら、元康くんはどうする?」


 なんですと?

 そんな! 俺にサクラちゃん達を傷付ける事なんて出来ないですぞぉおおおお!


「くっ……非常に難しい問題ですな!」

「目の色が変わりましたね……」

「最近、俺も元康の操り方がわかって来た気がする……」

「ま、まあ、俺も元康くんに俺が呪いの盾で暴走したと聞いて思ったんだけどさ」


 そうだったのですな。

 どちらにしても具体的な解決方法を考えなければいけません。


「後は……魔物の力を借りるですか」

「ガエリオンに聞いただろ」

「ガエリオンちゃんは魔物の王とは言っても専門家じゃないでしょ? 何か……って確かあの王様の後宮にソウルバキューマーって魔物が住んでるんだっけ?」

「そう言えばそうだったな。魂を喰らう魔物だな」

「ソウルイーターは波で出てきた魔物らしいですが、バキューマーはこの世界の魔物ですね」

「じゃあ……ガエリオンを連れて翻訳してもらえば良いんじゃないか? 話が通じればの話だが」

「後は……魔物と言えばラトさんにも相談してみよう。教皇さん、相談ありがとうございました」

「いえいえ、全ては神である四聖勇者様方の御名の元……お力になれたなら幸いです。ハイ」


 と教皇は祈っておりますぞ。

 とりあえずと、俺達は主治医が新しく借り拠点とした建物へと向かったのですぞ。



「で、私の所へ来た訳ね」

「そうなります」

「面白い話ではあるわね」


 主治医は相変わらず研究所をこさえて研究している様ですぞ。

 しかも俺達のフィロリアル様やライバルの検診をしていると言う実績からある程度、優遇してもらえているとか何とか。


「魂を主食とすると言われる種類の魔物の研究はあんまり進んでいないのよね。元が元だから、人間でもかなりの資質に影響を受けるし……禁忌と言われている分野でもあるから」

「そりゃあな……」


 使い方を一歩間違えば、とんでもない事になるでしょうからな。

 そこ等辺はフォーブレイもまともに対応したのでしょう。


「かと言ってゴースト系の魔物に対して効果が高いわけでもあるし、蔑にも出来ないのよね」

「アンデッド系に効果がありそうですもんね」

「そ、一般冒険者が目視出来る程のゴーストって、そりゃあ曰くありげな古戦場クラスに行けば会えなくは無いでしょうけどね」

「居る事はいるんだね」


 何を今更ですかな?


「有名どころだと……魔術都市の地底空間なんて魔力的な意味合いも込めて大量に、且つ無限と言って良いほど存在すると――」

「あー、その都市に関してはゲームで知ってますので」

「あら? そうなの?」


 樹が止めてしまいましたぞ。

 俺の場合は地下監獄でしたな。

 錬に後で聞いたら巨大な塔だそうですぞ。


 あそこは経験値が凄く悪いんですぞ。

 ドロップは程々ですが、霊亀よりも総合的に悪くて過疎マップですな。

 魔法を謳っていたのも今は昔でフォーブレイにもゼルトブルにも負ける残念国ですぞ。


 まあ、せいぜい、エアウェイク鉱石が多い山脈が見物の観光地ですな。

 飛行機で行ったら速攻で墜落しますぞ。


「つまりその相手の体に入っている魂が本人か別人か? って話でしょ?」

「一応、そうなるのかな?」

「次のコンテストの提出物にでもしてみようかしら? 何を言われるかわからないから警戒していたけど、四聖勇者の相談された逸品とあれば文句も無いだろうし」

「それでコンテストで賞を取れるのか?」

「あら? 四聖勇者達は知らないの? 最近各国の貴族が自分の娘息子を相当怪しんでいるのを」


 あー……っとお義父さんは申し訳なさそうに力なく頷きました。

 どういう意味ですかな?


「そりゃあ、七星勇者殺しをした奴が貴族生まれの若者で、似た様な奴が何人も! となれば家の息子ももしかしたら……?」

「とか思ってしまいますよね。他に新技術の開発とか妙に戦闘面で強いとか色々とありますけど」

「頭角を現すほど家族に疑われる。無実の奴からしたらたまったもんじゃないだろうけどな」

「それもあって四聖勇者の裁きは正しかったのか? と言う話も出ているらしいわよ」

「こっちは全然耳に入ってきませんでしたね」

「エクレールは知っていたかもしれないな」

「エクレールさんは城で訓練中だよね。一応、ローリックさん達と騎士道に関しての熱意ある話があるとか言ってた」

「エクレアがどうしたのですかな?」


 俺の質問にお義父さん達が我に返りましたぞ。


「犯人を見つけたのは確かだし、挑戦者は貴族の子息が多いのも事実……だけど、それは敵の目的でもある訳で、俺達の所為って訳じゃないんだけど……」

「わかってるわよ。だからその悩みを大いに解決させる様な何かを作れば、一攫千金、何でも狙えるでしょうね」


 主治医は色々と考えていますな。

 ……錬金術師とはそういう物を作る職業でしたかな?

 俺の知るゲーム知識だと薬草とか戦闘用のペットか何かを作る職業だった様な覚えがありますぞ。

 盾職の次に弱いと呼ばれておりました。

 やはりゲームと現実は違うのですな。


「つまり転生者と呼ぶんだっけ? と言うのを一目で判別できる道具がもしも存在したら?」


 お義父さん達がポンと手を叩きましたぞ。


「なるほど、確かに便利な道具の誕生だ」

「これの応用で憑依している人間を見抜けたら、さぞ便利でしょうね」

「出来たらですけどね」

「そこなのよね……」


 主治医がペンでカリカリと紙に書き記して行きますぞ。


「さっきも言ったけど魂を主食にすると云われる魔物の研究は進んでないのよ。禁忌とか言われてね。精々悪魔祓いや悪霊祓いを教会がする程度で、本当に頑固な悪霊とかを仕留める時だけ使役されるの」

「元が元ですから飼育も大変そうですからね」

「それは種類に寄るわね。ソウルバキューマーなんて一般人でも勝てる相手よ?」

「そんなに弱いんだ?」

「伝承やおとぎ話じゃ怖い様にしてるけどね。デューンの親戚筋でしかないし、性質的には大人しいわ」

「どう怖いんだ?」


 錬が主治医に尋ねますぞ。

 確かにデューンは全然怖くないですな。

 お義父さんの村でも飼っていた覚えがありますぞ。


「子供に聞かせる方のソウルバキューマーは、夜、悪い子の所にはソウルバキューマーがやって来て魂を吸い殺しちゃうのよって、親の躾の決まり文句があるのよ。実際には生きた人間から魂は奪えないんだけどね」


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