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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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検診という名の研究

「凄い竜帝になったのに人の姿になってどうするの……嘆かわしい」

「ああ、ドラゴンの価値観的にはそういう物なの?」

「違うなの、お姉ちゃん独自の価値観なの」

「うーん……どっちが正しいんだろうね」

「これでフィロリアル達に負けないの! なおふみ達と一緒にガエリオンも寝られるなの!」


 ライバルは当たり前の様にモグラが乗っているベッドの上に乗って跳ねています。

 行儀の悪いガキは竜舎で寂しく寝ろ、ですぞ。

 フィロリアル様の様にベッドの上で静かにするのが……サクラちゃんやコウもやっていた気がしますな。

 フィロリアル様は良いんですぞ!


「それともガエリオンはなおふみのベッドで寝るなの? わかったなの、ガエリオン体を洗って待ってるなの」

「答える前にわかられても……」

「むー! ダメー」


 サクラちゃんがお義父さんを守る様に両腕を広げてライバルと睨み合いを始めますぞ。

 俺も混ざりますかな?


「なんて言うか、尚文さん。騒がしくて寝られませんよ?」

「え? これ、俺の所為なの?」


 お義父さんも対処に困っておりますぞ。


「ではライバルを俺が麻痺させて外に放り出しておきますぞ」

「却下!」


 さっそくライバルを仕留めようとした所、お義父さんに襟首を掴まれてしまいました。

 今回のお義父さんは穏便派ですな。


「ウィンディアちゃん、ガエリオンちゃんの手綱をよろしくね」

「うん!」

「えっと、ガエリオンちゃん。君はまだ幼いんだからそういう事を言っちゃダメだよ?」

「大丈夫なの! ガエリオンその気になれば大人にもなれるなの」

「じゃあなんでその外見なんだ?」


 錬が混ざってきて質問しました。

 確かに何故子供の姿なのですかな?


「ガエリオンは正々堂々戦うなの。フィロリアル達には負けないなの」


 それは当て付けですかな?

 サクラちゃん達が幼い姿だから自分も合わせてやっている、とでも言うつもりですかな?


「そういう問題じゃないんだよ。とりあえず一緒の部屋で寝るのは良いけどね。あんまり困らせる様な事を言うと怒るよ」


 お義父さんが優しく諭すとライバルはしばらく考えた後、素直に頷きました。

 怒られてトラウマになれ、ですぞ!


「わかったなの! でもガエリオンはなおふみの事を諦めないなの! いつか絶対にガエリオンがなおふみのお嫁さんになるなの」

「言質は取らせないからね?」


 さすがのお義父さんもサクラちゃんやモグラの視線を気にしてか適当に聞き流すと言うのはしませんでしたな。

 断ってもタフな精神で諦めないでしょうから、保留にさせた様ですぞ。


「尚文さんも大変ですね」

「子供に将来お嫁さんになるーとか言われる父親みたいに見えるのは、気の所為じゃないよな」

「保父さんは大変ですね」

「なんで言い直したの? というか無関係を装うのやめてくれない?」

「いやいや、尚文独自の問題だろ。良いな、モテモテだぞ」


 錬が適当な事を言っていますな。

 サクラちゃんがお義父さんの手を強く握っております。

 なんとなくですが、最初の世界でライバルがお義父さんにじゃれようとしているのを必死に妨害するフィーロたんと被りますな。

 ああ……フィーロたん。


「元康さんに至っては、何やら夢見心地で既に横になっていますよ」

「元康様と添い寝……ここは天国ですわ」

「騒がしくてたのしー」


 俺がサクラちゃんにフィーロたんを重ねて夢見心地になっていると、エクレアが若干呆れ気味に俺達を見渡しておりますぞ。


「何だろうか。騎士宿舎時代の新兵達の態度を思い出した」

「あー……そうだな。雰囲気は似てるんじゃないか? 俺も合宿の騒がしさを感じる」

「ですね。とりあえず尚文さん、僕達は眠りたいので早く宥めてください」

「全部、俺に丸投げしてそれ!? ああもう……」

「ガエリオン、みんなと一緒に寝たいって気持ちはわかったから、あんまりワガママを言っちゃダメよ?」

「はいなの。今日は我慢してお姉ちゃんとイミアちゃんと一緒におやすみするなの」


 元気良くライバルは手を上げておりますぞ。


「だからサクラはなおふみと一緒に寝ちゃダメなの。じゃなきゃなおふみのベッドにガエリオン行くなの」

「むー……」


 サクラちゃんは渋々、お義父さんから離れてユキちゃん達と一緒に寝る事にした様ですぞ。

 ああ、懐かしい雰囲気に俺の意識は夢の世界へと飛び立っていくのですぞ……。


「ふむ、では私も見張りに戻る。何かあったら呼んでくれ」

「エクレールさんは寝なくて大丈夫?」

「何、問題ない。信頼できる城の者と交代で見張りをするだけなのでな。私の番が終わったら眠る」


 その後、お義父さん達も割と早く就寝したのですぞ。



 翌朝の事ですぞ。


「サクラちゃん達とガエリオンちゃんの検診?」


 朝食を取る俺達の元へ城の者達が日程を説明したのですぞ。

 ちなみに俺達の検診は移動中の乗り物に乗っている間にやりました。


「まあ、必要な事かもね」

「日本でもペットに予防接種とかしたりしますからね。皆さん元気に育ってくれてはいますが、病気になられたら大変ですからね」

「検診という名の研究じゃないのか?」


 錬の言葉に俺を含めてお義父さん達は頷きますぞ。

 なるほど、フィロリアルクイーンや竜帝は貴重な研究材料という訳ですか。


「とはいえ、いろんな観点からも一度は見てもらった方が良いんじゃないかな? 樹の言った様に予防接種とか健康的な意味も込めてさ」

「尚文がそう思うのなら良いんじゃないか? さすがに勇者の配下相手に強引に研究なんてしないだろ」

「確か元康さんの話を聞いたあの王様がホムンクルスの研究をしている……錬金術の派閥を取り潰したんでしたっけ?」

「らしいね。俺もまた聞きなんだけど、タクトの取り巻きの息が掛っていた……人間の治療も兼ねた場所だったらしいよ」

「治療院とはまた違うんだったか?」


 そんな話をしていたのですかな?

 俺はフィロリアル様と遊んでいた時だったのでしょうかな?

 とりあえず黙って様子を見守りますぞ。


「元康、なに他人事みたいな顔をしているんだ。フィロリアルの責任者はお前だろ」

「お義父さんでもありますぞ」

「尚文はサクラとガエリオンだろうが。ユキとコウはお前が面倒を見てるだろ」


 錬に注意されてしまいました。

 言われなくてもお義父さんに全て一任するつもりですぞ。

 まあ、どんな奴がユキちゃん達の診察をするのか見るつもりですがな。

 下手な事をしたら命はありませんぞ。

 シュッシュッ!


「それに……ガエリオンちゃんの服の件もあるし」

「なの?」


 ライバルは人化したままエクレアが用意した服を着ておりますな。

 戦闘時はその姿で戦うのですかな?


「まあ、サクラちゃんの時と同じように魔力で糸を作るんだろうけどね」

「それくらいなら魔法で偽装できるなの」

「偽装……まあ、サクラちゃん達よりも魔法は得意だもんね」

「なの!」


 ライバルは完全に調子に乗っているのではないですかな?

 ここは一度、出る杭を打つが如く、己を弁えさせてやりますか。


「どっちにしてもガエリオンちゃんやサクラちゃんに、何か病気の兆しが無いかの検診くらいはしておくべきだと思うよ」


 その通りですな。

 いくらフィロリアル様のスペシャリストである俺やお義父さんでも、気付かない事があるかもしれません。

 医者が信用出来る実力と人格を持っているなら、任せるのも良いでしょうな。

 助手がお義父さんの言葉にピンとこない様に首を傾げております。


「ウィンディアちゃんは良くわからないかな?」

「うー……ん?」

「まあ野生のドラゴンに育てられたウィンディアちゃんは見た事無いかもね」

「えっと、薬を使って配下の者を治療する事?」

「そうなるのかな? ウィンディアちゃんのお父さんはやってた?」


 助手は首を振りますぞ。

 やっていないのですかな?


「お父さんの配偶相手に薬草に詳しい魔物がいたの」

「なら理解できるんじゃない? 健康状態はどうなんだろう? って調べてくれるんだってさ」

「なんだ。それならお父さんもやってた!」

「治療と検診は違うからウィンディアちゃんはピンとこなかったのか」


 アレですな。犬畜生と同じく相手の匂いを嗅いで健康状態を分析するとかやっていたのでしょう。

 ライバルの生態などどうでもいいですぞ。

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