ソウルイータースピア
「ブブブ、ブブブブ!」
「『生きている頃よりも力に満ち溢れている。私こそが世界を統べるに相応しい!』? いい加減にしろ! お前は人を不幸にすることしか出来ないのか!」
お義父さんにスイッチが入りましたな。
凄い眼力で睨みつけていますぞ。
さすがのお義父さんも我慢の限界を超えたのですな。
「ブブブ、ブブ、ブブブブブブ!」
「悪魔達の親玉すらも喰らった……あなたは本当に人間なのか!? 女王、マルティ王女は一体何者なんですか!?」
エクレアが女王に尋ねてますな。
本当しぶと過ぎですぞ。
もしや……前回の周回でも地下水路にいたのではないですかな?
う~ん、必ず殺すつもりですが、倒し方を考える必要がありますな。
「わかりません。ですが、幼少の頃から不審な点が多くありました。もしやこれがその正体だとでも言うのでしょうか……」
「違いますぞ。きっと、亡霊状態でもクズに取り入って杖にでも干渉して、力を手に入れたのですぞ。後は色々と取り入れながら、革命でもして力を付けたのではないですかな?」
何せ赤豚ですからな。
確か、お義父さんの領地に喧嘩を売った時も、いろんな所に根回しして革命をしようとしていたのですぞ。
「ブブブブ!」
「この世界の全ての魂を喰らう!? 皆さん、この方は波よりも厄介な存在だと思います! 一刻も早く仕留めましょう!」
「わかっているが……対アンデット系の武器で挑んでいるのに傷一つ付かないぞ!」
「そ、そうですけど!」
樹と錬、俺も一応、アンデット用の武器を使って赤豚の亡霊を攻撃し続けているのですぞ。
ゲームとかこの世界の常識の範疇だと、効果があるはずなのですぞ。
「みんな!」
そこでお義父さんが呼びかけますぞ。
「なんですかな?」
「遠くからだとわかるけど、その王女の亡霊……受けたその場で魂を補給してる!」
「またこのパターンですか! いい加減にしてくださいよ!」
樹と錬が防御しながらお義父さんの方へと下がりますぞ。
「元康! お前もだ」
「ブブ、ブブブブブブ!」
赤豚が俺にゾッとする様な手で胸倉をつかみかかりますぞ。
物凄く冷たいですな。
「お前程度の攻撃で俺の熱い思いは消し去ることは出来ませんぞ!」
赤豚は火の魔法が得意でしたな。
そして俺も火の魔法の使い手……ですが、火と火は重なる事も出来れば、消し飛ばす事も出来るのですぞ。
むしろ力を合わせていたと思うとゾッとしますぞ。
俺は槍に力を込め、ブリューナクで赤豚の手を払いのけましたぞ。
「生者の魂すらも糧にして……高速で広がりつつある領域の魂を貪り食う化け物を相手にどうやって倒せば……」
「もはやここが彼女の領域なんですよ。彼女に無限の力を授けているのにどうやって倒せば良いんですか!」
「何か手があるはずなんだ。補給しては居るけど、あの王女の事態に決定打となる攻撃方法が……」
お義父さんと樹がゲーム知識を総動員している様ですぞ。
一応、光系の魔法に対しては効果があって、赤豚も中々俺達を攻撃できない様ですな。
「こういう時こそ、儀式魔法の『聖域』とかでは無いのですかな?」
「既に展開させています」
女王が杖を掲げて、婚約者とエクレアと共に詠唱し続けていますぞ。
だから負担が軽減されているのですな。
「私達もしていますわ!」
ユキちゃん達フィロリアル様もサンクチュアリを唱えている様ですぞ。
「ガエリオンだって負けないなの!」
ライバルも助手とモグラと一緒に似た魔法を唱えております。
「どっちにしても守りでしかない」
「尚文さんの月の盾がみんなの魔法効果を高めてくれている様ですけど、攻撃手段が足りませんよ」
「悪魔亡霊に対して効果がある物は霧散させるだけで直ぐに再生するしな。強力なスキルは属性の関係かすり抜ける」
「ブブブ、ブブブ……ブブ!」
「どうにか堪える事は出来てるけど……なんかスケルトンとかゾンビとかがこっちに群がってきてない? 城の外!」
お義父さんが指差した方を見ると、見事にアンデット系が城目掛けて、凄い速度でやってくる様ですぞ。
おお、いろんな魔物の死骸も混じっていますな。
ここは冥府か何かですかな?
「あの亡霊が亡霊を呼び寄せては貪って倍々に強くなっている気がする……」
「早く仕留めたいのに、手段が無い。一時撤退をするにしてもポータルは使用不可能みたいです」
「詰み?」
「そうだ! 元康の話で出てくる四霊を呼び出すのはどうだ! 魂繋がりで喰らってくれるかもしれないぞ」
お義父さんがライバルに視線を移しますぞ。
ああ、目の前におりますな。
「応竜の封印を解くなの?」
「そんな真似をしたらガエリオンちゃんが……」
ですな。ライバルが応竜と化して赤豚の魂を貪りつくしたら俺達が仕留めるのですぞ。
これで万事解決ですな。
「ガエリオンは大丈夫なの、なおふみ達を守れるなら怖くないなの!」
「ダメ!」
助手がライバルに抱きついて首を振りますぞ。
「これも運命かもしれないなの。竜帝として世界の為なら構わないなの!」
「ブブブブ!」
そんな真似をさせないとばかりに赤豚が俺達に向かって攻撃しようとしていますな。
まあ、驚異となる手段があるのに気づいたので、必死にライバルを殺そうと魔法に始まり、精神攻撃、アンデット召喚、悪魔召喚、壁抜け攻撃、魂搾取等、いろんな攻撃をしようとしているようですな。
ですが、お義父さんを含めた三重の守りで辛うじて耐えきれておりますぞ。
ライバルが何やら翼を広げて、ライバルの親と分離しようとしている様な気配をみせますな。
「ブブ、ブブブ!」
「あーもう! 喧しいですぞ! お前は黙っていろですぞ!」
と言うか一撃で仕留められずにイライラしていたのですぞ。
この際ですから、ライバルが何かやり遂げる前に赤豚を、満足いくまでサンドバックにしてやりますかな!
「ブリューナクⅩ! エイミングランサーⅩ! 流星槍Ⅹ! 大風車Ⅹ! リベレイション・プロミネンスⅩ!」
おお! 放つたびに赤豚が仰け反ってちょっとスッキリしてきましたぞ。
「元康くん! 余計な損耗させない!」
「ははは! どうせ犠牲者が減る事はきっと無いですぞ! なので色々と試しますぞ!」
おや? お義父さんの結界内から出たらSPが凄い勢いで減っていきますな。
魂ですからな。それに呼応するように赤豚の再生速度が上がりましたぞ。
ドレイン効果があるフィールド化しているのですな。
ならばこれですぞ!
俺はソウルイータースピアに槍を変化させましたぞ。
お義父さんの場合はドレイン無効があるようですな。
俺にもありますぞ!
そしてこのソウルイータースピアには魂喰らいと言う専用効果がありますぞ。
これで減ったSPを奪い返して、無限にスキルをぶちかましてやりましょう!
「ルナティック・ジャッジメントⅩ!」
「ブブヒ――!?」
おや? 赤豚の胸にぶちかましたスキルで先ほどよりも大きく仰け反りましたぞ。
しかも再生しませんな。
「元康さん! その武器はなんですか!?」
「波から出てきたソウルイーターという魔物で出た武器ですぞ」
「魂を喰らう者……なるほど! 悪魔特化の武器よりもさらに効率的な武器なんだ!」
「おお! そういえば霊特攻であるソウルイートという専用効果がありますな」
ですが、赤豚の魂など喰らいたくありませんぞ。
「どっちにしても! ガエリオンちゃんを犠牲にしないで済むなら元康くん! 手段を選ばず頑張って!」
「わっかりましたぞ! エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ! 流星槍Ⅹ! イナズマスピアーⅩ!」
立て続けに赤豚の亡霊に俺は息もつかせぬ連続攻撃を放ちましたぞ。
「ブ――ブヒ! ブヒ……ブヒブヒ……ブブブブウ」
俺がボコボコにしていると赤豚が何やら鳴き喚いて弱々しく見せかけておりますぞ。
「何を言っているのかわかりませんな」
赤豚の眉間に思い切り槍を突き刺してやりました。
「えっとー……何か正気に戻った、お願いだからこれ以上攻撃しないでと泣いてたんだけど……」
「ウソですね。マルティがそう言う時は大体、ウソを吐く時です」
「姉上が反省なんてするはずがありません。弱みや命乞いをする時はきっと、人を騙そうとしている時です」
「でしょうね。アレだけ堂々と嘘泣きが出来る人が、正気に戻って何になるんですか?」
女王達は赤豚の性格をよく理解しているみたいですな。
「ブブブ、ブブブブ」
「幽霊であってもみんなの補助? 悪いが俺達はお前を信用なんてしない。この国の騒動だってお前が黒幕だったみたいだしな」
「ねえねえねえ。あの人なんで目が泳いでるのー?」
「演技の入った泣き方ですわね」
「ねえねえねえ。なんでウソついてるのー?」
フィロリアル様達の知的好奇心のスイッチが入っております。
と言う事は間違いなく何やらウソを言っているのですな。
樹の時の様に。
「ガエリオンが応竜にならなくても良いなの?」
「みたいだね」
「良かった……」
「うん。良かった」
「本当によかった……」
ライバルと助手とモグラが喜びを分かち合ってますな。
慰めるようにライバルが助手とモグラを舐めておりますぞ。
「そもそも貴方を溺愛していたオルトクレイですらも見限ったのですから、もう救いはありませんよ。マルティ……いえ、国を脅かす巨大な亡霊……」
「ブヒ! ブブブヒィイイイイイイイイイイイイイ!」
「うわ。正体を露わしたよ。『ぐ……絶対に、お前等を……魂までも無残にして殺してくれる。もう後の事なんて考えはしないわ。こんな国が存在したと言う記憶さえも……魂の爆発で抹消してみせる』だって! 元康くん!」
「ではサクッと魂すらもぶち殺しますぞ! バーストランスⅩ!」
「ブヒィイイイイイイイイイイイイイ――……」
同じ周回で二度目の赤豚を抹殺ですぞ。
ソウルイータースピアでバーストランスを放って赤豚を魂までも爆殺してやりました!




