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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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奪い返す

「儀式にはあの杖が使われていたからこそ、ここまで強力な力場を作り出している。そう言う事なのだろう」


 なんと! アレはクズが所持していた七星の杖だと言うのですかな?

 まあ、俺がクズを仕留めた所為で杖は何処かに飛んで行ってしまいましたからな。

 ですが、メルロマルクが悪魔共に占拠されるような状態へとなるための儀式に使われていたとは驚きですな。

 ああ、洗脳能力を宿す力を杖に入れたお陰でこんな状態になっているのですな。


「アレも勇者?」

「なの? 幾らなんでもあんなのに七星武器が力を貸すなの!?」

「わ、わ、わ!」


 ライバルと助手とモグラがその光景に各々感想を述べますぞ。


「どちらにしても振りかかる火の粉は払うだけですわ」


 ユキちゃん達フィロリアル様はちゃんと理解しておりますな。

 逆に女王と婚約者、そしてエクレアは状況への対処に遅れがちですぞ。


「まさか……オルトクレイの杖がこのような事態を起こすとは……」

「母上、しっかりしてください!」

「女王! く……その杖を使って国を滅する事は許さん!」


 お義父さん達も警戒を強めていますぞ。

 なーに、杖を使っている程度で調子に乗られても困りますな。


「教皇と王の影武者に宿っていた力が集約したと言う事は、国の人達の力が一ヶ所に集まったと言うことですね」

「ああ、さっきよりも禍々しい力をヒシヒシと感じる……」

「ゲームのような展開だけど、実際にやられると溜まったもんじゃないね」


 面倒ですな。速攻で仕留めてやりますかな?

 俺が槍に力を込めるとほぼ、同時ですぞ。

 赤黒い豚が動きました。


「ブブブ! ブブブ!」


 赤黒い豚が杖を振りかざして魔法詠唱を始めましたぞ。

 と、同時にスキルを一斉に放ってきました。

 ……数がとても多いですぞ。

 まるで何十人が同時に俺達に向けて魔法とスキルを同時に唱えたかのようです。


「うわ! エアストシールドⅩ! セカンドシールドⅩ! エアワンウェイシールドⅤ! セカンドツーウェイシールドⅤ! く……盾が足りない!」


 赤黒い豚が唱えた魔法とスキルの雨に依って玉座の間は吹き飛び、城の上半分が消し飛びましたぞ。

 おおー……メルロマルクの城下町にいる連中の力を集約させたお陰ですかな?

 まあ、この程度俺が魔法を唱えれば出来なくはない領域だとは思いますがな。

 降り注ぐ瓦礫と、魔法、そしてスキルの雨からお義父さんはみんなを守るために盾を出現させております。

 俺も風車で魔法やスキルを弾きますぞ。


「しょうがない! 三日月盾Ⅴ!」


 お義父さんが微弱な範囲防御のスキルを唱えましたぞ。

 するとお義父さんの前方にだけ流星盾の結界が出現しました。

 範囲は徐々に広がって行くのでしたな。

 お義父さんに向かって飛んで行く魔法が結界に当り……キラッと輝いたかと思うと、跳ね返って行きました。


「ブヒ!?」


 赤黒い豚に跳ね返った魔法が当たって、若干仰け反りましたぞ。


「魔法反射!?」

「思ったよりも便利な効果があるじゃないか」

「徐々に範囲が広がるのも便利なんじゃないですか?」

「癖は強いけど……悪くない」

「ブブブブ!」


 痛みに激昂した赤黒い豚が地団駄を踏んでおります。


「うるさいですな! サッサと死ねですぞ! ブリューナクⅩ!」


 俺は赤黒い豚に向けて思い切り力を込めてブリューナクを放ちました。

 これで杖の所持者を殺すのは二度目ですな!

 HAHAHA、何度出て来てもぶち殺してやりますぞ。


「ブヒヒヒヒ!」


 ジュッと消し炭にしたと思った直後、ブリューナクの軌跡から数メートル離れた所に赤黒い豚が現れましたぞ。


「なんですかな? この程度を避けて勝ったつもりですかな?」


 なんて言っていると赤黒い豚の影が膨れ上がって増殖を始めました。

 目に毒ですぞ。

 早く処理して出荷してやった方がいいですぞ。


「こ、これは……」

「分身? どれかが本体……なんだよな」


 赤黒い豚の集団が、杖を俺達に向けてスキルと魔法を再度、発射いたしました。

 儀式魔法まで混ざっているのではないですかな?

 お義父さんの三日月盾が半月盾にまで拡張しました。


「みんな!」

「わかってますぞ!」


 お義父さんの声に応じて、お義父さんを盾にしてみんな魔法とスキルの雨を避けますぞ。


「後はこの雨が止むのを待ってから反撃を……」


 ドカンドカンと魔法とスキルがとめどなく降り注ぎ続けております。

 お義父さん自身のスキルの耐久度はかなりの物ですが、地味にすりへって居るように見えますな。

 すぐに壊れかねませんぞ。


「ガエリオンがブレスを吐くなの!」

「うん、イミアちゃんも手伝って」

「はい!」


 ライバル達が魔法を唱えてブレスを放ちますぞ。

 ですが、それで一部分だけスキルと魔法の雨が止むだけですな。

 すぐに補充されてしまいますぞ。


「あー……RPGとかじゃクールタイムとか有るはずだし、俺達のスキルにもあるはずなのに連続で撃ってきてるね」

「杖の特殊能力……じゃないでしょうね。数に物言わせた、物量攻撃で攻撃が止まない状態になったのでしょうね」

「しかもほぼ無尽蔵の力を城下町……国が供給している。更に奴は能力的には勇者と言う扱い……」

「いや……無尽蔵じゃないよ。このままじゃ国の人達に一分一秒単位で死者が出ているはず!」


 厄介極まりないですな。


「分身と言う事は何処かに本体が居るはずですよね。それを仕留められればどうにか出来るかもしれませんよ」

「樹、何か良い手段がある?」

「銃に武器が変わったお陰で出来る、範囲スキルがありますが……」


 お義父さんの放っている既に満月状態の結界の内側から樹が二丁拳銃を構えてスキルを放ちますぞ。


「デスペラールⅩ!」


 樹が周囲に居る赤黒い豚の眉間に弾丸を命中させました。

 ですが、如何せん数が多すぎますな。補充するかのごとく雨の様にスキルが飛んで行きますぞ。


「……一発一発が必殺のスキルなんですけどね。本体は何処に居るのでしょうね」

「では俺が魔法を唱えますぞ。リベレイション・ファイアフロアーⅩ!」


 面倒ですから辺りの赤黒い豚を全て根絶やしにしてやりましょう。


「「「ブブブブ!」」」


 お? 俺が唱えた魔法が無数に出現する赤黒い豚の妨害魔法で緩和して威力が下がってしまいましたぞ。

 それでも俺の指定した範囲の赤黒い豚を消し飛ばせましたがな。

 すぐに地面から赤黒い豚が生えてきますぞ。


「元康くん、あんまり刺激し過ぎない様にお願い。多分、削りきる事はきっと出来ると思うけど、その時はメルロマルクが死者の国になるだけだから!」

「面倒極まりないですな」

「いや……元康、タクトにやった様に杖を剥奪できないか? それだけで勝てるかも知れん」

「わかりましたぞ!」


 前回の周回で、クズに同じ事をやりましたが杖は応じませんでしたからなー……。

 一か八かでやらない手は無いですかな?


「愛の狩人が命ずる。眷属器よ。愛の狩人の呼び声に応じ、相応しくない所持者から離れるのですぞ!」


 俺が赤黒い豚の持つ杖に向けて宣言しますぞ。

 すると杖はポヤッと光って反応しますな。


「ブヒ!?」

「――お前から眷属の資格を剥奪しますぞ!」


 俺の宣言と同時に杖が浮かび上がって飛び立とうとしました。

 やはりタクト同様、正規の手段で選ばれた訳ではないようですな。

 ですが――


「え?」

「何!?」

「あ、あれは……」


 赤黒い豚の手から黒いオーラが伸びて、離れようと飛んだ杖を再度引き寄せてしまいましたぞ。


「ブヒヒヒヒ、ブヒ、ブヒブヒ!」

「く……まさか力技で杖を奪い返すとか……」


 おかしいですな。

 幾らなんでも武器の支配力がタクトよりも強いとか冗談にしては笑えませんぞ。


「だけど確定した様な物だね。アレは不正な……悪魔とかの力で杖を支配している。どうにかして奪えば勝機はある」

「国の為に相手の力を削ってはいけない。本体だけを一撃で仕留めないといけない……無理ではないですか?」


 樹の言葉にお義父さんも冷や汗を流しながら頷きますぞ。


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