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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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被害報告

 俺達は霊亀の討伐を断念して鳳凰の所在を確認するためにメルロマルクに帰還しましたぞ。


「イワタニ様、お帰りなさいませ」


 作戦会議室で女王が錯綜する城内を取り仕切ってお義父さんを出迎えました。

 前回よりも混乱が強い印象を受けます。

 霊亀まで復活した事は既に情報が来てそうですな。


「事態の変化なんだけど、話は……来てる?」


 お義父さんの問いに女王が頷きますぞ。


「鳳凰に続き、霊亀も封印が解かれたとの話ですね」

「もう来てるんだ。それで――」


 お義父さんは俺達と共に霊亀に挑み、撃破をするには鳳凰も共に倒さねばならない事を告げました。

 それがどれだけ難題なのか、女王は即座に理解した様ですな。


「なるほど、霊亀が誰かと戦い、一時的に止まったとの情報がありましたがイワタニ様達だったのですね」

「うん……ただ、霊亀を倒しただけじゃすぐに息を吹き返してしまうんだ。推測の範囲だけど鳳凰も同時に倒さないといけない。鳳凰の所在に関して、何か来ていない?」


 俺達は鳳凰を倒す為に移動していましたからな。

 こうして聞くのも何度目でしょう。

 何度聞いても情報が混乱しているのか、鳳凰の所在は掴めていません。

 最初の世界では現れた所を倒しましたからな。

 戦わなかった場合、どういう行動を取るのかまるでわかりませんな。


「確認はしております。ただ……」


 女王の顔色が悪いですな。

 何があったのでしょうか。

 地図に鳳凰を模した模型が置かれています。

 ここ数日の間に作られた物ですな。

 ですが……何故ですかな? 二つの鳳凰が離れて置かれていますぞ。


「もしかして……鳳凰が別々に行動を?」

「……はい」


 お義父さんが額に手を当てて呻きましたぞ。

 これは俺でもわかりますぞ。

 二匹が一緒に行動していると思っていた鳳凰が別々に動き、更に霊亀までもが活動しているこの状況。

 考えられるのは鳳凰だけ倒しても復活するのでしょうな。


 これで強い方の、数字の多い方の四霊を倒すと復活しないならまだ救いがありますが、希望的な願望ですな。

 そして片方の鳳凰を倒すともう片方が爆裂する。


「鳳凰によってここ4日で都市が10、砦が8つ、城が7つ墜ちたとの話が来ています」

「……」


 何分、空を飛ぶ鳳凰の方が霊亀よりも機動力がありますからな。

 世界中を飛び回っている様な物ですぞ。追い掛けるのでさえ困難ですな。

 ライバルの背に乗ればある程度、追跡は出来るでしょうが……スタミナの問題があるのは元より、俺は絶対に乗れませんぞ。

 じんましんでパニックになりますからな。

 射程圏内にまで入れば、この元康のブリューナクやグングニルで仕留められるとは思うのですが。


「三つの国が既に連絡を断ち、霊亀の方角でも一つの国が……」


 女王の言葉に辺りのテンションが一段と低くなりますぞ。

 絶望的な状況になりつつありますぞ。

 これは……最初の世界よりもさらに悪い結果に……なっているのではないですかな?


「イワタニ様の話を参考にすると、鳳凰と霊亀の同時撃破をするには最低でも三つの部隊が必要で、イワタニ様もそう提案しようとしたのではありませんか?」

「はい、具体的には霊亀を元康くんが育てたフィロリアル達、鳳凰の一匹を元康くん、残った一匹……違うか、鳳凰を俺達が倒せば……」


 なるほど、ユキちゃん達を筆頭にしたフィロリアル部隊が霊亀に挑むのですな。

 そして同時刻に俺が逃げる鳳凰の一匹を仕留めて、残った一匹が爆発する現場をお義父さんが耐えてから仕留めるのですな。

 ただ、あの爆発をお義父さんが耐えられるか不安ではありますな。

 ですが、ここで怖気付いては話になりませんぞ。


「後は鳳凰の位置を特定出来れば……時間通りに倒せない場合のリスクは俺が引き受けられると思う」

「鳳凰の爆発はあまりにも広範囲ですぞ。決戦の地は定めないと被害が増えますぞ」

「そこは、ある程度誘導して時間を稼ぐしかないよ」


 なんとも、かなり大変な作戦ですぞ。

 どんなに俺達が強くても相手がこんなにも厄介だと苦戦所ではありませんな。

 俺も、単純に倒せば良いだけならこんなに苦労しませんぞ。


「イワタニ様の作戦、了解致しました。ですが……連合軍はどう致しましょう?」


 女王が返答に困るかのような態度を見せていますぞ。

 確かにそうですな。

 こんな危険な作戦にむざむざ死人を出させる必要はありませんな。

 出来ればフィロリアル様達を戦わせたいとは俺も思いませんぞ。


 霊亀のブレスは幾らLvが高くてもフィロリアル様だけで耐えるのは難しいですぞ。

 それこそ、盾の勇者であるお義父さんでもない限り、耐えれる物ではありません。

 俺だって槍で弾きはしましたが、流れ弾が辺りに飛び散りましたぞ。

 危険極まりないですな。


「正直に言えば、一般人って訳じゃないんだろうけど、勇者の加護を受けていない人達じゃ足手まといにしかならない」

「……イワタニ様のおっしゃる通りだと私も思います」

「後は移動する鳳凰と霊亀を捕まえて打ち合わせた通りの時間に撃破……が理想だね」

「イワタニ様の仰せのままに――」


 女王が深く礼をしようとしたその時、部屋に伝令兵が入ってきましたぞ。

 その表情は若干晴れやかに見えるのは何故ですかな?


「伝令です。フォーブレイが事態を重く見て、明日の夕方には緊急招集させた七星勇者を派遣させるとのお言葉が来ました。既に集った七星勇者は出発したそうです!」

「明日の夕方……」


 お義父さんが地図上で鳳凰の居る場所を目算しますぞ。

 俺も経験則から読みますな。

 このまま鳳凰を追い掛ければ……動きが早すぎますぞ。


 地形を度外視して移動する鳳凰を追い掛けるのは困難を要しますぞ。

 地上からでは回り込む必要がありますので、余計時間が掛りますな。

 しかも予測はあくまで予測でしかなく、魔物の巣等があると大きく外れてしまいますからな。


 更に鳳凰を倒す場所への誘導も重要ですぞ。

 二手に別れた鳳凰は必ず一回は爆発させないと一ヶ所に集まりません。

 となると被害の少ない場所に誘導させねば成りませんから余計に手間が掛りますぞ。

 出来れば、フォーブレイの七星勇者達を使わずに倒したい所でしたが……現実的に難しいですな。


 しかも被害を最小限にする為に、霊亀の足止めをずっと続けるのも難しいですからな。

 ポータルだって、霊亀の目の前に取れている訳ではありませんから跳躍後に追い掛けないといけません。

 そうなると余計に手間が掛りますぞ。


「フォーブレイの七星勇者って何人来るの?」

「情報では一人先行で来るそうです。他の勇者は連絡が取れ次第、派遣するとの話です」

「一人……女王、その七星勇者なんだけど、元康くんの話じゃ――」


 お義父さんは女王に最初の世界でタクトが5つの七星武器を独占したという話をしましたぞ。

 タクトにはそのような能力があり、七星武器を奪ったと。

 そんな状況で、七星勇者をこちらに派遣したとなれば怪しさは加速しますな。


「少々突飛な話ではあるのでしょうが、イワタニ様、更にはキタムラ様の話を聞く限り、ウソ偽りでは無いでしょう。ですが、現在の状況では世界の敵となろう相手であっても利用しなくてはならないかもしれません」

「……そうだね。正直、かなり危険な賭けだけど七星勇者が協力してくれるのなら、作戦の成功率は格段に上昇すると思う」


 お義父さんは俺の方を向いてしっかりと俺を見据えてから諭すように話しますぞ。


「元康くん、辛いかもしれないけど、この状況を少しでも良くするためには必要な事なのはわかってくれるよね」

「はいですぞ。上手く利用して、鳳凰と霊亀を倒したら処分するのですな」

「違うよ!? 相手だって心の底から悪人って訳じゃないだろうし、話し合いが出来たら、あっちも……本当に勇者として戦ってくれるかもしれないでしょ?」


 ありえますかなー?

 かなり傲慢で錬や樹以上に話を聞くとは思えませんぞ?

 毒を利用すれば薬になるとは言いますが、奴は碌な人間では無いと思いますぞ。

 何せ赤豚との繋がりもある奴ですからな。


「赤豚と繋がりのあるのが鞭の勇者ですぞ」

「よくご存じですね。はい、逃亡中の我が娘マルティが留学中、肉体関係にあったのは後に鞭の勇者となったタクト=アルサホルン=フォブレイです」

「じゃあ……もしかして逃げたあの王女が内通しているんじゃ?」


 ありえませんな。

 赤豚は既に俺が抹殺していますぞ。

 死んだ人間が喋る事は出来ません。

 つまりタクトには赤豚がどうなったかを知る事は不可能ですぞ。

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