表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
473/1277

フィロリアルの変化

 その天使は村人が着る服を着用していますな。

 お義父さんの言いつけを守っているのですかな?


「サクラちゃん?」


 さすがの俺も驚いて尋ねますぞ。

 おかしいですな、未来のサクラちゃんはユキちゃん達とほぼ変わらない背格好でしたぞ。

 確か、髪型はスラッとしたストレートで、唯一、未来と同じなのは花飾りみたいなクセ毛の部分がある所ですか?


 一言で言えば、フィーロたんのお姉さんみたいな体型をしておられます。

 これは一体どういう事ですかな?

 どのような経緯があって、前回と今回の様な変化が出るのですかな?


「サクラ……大きくなりましたわね」

「そうー?」


 眠そうな目でサクラちゃんは目を擦っていますな。


「ナオフミー今日は何するのー? サクラお腹すいた」

「えっとー……元康くん! どうしたらいいの?」


 ふむ……確かにフィロリアル様の中には今のサクラちゃんの様な外見になる子を見た事がありますな。

 ヒヨちゃんがその例ですぞ。

 あのフィロリアル様は天使の姿になると大人の女性っぽい外見になるのを俺は知っております。

 まあ、滅多に見れる物ではありませんが。

 いない事は無いのですぞ。凄く珍しいだけで。


 ですが、フィロリアル様が天使の姿になる時にまで、変化があるのですな。

 この元康、驚きの連続ですぞ。

 考えてみれば今回のサクラちゃんは目の色が違うのですから、色々と違いが出るのかもしれませんな。


 しかし……何故でしょうか?

 サクラちゃんの髪の色合いから、お義父さんと一緒にいるとエクレアがいる様な錯覚がしますな。

 外見年齢や背格好が近いからでしょうか?


「元康くん聞いてる?」

「そうですな……俺もこれは未来の知識には無いですぞ」


 どのような条件でサクラちゃんが大人っぽい姿になってしまわれるのかわかりませんが、抗いようの無い事実なのですから受け入れて考えますぞ。

 ……。


「特に問題は無いですぞ」

「そうなの!?」

「そうですぞ。サクラちゃんもわかっていますな?」

「うん! サクラはナオフミを守るのがお仕事」


 眠そうな目ですが、強い意志を持ってそう答えますぞ。


「あ、うん。ありがとう」


 お義父さんが答えるとサクラちゃんは目を閉じながら、お義父さんに撫でてもらえるように頭を下げて隣に立ちますぞ。


「ブブー!」


 キールが抗議してるように見えますがどうしたのですかな?

 お義父さんもサクラちゃんのリクエストに答えて頭を撫でますぞ。


「ではサクラちゃん。後で服を準備するのですぞ」

「えー……面倒ー……」

「ワガママを言ってはいけませんわ!」


 ユキちゃんが抗議しますぞ。

 そしてくるっと一回転して俺が縫って上げた服を見せつけますぞ。


「どうです? この服、元康様が作ってくれた素晴らしい服ですわよ」

「うん、凄く似合うね」


 お義父さんがユキちゃんを褒めます。

 ありがたき幸せ!


「なんで元康くんが嬉しそうに敬礼してるの? まあ、元康くんはセンスは良いもんね。元々リア充だったらしいし」

「キールの服も作って来ましたぞ」


 俺は袋からキールの服を取り出してお義父さんに渡しますぞ。

 お義父さんは俺が縫った服を広げてキールに見せます。


「ブブブー!」


 思いっきりキールが抗議の声を出す様に騒ぎ、壁際に寄ります。


「いや、今更嫌がられても……」

「ブブブーブブブ!」

「我慢してよ。キールくんなら似合うと思うから」

「ブブブ!」

「俺は男だって……元康くんが女の子だって認識してるんだから諦めてよ」

「ブブブブ!」

「え? まあ、元康くんに言葉が通じたら男なんだと思うよ。元康くんは男とフィロリアル関係以外で女の人を認識できないみたいだし」


 キールが何やら俺にすがりついてきますな。

 知りませんぞ。

 というか人の言葉をちゃんと話すのですぞ。


「ブブブブブブブブブブヒ!」

「何を言っているかさっぱりわかりませんな」

「そんなに元康様の用意した服が嫌ですの?」


 ユキちゃんが不愉快そうに眉を寄せております。


「ブブ……」


 言葉に詰まっているようにキールが数歩、ユキちゃんの睨みで下がりますぞ。


「それよりも元康くん。コウがキールくんを見ている目が少しおかしいんだけど」

「キールくんの尻尾ー」

「ブヒ!?」


 キールがお義父さんに引っ付く様に逃げましたぞ。

 トコトコとキールを追うコウにサクラが前に立って妨害しましたな。


「んー……ダメだよ。キールくんもサクラが守るよ。昨日の盗賊みたいに」

「盗賊ですな?」

「うん。昨日、サクラちゃんに乗って辺りを回って居たら襲われたんだ……一応は盗賊だったっぽいけどなんとなく怪しかったね」

「うん。その戦いで、キールくんとナオフミが狙われたからサクラが守ったの」


 なんと、サクラちゃんはやっぱりお義父さんを守る姿が一番輝いてますな。

 誇らしげにしているその姿、俺もとてもうれしいですぞ。

 本来は俺がやらねばならない事ですが、今回はまだ一緒に居られませんからな。


「サクラちゃんは倒した盗賊が喋る度にペシペシと叩いてたけど、あれはやっぱり嘘を言ってたから?」

「うん。あの時は上手く人の言葉を喋れなかったから、嘘を言ってる人を叩いたの」

「そうだろうね。目付きがなんか変だったもんね。アレは盗賊に偽装した……元康くんの話だと三勇教徒だと思う。身なりが良かったし、ワザとらしい格好って言うのかな?」


 ふむ……この段階で、未来のお義父さんは盗賊の襲撃にあった事があるのですかな?

 さすがに細かい詳細まで俺は知りませんぞ。

 お義父さんに勘付かれない様に偽装していたのですな。


 仮にお義父さんに勘付かれ、三勇教を滅ぼせと亜人に言われようものなら戦争になりますから警戒して襲いかかってきたのでしょう。

 攻めるのは良いが、攻められるのは困る。

 そんな状況なのが容易く想像できますぞ。


「ブヒ! ブヒ!」

「キールくん……悪いけど、君は素材は悪くないんだよ? 女の子で男の子の格好が好きで、って言うのは俺の世界基準じゃ美少年に見えるだろうし、元々キールくんは顔は良いからね」

「ブ……ブブブブ……」

「イヤかもしれないけど、キールくんならとても似合うと思うから我慢して着てみて、ね? これが最終的に君の村を滅ぼした人達を倒す方法になるんだから」

「ブ……ブウ……」

「うん。がんばって」


 お義父さんが優しくキールを撫でて、サクラちゃんに目を向けますぞ。


「で、サクラちゃんの服はどうしようか? 一番良いのは早いうちに元康くんに服を作ってもらうのが良いんだろうけど」

「その場合、サクラちゃんを預からねばなりませんな」

「サクラ、ナオフミを守る為に離れたくない」

「だって」

「ではしばらくは普通の服で我慢するしかないかもしれませんぞ」

「武器屋の親父さんに聞いてみようか?」

「未来では魔物商も知っていましたぞ」

「え……ま、まずは武器屋の親父さんに聞いてみようよ」

「わかりましたぞ」


 俺達はその足でメルロマルクの城下町へ向かいましたぞ。



 武器屋の親父さんにユキちゃんとコウ、サクラちゃんを見せますぞ。


「こりゃあすげえなぁ。勇者ってのはフィロリアルを人間にしちまうのか?」

「そうなの? 元康くん?」

「勇者がフィロリアル様を育てると特別な成長をするのですぞ」

「で? 俺に何の用があってきたんだ?」

「えっと……この中でサクラちゃんの服が魔力で作られた特別な服じゃないらしいんだ。親父さんなら取り扱ってくれているかと思って……亜人の国の方にはあるらしいんだけど」

「特殊な装備だな。わりぃが俺の店には無いな」


 サクラちゃんが親父さんの店にある剣の棚を見ていますぞ。


「サクラ、武器とか使ってみたい」

「ど、どうしたの?」

「サクラ、ナオフミが宿とかで人の姿で無いと入れないのを見てたから……人の姿でも戦えるようになりたい」

「戦闘時はフィロリアルの姿で戦うんでしょ?」

「んー……よくわかんない」

「わかんないって……」

「まあ……嬢ちゃんならツメとかよりも剣の方が映えるとは思うけどなぁ……」

「うん。サクラ、剣を使ってみたい」

「興味があるのは良いな。どうする?」


 親父さんの問いにお義父さんは俺を見ますぞ。

 確かにフィロリアル様達はツメや各々の武器で戦いますぞ。

 なので、俺自身はフィロリアル様自身の自主性を重んじますな。


 ただ、現状だと武器は……金が心もとないですな。

 何だかんだで色々と消耗してますぞ。

 行商が出来ればその限りではありませんし、シルトヴェルトの方で稼ぐというのも可能ではありますな。


「一応、昨日襲ってきた盗賊の装備は奪ってるから代用は出来ると思うけど……」


 お義父さんがキールに目を向けると、キールはサクラちゃんに予備の剣を持たせますぞ。


「使い方はわかる?」

「キールくんのを見て覚えたー」

「ああ、そう……で、親父さんは魔力を糸にする機材の心当たりない?」

「そうだなぁ……魔法屋辺りに行けばあるかもしれねえな」

「魔法屋?」

「この辺りで一番大きな魔法書とかを扱っている所だ。アンちゃんもここに来る間に見たと思うぜ」

「もしかして、大きな本屋に見えるあそこかな?」

「多分、そうだぜ」

「わかった。じゃあそっちに行ってみるよ」

「俺からの紹介だって言えば少しは安くなるから贔屓にしてやってくれ」


 親父さんがお義父さんに紹介状を渡しましたぞ。

 こうして俺達は魔法屋の方へ向かいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ