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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
盾の勇者の成り上がり
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 さすがに狭過ぎるからか、俺とタクトとその取り巻きで、それぞれの相手が見つかっていない女共以外が、テラスから降りて、砦内でそれぞれ戦いを始めた。

 尚、ガエリオンと錬、フィーロの戦いの場は空だ。


「ははは、一つしか七星の武器を持っていないお前が、七星を五つ、そして四聖を一つ、計六つも持っている俺にお前程度が勝てると思っているのか?」

「所詮は不正で手に入れた力だ。偽物は本物には勝てない」

「……口だけは立派だな」

「なに天に唾吐いてんだよ」

「はぁ? 何言ってんだ?」

「じゃあお前みたいなバカにわかりやすく教えてやるよ。盛大なブーメランと言えばわかるか?」

「なんだと!?」


 俺は、即座に杖を両手で持って魔法を唱える。

 これが七星武器の杖独自の能力。

 それは七星の杖が備えている能力、それは魔法の詠唱を短縮すると言う物だ。

 完全に使いこなせれば無詠唱もできるかもしれないとクズは言っていたが、俺には無理だろう。

 他に適性の無い魔法を覚える事が出来る。

 これが中々優秀で、驚いたくらいだな。


 盾がどれだけ使い辛い武器なのかを杖を握って痛いほどに理解している。

 クズに返すのが惜しいくらいだ。


 俺はSPと魔力を混ぜ合わせながら、ここにいる全ての味方に魔法を掛ける。

 この魔法を唱えた時、それはもうべらぼうに時間が必要だったが、杖のお陰でそれも大きく解消されている。

 五つ解かないと発動しないパズルを、二つで、しかも簡単になっているのだ。

 そして……七星の杖が内包していた強化方法を俺は発動させる。


『我、タダの勇者が天に命じ、地に命じ、理を切除し、繋げ、膿みを吐き出させよう。龍脈の力よ。我が魔力と勇者の力と共に力を成せ、力の根源足るタダの勇者が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者等に全てを与えよ』

「アル・リベレイション・オーラⅩ!」


 そう、これが杖の強化方法。

 スキル習得制と言えばわかりやすい。

 ネットゲームでは自分の好きなスキルや魔法にLvアップなどで得たポイントを割り振って能力を上げると言う物があるのだ。


 昔、錬も言っていた。

 ブレイブスターオンラインではスキルポイント制だと。

 つまりはそう言う事だ。


 Lvを上げてスキルポイントを割り振ってスキルを覚える。

 俺の知るゲームにも多々存在するオンラインゲームでは定番のシステムだ。

 それが杖と小手の強化方法だった。


 杖は魔法、小手はスキルにポイントを割り振る事が出来る。

 現在のLvの数分ポイントが獲得され、魔法とスキルにそれぞれ振りこめるようだ。

 まあ、一つの魔法を重点的に上げると、それ相応のポイントを消費するんだけどな。


 この手の問題である振り直しも一応は出来るみたいだから安心だ。

 必要素材と武器の中にある強化ポイント……この場合は錬から教えてもらった熟練度ポイントが一番手頃に使えるのを犠牲にして、一日のクールタイムを待てば振り直せる。

 相当な能力だとは思うがな。


 そして現在、俺が唱えたのは全能力が上昇する優秀な援護魔法であるオーラだ。

 しかも勇者しか唱える事の出来ないリベレイションクラスのオーラの複数系。

 これに杖の強化方法であるポイントによる上昇を掛けたと言う事はどういう物なのかと言うと。


「くらえ!」


 タクトがヴァーンズィンクローだったかを初発で俺に向けて放った。

 俺はそれを紙一重で余裕をかましながら避ける。


 なんで余裕か?

 タクトの攻撃が凄くスローなのだ。

 直線攻撃で、出てくる光線なのだけど正直、見える。


 そりゃあ光線自体は遅いと言う程じゃないのだけど、どんな物かと言うと、威力の低い豆鉄砲とでも言うのだろうか?

 光線なのに弾速がゆっくりなのだ。


 意識すると先程タクトが言った言葉である「くらえ!」が「くぅううううううらぁああああああああぇえええええええええぇぇぇぇぇえ!」って聞こえる。

 俺の後方にタクトの攻撃が通り過ぎて行った。


 こんな感じで、今俺達の能力は異常な程上昇している。

 錬がしていたネットゲームではないが、一段階毎に効果が大きく上昇するんだ。

 それは効果だけではなく、効果時間、そして追加効果まで発生する。


 つまりアル・リベレイション・オーラの様な強力な魔法はその分必要なポイントは大きくなるが、効果の上がりも大きくなるって事だ。


 それは魔法やスキルによって様々だ。

 今まで微妙だった魔法やスキルが化ける可能性がある。

 これが杖と小手の力。

 この世界を守ろうとする意思……精霊達が完全な形で力を貸してくれているんだ。


「避けた?」

「どうした? お前は常に一撃必殺しかできないのか?」


 タクトには俺の動きが見えていなかったみたいだな。

 それほどまでに援護魔法の能力が向上してしまっていると言う事に他ならない。


 と言うか、いきなり必殺技を放って避けられたら驚くって……何処の光の巨人の必殺技だよ。

 なんで出し惜しみするのかと不思議に思うけど、最初からぶっ放す奴もどうかと思うけどさ。

 なるほど、避けられたらこう言う状況になる訳ね。


「ふん。加減してワザと外してやった。面白くないからな」

「はいはい。ほざいていろ」


 俺は杖を強く握りしめて力を込める。

 杖の能力は他にもある。

 チャージ攻撃と言えばゲーマーには理解できるかもしれないな。


「少し遊んでやるよ」


 そう言ってタクトは爪を俺に向かって振りかざす。

 この全てを俺は見切って避け続ける。

 一応は体を低くさせたり、飛んでみたり、タクト自身を足場にして跳躍して見せたりな。


 今の俺は盾の勇者では無い。

 防御力は七星の武器を借りている分、四聖の錬達よりも低い。

 当たったら痛いじゃきっとすまない攻撃だからな。

 それに鍔迫り合いとかしたら武器を奪われかねないし。


 一応は何か武道の心得があるのか? 構えと動きに洗練された物を感じる。

 だがな、俺が常に組み手をしていた相手は天才だった。

 常に工夫し、俺の予想を凌駕する突きを繰り広げる。


 そんな天才を相手に戦っていたから物足りない。

 残念だが俺の予想を超える事の出来ない攻撃ばかりだ。

 フェイントをしつつ、俺を殺そうと――。


「エアスト・スラッシュ!」


 スキルを放ってくるが、フェイントが見え見えで萎える。

 避けるタイミングを遅らせ、自信に満ちたタクトの顔を眺めながら。


「よっと」


 軽く避けて見せる。


「く……守るしか出来なかった元盾の勇者の分際で良くやるじゃないか」


 退屈極まりない。

 見切る事が容易い攻撃だな。


「……何か勘違いしているようだから教えてやるよ。防御ってのは攻撃よりも難しいんだ。相手の攻撃のインパクトをずらして威力を軽減させるとか」

「今だ! セカンド・スラッシュ!」


 タクトの爪による斬撃を杖の先端を使って、タクトの腕を突いて逸らす。

 その所為でタクトが放ったセカンド・スラッシュと言うスキルは威力を満足に出せないまま、消え去る。


「そういうのは隙とは言わん」

「ぐ……」

「何度でもスキルを放ってみろ。即座に威力を殺してやる。これが盾の勇者としての戦い方だ」


 何も盾の勇者が敵の放つ攻撃を全て受ける必要は無い。

 その攻撃を受け流したり、事前に威力が出ないように工夫する事だって出来る。


 だからこそ、その点においてのみ、異世界に来てからずっと練習していた俺は、相手の攻撃を邪魔する方法がわかる。

 後は、如何に攻撃を集中させるかとか色々とあるが、タクトは今の所俺に意識を集中しているから問題ないな。

 これならある程度余裕はありそうだ。


 少し意識をラフタリア達の方に向けるか。

 じゃないと危ないかもしれない。

 何かあったら援護しないとダメだ。

 もう二度と失わせないと決めたんだ。

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タダの勇者ってなんやねん
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