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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
盾の勇者の成り上がり
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波に備えて

 ロープシールドの条件が解放されました。

 ピキュピキュシールドの条件が解放されました。

 ウッドシールドの条件が解放されました。

 ロックシールドの条件が解放されました。

 バタフライシールドの条件が解放されました。

 パイプシールドの条件が解放されました。

 etc……


 ロープシールド

 解放済み……装備ボーナス、スキル『エアストシールド』


 ピキュピキュシールド

 解放済み……装備ボーナス、初級武器修理技能1


 ウッドシールド

 解放済み……装備ボーナス、伐採技能1


 バタフライシールド

 解放済み……装備ボーナス、麻痺耐性(小)


 パイプシールド

 解放済み……装備ボーナス、スキル『シールドプリズン』

 etc……


 あれから1週間と1日。

 俺達は武器屋の親父から聞いた通り村に向った。

 村の名前はリユート村。拠点にするには良さそうな村であり、宿は一つしかないが宿泊費は銀貨1枚。

 買取商人も二日に一度は滞在するという好立地だった。

 薬屋は無いが村人が薬を欲しているので城下町の薬屋よりも安めに売る。

 その代わり品質が悪いと念を押して売った。


 ちなみに俺の悪名は響き渡っており、村に来た当初、戯けた事をするのでバルーンの刑に処してやったことが数回ある。

 で、だ。

 このあたりの魔物や薬草、その他鉱石から材木、色々と武器に吸わせた結果、様々なスキルや技能を覚えた。

 ステータス付与も色々、数えるのが面倒になるほどだ。


「待てー!」


 不利を悟って逃げる全身が針のヤマアラシのような魔物、ヤマアラをラフタリアと一緒に追いかける。

 ラフタリアも順調にLvを上げ、俺はLv20、ラフタリアはLv25になった。

 意外と成長が早い。

 ……そして俺は未だに布の服で戦えてしまっている。

 いい加減、ここまでノーダメージで戦えると本当に弱いのか首を傾げたくなる。

 とはいえ、一度痛い思いをした。

 防御力を侮り、弱い盾で戦っていたら、ものの見事に痛みが走ったのだ。

 今回追っているヤマアラの不意打ちを受けてちょっと怪我をした。


「あーちょっと痛いな。久々の感覚だ」


 流血する傷口にヒール丸薬を塗りつけながら走る。

 針が刺さったら痛いよな。普通。

 この世界に来てから生憎と盾が保護してくれていたので忘れていた。


「だから言ったじゃないですか。ナオフミ様もそろそろ装備を買うべきだと」

「いや……弱い盾にしてたのが原因だ」


 何時の頃だったか、ラフタリアがご主人様では無くナオフミ様と名前で呼ぶようになったのは。

 馴れてきたのは良いことなのか悪いことなのか。

 まあ良い。

 どうも俺の盾は盾の形状をした全身を覆う装備のようで、別に構えている必要はあんまり無い。

 一応、盾の部分が一番硬いようなのだが、今までダメージを受けていなかったのだ。

 今回、初ダメージ経験とも言える。

 でだ。砥石の盾の効果なのだが、やはり予想通り自動で研磨してくれるという便利な盾だった。

 研磨時間は8時間。それより前に引き抜くと効果なし。

 難点は使用中、SPを常時使用して回復しないという所だ。

 あ、他に覚えたスキル一覧を復習してみるか。


「エアストシールド!」


 初めて覚えたスキルだ。効果は射程5メートルくらいの範囲で盾を生み出すスキル。

 うん。俺だけだと何の役にも立たないな。

 精々足止め用と割り切る感じ。

 意識を集中して、出したい場所にイメージすると出る。効果時間が過ぎると消滅する不思議な盾だ。

 掛け声があるとなおよし。

 ヤマアラは俺の出した盾に驚いてよろめく。

 しかし、即座に体勢を立て直して逃亡を再開。

 くー……5メートルなら追いつけると思ったのに、逃げ足の速い奴だ。

 しょうがない。


「シールドプリズン!」


 射程6メートルくらいの範囲で盾で四方を囲む檻を作り出す。

 今回はヤマアラにターゲットを付けて発動させた。

 対象を守るスキルらしいが、中に入った者を拘束する効果もある。

 うん、どっちも守る系で攻めには使えない。


「キー!」


 逃げ場所の無くなったヤマアラはシールドプリズンの中で暴れまわる。

 どちらも効果時間は15秒。

 その間にラフタリアはプリズンの至近距離まで近づき、消えると同時に中に居たヤマアラに剣を突き刺した。


「キイ!?」

「やりました!」


 ヤマアラを掴んでラフタリアは戻ってくる。


「よし!」


 EXP48


 中々の収穫だ。

 獲物は倒して武器に吸わせるだけでも変化するが、細かく分けた方が得だ。今まで知らなかったのだが、ここ1週間で発見した。バルーンやマッシュ、エッググは本体が素材だったからな。気付くわけも無い。


 早速ヤマアラを解体して針と肉と皮、骨と分ける。

 どれも素材になるので馬鹿に出来ない。

 盾に幾らか吸わせている。

 骨系は複数の魔物の骨が必要で、皮系はステータスアップの装備効果がある。無論、ツリーとLvを満たせていればの話だが。

 肉は料理系。と系統がはっきり見えてきた。

 針がちょっと楽しみだ。ヤマアラシールド自体は入手済みだ。


 アニマルニードルシールドの条件が解放されました。


 動物の針の盾か。針盾……解放効果に興味が湧くな。


 アニマルニードルシールド

 未解放……装備ボーナス、攻撃力1

 専用効果 針の盾(小)


 よっしゃー! 攻撃力アップだぁあああああああああああ!


 うん。分かってる。たった1しか上がらないって事くらい。

 専用効果、針の盾(小)がどういった物なのかは分からないけど、どうにか攻撃的な盾のツリーを見つけることが出来た。

 これを取っ掛かりに、ツリーに繋がりそうなアイテムを重点的に探せば俺も攻撃ができるようになる。

 防御力は、まあ鉱石系の盾よりも少し低いけど、大丈夫だろう。


「どうです?」

「ああ、攻撃力が上がる盾みたいだ」

「やりましたね。所で防御力は?」


 ラフタリアはどうも俺が怪我をするのに怪訝な顔をする。


「程々かな」

「そうですか……あの、剣の研磨をお願いしたいのですが……」

「分かった。そろそろ狩りを中断して村に戻るか」

「はい!」


 盾を砥石の盾に変化させて、ラフタリアの剣を差し込んだ。

 研磨中……。

 さて、俺達のLvはバンバン上がり、手広く金稼ぎに1週間近く費やしたお陰で所持金はなんと銀貨230枚にまでなった。

 薬が程々に売れるし、盾が付与してくれる技能系スキルのお陰で伐採や採掘など手広く商売をしているお陰だ。

 問題は浅く広くと、俺のオンラインゲームプレイと同じ傾向になってしまっている所だろうか。

 まあ、手段を選ばずに金稼ぎに終始していたらこうなるよな。

 強くなるためには無駄な行動だがな。生きる為にはしょうがない。


「さて、そろそろ城下町に戻ってラフタリアの装備を一新するか」

「……ナオフミ様?」


 ん? なんかラフタリアが妙に背筋が凍りつくような笑顔で俺に微笑みかけている。


「私の装備を買っていただけるのは非常にありがたいのですが、その前にご自身の格好を少々お考えください」

「なんか変か?」

「盾以外、村人と殆ど変わらないですよ」

「んー……必要無いからな……着替えがある程度で大丈夫だろ?」


 ガシ!

 ラフタリアが俺の肩を掴んで満面の笑みで脅してくる。


「それで先ほどお怪我をなさったのではありませんか」

「解放目的の弱い盾、だったしなぁ……まだ大丈夫だろ。それよりお前の武器を新調すればもっと良い場所へ――」

「ナオフミ様? 戯れは程々にしませんと死んでしまいます」

「死!?」


 何か予備の剣の柄を握ってラフタリアが脅してくる。

 奴隷の制限で俺を傷つけることはできないはずなんだが。


「……いい加減、ご自身の装備を見直す時です。期限が近づいているのでしょう?」

「……ああ」


 そういえば、そうだった。

 考えてみれば後数日で災厄の波というのが訪れる可能性がある。

 それまでの間に強くならねばならなかったのだ。

 となると確かに、この村人と大して差が無い格好では不安にもなる。

 目的と手段が摩り替わっていた。


「はぁ……」


 もう少し、攻撃力を上げていきたかったのだが。


「今は私よりもナオフミ様の装備を探しましょう」

「そうだな、とりあえず装備を買って、残った金でお前の武器を買えば良いか」

「はい」


 馴れてきたとは聞こえが良いけど、図々しくなってきたなぁ……。

 いい加減、立場の違いを分からせてやりたいけど、設定した禁則事項に違反しない強かさを最近身につけている。

 あえて言うなら、面倒な奴隷になってきた。

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