巨大石像
「ええ……そんなの作らないで欲しいんだけど」
「観光地によっては勇者の顔とかを岩山に作っている所とかもある。ヴォフ」
「シルドフリーデンにもありますね。タクトの顔の奴があったそうですが、悪行が明らかになって壊したらしいですよ」
「あるのかー……俺の居た世界でもあったけどさ」
「俺の方でもありますぞ。見に行った事もありますな」
中々の光景なのでお義父さんの権威を見せつけるのに良いと思いますぞ。
そう言えば霊亀が復活しない場合、あの国の王の像を建造するとか、そう言う話をあの国の事業で計画されているとの噂を聞いた事がありますぞ。実現した姿を見た事はありませんがな。
というのが薄っすら思い出せますぞ。
「あれは結構安めに作れる。岩山を崩せば良い」
「そうなの?」
「ヴォフ、土魔法を使える者がやる」
「なるほど……確かに魔法があるもんね。でも俺の巨大石像は嫌だな。イミアちゃん達に知られたら作りそうで怖いしなぁ……そうだ、先手を打って樹の像を作らせておくのも良いか」
自身の像を作ってほしくないようで樹の像を作らせる方向にするようですぞ。
そう言えばカルミラ島でも勇者伝来の修行地なので石像はあったのですぞ。願掛けの神殿にあったのを覚えてますぞ。
大体のループで盾の勇者の石像は無いのですがな。
というより作成中という形ですぞ。三勇教の影響で随分と昔に破壊されていたのを復元作業をしていたとかですぞ。
「岩谷様も結構腹黒な事を閃きますよね」
ウサギ男がそんな事を言ってましたぞ。
「ははは」
笑ってお義父さんは流した出来事でしたぞ。
「他に面白そうな部屋とかある?」
「ヴォフー兄さんの為に疲労回復の薬を作る部屋とか俺が用意したのがあったけど……今は苦手だから勘弁」
「ああ、ヴォルフは薬と言うか錬金術系、苦手みたいだもんね……まあしょうがないよ」
「薬の調合くらいは平気、ただ……ヴォ、ヴォ……キャインキャイン!?」
何やらヴォルフが思い出そうとして何故か俺の顔を向けた後、いきなりパニックになったかのように悲鳴を上げましたぞ。
「わ、ヴォルフ!? どうしたの? 落ちついて!」
「キャインキャイン!? う……あ、だ、大丈夫。ミートボールが何故か思い浮かんだけど平気」
「ミートボール? 確かにヴォルフ嫌いだもんね。元気にはなったけどトラウマはそう簡単に克服できないよね」
ワニ男たちがそんなヴォルフをやや怪訝な顔つきでありつつ黙ってお義父さんとのやり取りを見ておりましたぞ。
情けないですなヴォルフは。
「とりあえず少しの間、ここで厄介になるって形だね。名産品とか色々と楽しませて貰うよ」
「ゆ、ゆっくりと我が家を満喫してほしいヴォッフ!」
という訳でヴォルフの家の目ぼしい部屋を確認するのはある程度、終わったのですぞ。
「そう言えば古き良きRPGとかだとお城で宝箱とか家探しを勇者がしたりするけど……ま、メルロマルクやシルトヴェルトで家探しをしたわけでもないしね」
「武具をかすめる奴ですな! コピーなんかもあるので悪くはない手ではありますぞ」
「そうだけどね。シルトヴェルトとかフォーブレイとかメルロマルクで武器カテゴリーのコピーもしたもんね」
「ヴォッフ、いろんな貴族が過去の勇者から承ったって武器を持ってる事結構ある」
「その辺りは俺もループで色々と拝見した事がありますぞ。時に光るものはありますが、名品は中々無いですな。強力過ぎるモノは消失している……いえ、奪われて行方知れずとなっているのが多いですぞ」
通称、この世界の隠しダンジョンでほぼ見つかりますな。
無くても問題ないので、後回しにすることが多いですぞ。
「何より、カルミラ島などのダンジョンで得られた武器で事足りますぞ」
「そうなんだろうね。あそこで出た武具は中々だったし、探し回らなくて良いのは良いのかな」
「物騒な話題をしてますね。とはいえ……勇者達のお力になる訳でもあるし……」
「難しい塩梅だな」
「さすがにしないよねー装備が揃ってない状況なら考えないといけない事だったんだろうけど、さすがに道徳の範囲だよね」
奪っていくかの話をするとお義父さん達は置いて行けと仰いますぞ。
なので言うまでもないですな。
「まあ、それでも何かないか貰わなくても探してしまうのはゲーマーって事かな?」
「うちの宝物庫、すぐにお金になりそうな貴金属はあんまりない」
「へーそうなのか。思えば銀は狼男は好まないか」
「銀? 当主クラスになると体毛の関係で目立たないから別のを好む」
「そう言えばヴォルフ、銀系の色合いになったもんね。銀に銀で微妙なのか」
などと話をしながらヴォルフの城の探索は一区切りついたのですぞ。
温泉地という訳でもないので入浴に関しては風呂場での入浴となり、野郎ばかりの風呂でしたので俺がユキちゃんの魅力を引き上げる覗きをするだけになりましたぞ。
パンダも入ってましたな。
「ヴォッフ!」
で、ヴォルフは入浴後はバスローブで城内を闊歩し、お義父さんの相手をしておりました。
ワニ男たちは何がお義父さんをヴォルフを当主の部屋に二人っきりで行かせないようにしているようでした。
そんなこんなで日も落ちて夕食の時間になり、城の庭でみんな集まってお食事となったのですぞ。
「ヴォフ! 盾の勇者様の来訪を祝って、ツメの勇者となった当主マガルム、勇者様にヴォルフと名付けられた俺が宣言する! 乾杯ー!」
「「「乾杯!」」」
と、使用人と領地内の人々が歓迎会とばかりに庭に来て来賓席に居るお義父さんに向けてシルトヴェルト式のお祝いをしてましたな。
ちょっと緊張した様子でお義父さんは軽く手を上げて相手をしてましたぞ。
尚、ヴォルフ達が目を光らせているとの事で不用意に近づくのは許可されておらず、近づける範囲は定まっていたので食事の邪魔はされませんでしたな。
「ここもシルトヴェルトだもんね。見世物みたいな歓迎会はやるよね」
困った様子でお義父さんは領民たちに軽く手を振りつつ食事を楽しんでおりますぞ。
ヴォルフも近隣からやって来る貴族等にお義父さんを紹介しながらあいさつ回りをしておりました。
「さすがに妙な真似をさせる隙は与えてないな」
「そうですね。しかし……やはりというかちょっと早口だと何を言ってるかわからない時があるのが悔しいですね。訛りでわからない言語がありますよ」
「ああ……はっきり言って何を言ってるかわからない時がある。まだシルトヴェルトの城の方が分かるのが辛いな。ラーサズサ、エルメロはわかるのか?」
「ああん? まあ……アタイはわかるねえ」
「私の場合はちょっと詰まる時がありますよ」
どうやらこの辺りの方言に対応しきれない様子ですな。
などと思いながら何やら盛り上がっている区画がある様なのでちょっと確認に行くと……豚のポスターに向かってダーツのようなものを飛ばして遊んでいる催しが行われているようですぞ。
「ハハハ! 食らえ!」
「マガルム様とルハバート様によくも!」
「ヴォフ……態々そんなものを用意してやる遊びは品位を疑う。やめろ」
不快そうにヴォルフは豚のポスターにダーツを当てて串刺しにしている遊びを咎めていましたな。
「も、申し訳ありません!」
ぺこぺこと主導していたものがヴォルフに頭を下げていましたぞ。
ふむ……豚にダーツで串刺し遊びですな。
確かに趣味は悪いですな。
「まあ……樹が作った訓練場にも似たようなのあるからあんまり印象は良くないね」
そのやり取りを見ているとお義父さんが俺の近くにやってきて成り行きから呟きますぞ。




