表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1282/1285

ヴォルフの実家

「ここがヴォルフさんの屋敷ですか」

「テオの実家も大分広かったけど、こっちも結構凄いなー」

「むしろ城って感じですよね」


 と、俺たちが来たところは……カルミラ島のホテル並みの城……っぽい屋敷ですぞ。

 小さめですが城に見えますな。


「やっぱヴォルフの実家って大きいんだな」

「古い家柄で、代々そこそこ戦績を出してるから国内の評価高い。四大種族とは別派閥だけど時に協力してる」

「へー」

「ただ、最近は兄以外は情けない所もあって金に困ってたのも事実。実は修繕が間に合ってない」

「派手な家の裏って奴でもあるのね」

「ヴォッフ。俺がその辺り工面してた」


 などと言いながら荷物をヴォルフは降ろすと城から使用人たちがぞろぞろとやって来たようですぞ。


「マガルム様、よくぞお帰りなさいました」


 使用人の代表らしき執事の狼男が敬礼してますな。


「盾の勇者様! よくぞいらっしゃいました!」

「うん。これからしばらく厄介になるよ」

「はい!」

「で、ヴォルフ。ご両親とかは?」

「ヴォッフー……今回は空気読んで出かけさせた」

「出かけさせた?」


 お義父さんは首を傾げてますぞ。

 なんで居ないようにしてるのですかな?


「フッ」


 なんかヴォルフが不敵に笑ってこれ以上は答えるつもりはないというキリっと顔をしてますぞ。


「見られたら困るって事ですかね?」


 張り合う様にウサギ男も眼鏡を上げる動作をしますぞ。


「変な親と言う事か?」

「フフ」

「なんで思わせぶりなのかな? 挨拶したかったのに」

「見たら困る親らしいですからね。岩谷様、ヴォルフとの距離感は気を付けるべきという事ですよ」

「そう言う事なのかな? あれ? なんか運んでる?」


 と、お義父さんが何やら運び出そうとしている作業をしている使用人に目を向けると、額縁らしきものを運んでいる者たちがおりましたな。

 サッと、ヴォルフが回り込んでお義父さんの視界を遮りましたぞ。

 俺は見えましたな。

 何やら狼男の一家みたいな絵でしたぞ。

 亜人姿のおそらく幼い頃のヴォルフと、その兄とやらなのが俺にはわかりますな。

 本人にはあった事がありませんが、タクトのキツネが化けた姿を見た覚えがあるのでその面影がどことなくありますぞ。

 で、親なのですが……狼男が一人、他に男らしい人物がいるような? あれが母親? いえ、狼男が雌ですかな?

 筋肉質で男かと思ったのですが判断できませんぞ。

 ヴォルフが流し目を送るとササっと使用人たちは絵を見えないように裏返して逃げるように運んで行ってしまいましたな。


「せっかく来るんだし古臭いから模様替えを指示してた」

「気にしなくていいのに」

「暗いとか言われたら困るし、一族もしっかりと権威見せたい。親はまだマシだけど困った奴らは排除した。ヴォッフ!」

「そういうものかねーまあ、ヴォルフはこっちじゃ頭脳派だったらしいし、判断は任せるよ」

「さっさと行くぞ」


 ワニ男が若干ため息交じりに荷物片手に城に入ると……壁に古い絵がかけられており、そこには盾を持った人物、過去の盾の勇者らしき人物に狼男、そしてワニ男に似たリザードマン、それと……イタチのような獣人が描かれた古い絵がありましたぞ。

 盾の勇者は修繕の痕跡の所為か……顔が判別できないですぞ。

 絵にワニ男は視線が向かいましたな。


「その絵は初代、盾の勇者と仲間たちの絵を復元したものの一つと言われてる。ただ、色々と文献が消失してて本当かわからない。ここの倉庫の奥にあったのを今回出して来た」

「……そうか」


 ワニ男はその絵をじっくりと見てますぞ。

 懐かしむような顔に見えますな。


「シオンのルーツとなる所とかもいずれは見に行くのかな?」

「いや、俺の父親は一族最後の者で、土地の場所には何も残っていないはずだ。行く意味はほぼ無い」

「そっか」

「何より、セーアエットが俺の実家みたいなものだから気にしなくて良い」

「わかったよ」

「早く荷物を部屋に持っていこう」


 ヴォルフの提案にワニ男は素直に荷物を持っていきますぞ。

 ここがヴォルフの実家なのですな。

 こういった城に住む豚なんかも俺の記憶にはありますぞ。

 まあ、メルロマルクの城とかも見慣れているので感想はそこまで無いですな。


「ようこそいらっしゃいました! 盾の勇者様!」


 で、使用人たちはまたも歓迎の態度を見せつつ、俺たちは住居スペースの方へと案内されますぞ。


「あ、私は入るのは厳しいですね」


 ゾウがここで建物の大きさに戸惑ってますぞ。

 狼男基準で普通の城よりも扉一つ一つは大きいですがゾウが入るには少し厳しいみたいですな。

 屈めば入れそうではありますぞ。

 中腰になりそうですな。


「ヴォフ、来賓用の区画がある。そっちなら背が高い獣人も平気」


 ヴォルフが指さしますぞ。


「そちらに厄介になるで良いでしょうか……一応、警護をすることになったのですけど」

「食事の時とか広場で食べよう。それで良いと思う。ここでそんな不埒な奴を絶対近寄らせないから大丈夫」


 キリっとした表情でヴォルフが指揮をすると使用人たちが敬礼しながら頷きましたぞ。


「承知いたしました。パーティー仕様に致します」

「うむ。頼む」


 テキパキとした様子で使用人たちが各々動き始めましたな。


「へー……なんかヴォルフがここの当主って感じになってるね」

「一応、ツメの勇者の肩書のお陰で権力は一番になった。兄さんはこの辺り適当で俺が代理してたのもあって慣れてる」

「そう言う感じかー」

「反抗的な勢力は追い出してるから安心。気にせずゆっくりしてほしい」

「わかったけど……そう言えばここはヴォルフの領地って事になるけど、村とか通ったね」


 道中をお義父さんは見てましたな。

 色々と質問をしてましたぞ。


「留守にしてて大丈夫? 書類の山とかありそうだけど」

「大丈夫、シルトヴェルトの城の方に来てた書類から指示は既に出して置いた」


 書類関連は得意とばかりに答えてますが……エクレアのような書類の山を相手に現実逃避をしているのではないかと思いましたぞ。

 しっかりしているのですかな?


「それくらいで平気なんだね。そう言えばさ……この辺りの村って結構人間居たね。奴隷?」

「ヴォフ、違う……けど、地位は低い」

「シルトヴェルトって地方によって違いありますよね」


 ウサギ男がそこで会話に入ってきますぞ。

 そうですな。


「ゾウの実家辺りは人間奴隷が多い地域なのですぞ」


 というよりゾウの実家であるマンモス共の巨漢では領地内のこまごまとした作業が出来ないのでその手の仕事をさせる為に連れてくる方針のようですぞ。


「恥ずかしい話です」

「そこも行く予定になってるけど」

「来ないで欲しいです」

「安心しろですぞゾウ! 絶対上手く行きますぞ。ネズミの忠義ですぞう」

「何をですか……」

「へへ……エルメロォ。アタイはアンタの実家に行きたいねぇ……こんだけアタイの実家にアタイが居ない間に住み着く連中を見逃してきたんだから」


 パンダが恨みがましい態度でゾウに挑発してますぞ。


「ラーサ……はあ、止められるわけないでしょ。あの流れで」

「ネズミ、えーっと……プハント家は猪突猛進でジャノンに何度も挑んでは返り討ちにあった」

「ああ、確か……エルメロさんの育ての親だっけ?」


 ヴォルフは何やら知っているようですぞ。


「風の噂で知ってはいた。ハクコの王が起こした戦いでメルロマルクの英知の賢王に大敗した後のシルトヴェルトの内乱の際にプライドを傷つけられたとの事で面子の回復と労働力目当てに領地を攻め込んで返り討ちに」

「……ジャノン様にボッコボコにされたそうですよ」


 ゾウが普段見せない邪悪な笑みでマンモスたちをあざ笑い始めましたぞ。

 まあ、愚かなマンモスたちですからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ