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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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古の技法


「適性の無い種族が無理に使うと魂に良くないぞ。まあ、適性のあるものが使えば効果的だがな。生兵法は大怪我の基という奴だ」

「それでもラフミちゃんはわかるんでしょ?」

「仕組みとしてはな。しかし、そのような術があったのだな……いや、元々あったのか。聖武器の精霊たちも黙っているとはな。いや……代弁する術がなく失われてしまったものか」

「どういうこと?」

「何故勇者が出来ないのかと行ったら同然だという事だ。既にしている」


 気の時も似たような話を聞きましたぞ。


「その技術は精霊部分を他者に預けて行使する方法だ。仕組みとしては勇者の武器と非常に近い。いや……精霊に至っていない者が力を増幅する術か?」

「んん?」

「ラフミ、おめーの説明だと知ってる奴にしかわからない事になるなの」

「いや、そのままの意味だ。私がどんな存在かわかるだろう?」

「お前はチョコレートですぞ」

「ふん! 抜かせ」

「元はバレンタインのチョコレートを司る精霊なの……なるほど、肉体を持った精霊だからわかると」

「こういうことだ」


 パッとラフミがライバルに向かってウサギ男たちがやろうとした事をライバルに向かって行いますぞ。

 するとライバルに何やらラフミの魔力らしきものが流れてますぞ。

 ライバルはサッと魔法で何か……ハサミを出しましたな。

 そのハサミに力が宿って半透明の武器のようなものが形作られますぞ。

 チョキチョキとライバルがハサミを振り回してますな。


「波長を合わせろ」

「な、なの……合唱魔法の呼吸合わせを維持しながら戦うって結構練習が必要そうなの」

「ほら、スキルを使え」

「わかってるなの! えーっとエアスト・シザーカット!」


 スパン! っと何やらライバルがハサミで……スキルらしきものを放ちましたな。


「で、こっちは貴様の……魔法が得意なだけあるな。無詠唱でも使えるか」


 パアアア! っとライバルが派手に魔法を放つ時の魔法陣をラフミが展開して空に飛ばしてましたぞ。


「わかったか?」

「ある程度はなの」


 で、サッとライバルとラフミの再現が終わりましたぞ。


「ガエリオンちゃんはわかったみたいだね。説明できる?」

「ちょっと待って欲しいなの。仕組みはわかったけれど、上手く説明する方法がちょっと難しいなの。こんな方法使える種族そんなに居ないなの」

「どんな種族な訳?」

「半分が精霊であるような種族と協力して合唱魔法の要領で精神を合わせると、その種族の精霊部分が相手に憑依して魔力を共有し、両方が力を覚醒させるって技法みたいなの……魂も代理演算に加わってその種族の足りない部分を補完されて強化される流れなの。おそらく……対応種族の獣化も可能になりそうな気がするなの。いや肉体に乗った精霊部分を預ける事で過負荷が軽くなるというのが正しいなの」

「ああ、ラフミちゃんって精霊でもあるんだっけ」

「そうだ。だから仕組みはわかる。まあ精霊にも種類があるのだがな」


 半分が精霊ですかな?

 ふと俺は……モグラが精霊となって出世したという話を槍の精霊と一緒に夢見たのを思い出しましたぞ。

 確かそこにはラフミが居て、俺を見て笑っていたはずですぞ。

 と思いつつモグラを見ますぞ。


「なので適性の無い……精霊ではない者が使うと魂だけを繋げることになる。あまりいい方法ではないぞ。普通に魔力だけを合わせた方が無難だ。合唱を維持しながらでも効力は大幅に下がるが似たような現象になる」

「ちょ、ちょっと怖い話しないでくださいよ。ボクは何回か実験にやっちゃったじゃないですか」

「貴様は大丈夫だ……どうも何か貴様自身の体と魂に特徴があるな?」

「ちょっと聞き捨てならない事を言ってません?」

「いいや? まあ深く踏み込むのも良いが……ふふ」


 ラフミが笑った所でウサギ男が引きましたぞ。


「やめて下さい。ボクに変な事をしないでほしいですね!」

「半分が精霊……モグラ達はそうだったような?」

「ほう……覚えていたか」


 俺が呟いた所で座っていた樹が立ち上がりますぞ。


「ルーモ種達が何なんですか?」


 この樹はルーモ種が大事ですからな。

 聞き捨てならないのでしょう。


「ああ、教えてやろう。適性のある種族って事だ。そいつらは今回見つかった技法を使いこなせる。合唱魔法の要領で精霊部分を相手に預け、相手の魔力を受け取り、自身の肉体の力を解き放つのだ。呼吸を合わせる事で力に出来る種族だ」

「わー……ここでイミアちゃん達も使える技術が見つかるのか。テオも不思議と使えるみたいだけど」

「ただし気を付けろ。相性がある」

「それは何故?」

「聖武器、七星武器もそうだが持ち手を選ぶだろう? あれは相性だ。いくら雄々しく勇猛な者でも選べない時があるのだ。その要素が間違いなく混ざる。勇者たちが出来ないのは既に精霊が合わせている。精霊の出力が高すぎて生きているルーモ種では合わせられんという事だ」


 そんな面倒すぎる仕組みがあるのですかな?

 槍の精霊はそんな事を言ってましたかな?

 あ、でも候補者とかあるらしいですから、それで俺を選んだという事なのでしょうな。

 無数の世界の中で相性の良い相手を精霊として選んで勇者として召喚するという事……なのでしょうか?


「そうだな。私の読みだがテオドール、お前は人側でルーモ種の誰とでもその技法が使える。ルーモ種だけではなく半分精霊を宿す種族の全てをな、そう言う形をお前はしている」

「ボクがルーモ種の方々とこの技法を使えると? 精霊側ではないと」

「まあ貴様は選ばれればどの精霊の宿った武器でも使えるだろうし、出力が他の所持者より上手く引き出せる可能性があるのが今回の技法で見てわかった」


 ラフミの言葉にちょっとウサギ男がわくわくした顔をしてますぞ。

 ボクの時代がやってきましたか!? って顔ですな。


「ちょっとテオが嬉しそうだね」

「そりゃあなんか選ばれた者! って言われたように感じて嬉しい様な気はしますよ。ただ、この方に太鼓判を押されるのは微妙ですけどね」

「皆さんのお力に成れるのですね!」


 と、モグラ達が結構興味を抱いてますぞ。


「やってみたいです」


 モグラもですぞ。


「問題は相性って事になるけどラフミちゃん。何か基準になるものとかある?」

「研究が進めばよりわかるかもしれないが大雑把な目印は魔法資質だ。ルーモ種の連中基準では土の魔法資質を持つ者と相性がいいだろうな」

「となるとエルメロさん辺りかな? 俺達の仲間だと」

「そうなるだろうな」

「色々と研究してみます! 勇者様達のご恩に報いましょう!」

「「「おー!」」」


 といった形で新しい技術が見つかったのですぞ。

 最終的に上手く力を合わせるとモグラはより獣化して戦闘力が上がったらしいのですぞ。

 古の技法のようですな。

 専門の研究をシルドフリーデンは掲げて行くことになったとの話ですぞ。

 タクトからの脱却を目指すという事のようですな。

 併用して樹がシルドフリーデン内で大暴れをしているのは蛇足ですかな? 樹の大事なモグラも戦う術を得てウサギ男と協力してサポートに徹しているとかですぞ。

 樹の機嫌は良さそうでしたぞ。




「ヴォフーこっちこっち」


 っと、俺たちはお義父さんと一緒にヴォルフの実家という屋敷に到着したのですぞ。

 ユキちゃん達が馬車を引いて向かったのですな。

 道中は長い森がありましたな。

 山奥も良い所なのですぞ。


「はいはい。わかってるけど急かさなくても大丈夫だよ。むしろそろそろスイッチを切り替えて欲しい所だけどね」

「ではヴォッフ」


 ヴォルフがお義父さんの指示で何やらキリっとした表情になってますぞ。

 ちなみにワニ男やウサギ男、それとパンダとゾウも一緒ですぞ。

 もちろん俺はユキちゃん達を連れてきておりますな。

 他の連中は今回は来てませんぞ。

 ライバルとラフミは留守番ですぞ! ハッハ!


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グラスは無理かな? 精霊じゃなく幽霊やもんね。
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