犬と料理の妖精
そんな訳で俺たちはカルミラ島に遊びに行くことになりましたぞ!
まあ、Lv上げの必要性は薄いので滞在時間は少な目で良いだろうという事でこれまでのループよりは日数は少な目の滞在予定ですな。
お義父さん曰く、樹のメンタル回復が目的の慰安旅行の側面が強いとかですぞ。
それとカルミラ島の活性化の延長を行うのを条件に部屋の長期利用をカルミラ島側と話をする予定だとかですな。
話が上手くまとまったらお姉さんの村の連中も底上げするとの話ですぞ。
人員は相談の結果、お義父さんは三人の奴隷たちとモグラ、それとパンダ達を連れて行くことにしたのですな。
パンダは島行きを辞退した養父と祖父から解放されてエンジョイするつもりらしいのですぞ。
樹はリースカとモグラ達ですな。
錬はラフミがどう説得したのかはわかりませんが来るそうでキールとルナちゃん、それと仲間たちのようですぞ。ただ、枠としてはお義父さんの仲間としてくるとかですな。
どうも錬が現在、長期で国内から出ると治安悪化が懸念されるとの事らしいので内密にという事らしいですぞ。
ラフミの分身が影武者として国内待機扱いだそうですな。
ライバルは飛んでいけるので助手と並走で飛んできてますな。
俺はユキちゃんとクロちゃん、フレオンちゃんと仙人、それと来たいというフィロリアル様を連れて行くことにしました。
フィーロたんは婚約者と一緒にお城に居るとの事でした。クズの精神状況的な問題がまだ続いているのですな。
女王がカルミラ島の謎の解放に関して非常に来たがってはいたのですが国内の状況から留守番らしいのですぞ。
エクレアは何やら意地で領地の復興を重視するという事で留守番、ゾウに俺がお願いしたのでコウもゾウと一緒に居るとの事になりましたな。
お姉さん達も今回のカルミラ島行きでは復興重視という事で村での作業を優先することになりましたぞ。後で行くとの話ですな。
そうして船が出発しました。
「ブー」
怠け豚が来てましたな。
「お前は何しにカルミラ島へ行くのですかな?」
「YOUは何しに行く風に元康くんがエレナさんに聞いてる……言葉分かるの?」
「わかりませんな」
「ブブー!」
「まあエレナさんはバカンスで行くのね……勝ち馬に乗ったつもりかな?」
「ブ!」
怠け豚の事ですからカルミラ島のビーチで昼寝でしょうな。
「ブブ」
「え? カルミラ島でサーカスを開かせる商談をしようって? まあ……それも手ではあるか、活気づくだろうし南国仕様のサーカスって事でみんな楽しめるかも。エレナさんは商売人だね」
「ブブブ」
「当然って? まあ……俺に苦言を言ってくるねーエレナさんの方が商才ありそうだよ」
「怠け豚にそんな才能は無いのですぞ! 盛り上げるならフィロリアル様に歌って踊って貰うのですぞ! フィーバーで盛り上げたループもありますぞ!」
ただ怠けたいだけに決まってますぞ。
耳当たりの良い事を言ってるだけなのを俺は見抜いてますぞ!
「フ……ブブブ」
俺をここぞとばかりにあざ笑いやがりましたぞ怠け豚!
「まあまあ……それで元康くん、ウサウニー姿で居るけどそれで良いの?」
「錬が俺もこの姿で居ろと抗議したのでしょうがないのですぞ」
現在、俺はウサウニー姿で船に乗っているのですぞ。
理由としては錬がイヌルト姿で居ないといけない所為だとかからですな。
他に船の搭乗枠を圧縮する面でも有効という事でやっているのですぞ。
確かに俺がウサウニー姿に成ればベッドが小さく済みますからな。
添い寝も余裕なのですぞ。
お義父さんもと思われますが、お義父さんはペックルになると三人の奴隷たちが乱心しかねないので必要な時だけとなりましたな。
そうして船は俺たちを乗せて順調にカルミラ島に着いたのですぞ。
まあ、道中で船が逆さになるくらいの大嵐なんかにも遭遇しましたがこの時期のカルミラ島ではよくある嵐なのですぞ。
沈没しないのか不安になりますが不思議と沈まないのですな。
ちなみに最初の世界などでは船酔いでぐったりする俺達ですが、フィロリアル様の高貴な酔いに馴れているのでほぼ酔いなど無く島に到着しましたぞ。
「到着ですぞー!」
と、俺たちが船から降りると毎度おなじみの領主が待ち構えていましたぞ。
まあ、今回は俺と樹と錬が開拓妖精姿で居るのでギョッとした顔で凝視してきますがな。
当然の事ながら俺たちの状態で島がカッと活発化に加速が掛かるようですがな。
キョロキョロと周囲を見渡してますぞ。
「よ、ようこそいらっしゃいました四聖の勇者とその一行の皆様……のはずなのですが、そのぉ……」
「えー……はい。この島の謎に関して既にある程度は知っています。どうも勇者たちは伝えられる開拓妖精に変身できる魔法がありまして、島の謎に近づくことが出来るそうです」
「事前にメルロマルク本国から伝達は来ておりましたが……実物を見ると驚きの言葉しか出ませんね」
お義父さんの説明に領主をしている伯爵が漏らすように答えましたぞ。
どうですかな? この俺たちのプリティな姿は?
「じ、自己紹介が遅れましたね。私、このカルミラ諸島の地を任されておりますハーベンブルグ伯爵と申します。以後、お見知りおきを」
「よろしくお願いします。えーっと、盾の勇者の岩谷尚文です。こちらの槍を持ったウサウニーの姿をしているのが槍の勇者の北村元康くんでリスーカの姿をしているのは弓の勇者の川澄樹……でー……」
とりあえず挨拶という事で船を降りた勇者の中でお義父さんはラフミに説得されて渋々来た錬へと顔を向けますぞ。
ちなみにキールとルナちゃんも一緒ですな。
「俺は犬と料理の妖精のイヌルト、ケルススだワン! 間違っても忙しくてメルロマルクで飛び回っている剣の勇者、天木錬じゃないワン。縁あって少しだけこの島に来ただけだワン」
そのキャラ、続けるのですな。
「という事なので、ケルススくんに関してむやみに踏み込まないでください」
「なー剣の兄ちゃん。本当にラフタリアちゃん達より先に俺が来てよかったのか?」
「俺は剣の勇者じゃないワン。キール、いい加減覚えろワン」
「わかったよケルスス兄ちゃん。まったく、訳わかんね。うまいもん食えるけどさー」
錬がキールに念押ししてますぞ。
「確かレン様は現状、国内の治安維持を依頼されているのでカルミラ島に来るのは避けて欲しいとの話でしたね……」
「だからケルススだワン! お前らはどうせついて来てるラフミにでも指示を仰げば良いワン! 俺に構わず活動してろワン!」
キャンキャンと錬が吼えてますぞ。
「しょ、承知しました」
お忍びかな? とばかりに伯爵は納得したようですぞ。
ちなみに錬とキールを交互に見てますな。
イヌルトが二匹いると思っているのは一発でわかりますな。
「では島の案内を……」
伯爵が何やら遠い目をしていますぞ。
それからしばし深く考えているようですな。
で、代表とばかりに立っているお義父さんに尋ねますぞ。
「あ、妖精枠が三名でペックルが足りないって事ですか? ヴォルフー」
「ヴォフーわかりましたー」
お義父さんに呼ばれてヴォルフがやってきましたぞ。
そこから徐にペックルにフェアリーモーフを唱えて変身ですぞ。
「ペーン!」
「いえ……そういう訳ではなく、島の案内を島に伝わる先住民の魔物とされる方々、妖精……でしたっけ? にしてよいのかと」
「ああ、感覚がおかしくなるのはわかる気がする。釈迦に説法のような気持ちになるのかもしれない」
島の伝承に出てくる存在に島に関して説明するのは複雑な気持ちになるという奴ですぞ。
「ちなみにお義父さん。釈迦に説法、孔子に悟道と繋がるのですぞ。釈迦に説法だけでも意味として伝わりますな。悟道は人の道という事ですぴょん」
孔子は古代に活躍した論語で有名な人物ですぞ。
色々と逸話がありますぞ。
「孔子は儒教のもとを作った人物で、そんな人に悟道等を語るのはその道の専門家に初心者への説明をするような愚かな事という事ですぴょん!」
「元康くんの豆知識だ……異世界の人たちには伝わらないネタだね。その語尾、まだ使うのか」
もはや元康くんにとってこの世界で知らない事の方が少ないだろうに日本の事を未だに詳しいんだなぁとお義父さんは感心してますぞ。
照れてしまいますな。




