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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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筆頭勇者


「どこをどうしたらこんな事に……実に虚しい」


 俺たちの後方、エクレアと一緒に成り行きを見ていたワニ男が呟きましたな。


「和解は遠そうだと私も思ってしまう。この解決方法でよかったのか? もっと手があったのではないか?」


 エクレアも困惑してますが、かといって地下水路から潜入して城に入るのですかな?

 それでうまく行くのですかな?

 わかりませんな。

 そうして固く閉ざされた城門の前に来ましたぞ。


「ふははは! 偽勇者と偽の女王共! お前らの侵攻もここまでだ! 我らがメルロマルクの強固な門をこれ以上越えられると思うな!」


 と、騎士らしき奴が城門の上から身の程を知らないとばかりに宣言してますぞ。

 この門、俺は吹き飛ばした事がありますぞー? 豆腐の如き脆弱な防衛装置ですな。


「なの。結構強固な防御魔法が付与されてるっぽいなのー」


 ライバルが城門に掛かっている魔法に関して説明しましたぞ。


「本来、ここまで敵国に攻められた際に機能する代物なのですが……」

「我が国の自慢の守りだ。お前らに突破できるか?」


 クズが不服そうにお義父さんに尋ねますぞ。


「ご丁寧な事で……これも防衛装置って事なのかなー」

「無血開城は既に無理な状況だ……一気にぶち抜きましょう。イーグルピアシングショットⅩ!」


 樹が矢を放って城門をぶち抜いてやりましたぞ。


「ふははは! そんな雑魚獣人の放つ矢等――は?」


 ドゴン! っとぶち破られた城門を前に騎士が声を失ってましたな。


「これが自慢の城門ですかぁ? はは、笑わせてくれますねぇえええ? 面倒ですから魔法で城を消し飛ばしてやりましょうかねえええ?」


 チラ、チラっと樹が周囲に視線を向けますぞ。

 魔法を強化してぶっぱなせば確かにメルロマルクの城を跡形もなく消し飛ばす事など出来なくはないですな。


「樹……売り言葉が腹が立ったんだろうけど、脅しはそれくらいにしてね? 女王様達が反応に困ってるから」

「ゆ、勇者様方と敵対する事が間違っているのは重々承知しています。どうか倒すべき敵だけを対処して頂けたら幸いです」

「むしろ勇者を誰一人抱え込めていないのを理解して降参した方が身のためだと思うんだが……」


 錬がため息をしてましたぞ。


「もう一歩も引けないんでしょ。早く城を占拠しないとね」

「あ、ああ……このまま行くぞ」


 そうして城門を越えて城内に行きましたぞ。


「に、偽勇者と女王を迎え撃てー!」

「「おおー!」」


 兵士共が号令と共にこっちにヤケクソ気味に駆けてきますな。

 全員ぶち抜いてやりますかな?

 樹もやる気なのかお義父さんに乗ったまま弓で構えますぞ。


「せめてもの慈悲なの……眠れ」


 ライバルがここで魔法を放ちましたぞ。


「うぐ――!? く……くうううううう」


 すると兵士共が挙って昏倒するようにその場で倒れて行きましたぞ。

 睡眠の魔法ですな。


「む……」


 クズがそんなライバルが魔法を使うのを眉を寄せて睨みますぞ。

 杖の勇者故に魔法に関して引けない何かがクズにも残っているとかなんとからしいですな。


「これで愚かに群がっていた兵士共は無力化させたなの」

「ではここから追い打ちで一人一人仕留めるのですよね?」

「樹?」

「冗談ですよ。王族に逆らった罰を与えられないじゃ無いですか。裁く時は是非ともその光景を見せて下さいね。尚文さん達が作ったポップコーンを持って閲覧に行きますから。ね?」

「いざその現場には行く気も無いですよね? ボクを巻き込もうとしないでください!」


 樹がウサギ男を誘うと全力で拒否されてますぞ。


「皮肉を最大限言うなぁ樹は……まあ、王に逆らうって意味だとこいつらもどうしようもないんだけどさ。さすがにどっちが正しいかの判断くらいはして欲しいね」

「王より自身の信仰を優先したのでしょうな。王を信じている兵士は城を追い出されたとかではないですかな?」


 そんな兵士がどれほどいるのかわかりませんでしたがどうもそこそこいるみたいですぞ。

 その辺りの踏み絵は徹底されたとかで城内は完全に三勇教が占拠した流れなのですぞ。


「とはいえ……ここまで騒いだのに城の中から増援があまり来ないね」

「えー……おそらく完全な三勇教の信者の数は既に少ない状況なのであるとこちらも把握はしております。各地で色々と不思議な出来事が起こっていたとの報告がありまして」

「……そう。それじゃあ足早に玉座にでも行くかね。そこの王の偽者をササッと排除しないといけないし」


 お義父さんが皮肉をクズにこれでもかとしながら錬に進む様に指さしますぞ。

 錬はコクリと頷きましたな。


「おい尚文。もう人の目は無い様なもんだろ? お前が先頭を行けよ。盾の勇者なんだろ?」

「まあ、城下町の人たちはもういないからそれでも良いけどさ。錬……君、勇者で所属パーティーじゃリーダーでしょうが……」


 ねえ? っとお義父さんは錬の仲間たちに顔を向けますぞ。

 黙っていましたが同行はしているのですぞ。


「レン様、ここは筆頭勇者として先陣を行くべきですよ。盾の勇者様もそう言っている訳ですし」

「うるさい! 正しい陣形になるだけだ」


 先頭は嫌だとばかりに錬が言い返しましたぞ。


「じゃあ元康、一番槍って言葉があるからお前が行け!」

「お望みとあらば行きますぞ」

「元康くんは俺の命令で却下」


 お義父さんに止められてしまいました。


「錬の為にもここは俺が前に出て行くよ」

「では僕はウサギの彼にでも乗って狙撃担当をしましょうか」

「テオ、樹の手が早すぎる事……具体的には誰かと決戦で話をしている最中にムービースキップさせるような真似は阻止をお願いできる?」

「岩谷様が言わんとしている事はなんとなくわかるような気がしますがわかりたくないです! この方を乗せるのも止めるのも出来れば断わりたい……ニヤニヤしながらこっちに近づいてよじ登らないでください!」


 樹がお義父さんから、ラフ種のように降りてウサギ男の方へ移動しますぞ。


「そんな嫌がらなくても良いじゃ無いですか、足代わりをお願いしているだけですよ。貴方の獣人姿はそこそこ見晴らしが良いですから狙撃に向いてるんですよ」

「褒めてるのかよくわからない事言わないでくれません? 獣人化を解除しますかね」

「おや? 中途半端な高等存在寄りになるよりそちらの方が良いのではないですか?」

「背を低くしたいんですよ。むしろボクに乗って狙撃なんて物騒な真似をしないでください。さっそくボクに乗ってゲシゲシと蹴らないでくれませんかね! あなたの復讐相手は既に判明してるじゃないですか!」

「おっとすいませんねーウサギを見ると思わず蹴りを入れてしまう様になってしまいましてね」


 樹とウサギ男は何だかんだ仲が良いですな。


「まったく、遊びじゃないんだぞ! 真面目にやれ!」


 ここで錬が何やら抜かしてますぞ。

 城内に入ったらお義父さんに丸投げした錬がですぞ。


「そう言うのでしたら先陣を切る事ですね」


 クススと樹が皮肉で帰しました。


「まったく……元々口が悪い時があると思ったが切れ味が凄まじいな」

「ワイルド弓なの。ワイルドなおふみもこういった冗談をする時があったなの」

「ガエリオンちゃん? ここで俺を巻き込まないようにね?」

「冗談を続ける……勇者とはこれくらいの胆力が必要か」


 ワニ男がそんな樹の様子をため息をしながら呟きましたな。


「その癖、下手な真似をしようものなら暴走か……盾の勇者様の言葉は聞いてくれるから頼りにするしかない」


 樹がどうも周囲に迷惑をばら撒き気味なのですぞ。

 厄介ですな。

 とはいえ別のループの樹が大人しかったかというと非常に怪しいですぞ。

 初期に手を打ってもギャーギャー騒いで、俺をよく撃ってきましたぞ。

 はっきり言ってあまり変わらないのではないですかな?

 ライバルの詰めが甘いですな。

 樹は大して変わらないのですぞ。


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― 新着の感想 ―
盾も槍も、おかしくなっても勇者をやるのはやめなかったのに、弓はもう勇者放棄して復讐鬼になってるからダメだな…ハイドジャスティスの時も勇者放棄状態だったし勇者適正結構ギリギリなのかも知れない
この樹くん好き。
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