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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1253/1285

名声値・低


「それじゃあ女王様と錬、後は……まあ、良いとして城下町を通過して城に行くよ」

「門はお任せあれですぞ!」

「僕も暴れたいので遠慮なくぶち抜きますよ」

「錬は宣言する感じでね」

「うるさい! お前等絶対に覚えてろよ!」


 という訳で俺たちはメルロマルクの城下町に到着ですな。


「む!? お前は――!?」


 城下町に入ろうとすると大通りに待機していた兵士が女王たちに気づきましたぞ。


「訳あって国内に戻ったかと思えばなんですかこの騒ぎは! 急いで城へ通しなさい!」


 そう宣言する女王に兵士は笛を吹いて応戦するように叫びましたぞ。


「お前は女王陛下であるはずはない! 者共! この無礼者を今すぐ処分するんだ!」

「ほう……俺を前にしても同じ事を言うのか?」


 錬が女王陛下を守るように宣言しますぞ。


「せっかく俺が連れて来たのに偽者扱いか?」

「ぐっ……」


 ザッザッザと招集の笛の音を聞きつけて兵士たちや三勇教の教徒が駆けつけて来たみたいですぞ。

 もちろんその後方には野次馬とばかりに住民も様子を伺ってますぞ。

 錬は顔が広まっていますからな。

 ですが錬の態度が……偽者である事を宣言してほしいとばかりに期待をしているような目つきですぞ。


「剣の勇者様! どうか女王陛下を騙る偽者の言葉などに耳を傾けてはいけません! どうかその偽者たちを捕縛してこちらに!」

「無礼な……ここまで堕ちているのですか。オルトクレイ、わかりますか? これも全て我々の仕出かしたツケなのですからね」


 女王が冷たい口調でクズへと注意してますぞ。


「ふん。本来は正しいメルロマルクの兵士のはずなのだ」


 クズも引くつもりはない様子ですぞ。


「あ……?」


 ちなみに錬の台詞はお義父さんが囁いて言っているのですぞ。


『本物の女王<トゥルークイーン>が闇に支配されし居城<ダークキャッスル>を本来の姿に戻す<イリュージョンブレイク>の凱旋<カイザーパレード>をこれから行う。我等の覇道を遮るものに裁きを下す<ブレイブジャッジメントタイム>ぞ。排除<バニッシュメンド>されたくないなら下がれ! って言うんだよ?』

「わか……そんな事言えるか!」


 どうもお義父さんはラフミの口調で言わせようとしたのですが錬が普通の喋りに翻訳したらしいですぞ。


「オホン! 本物かは城についてからにさせてもらう。ほら、道を開けろ!」

「例え剣の勇者様であろうと間違った者を城内に入れる訳には行きません! 皆の共! あの者たちを返り討ちにするのだ!」


 兵士共が錬の宣言を無視して武器を各々抜いてとびかかって来ようとしましたぞ。

 錬はチラッと俺と樹に視線を向けたかと思うと剣を天高く掲げて叫びましたぞ。


「愚かな連中だ! ハンドレッドソードⅤ!」


 錬のスキルによって無数の剣が空中に現れて兵士たちへと降り注ぎましたぞ。


「「「ぐあわあああああぁあああああああ!?」」」


 そうしてスキルの余波で兵士共は吹っ飛びましたな。

 ですが手加減でもしたのか兵士共は転がっては居ますが死人はあまりいないようですぞ。


「出来れば殺さずですか? 生温いですね。王命に逆らって国を我が物にしている連中なんですから即刻処刑で十分でしょう?」


 ね? と樹が女王とクズに嫌な感じの笑みを浮かべて処して良いかと尋ねてますぞ。


「……ここは私が捕縛の魔法を使いましょう。アイシクルプリズン!」


 パキ! っと転がっている兵士たちを女王が氷漬けにして動けなくしていきますぞ。


「やれやれ……国の膿は迅速に処理すべきだと思いますがね。まあ、この程度の数しか用意できないのならばしょうがないのでしょうかね」

「はあ……樹も兵士たちがもっと集まれば暴れられるって顔しないでさ、町の人たちは……遠目で見てるだけだから良いのかなぁ」

「だ、誰か! こいつらを城下町に入れるなぁあああ! 阻止した者には褒美を与えるぞぉおおお!」


 と、兵士長らしき奴が城下町の連中に向けて助けを求める声を上げてますぞ。

 情けない姿ですな。

 ごくりと言った様子で城下町の町民たちは遠巻きに様子を見ている事しか出来て無いですな。

 まあ、襲い掛かろうものなら即座に切り捨てると言った様子ですからな。

 国内のムードとして亜人獣人、お義父さん……盾の勇者に関わる者達はすべて殺せという戦争ムードでイケイケだったのですがあくまでそれは対岸の火事。

 しかも目の前で剣の勇者を筆頭とした女王とクズが帰還する姿を前にしたらどう動いたら良いか判断に悩んでいるという事でしょう。

 これで盾の勇者であるお義父さんが先陣を切って居たら感情で襲ってくるのも居たのかもしれませんが、代表が錬という事で効果が出ているというのでしょう。


「黙りなさい。貴方には後で相応に罰を与えるとします」


 女王が叫んでいた兵士を更に氷漬けにして黙らせて進んで行きますぞ。

 するとそこに突如吹き矢が飛んできましたが樹が迎撃しましたな。


「暗殺用の吹き矢まで飛ばしてくるとは……よくやりますね」

「なんと……」


 クズも遠慮のない国の暗部からの暗殺攻撃に言葉を失っている様子でした。


「さて……城に行かせて貰おう。お前等……どけ」


 野次馬の町人たちに錬がにらみを利かせるとざっと人垣が二つに割れて城への道が開かれましたな。

 俺たちはそのまま凱旋とばかりに進んで行きますぞ。


「あれが本当に女王様なのか?」

「亜人や獣人も引き連れて……」

「元々シルトヴェルトの連中との和平派だったから……」

「なんとおぞましい……やはり女王を降りて貰って新しい者を据えるべきでは」


 何やらボソボソと町民共が囁き合っていますな。

 そんな事を言っていられる程、お前らの国の情勢は良くないのですぞ?


「なおふみが国内で活躍してないとこうなるなの。あんまり良い感じになってないなの。名声って大事なの」


 ライバルが眉を寄せながらそんな連中に対して呟きますな。

 確かにそうですな。ですが、これも幅なのですぞ。

 似たような事ばかりしない為に選択した結果なのですな。

 という所で樹が迎撃に石を投げようとした子供の手に矢を当ててましたぞ。


「これは警告ですよ。その石を投げる事の重みがどんなものか理解してください……」

「う……く……何が女王だ! 亜人や獣人に肩を持つなんて! 剣の勇者様はなんで――」

「ブブ!」


 豚が子供が前に出ないように抑えてましたぞ。

 親ですかな?


「それはあなた達が間違っているからです。何の罪もない亜人や獣人を拷問して悦に浸ったり自らの正義感という無駄なものを満たして他者を苦しめたからなんですよ? 一つ利口になりましたね」


 樹が説教をしてますぞ。


「樹、それ……あの子には絶対に届いてないよ?」

「でしょうね。あの子が悪い訳では無いのも分かってます。ただ、僕は昔の自分を見ているようで我慢できなかっただけですよ」

「……後々どっちが正しいかが告知されるだろう。だから……思った事は飲み込んでおけ。今……この国の王に歯向かう大罪を犯すな」


 錬が間に入るように注意をして先頭を進んで行きましたな。

 どうやら錬もこの場で一番、発言力があるのは自分であると自覚があるようで時々吐き気を抑えるように口元に手を当てているようでしたな。

 お義父さん曰く、ストレスで吐きそうになっているとの事ですぞ。

 筆頭勇者という扱いが錬に重くのしかかってしまっているそうですぞ。

 まあ、錬は責任感が人一倍ありますからな。

 この状況ではやらねばいけないとわかっているからこそ、その重圧に辛うじて耐えているという事らしいのですな。

 なお「ラフミ許さん。お前の所為でこんな事を……」と小さくずっと呟いてますぞ。

 ブツブツうるさいですな。


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― 新着の感想 ―
元々盾と弓世界から続く因縁ってあたりが救いがねぇーなー
善行が最低限しかしてない分、後味が悪いですね。 高すぎても革命が起きるし、この辺りの調整は本当に難しいですね。 三勇教退治してもまた女王と尚文達を排斥する革命とか起きそうな感じですよね。
主人公たちの正当性が示されるというのになんだろうこのすっきりしない感じは… 本編の尚文達は手探りで情報もないなかよくあのルートに辿り着けたもんだ
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