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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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逃亡生活


「お義父さん! フィーロたんなのですぞ!」

「元康くん、君は自粛中でしょ?」

「う……」


 お義父さんに笑顔で怒られてしまいましたぞ。


「どうせ飛びついてもラフミなの」

「もうしないという話ですぞ!」

「面白いから用意していた! 止めるとはつまらんな」


 ボフっと近づいてきていたフィーロたん達が消えてそれより後にフィーロたんが森の方からやって来たのですぞ。

 おのれですぞ!


「流れは読んでるよ……さすがにクドイから、元康くんとラフミちゃんは大人しくね」

「面白さを分からん奴らめ……こんな茶番に真面目に相手をしてどうする。槍の勇者はこういう時こそ玩具にすべきなのだ」

「俺は玩具じゃないですぞ!」

「嫌がらせする事に関して賛成ですがここで暴れるのはやめて下さい」


 樹にとって大事なモグラの巣なのでラフミに当たりが強いようですぞ。

 そのままラフミに攻撃してほしい所ですな。


「ごしゅじんさまーいたー!」

「うん。フィーロちゃん。メルティちゃん達と城の方から逃げて来たんだよね」

「うん! なんかねーお城でメルちゃん達と一緒に居たら襲われてね。フィーロ蹴ってメルちゃん達を守ってたらどんどん人が増えて来て、メルちゃんのお父さんが逃げようって言うから逃げたんだよー」


 で……お義父さん達はフィロリアル姿のフィーロたんの額に視線が向かいますぞ。

 そこには……フィトリアたんから羽を貰った際にある羽がフィーロたんから生えておりました。


「えーっと……」

「ふむ……この流れで遭遇か。勇者共無しで出会うとはな。いや……あの王がそのカウントで遭遇したという事か」

「逃避行中にフィトリアに会ったみたいなの」


 ラフミとライバルが事情を察したように頷きましたぞ。


「わかるんですか!?」


 婚約者が驚いてましたぞ。


「それは一体……?」


 女王は何がよくわからないという顔ですぞ。


「母上、私は父上と一緒に逃亡中にフィロリアルの女王様に運よく出会う事が出来たんです!」


 くうう……フィトリアたんに婚約者たちは既に遭遇したのですな。


「それでフィーロちゃんと稽古がしたいと話になって……すごく良い勝負をしてこの羽を頂きました」

「そうですか。オルトクレイはなんと?」

「驚いていました。母上にこそその場に立ち会わせたかったとも……」

「ええ、はっきり言って羨ましい出会いをしています。私も伝説のフィロリアルに会いたかったですね」


 女王は伝承マニアらしいですからな。

 フィトリアたんに関しては出会うとそこそこ嬉しそうになるのですぞ。


「あってもそんな喜ぶほどじゃないなの。割と能天気なアホなの」

「そうだな。所詮はフィロリアルの親玉だぞ」

「フィトリアたんを悪く言うなですぞ!」

「事実は変わらん。むしろ槍の勇者と出会わせた方が反応が面白いぞ?」

「それって禄でもない方向だよね」

「ふ……それこそ面白さではないか?」

「余計な事しかしないのかラフミ!」


 錬が文句を言ってますぞ。

 俺はフィトリアたんも大好きですぞー!


「戯言はこれくらいにして逃げた王に会わせてくれませんかね? その後に色々とやらねばいけないし、こんなくだらない事を仕出かしたツケを支払って貰わねばいけませんからね」


 樹がお義父さんに乗ったまま早く話を進めろと意見をしてきますぞ。


「フィトリアたんとの出会いは戯言ではないのですぞ!」

「そうは言いましてもね。はっきり言って僕からしたらどうでも良いです。尚文さん達で相手してください」

「なんですかな? やる気ですかな?」

「尚文さん。続けるなら僕が勝手に動きますが良いですか?」

「まあ……その件はオイオイにしておくべきだろうね。じゃあフィーロ、メルティちゃん……あの王に会わせて貰えるかな? 預けていた子達も気になるし」

「はい。こっちです。父上や母上の派閥所属の影が罠を仕掛けているので引っかからないように行きます」


 お義父さんが進行役として婚約者たちに命じましたぞ。

 影を名乗る豚も周囲にいるようですな。呼べば出てくる感じのようですぞ。

 女王たち共々、俺たちはモグラの巣へと入りましたぞ。

 するとそこには門番とばかりに虎男が部屋の中にある椅子に腰かけて来訪者を見てましたな。


「来客か……その様子、いや……お前等か」

「ああ、久しぶり。調子はどうだい?」

「勝手にアトラを連れてって訳の分からない奴と一緒に生活させられて訳が分からないうちに逃亡生活をさせられたぞ!」


 何なんだ! と虎男はお義父さんに抗議してましたな。


「もう少しの辛抱だからさ。ちょっと……王様と話がしたいんだ」

「わかった。アトラを連れて行くからお前等、話でもしてろ」


 そう答えた虎男は見張っていた扉の中に入って何やら話をした後に虎娘の手を引いて出て行きましたぞ。

 この部屋の中にクズがいるのですな。


「誰が先頭で入りますかね」

「順当な所で奥さんである女王が声を掛けるのが一番じゃない?」


 女王は虎娘を見て扇で口元を隠して目を細めつつ納得したような顔をしてますぞ。


「報告では聞いてましたが……なるほど、では私は先頭で行きましょう。本来あったらこれでもかと説教をした後に制裁するつもりでしたが状況が状況ですからね」


 ブツブツと呟きつつ女王が扉をノックしてから入るので俺たちも続きますぞ。

 すると室内には不愉快そうな眼光のクズが所々ボロくなった服で待ち構えていましたな。

 クズは女王へと視線を向けてバツが悪そうに少し視線を反らしながらお義父さんを見つけて不愉快そうに片方の眉をあげましたぞ。


「このような所に潜伏していたのですね。気分はどうですか? 本来は部下として動かすはずの我が国の膿に追われるというのは……」


 ここぞとばかりに女王が冷たい言葉をクズへと投げかけますぞ。


「奴らは事もあろうにあの子の子供たちの命を狙ったのじゃ! それだけは例え味方であっても許されるものではない!」

「その結果が今という事でしょう? まったく……国教に良いように利用されて城まで奪われるとは」

「……」


 女王の言葉にクズもさすがに言い訳が出来ないとばかりの態度ですぞ。

 何かあるとお義父さんが全て悪いというのが基本なのに大人しいですな。


「盾の勇者であるイワタニ様に全責任があると言わないだけマシと思う事にしましょうか」

「ふん! 盾! よくもあの子をあんな場所に連れて来させたな! その所為でワシはこのザマじゃ! 嬉しいか! この悪魔め!」


 クズがお義父さんを指さして恨み節を吐きましたぞ。


「はぁ……ったく」


 お義父さんもため息交じりに髪を掻きますぞ。

 まあ、ラフミがここぞとばかりに連れて行ったのであってお義父さんが主導で命じた訳ではありませんからな。

 ですがラフミはお義父さんの善意って体裁で虎娘をクズに預けたので、このような事態になったとも言えるのですぞ。


「罵倒は幾らでも聞くよ。人命を軽んじていると言われたら言い返すつもりもない。まあ……お前にやられた屈辱からしたらこっちはしてやったりって所か」


 お義父さんが空気を合わせてクズに言い返しました。


「なんだと!」

「問題は無いように護衛は付けさせたつもりだが? そのお陰でこうして無事に逃げ遂せたのが証拠だろう?」


 フィーロたんを婚約者の護衛をして付けさせた件での話ですぞ。

 どうやらフィーロたんは十分強化してあるので逃げ回る事は造作も無かった流れですな。


「オルトクレイ、今は争っている事態ではないのはわかっているでしょう? 過去の遺恨は理解していますが、この危機を乗り越える事を優先してください」

「く……」

「勇者様方、オルトクレイと会わせていただきありがとうございます。どうにか今一度、私たちの軍の場所に戻して下されば後は、我が国の問題。私共が城を占拠する連中の排除をしますので世界の為に活動をお続けください」


 要するに、三勇教の連中に関してはこちらに任せて欲しいという女王からの配慮のようですぞ。


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ラフミ本当気持ち悪い、早く死んで消えろ
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