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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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タイムアタック


「元康さん」

「なんですかな?」


 ここで樹が俺に声を掛けて来ましたな。


「タイムアタックでしたね。負けませんよ?」

「それはこっちの台詞ですな」


 既に経験済みなので一気に行くのですぞ。

 あの時と同じく速攻ですぞ。

 時間を掛ければかけるほど、ライバルの出現の可能性が高まるのですぞ。

 脳内でライバルが「おめーはどんだけガエリオンがここで出てくると決定づけてるなの!」って呆れた声が聞こえるような気がしますが気のせいですぞ。

 おめーはあっちの世界を平和に世界征服でもしていろですぞ。

 最終的には鬱憤晴らしに樹辺りを飛ばしてやりますかな?

 モグラと一緒に新天地で生活させてやるのも手ですぞ。

 と思い浮かべると別ループの樹が「まさに戦友みたいな関係になってるのに内面ではそんな事を考えてるのですか!」と糾弾の声を上げてますが何かいけないのですかな?

 あっちの異世界に飛ばせたら良い人員も考えるのも手ではあるのですぞ。

 まあ下手したらライバルの戦力増強に使われてしまいますので考えねばなりませんがな。

 ラフミではありませんが飛ばしたら面白い奴は居ませんかな?

 ……ラフミを飛ばすのが一番ですな。

 問題はどうやってラフミを飛ばすかですな。


 なんて考えていると波のカウントダウンが0になりました。

 波のフィールドに飛んで空に亀裂が入りましたな。


「行きますぞ!」

「やりますわ!」

「だっしゅー!」


 ユキちゃんが走り出し、コウが樹を乗せて駆けますぞ。

 ……あの時のループでは樹一行が近くに出現して敵愾心満々で指さされたのですな。


「……」


 タンタン! っと樹がコウの背中というか頭に乗って弓でスキルをぶっぱなしてますぞ。

 ここで遅れは取れませんな!


「ユキちゃん! もっと素早く! 早く突き進むのですぞ!」

「いきますわ! ハイクイック!」


 じゃないと樹に負けてしまいますぞ。


「コウも行くよー」

「ええ、思いっきり走って下さい。元康さんとユキさんに負けられませんよ。あ……ウサギの彼に走らせた方が良かったですかね」

「なんでですか」

「だってあなたウサギじゃ無いですか、鳥に負けるのはどうなんです? その大きな姿と足は何のためにあるんですか?」

「煽りますね貴方……」

「ふ……それとも尚文さんに抱きしめて貰う為にそんな大きな体があるとでもいう気ですか?」


 不敵に樹がウサギ男を煽りますぞ。

 俺のウサウニー姿はお義父さんにモフモフしてもらう為にあるのですぞ?


「どこまでその口の攻撃性があるんですか! 岩谷様が仰ってましたけどあなた、本当……命中の能力をフル活用してますよね」

「なんとでも言ってください。で、その体は尚文さんに抱きしめて貰う為にあるんですか?」

「それを言ったらあなたはどうなんですか? 何かあると岩谷様に乗っかっているじゃないですか、いい加減、ベタベタするのはどうなんですか?」


 ウサギ男と樹が各々罵倒しながら俺の後をついてきますぞ。

 喧嘩は他所でヤレですぞ。


「むしろ貴方はエミアさんとベタベタしてれば良いじゃないですか。なんで岩谷様に何かあると引っ付いているんです?」

「そりゃあ尚文さんの近くにいるとこの国の……クズを見つけやすいからですよ」


 ニヤァっと樹が笑った所でウサギ男が嘆くように首を横に振りましたぞ。


「気持ちはわからなくもないですけどね。本当……この国の騒動は早く終わって欲しいですね」

「仕留めても仕留めても湧く高等存在人間様の愚かな連中に反吐が出ますね」

「言い争いをしている間に一気に畳みかけますぞー!」


 遠慮なく攻撃できるので良いですな。

 今回は樹もこっち側なので方向さえ間違えなければ誤射もありませんぞ。


「リベレイション・ファイアスコールⅩ! エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ!」

「おっと! 何時までも彼の相手をしている暇は有りませんでしたね! アローレインⅩ! イーグルピアシングショットⅩ! からのー……ドライファ・ストーンショットⅩ!」


 俺の攻撃に追いつこうとばかりに樹が範囲攻撃をぶちかまして来ましたぞ。

 俺と樹の広範囲攻撃スキルと魔法を受けて波の亀裂からあふれてくる魔物共は一瞬で消し飛ばされて跡形も残ってませんぞ。


「おっと、ちょっと調整しないと元康さん、あなたが欲している素材の確保とかが出来ないのではないですか?」

「そうですな」


 競争の為に力を入れすぎて素材が消し飛んでしまってしまいましたぞ。

 なので取りこぼした波の魔物には加減したスキルでの攻撃をしつつ……波のボスは秒殺ですぞ。

 絶対にライバルを出させてはいけませんからなぁあああああああああああ!


「樹! ボスを消し飛ばしてはいけませんぞ」


 フレオンちゃんに与えるご飯が減ってしまいますぞ。


「わかってますよ。しかしまあ……こんな簡単な戦いなのに僕は波での戦いであそこまで天狗になっていたんですよね。実にあきれ果てますね。ねえ?」


 シュっと樹がウサギ男に威嚇射撃を行いましたぞ。

 当たらない所に飛ばしたとは言え、ウサギ男はサッと距離を取って睨みますぞ。


「何ですか、ボクに今当てようとしましたよね?」

「いいえ? 当てれるけど当ててないじゃないですか、声を掛けた形ですって」


 樹のひねくれ具合は果てしないですな。


「どうです? 前の波で愚かだった僕の道化具合は実に愚かでしたよね? ほら、賛同してくださいよ。バカだった、アハハハ! と」

「岩谷様が嘆くのでいい加減自粛しないと無理やりにでも押さえつけますよ」

「それは申し訳ないですね。この空を見ると僕自身の愚かさを見せつけられるようで何とも歯痒い気持ちになるんですよ」

「ぶー……真面目に行かないとみんなケガするよー?」


 コウの言葉に樹が子供を慈しむような目で頭を撫でてましたぞ。


「樹たちが問答をしている間に俺がボスを仕留めますぞー」

「ああ、それは既に――」


 波のボスが姿を現した所で……唐突に空から矢が落ちて来てボスを射抜いて仕留めてしまいましたぞ。

 あの矢は一体いつの間に? とは思いましたが走り出した直後に樹が矢を大きく放っていたその一本のようでした。

 まさか布石として放ったとかですかな?

 く……樹如きに先を越されてしまいました。

 悔しいですが抗議している間にライバルが波の亀裂から顔を出しかねないので流れるように亀裂に向かってブリューナクをぶっぱなして閉じさせましたぞ。

 メルロマルクに留まった時の波よりも数秒早く終えることが出来たのではないですかな?

 タイムアタック更新ですぞ。

 ライバル! お前はあっちの世界にいつまでもいろですぞぉおおおお!

 フハハハハハハハハハですな!




「あ、おわったー? すごく早く終わったねー」

「走ってるだけだったよー」

「つまんなーい」


 フィロリアル様方がみんなして感想を述べていらっしゃいましたな。

 こうなったらもはや今回の波など、作業のようなものですぞ。


「そう思っていたので事前に終わるまでのレースと話していたのですぞ! 順位の発表ですな!」

「フッ! ですわ!」


 ここでユキちゃんが一番先頭に立って俺を乗せたままポーズを取ってますぞ。

 もちろん先頭に居たのは俺たちですぞ。


「ユキが一番なのはわかってるよー」

「もっと障害物とか欲しかったー」

「駆けっこでも終わるの早いーもっと追いかけっこしよー」

「良いですぞ。続きですな!」

「「「わーい」」」


 と言う訳でフィロリアル様方によるこの辺りで追いかけっこレースが開始されることになったのですぞ。


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― 新着の感想 ―
しっかしワイルド樹は命中の能力も相まって皮肉屋だねぇ
この後、教皇含めた三勇教の連中が出てきそうだね。もしそうならどう返り討ちするだろうか?
樹が魔法使うのってこれが初めて?
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