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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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影武者


「なんだなんだ?」

「ヴォフ?」

「や、槍の勇者がフィーロに抱き着いてるぞ! 盾の勇者を呼べ!」


 何やら騒がしい声が周囲に聞こえますが、俺は本物のフィーロたんにやっと触れたのですぞ。

 フフフ……ラフミの妨害をやっと突破ですな。


「何やってるんですか……」

「ルナも負けないー」

「ルナ! 離れろぉおおお! 頬ずりするなぁあああああ!」

「こっちも何やってるんですか」


 樹が呆れた声を上げ、俺のように錬に抱擁するルナちゃんを見て同じセリフを言いましたぞ。


「も、元康くん!? それとフィーロ!?」

「ごしゅじんさまぁあああ! なんか槍の人が引っ付いてきたぁあああ! 取れない! 取れないよ!」

「えーっと、ラフミちゃん?」

「なんだ?」


 ラフミが姿を現しましたぞ。


「元康くんからフィーロを守るんじゃなかったの?」

「ああ、問題ない時期になったので身代わりは終わりだ」

「問題ないってフィーロが凄い事になってるけど?」

「ちょっと! フィーロちゃんが嫌がってるでしょ! やめなさいよ!」

「やー!」


 ゲシィ! っとフィーロたんに蹴り飛ばされてしまいましたぞ。

 フィーロたんは婚約者の後ろに隠れるようになりましたぞ。


「フィーロたんは嫌がってませんぞ」

「やー!」

「やーですぞ!」


 敬礼ですな! やーですぞ!


「槍の勇者、これ以上フィーロちゃんに引っ付いたら容赦しないわ!」

「メルちゃんありがとー」


 く……婚約者が邪魔をするとばかりに立ちはだかりましたぞ。


「まあまあ元康くん落ち着いて」

「俺は落ち着いてますぞ」

「んー? キタムラがフィーロに抱き着いたー」

「なんかすごかったねー」

「ふかふかー」


 他のフィロリアル様たちもピンと来てませんぞ。

 そうですぞ。これは愛の抱擁なのですぞ。


「ラフミちゃんもさ、なんか刺激強すぎて元康くんがフィーロに嫌われそうだから守るの延長できない?」

「無理だな。私の代わりが到着したのでな。メルティ王女、フィーロを守り、教育するのはお前だ」

「うわ……メルティちゃんに丸投げするつもりだったのか」

「ついでに槍の勇者という脅威が居ればサクラ化も阻止できる。問題解決だ」

「逃げるわよフィーロちゃん! みんな!」

「うん! フィーロ逃げる!」


 フィーロたんは婚約者を背に乗せて走り始めましたぞ。


「あ、待ってー!」

「みんな行こー! メルちゃんを守りながら追いかけっこー」


 フィーロたんを先頭にフィロリアル様たちが走って行ってしまいますぞ。


「あ、フィーロたーん! 待ってですぞー」

「こ、このまま行かせるのは良くない……そうだ! 元康くん」

「なんですかな?」


 フィーロたんの追いかけっこに俺もついて行こうとするとお義父さんが俺の前に出て遮りますぞ。

 他の奴だったら無視して跳ね飛ばしますがほかならぬお義父さんですぞ。

 どうしたのですかな?


「えーっと、フィーロを追いかけるのも良いけど、元康くんはユキちゃんを気にしないといけないんじゃないかな?」


 と、お義父さんがフィロリアル様たちをリーダーとして見守っているユキちゃんを指さしましたので俺が顔を向けると……ヒィ、ユキちゃんが怪しげな気配で俺を見てますぞぉ!?


「ね? ユキちゃんにも気にかけてあげようよ」

「ユ、ユキちゃん。誤解ですぞ。とても楽しそうに遊んでいるフィーロたんと婚約者たちだったので俺も混ざって追いかけっこしてただけですぞ。俺は君とも追いかけっこしますぞ」


 ユキちゃんを病ませてはいけません。

 出来る限りの魅惑術を駆使してキラキラオーラを纏い、衣服を少しだけ開けさせて俺はユキちゃんのお顔に手を添えますぞ。


「元康様……そうですわね! ユキもみんなをリーダーとして見守ってましたが一緒に遊びたいですわ!」

「そうですぞ! ではユキちゃん、俺を追いかけて来るのですぞー!」

「はいですわ!」


 そう、こうすればフィーロたんたちを追いかけながらユキちゃんの怪しげなオーラを霧散出来るのですぞ。


「では出発ですぞ」

「行きますわー!」


 うふふ……あははは……と、俺はユキちゃんに追いつかれない速度でフィーロたんを追いかけるのですぞ。


「元康くんのユキちゃんの操縦術に関して色々と指摘したいけど……まあ、ユキちゃん。もっと元康くんと距離を詰めて良いと思うから頑張ってー!」

「わかりましたわー!」

「まったく……こんな事態だって言うのによくやりますね」

「メルロマルク国内だったらちょっと大変だけど、こっちはそこそこ平和だからね。メルティちゃんもポータルはすぐに受け入れてくれたし、錬の影武者をしているラフミちゃんが来るまでの時間くらいはね」


 と、樹とお義父さんが話している所を俺はユキちゃんと共に駆け抜けたのですぞ。

 フィーロたーん!

 俺の追跡が始まったのですぞ。怖い気配を宿して走るユキちゃんから逃げねばなりません。




 追いかけっこで十分遊んだ後ですぞ。

 メルロマルクにみんなで戻り、お義父さんは樹を肩に乗せ、ルナちゃんに錬を預けたまま眉を寄せてラフミに顔を向けました。


「それでさ……錬の影武者をしている件で薄々気づいて……敢えて目を瞑ってた報告とかあるんだけどラフミちゃん、聞いて良い?」

「なんだ? 何がラフミにあるんだ? おい!」


 錬が自身の影武者をしているラフミという件で何かあるのか話題に上がったので会話に入ってきますぞ。


「いや、まあ……国内で色々と勇者が活躍する報告とか、こっちも聞いてはいるんだよ。どちらかというと樹がやらかしすぎてこっちに飛び火したら困るかなと思って子飼いの者に仕入れさせていたついでだったんだけど」


 樹は知らぬ存ぜぬと言った様子でお義父さんの肩に乗ったまま空を見てますぞ。

 お前は行く先々で貴族の屋敷や奴隷商人の店に侵入しすぎなのですぞ。

 人間嫌いを拗らせて好き勝手している割にやらかすのが微妙に人助けなのは何なのですかな?


「それでどうして俺の……ラフミの話題になるんだ! 答えろ!」

「何を知りたいのだ? どれの事なのか聞かないと私も答えようがないな」


 ラフミも白々しいのか本当なのかわからない態度で答えますぞ。

 お義父さんは軽くため息をしてからサッと手元にある資料……国内の新聞ですかな?

 に、目を通しながら口を開きました。


「これは錬の国内での活躍が記された新聞だよ。メルロマルク内じゃ今や錬の評価は鰻登り、勇者で一番評価が高いまである」

「う……」


 錬が自身の活躍ではないけれど有名になっているという所で恥ずかしいのか口をモゴモゴさせてますぞ。


「次に報奨金がもらえる時は凄そうだね。まあ……ギルドの報酬とかラフミちゃんが一部こっちに寄付してくれてるけど」

「聞きたいのはそれか?」

「いいや……随分と、いろんな依頼を掛け持ちして日夜メルロマルクの平和の為に日々献身的に活動していると新聞では褒めてるみたいなんだけどね……」


 思わせぶりなお義父さんの態度が気になりつつ俺はお義父さんの持つ資料に目を通しますぞ。

 同様に樹もお義父さんの肩から資料を盗み見ますな。

 何かおかしなことがありますかな?

 なんとなく、俺の脳細胞も資料を見て答えに行きつきそうな気がしますな。

 あ……わかりました。


「ラフミちゃん……国内で活動している錬、何体いるのかな?」

「何!?」


 俺が答えを導くと同時にお義父さんがラフミに聞きました。

 錬はラフミの方に顔を向けましたな。


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― 新着の感想 ―
ラフミお前……いくら何でも分身までして活躍してどうする!? そんなことしたら偽勇者疑惑まで出かねんだろうが!
槍5巻ありがとうございます!
これラフミが優秀すぎて本物要らなくなるパターンでは?
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