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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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ノーコメント


「あなたですか。ウサギな所であのウサウニーって奴の親戚に見えなくもないですが」

「ボクに何の用ですか! そんなウサウニーという人は知りませんよ。兎亜人や獣人なんて探せば居ますよ」

「そうですか。いえ、また会えたのでここで一応、話はしておいた方が良いかと思いましてね。確かにあなたの言う通りこの国は酷いもので何が真実なのかわかりましたよ。警告してくれたあなたには礼を言わなければいけません」

「それでどうしてボクを束縛するんですか!?」

「逃げたからですよ。別に逃げなくても良いでしょう? 生憎と貴方の掲げる正義という代物を理解は出来なくなりましたが否定をする気もありませんよ」

「それって遠回しにボクに謝ろうとしてるって事で良いんですか?」

「どう思ってもらっても結構です」

「貴方は面倒な人になりましたね!」


 ウサギ男と樹がそんなコントのようなやり取りをしていますぞ。


「……やっぱりこのまま撃って良いですか? あのウサウニーという奴を思い出してしまって腹立たしいので」

「やめてください! 全力で避けますからね! これでもボクは鍛えられているんですから!」

「ちょっと樹、うちのテオに乱暴しないで欲しいんだけど?」

「わかってはいるんですけどね。どうもウサギという生き物を見ると殺意が湧いてきまして」

「シルトヴェルトの方にもそこそこウサギ系の獣人、いるからね?」


 お義父さんが樹の態度に深々とため息を吐きながら頭を掻いてました。


「なんていうか……樹を陥れた犯人が獣人のウサウニーだからか、完全には亜人獣人に肩入れ出来ない感じ?」

「いえ、それは……今の感情を表現出来ないのでノーコメントにしておきます」

「そもそも樹、錬と俺、元康くんにこれまでの経緯を説明するって事で話していたんでしょう」

「そうでしたね。わかりましたか、錬さん」

「あ、ああ……俺はその、運がよかったんだな」


 錬が樹の惨状に激しく同情の態度を見せていますぞ。

 まあ、錬の場合は仲間がしっかりと信じてくれたようですしラフミに影武者をして貰えたお陰ですな。

 仮に樹の仲間である燻製共と同じような反応だったとしてもクロちゃんが一緒でしたからきっと助けていたでしょう。

 哀れ樹、フレオンちゃんが居ないとこんなにも不幸になるのですな。

 俺もさすがに樹の仲間がそんな秒速で樹に害をなすとは思いませんでしたぞ。

 精々他の連中に知られないように隠して活動するだろうと思っていたのに予想外でしたな。

 アイツらは樹の権力に集る連中ですからな。それを手放すとは呆れたのですぞ。予想より下の馬鹿ですな。

 何せ樹は身分を偽って活動するのが大好きなパーフェクトハイドジャスティスなのですぞ。

 ピッタリだと思ったのですがな、リスーカ姿でメルロマルクで迫害されつつ実は弓の勇者として活動というのはピッタリだと思ったのですぞ。


「まあ……錬の場合はラフミちゃんも居て問題ないからね」

「問題はあるだろ!」


 錬はキャンキャンと抗議の声を上げてますがそんな錬の態度をルナちゃんは微笑ましいとばかりに見つめておりますぞ。


「誰ですか、そのラフミとは?」

「呼んだか?」


 呼べば現れるのが奴なのですぞ!

 ここで現れるとは……樹や錬にウサウニーが誰であるのか等々いう気ですかな?


「呼んでない。出て来るな」


 錬はラフミへの敵愾心を増して答えますぞ。


「そう言われたら尚の事出なければいけなくなったな。ん? そこにいるのはジャスティスか」

「僕を言うに事欠いてジャスティスと呼びました? どういう事ですか!」


 ラフミのセリフに樹が警戒態勢とばかりに弓を構えますぞ。


「ではこういえば良いのか? 弓の勇者と。それともリスーカとでも呼べばいいのか? ジャスティス」

「なぜ僕の姿を一目見ただけでわかったんですか」

「こいつは元康と同じく未来から来たとか抜かす奇妙な生き物だ! 色々と知っている癖にはぐらかすぞ!」


 錬がここぞとばかりにラフミを糾弾しますぞ。良いぞ、そのままヤレですな。


「未来からの使者は槍の勇者一人じゃない。ここにも居たという事だ。はぐらかすとは心外だぞアゾット。知識があるからと愚行に走るお前たちが言っても説得力は無いだろう?」

「知るか! 犯人がウサウニーって奴なのを知ってたんだな!」

「もちろんだとも。だがむざむざ言う程、私は無粋ではない」

「ウサウニーが何処にいるのか知っているんですか! 言いなさい!」


 樹がラフミに飛びつくように脅しを掛けますぞ。

 その脅しにラフミはどこ吹く風ですぞ。


「ジャスティス、お前をリスーカに変えた奴の居場所はー……」

「その呼び方をやめなさい! 正義なんてくだらない」

「ほう……面白い返事をするな、ジャスティス」

「だからやめろと言っているんです!」

「樹、こいつは幾ら注意しても訂正しないぞ」

「その通りだジャスティス。わかったかジャスティス」

「ラフミちゃん、もうジャスティス言いたいだけでしょ……」

「なら物理的に黙らせるまでです。今の僕は容赦なんてしませんよ」

「ふ……やれるものならやってみるが良い、ジャスティス」


 ラフミが悠然と槌を出して挑発してますぞ。


「は!」


 樹が迷うことなく矢を放ちましたがラフミはサッと避けて矢を跳ね上げあくび交じりに叩いて樹に返しました。

 サッと樹は跳ね返ってきた矢を避けましたが直後に背後にラフミが回り込んでピコ! っと槌をピコピコハンマーにして叩きつけましたぞ。


「な――」

「ふべ!? なんでボクまで!?」


 ウサギ男がとばっちりで倒れましたな。


「最低でもしっかりと強化方法を実践せねば当てる事さえできないぞ?」

「はぁ!」


 っと、錬がそんなラフミに横から剣で切りつけますがボン! っと煙となって避けてしまいました。


「くそ! 器用によけやがる!」

「どうも随分とやさぐれたジャスティスのようだ。中々面白い事になっているな。敢えて答えるとしたらそこまで殺伐としたお前は私や槍の勇者のデータには存在しない」


 お? ラフミがウサウニーの正体をはぐらかしましたな。

 教えるのは面白くないというのを実践してますぞ。


「知らない未来だとでも言う気ですか」

「この一点においてはその通りだ。さて、もう一度聞くがいい。ウサウニーは何処に居るのかとな」

「教えなさい! あのクソ兎は何処に居るんですか!」

「おいバカ!」


 錬が止めましたが樹はラフミに尋ねましたぞ。

 ちなみにお義父さんは時々俺をチラッと見てました。


「ジャスティス、お前をリスーカにしたウサウニーが何処に居るかというとー……」


 錬は完全に諦めの態度、樹は何処までも苛立った様子ですぞ。


「ウサウニーの居場所は?」

「ジャスティスをリスーカに変えた奴の居場所は…………………………教えてやらないよ、チャン!」


 ボフン! と反射的に矢を放った樹の一撃をラフミは煙となって避けました。


「わかったか。こいつは思わせぶりな事を抜かして何も言わないし、余計な事しかしない奴だ。頼りにするだけ無駄なんだ」

「ここまで腹立たしいとは……尚文さん! あの方をどうして連れているんですか!」

「連れてはいないかなぁ……元康くんがフィーロちゃんに飛びつかないようにするのがループしている理由なんだってさ」

「非常に腹立たしい敵なのですぞ!」

「そうですか。心は一つではありますがあのような奴はどうでも良いです」

「よくない!」

「そうは言っても製作者は未来の錬ですぞ」


 俺の台詞に樹が錬を睨みますぞ。


「未来の錬さんは随分と性格が歪んでいるようですね」

「絶対にあんな奴作るか! 並行世界だから繋がってないとか抜かしていたんだぞ!」

「未来改変に対策済みですか。なんて害獣がいるんですか」

「わー……樹、口が悪いなぁ」


 ライバルの言い方になりますがワイルド樹ですな。


「まあ、その……件の犯人に関しては保留するとして。樹、君はこれからどう言った方針で動くつもりなんだい? シルトヴェルトに行きたいなら連れてってあげるよ。コネでシルトヴェルト所属の勇者で活動とかも斡旋出来るけど」


 お義父さんが樹にどうしたいのか尋ねました。


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[一言] ワイルド樹w一巡目の尚文の性格が樹に移ったかw
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