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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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曲解


「はぁ……」


 何やら深いため息を吐いているようですぞ。


「ウサギ男」


 ウサウニーになった事がある俺だからこそウサギ男の悩みへの理解が出来るような気がするので声を掛けてやりましょう。


「なんですか?」


 ふふん。お義父さんのブラッシングはとても上手なのですぞ。

 して貰っている側からするとここまで優越感というのが得られるのですな。


「なんですかその眼付、なんて言いますか絶対に何か勘違いしてますよね。勝利の笑みに見えますけど何を誇っているんですか!」

「お義父さんにブラシ掛けをしてもらえなくてため息をしていたのですな?」

「違いますよ! 断じて違います。あなたはボクの何を見てそんな結論に至ったんですか!」

「盾の勇者に毛並みを整えてほしいのか?」


 そんなウサギ男と俺のやり取りにラフミがフッと現れて尋ねましたぞ。


「お前は余計ですぞ! 帰れですな!」

「そう言うな。私とて暇な時があるのだ。だから暇つぶしに話を聞いてやろうじゃないか」

「暇つぶしに聞くわ謎の優越感で見てくるわ何なんですかあなた達は! ボクを揶揄って何がしたいんですか!」


 何がしたいと言ってもですな。

 割とお義父さんにマメにマッサージして貰っているウサギ男はちょっと羨ましい気はしますぞ。

 ほぼ問題なく関節が動くようになり、勉学も一緒にしているウサギ男。いい加減、成長してお義父さんの手間をかけさせるなとは思いますな。


「お義父さんにブラッシングをして貰いたいように見えますが、ウサギ男。お前はすでにお義父さんにマメな整体をして貰っているのですぞ。それ以上を望むのはワガママだと思いますな」

「だから違うと言ってるじゃないですか!」

「では何が望みなのだ?」


 ラフミの問いにウサギ男は顔を逸らしますぞ。


「別に……既にボクは岩谷様に沢山のものを貰っていますので大きく望むものは何も……」

「ふむ……何、素直に話せないのだな? 私は未来から来た高性能ゴーレムにして精霊でもある存在。状況から貴様の悩みを当ててやろう。どこぞの選択肢をすべて間違う勇者とは違って的確にな」

「誰の事ですかな?」


 ラフミが誰の事を言って居るのかわからない皮肉が混じった事を言ってますぞ。

 選択を間違えた愚かな勇者……おそらくタクトとか樹あたりでしょうかな? いや、ラフミの場合は錬でしょうな。

 シングルベルをするのは誘いを断るからですぞ。

 逃げられないようにキューピットをしなくてはいけないという妙な任務が脳内にあるのですな。


「だ、だれかー! この人たちはボクに妙な真似をしようとしてます! 誰かー!」


 ウサギ男が声を上げますがキールは既に散歩で出かけ、ルナちゃんはその後を追いましたぞ。

 更に助けを求める謎の声はフィロリアル様達の朝の楽し気な会話がテントの外から聞こえて消えましたな。

 お義父さん達が朝食の準備をしているでしょうし、今は俺とラフミ、そしてウサギ男しかこの場に居ませんぞ。


「計測中……ふむ、貴様……盾の勇者にモフモフしてほしいのだな?」

「計算してそれですか! あなた、そこの人が良く言うポンコツですよね!」

「ポンコツとは心外な! 弓の勇者といい貴様といい、私の何処がポンコツなのだ! この高性能なゴーレムにして精霊の私を何だと心得る! 貴様……何が何でも吐かせてやるぞ!」

「そこがあなたの琴線なんですか!? ああもう面倒くさい人ですね!」

「ラフミがポンコツなのは事実ですぞ」


 どうやら図星を突かれたラフミがウサギ男の胸倉を掴みましたぞ。


「良いから話せ、じゃないと貴様が夜中に呟いていた前口上及び練習内容を周囲にばらまくぞ。『例え天が見過ごすとしても、正義は――』と言っていたアレを全文、貴様に化けてな」

「一体いつの間に見てたんですか!? 姿を隠してみてたって事ですよね!? くう……そこの人もきれいに隠れる所があるのは知ってましたけどあなたまでもやるのですか」


 ああ、ラフミも隠ぺいは出来るでしょうな。

 お姉さんも俺並みに隠れ、見つけるのが上手でしたのでその因子を持ったラフミも可能なのですぞ。

 しかし分析して判断する割には無理やり白状させる流れですな。


「早く話した方が身のためだぞ?」

「く……しょうがないですね。絶対に話さないで下さいよ?」

「貴様の態度次第だ」

「……はあ。分かりましたよ。別にこれって理由はありませんよ……ただ、同期のシオンにしろヴォルフにしろ……亜人と獣人姿を行き来できるように変身できるのにボクはまだできずにいるのが悔しいと感じただけです」


 ウサギ男は遠くを見る目をしてましたぞ。


「あの二人が強さにおいて何段も先にいるような……追いつきたいんですよ」

「ふむふむなるほど、つまり獣人化して盾の勇者にモフモフしてほしいのだな」

「嫉妬なのですぞ! お義父さんに撫でられたいのですな!」


 お義父さんに撫でられるのはとてもうれしい気持ちになりますぞ。


「あなた達は話を聞いてたんですか!? 全然聞いてないというか変な答えありきでボクの話を聞いてますよね?」


 俺はお義父さんをモフモフにすることだってできますぞ。お義父さんの魅惑のお腹を堪能したいような気もしてきたのですぞ。

 フィロリアル様やフィーロたんでは得られない要素がペックルのお義父さんにはありますな。


「うわ、その見透かしたって目が凄く腹立たしい! 絶対違うのに黙らせられないのがこんなに悔しいとは思いませんでした。正義とか悪とかよりその顔殴りたい!」


 ウサギ男が怒って怒鳴ってますぞ。


「岩谷様に言って叱って貰います。それとフィーロさんにデマを流しますよ。ラフミさんはともかくあなたには効果がありますよね」


 く、ウサギ男、よくわかっていますな。

 お義父さんは元よりフィーロたんに何を吹き込むきですかな?

 俺が近づけないからと言って口から出まかせを言ったら承知しませんぞ!

 口封じをしますかな?


「まあ待て待て、貴様の本心は分かった。どちらにしても結果は同じだ」

「同じって何が同じなんですか! ボクは強くなりたいんです!」

「本音を偽るなと私は言っているのだ。強くなって獣人化し、盾の勇者にモフモフして貰いたい。それが貴様の本音なのだろう」

「強引に話を持っていきましたね……勝手にボクの悩みとあなたの結論を混ぜないでほしいのですが」


 ラフミがお義父さんに密告しようとするウサギ男の足を止めましたぞ。

 真実だと思いますぞ?

 これまでの事実を組み合わせるとワニ男とヴォルフに負けてて獣人姿で可愛がってもらいたい、強くもありたいという。

 獣人化=強さという図式だと話して俺も理解できましたからな。


「少しずつボクも強化して治療中なんですよ。詳しい方から聞いてるんでいずれ獣人化だってできます!」

「ふむ……そうは言っても上手く出来ていないではないか、何……私は未来から来た高性能ゴーレムだぞ。見てやろうではないか……ふむふむ、なるほど」


 ラフミがウサギ男をしっかりと診断しているのか目から光線が出てウサギ男を鑑定しているようですな。


「オリジナルと同じような特徴があるな。このままでは貴様のその治療とやらには随分と時間が掛かり上手く目標に到達できるかわからんぞ。私のオリジナルが獣人化の芽が低いようにな」

「お前のオリジナルとはなんですかな? チョコレートですかな?」

「それは私のイベント精霊としての部分だ。そこではなくラフ種としてのオリジナルだ」


 ああ、ラフ種のオリジナルというのはお姉さんの事ですな。


「ガエリオンからの情報であるだろう? オリジナルの獣人化だ」


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