空気が読めない
「さてさて、ヴォルフがどうやらツメの勇者になってしまったようですが、そんなことよりタクトの処分ですぞ」
「何をする気だ?」
「あ、バカ……関わって良い事じゃありませんよ」
「かといって放置して良いのかこいつ?」
「というよりこの方は早めに殺してあげた方が幸せなんじゃないですか? そんな気がしてきました……こう、物語みたいな感動的なエピソードがヴォルフにはあるようで、色々と根ほり葉ほり聞いて盾の勇者伝説の一ページとして間近で感動していたいんですけどね」
ウサギ男がちらちらと俺の槍で三色団子になっているタクト共に視線を向けてますが知りませんな。
「本当、ヴォルフが倒さないと締まらない展開ですよね。あの方は実に場の空気が読めませんよ」
「なんですかな? 文句があるのですかな?」
サッとウサギ男がワニ男とお義父さんの陰に隠れますぞ。
「あー……元康くん。その人を苦しめないといけないってのは分かったけど具体的にどうするの?」
「そうですな。ここで仕留めるとタクトの残党が散らばって世界中で暴れるので事後処理はしっかりとしないといけませんぞ」
じゃないと面倒ですからな。
タクトは出来る限り苦しめてやらねばなりませんぞ。
そのためにはまず残党が暴れる前に処分しなくてはいけませんな。
「ツメの勇者って確かシルトヴェルトの勇者だよね? ヴォルフもこれからシルトヴェルトの方でタクトの悪行を報告する流れにしないといけない感じかな?」
「そうなるが……表向き鞭の勇者が悪事、複数の七星武器を所持して隠蔽をしていたと信じて貰うための証拠が必要となる」
後で知ることになるのですがヴォルフことマガルムは大雑把な兄に比べると少しは知恵が回るというか勉強をしていたので交渉に関しては上なのだそうですぞ。
人づきあいが下手な兄の手伝いをしていたとか何ですな。
「その辺りはフォーブレイの方へ行けば万事解決なのですぞ。こいつをこうして生け捕りにしたままフォーブレイの豚王のもとに連れて行き、目の前ではく奪をすればいいですからな。何を隠そう、現在の状況でも鞭と槌をこいつは所持していますぞ」
聖武器の勇者の名のもとに剥奪でタクトから二つの武器が出れば動かぬ証拠となりますぞ。
後は豚王にお任せしてタクトの豚共は一斉に出荷すればいいのですぞ。
「ッ!! ッッ!!!」
タクト共が懸命に抵抗しようとしてますがさせませんぞ?
これからお前は豚の処理場に出荷ですからな。
で、ヴォルフが信じられない者を見るかのように俺を見てますが気のせいでしょう。
尊敬する兄の仇ですぞ?
お前もタクト被害者の会会員でしょうから存分にこいつが苦しむ様を見せてやりますぞ。
「社会的に抹殺する方法はすでに把握済み……みたいだから良いのかなー……」
「激しく同情するが話を聞くだけでも相当邪悪な奴のようだな」
「そのようですね。罪の告発が行われ然るべき罰が下されるのならこちらもあまり正義を振りかざす必要は無さそうです」
「くーん」
ヴォルフが記憶が戻ってもお義父さんの後ろに隠れて何やら鳴いてますぞ。
「汚物がいつまで槍に引っ付いているのですぞ!」
振りかぶって三色団子を引き抜いてやりますぞ。
そうですぞ。槍の精霊への嫌がらせにタクトの尻にぶっ刺してやりましょう。
ドスっと尻を拡張してやりました。
「――ァ!!!」
「なんて理不尽……もう誰も止められそうにない。元康くん……えっと、ほどほどにね」
「さすがのお義父さんの命令でもこれには従えませんぞ。タクトに慈悲は与えてはいけないのですな」
どんな慈悲を与えてもタクトには感謝という言葉はありませんぞ。
おそらく赤豚本体から何か能力を貰うのが転生者らしいのですが感謝はおそらくしてないだろうとこれまでのこいつの性格から分かりますぞ。
ともかく縄を取り出してタクト共を縛り上げてやりますぞ。
もちろんサイレンスランスで沈黙も維持ですな。
下手にマヒが弱まった際にスキルで逃げられるかもしれないですからな。
「色々と処分しなくてはいけませんが出発の準備ですぞ」
ドラゴンとグリフィン、そしてキツネ、そして豚の死体の処分ですぞ。
「シオンの闘技場参加祝いから随分と物騒な話になっちゃったなぁ……」
「ああ……どうしたらここからヴォルフの出生とツメの勇者の話につながるのか……」
「いろんな出来事が繋がっているという事なんでしょうけど、圧倒的な暴力の前に出来事がスキップされたような気がしますね」
「くーん……アイツは俺が倒すはずだったんだが……」
ユキちゃん達にも協力して馬車を用意し、フォーブレイに一目散に行かねばいけませんぞ。
ポータルで行けたらよいのですがタクトを奴隷化は現状できませんですからな。
「随分と遅いから迎えに来てみれば……なるほど、そいつに絡まれていたのか」
ここでラフミが事もあろうにフィーロたんと一緒にやってきましたぞ。
そういえばこちらの拠点に遊びに来ていたのでしたな。
「んー? 何やってるのー?」
「えっと……フィーロ、お前は気にしなくて良い。少しあっちでシオン達と話をしててくれ、テオともな」
「えー……」
フィーロたんはウサギ男の事をまだ警戒してますぞ。
「そうですね。じゃあ何を話しましょうか」
「ウサピルの人とシオンお兄ちゃんとお話ー? ウサピルの人のお耳っておいしいの?」
「美味しくないです! 本当、あなたはフィロリアルですね!」
「ふむ……フィーロ、そこで転がっている石を投げるから拾う遊びをするぞ。盾の勇者ともやっていただろ?」
「ここでー? わかったー」
と、ワニ男が小石を投げてフィーロたんが拾ってくる遊びをしてますぞ。
くう……フィーロたんに飛びつきたいですがラフミが邪魔をしますし、今はタクトの処分ですぞ。
ラフミは転がっているタクトに視線を向けますぞ。
「なんですかな? お前も邪魔をするのですかな?」
「それはない。こいつは世界の敵にして精霊を拘束するクズだ。あの方も嫌悪する処分対象だからな。槍の勇者、よくやった」
「わー……彼の味方で出てきた訳じゃないんだね」
「なぜこいつの味方をしなくてはならない。そもそもこいつはチョコレートを大事にせず……いや、愛という代物を完全に間違って認識している撃滅対象だ」
ラフミの話だとどうやらタクトはバレンタインを随分と身勝手な感覚でいるとの話ですな。
「どれだけチョコを貰ったのかを誇りにするのはいい。だがお返しに関して気色悪い代物で返すコイツは完全にチョコを冒涜している」
「なんかラフミちゃんなりのルールに違反してる感じかなー?」
「そもそもとしてこいつは愛を肉欲としか感じていない。女の敵である。まあ、群がる者共も魂単位で腐っている奴らだがな」
ラフミはヴォルフのツメにも視線を向けましたな。
「ツメも忌まわしきこいつの手を離れ、前回の所持者の縁のモノの手に渡ったことで満足はしているようだ。しっかりとその精霊の願いに沿うようにするのだな」
どうやら問題はないようですぞ。
「で、この愚か者にどのような処分を下すのだ?」
「もう決まってますぞ。ラフミ、邪魔はさせませんぞ」
「邪魔などしない。精霊を冒涜したものに最高の地獄を味わわせるのだ」
「わー……四面楚歌とはこのことかなー」
「同情、できないですが哀れですねー」
「うむ」
「くーん……」
そんな訳で急遽馬車を用意して出発ですぞ。
ユキちゃんに声をかけて来てくださったので馬車を引いて貰うのですぞ。
夜通しで移動ですな。ユキちゃん以外も交代で走る楽しい時間ですな。
その間にタクトを苦しめる拷問を考えましょう。
おっと、道中で一本一本指を削りながら回復魔法を施して治療する拷問もしなくてはいけませんぞ。
パラライズランスで動けないでしょうが痛覚の遮断はしないように麻痺毒の調整も視野に入れねばいけませんな。




