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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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蹴られる大任


「お怪我はありませんでしたか?」

「無い。道中で妙な連中が絡んできたがキタムラ殿が返り討ちにしたのでな。そして……王には話を聞き入れてもらえそうになかった」

「……そうですか」

「なに……特に問題はあるまい。それで気になったのが本当にイワタニ殿をシルトヴェルトに送らなくていいのだな?」

「ええ、そこに居る槍の勇者殿は世界中を瞬時に移動する力を持っているようでシルトヴェルトにも容易く行けるのだが……」

「そうか……それはなぜだ?」

「俺個人の事情も大きいけれどお義父さんが下手にシルトヴェルトに公に到着すると戦争になったのですな」

「む?」

「どうも北村様は同じ時間を過ごしているそうで、未来を知っているそうですよ」

「自分とエクレール様が再会することも他の時間では余りないようです」


 エクレアにワニ男たちが色々と事情を説明してますぞ。

 お姉さんたちの保護もその辺りに関わっている説明をしているようですな。


「あの王がその真実を知ったら出兵させる可能性は確かにあり得るか……女王はどこにいるかわかっているのか?」

「日付次第では教わっていますが今の時期にどこにいるかは分かりませんな」


 フォーブレイ辺りに居るかとも思いますがどうもその辺りは確定じゃないのですぞ。


「ふむ……出来ればすぐに女王に謁見し事の成り行きを説明したい所ではあるが、仕方ないのか」

「何にしてもあの傲慢な王が物語のように裁きが下る時を待つ事にしましょう。どうも勇者様方に考えがあるみたいですからね」


 などとウサギ男が待ちの姿勢をしてますな。


「それでイワタニ殿たちは何をしているのだ?」

「どうも槍の勇者殿に頼まれてフィロリアルの育成の為に動かれているようです」

「もっとも大事な時期なのですぞ。変な事をしたら何が何でも許しませんぞ」


 こういう時に妙な横やりが入って台無しになることが多いので厳重に注意しなくてはいけませんぞ。


「お義父さんには最大限注意しているので俺のお願いしたこと以外はしないはずですぞ」

「接触禁止と言えど不安だ……」

「ふむ……シオンがそこまで気にするとはな。なんとも面白い話ではないか」


 エクレアがワニ男に向けてクスリと笑いますぞ。

 するとワニ男は恥ずかしそうに顔をそらしていますな。


「色々と派手に暴れましたからね……妙な連中に絡まれていないと良いのですけど」

「一緒に居るのがサディナだからな。心配は無用だとは思いたい所だ」

「逆に心配ではありませんか? あの人がどれだけ周囲の人たちを酔い潰したか……二人きりという状況を利用して何をしでかすか分かったもんじゃないですよ」

「ううむ……何やら危険な事なのか?」


 エクレアの問いにワニ男がため息をしましたぞ。


「正直に言えば何かあった方がマシという位には何もない。それが此度の盾の勇者様だ。槍の勇者が事あるごとに経験しろと言っている位、浮ついた事はしていない」

「ふむ……私も少し話をしたが人当たりはよさそうだと感じたな。世間の噂とはまるで異なる性格をしているという事で良さそうだな」


 確かにお義父さんはお姉さんのお姉さんと仲良くして早く童貞を卒業してほしいのは事実なのですぞ。

 じゃないと本当にライバルが帰還するのも時間の問題ですからな。


「何にしても女王が帰還するまで私は勇者殿たちの元で警護をしようと思っているのだが……」


 エクレアが俺の方を見ますぞ。


「あいつは守る必要はない。むしろ妙に暴走する時があるから説得するのが仕事みたいなもんだ」

「ええ、下手をすると麻痺させたり眠らせてきたりと厄介極まりないですよ。普段はフィロリアル相手にずっと遊んでいる方ですね」

「そ、そうか……」

「特にすることが無いのでしたら自分と稽古をして貰いたい所ではありますが、エクレール様、体調を考えて休んで頂きたい」

「このような事態に休んで等居られないと思うのだが……」

「むしろ今だからこそ休むべきでしょう」


 エクレアは休ませる方向のようですな。ワニ男はその間エクレアの護衛をするようですぞ。


「では暇そうなウサギ男を借りますぞ」


 バッとウサギ男が俺から距離を取るように下がりましたがそのまま接近して捕らえますぞ。


「な、なにをする気ですか!?」

「お前には大事な役割を与えることにしたのでその準備の為にLv上げと強化を施してやりますぞ。ああ、俺をちゃんと信用しないと大けがしますぞ」

「ですから何をする気だと聞いているんですよ!」


 何をと言ったら決まっていますな。

 いえ、決めたのですぞ。


「そんなの決まってますぞ。お前には後でフィーロたんと一緒に荷車で移動するお義父さん達を爆笑してフィーロたんに蹴られる大任をして貰うのですぞ」

「なんですかそれは!? 何の意味があってそんな事をしなくちゃいけないんですか!」

「全てはフィーロたんと出会うための大事な再現なのですぞ。俺が笑う役をするのは避ける方向でよいそうなので誰か笑う役をしなくてはいけないのですぞ」

「だからってなんでボクなんですか!?」

「丁度良さそうだからですぞ。ですがお前がフィーロたんに蹴られたら痛いで済むかわからないので少しばかり鍛えておいた方が良いと思ったのですぞ」

「助けて下さい! 凄く理不尽な役目を与えられてボクが謎の悪役をさせられそうになってます!」


 ウサギ男がテント内に魔物商の配下へと助けを求めますぞ。

 サッと顔をそらされましたな。

 更にウサギ男はワニ男に顔を向けました。

 何ですかな? 邪魔をする気ですかな?


「あー……他に適役は居ないのか?」

「怠け豚が良いと思いましたが逃げるでしょうな」


 ササっと帰ってきたと思った怠け豚は早速空中ブランコの補助のハンモックで寝ております。

 お前の定位置はそこなのですかな?


「ボクだって逃げますよ! エレナさん! あなたにその役目を譲りますよー!」

「ブー……ブー」


 怠け豚は爆睡して全く起きる気配が無いですな。

 樹を相手に何をしていたんですかな? 後で問い詰めてやりますぞ。


「まあ……テオドール、お前演技が上手と褒められていただろう? 槍の勇者の望む通りの演技をしてやれば良いんじゃないか?」

「かといってフィロリアルに蹴られるってシャレになりませんよ!」

「確かに当たり所が悪いと怪我では済まないとは思うが……」


 ワニ男とエクレアがウサギ男を相手に難しそうな顔をしてますぞ。


「勇者独自の強化をそのフィーロとやらにはまだ施す予定は無いのだろう? なら今のうちに強化しておけば良いだろう。槍の勇者が徹底的に強化してくれるなら受けても悪くはあるまい」


 諦めろ……とワニ男はため息をしましたぞ。


「シオンじゃダメなんですか!?」

「どちらかと言えばウサギ男、お前の方が良いですな」


 ある程度、身ぎれいにすると顔はそこそこよいウサギ男の方が俺の代役としてピッタリですな。

 俺に似てるか赤豚に似ているかの二択な所ですぞ。

 ここでワニ男に爆笑されてもフィーロたんになるか未知数ですからな。


「いつまでもグチグチ言い訳せずに行きますぞ」

「ぎゃあああああ!」

「あーキタキタ、何するのー?」

「混ぜてー」

「一緒にあそぼー!」

「遊びに行きますぞー」

「「「わーい!」」」

「エクレア、お前も来ますかな? Lv上げをついでにしてやってもいいですぞ」

「い、いや……遠慮しておこう」


 エクレアがなぜか断りましたぞ。


「その方が良い。ああ、凄腕の師範代がここに居るからあとで紹介する。教えて貰うと良い」


 ワニ男がエクレアにそういって老婆とパンダの祖父を紹介するようでしたぞ。

 という訳で俺はフィロリアル様と一緒にウサギ男を連れて狩りへと出かけたのですぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 蹴られる役は槍の勇者、自分でよくない? だって・・・・・・そ、その、ご褒美みたいなもの、なんでしょ?あ、いや、大切なことか。
[一言] キタキタと呼ばれたりする元康、そして『ですぞ』口調… もしや元康はキ〇キタ親父…!?(違)
[一言]  燻製に蹴られる役をさせるのが良いんじゃないか?  三勇教の関係者に変装して「何日の何時頃に盾の悪魔が鳥の魔物を連れてとある村に来る。報酬をやるから公衆の面前で貶めてやれ」とか言って金と酒で…
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