表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1110/1285

結束が深まる


「ヴォルフはともかく二人とも聞いてた? 早く逃げて助けを呼んでくるんだ!」


 しかも攻撃に工夫と言いますか急所を狙ったり一点突破で攻撃して魔物に致命傷を与えたとの話ですぞ。

 戦闘に関しては10分くらいだったそうですな。

 奴隷達は雄々しく戦った影響でボロボロになったとかなんとかですぞ。

 後にお義父さん達が遭遇した場違いな魔物ですが、先ほど酒場で聞いたはぐれ魔物だったようですぞ。

 ともかく、奴隷達は力を合わせて魔物を倒し息も絶え絶えに揃って勝利の雄叫びを上げて拳を合わせたのですぞ。

 戦闘終了後に命令無視した件をお義父さんは咎め、一様に三人とも反省した様子ではありましたが結束が深まったとの話ですな。

 お義父さん曰く、また命令無視しそうだと頭を抱えている所為でお疲れに見えるのですな。

 ウサギ男曰く、主人を見捨てて逃げるなんて奴隷として出来る事では無いと屁理屈を捏ねられてしまったそうですぞ。

 雑種のリザードマンも同意していたとか。

 俺も理解は出来る忠誠ですな。

 お姉さんもおそらくお義父さんと一緒に戦って強力な魔物と遭遇したら似たように行動したのではないでしょうかな?


「まったく……勇敢だとは思うけど嘆かわしいよ」

「気持ちは分からなくはないですな。それだけお義父さんを慕っているのですぞ」


 俺だって似た状況だったら逃げるという選択は難しいでしょう。


「だからと言ってね……まあ、ヴォルフやシオン、テオには後で説教しておくとしてね。みんなそこそこLvも上がったし、しばらくは戦闘の練習していかないとね」


 Lvだけが全てじゃ無いですな。


「ああ、さっきなんで戦うかは聞いた。波に挑むのなら協力は惜しまん」

「ええ、岩谷様の為にボクはこの剣に賭けて頑張ります」

「わうー!」


 と、三人の奴隷も波での戦いに関してやる気に満ちているようですぞ。

 大分馴染んできたのか雑種のリザードマンとウサギ男はサーカスの方でも別の演目に参加出来ないか模索を始めたようでしたな。

 ゾウや俺相手に稽古を申し込んで居ましたぞ。

 結束は強まった様ですな。




 そんなこんなで二週間ほど慌ただしく過ごしました。

 そろそろお姉さんのお姉さんと確定で出会えそうな時期ですな。

 と言う訳でお姉さんとその友人達を連れてルロロナ村の廃村へとやってきましたぞ。


「……」


 ヒューと風が吹く中でお姉さんのお姉さんがこちらに気付くまで待機をすることになりましたな。


「ここがラフタリアちゃん達の村なんだね」

「はい」

「うん……みんなで復興させようと頑張ったんだけど……」

「奴隷狩りにあったんだったね」

「そう……」

「ブブ!」


 キールが元気よくお義父さんに何か抗議してましたな。


「うん。わかってるよ。みんなを早く集めたいね」


 二週間の間に立ち寄った街でお義父さんは何名かお姉さんの同郷の者を見つける事が出来ました。

 ですが全員と言うわけでも無いのが辛い所ですな。

 しかも虐待を受けている者が多いので治療費も馬鹿に出来ない状態なのですぞ。

 とはいえ、最近ではテント内に治療所を確保して俺とお義父さんが回復魔法などで治療をし始めておりますぞ。

 行商に使わないという制約をして薬作りを覚えてきている感じですな。

 ヴォルフやウサギ男の治療にも役立つとの話でお義父さんが夜遅くまで勉強をしておりました。


「ここにコイツ等の姉が来るのか」


 で、シオンが今回同行していますぞ。

 何やらお姉さん達と出かける際にお義父さんを呼び止めて何処に行くのか聞いてきた所で一緒にいきたいと言うので付いてきたのですぞ。


「らしいよ。シオンは何か気になるの?」

「いや……ちょっとだけこの辺りを見て回っていて良いか?」

「良いよ。ちゃんと帰って来るならね」

「奴隷紋に命じておけ。隣町くらいまでしか行かない」

「あんまり設定するのは好きじゃないけどわかったよ」


 お義父さんが雑種のリザードマンの奴隷紋に命じているようですぞ。

 それから雑種のリザードマンは散歩と称して一直線に何処かへ行ってしまいましたな。

 やがて……日が沈んで来た頃ですぞ。

 焚き火を焚いているとシャチ姿のお姉さんのお姉さんがノソノソと海からやってきましたな。


「サディナお姉さん!」


 お姉さんがお姉さんのお姉さんに気付いて駆け寄りました。


「あら! ラフタリアちゃんじゃない!」


 お姉さんのお姉さんが駆け寄ってきたお姉さんを強く抱きしめていましたぞ。


「良かった。お姉さん随分と探したのよ……怪我は無い? みんなも居るようね」

「うん」

「ブブー!」


 お姉さんの友人達がお姉さんのお姉さんの元へと駆け寄ってこれまでの経緯を話していましたぞ。

 それから恩人であるお義父さんへとお姉さんのお姉さんは近づくと。


「あれ? ラフタリアちゃんのお姉さんって」

「あら?」


 お義父さんがお姉さんのお姉さんを見て意外そうな声を上げましたぞ。


「またまた会っちゃったわね。まさか貴方がラフタリアちゃん達を保護してるなんてお姉さん知らなかったわー」


 お姉さんのお姉さんはお義父さんを知っているような言い方で答えますぞ。

 一体何故ですかな?


「お義父さん、知っているのですかな?」

「うん。奴隷買い取りの帰り、シルトヴェルトの使者と一緒に酒場に寄ったりするんだけど各地の街で時々出会った人」

「やーなんか重鎮っぽい人ねーと思ったけどまさか勇者様だとはお姉さんも気付かなかったわー」

「お酒をもの凄く誘ってきたよね。こっちの人を平気で酔い潰してたし」


 そういえばシルトヴェルトの使者が酔い潰れてお義父さんに支えられて帰ってきた事がありましたぞ。

 他にも魔物商の配下も同様に撃沈していた事がありました。

 お姉さんのお姉さんと出会っていたのですな。

 アレですかな? メルロマルク内にある亜人や獣人が入れる酒場に行くと実はお姉さんのお姉さんが立ち寄っている可能性があるという事でしょうかな?


「やーん。お姉さんが勧めたお酒を飲んで平気な人だからお姉さんも覚えてたけど素敵な出会いねー」


 お姉さんのお姉さんが友好的な態度で居ますぞ。

 なんと、お義父さんがサーカスで各地を回っていてもそこそこ出会うのですな。


「こっちは酔い潰れた人を支えながら帰らないといけなかったから大変だったけどね」


 お義父さんが苦笑してますぞ。


「それで貴方がサディナさんで良いのかな?」

「そうよーラフタリアちゃん達を保護してくれてありがとう。お姉さん、お礼を言うわ」

「うん」

「ラフタリアちゃん……御両親の代わりに私がラフタリアちゃんのお世話をするわね」


 この流れは……随分と昔ですが赤豚本体を倒す前にループしていた時、フォーブレイに向かったループの次の周回の流れと似てますな。


「村の皆もいるけど、領主様や権力者はいないし……どうしようかしら。みんなを連れて他の国に向かうべきかしらね。あんまり勇者様に甘え過ぎちゃいけない気もするわ」

「え……あの、サディナお姉さん。あのね。盾の勇者様が村のみんなを探すのを手伝ってくれてるの。だから村を復興させたい……あの日の旗に誓ったの」


 お姉さんが張り付いた笑顔で言いますぞ。

 この辺りの流れは同じなのですな。

 お姉さんのお姉さんはお姉さんや村の者たちの保護は考えますが復興は難しいと判断しているのでしょう。


「でもねー……」

「そこは安心して良いですよ。ゼルトブルの方でみんなの避難所を確保してます。復興を行う場合はメルロマルクのゴタゴタが片付いてからでも良いかと」


 女王が帰還するまでの辛抱ですな。

 三勇教は……今回はお義父さんが神鳥の聖人をせずにいますがどうにかすれば良いだけですぞ。

 どうやら聖人過ぎてもいけないようですので最初の世界くらいの基準でやるのが良いそうですぞ。

 そういえば、再度ループした時も上手く事が運びましたな。

 あれくらいでも良いと言う事でしょう。

 まあ、最悪俺とお義父さんがフォーブレイに乗り込んで三勇教は邪教であると証明しつつ女王を無理矢理連れてくれば村の再建は可能ですぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ