脳内嫉妬
翌日ですな。
お姉さん達が入院している治療院に行きますぞ。
するとお義父さんも準備を終えていたのか出発準備をしておりました。
ユキちゃん達もすくすくと育って来ておりますが誰かを乗せるのにはまだ少し時間が必要ですぞ。
「元康くんおはよう」
「おはようございますですぞ。お義父さん、しっかりと休んで居ますかな?」
「それは元康くんでしょ。朝まで狩りとかしてない?」
「確かに夜は遅かったですが多少は寝ましたぞ」
「それなら良いんだけどね」
お義父さんが苦笑気味に仰いました。
確かに健康は大事ですからな。
あんまり徹夜を続けるとキューティクルや肌がガサガサになってしまいますぞ。
「それで……経過はどうかな?」
「絶好調ですぞ! ユキちゃん達のLvは十分上げましたぞ!」
「「グア!」」
ユキちゃんとコウが俺の後ろで各々鳴きますぞ。
「確か元康くんの話だとフィロリアルって生まれてから大人になるまで環境に影響を受けやすいんだっけ、ユキちゃんはリーダーになって貰うって話だけど大丈夫?」
ふむ……確かに少々不安なのもまた事実ではありますな。
最初の世界……ホワイトスワンのユキちゃんは俺が育てておらず、俺の育てたフィロリアル様と仲良くしている所為かあまりリーダー的な行動はしておりませんでした。
本人的に引退羽という認識だったようですぞ。
俺が村にユキちゃんが居たのを知ったのは赤豚本体を倒した後ですからな。
何よりこの周回では既に他のフィロリアル様方がいらっしゃいますから他のループのクー、マリン、みどりの様に大人しくなってしまう可能性は否定出来ません。
元々気性の荒いホワイトスワンであるユキちゃんが後発育成の結果、リーダーシップを持たない場合はクロちゃんがリーダー的になってしまいますぞ。
どうしたら良いか……これは前回のループのお義父さんが仰っていたサクラちゃんをフィーロたんに育て上げる考察に通じるモノがありますぞ。
ならば手は一つですな。
元々リーダーになって欲しいとユキちゃんには期待して居るので大丈夫だとは思いますが念入りにお願いするのですぞ。
「ではユキちゃん」
「グア?」
俺はナンパをする際のキラキラしたイメージでユキちゃんのお顔に手を当てて語りかけますぞ。
「君にはこれからフィロリアルの皆を導くリーダーになってもらいたいのですぞ。きっと君ならこの大任が出来ると俺は信じていますぞ」
「グ、グア……」
「わー……なんか元康くんが謎のキラキラする美形な感じでユキちゃんを口説いてるみたいな感じだー」
「グアグア」
お義父さんとコウがユキちゃんにお願いする俺を見ながら仰いますぞ。
これぞ豚共を励ますときによくやった根性論ですぞ!
それと脳内でこれまでの周回のユキちゃんが何故か悔しそうな顔をしております。
一際その悔しげな……ヒィ、病んだフィロリアル様のオーラを纏うのはフレオンちゃんと再会出来た周回の大人ユキちゃんですぞ!?
「ユ、ユキちゃんがんばるのですぞ!」
「グア!」
任せて! っとばかりにユキちゃんは片手を上げて下さいましたぞ。
これで一安心ですぞ。
「そんな訳でユキちゃんはがんばってくださるそうですぞ!」
「語りかけるだけで分かってくれるんだ?」
「グア?」
コウは小首を傾げていますぞ。
「コウはゾウとお姉さん達と仲良くして居れば良いですぞ」
出来ればお義父さんを侮るようになってはいけません。
トラウマを解消するのが大変なので経験しないのが大事なのですぞ。
「グアー?」
そう言えばコウをお姉さん達に紹介してませんぞ。
「それでお義父さん。お姉さん達の容態はどうでしたかな?」
「大分回復してきてるよ。リファナちゃんも起き上がれるまではね。ラフタリアちゃんから話を聞いていて協力したいって昨日はずっとお願いされちゃってね」
お姉さん達もやる気があるのですな。
「奴隷の買い付けの際には同行しても良いよって言ったのだけどそれ以外でも協力したい、助けられてばかりじゃダメだってラフタリアちゃんの張り付いた笑顔で言われると素直に頷けなくなっちゃうよ」
やや困り気味にお義父さんは仰いました。
この頃のお姉さんは無理に頑張っているようですからな。
お姉さんの友人がいてもここはあまり変わりませんぞ。
「ではどうするのですかな?」
「今は少しでも元気になるのが仕事だよと宥めておいたよ。夜絶叫を上げるから泣かないようにして上げるのも大変だね」
とばかりにお義父さんも少々お疲れな様子ですぞ。
「ここはコウが育ったら協力出来る事ですな! コウ、ゾウに色々と教わりつつお姉さん達とも楽しくお泊まりするのですぞ」
「グアー!」
「ユキちゃん達がやらなきゃいけない事がどんどん増えてくね」
ユキちゃんとコウの大事な役目ですぞ。
お姉さんのお姉さんと合流するにはどうしたら良いでしょうかな?
「後はそうですな。お姉さんのお姉さんが居ればお義父さんの負担は軽減出来るとは思いますぞ」
「ラフタリアちゃんにお姉さんがいるんだ?」
「そうですぞ。お義父さんとは気が合う方ですな」
「へー」
「ですが今の時期に出会うのは中々難しいですぞ。移動しているのか居場所が固定ではないのですな」
「中々大変そうだなぁ。居たら助かるんだろうけど」
この時期はまだ村に行っても合流は上手く行かないのですぞ。
どうやら少しの間、国内を巡っているようですからな。
居そうな所の酒場辺りにお義父さんに居て貰えば拾って来そうではありますが……。
早めに合流する場合は女王などの口利きで既に脅威が払われていた状態でしたぞ。
「少し待てば……具体的にはお義父さんが冤罪を被って二週間くらいした頃にお姉さんの住んでいた村の跡地に居ましたぞ」
「じゃあその頃にラフタリアちゃん達とその村へ行けば合流出来そうだね」
「ですな」
何、すぐですぞ。
その頃になれば……考えてみればドラウキューア山脈がギリギリ活性化中だったような気がしますぞ。
ですがポータルで行くにしてもしばらくLv上げに費やす状況になってしまいますな。
……今はLv上げよりも足場固めな時期なので見送る事にしましょう。
必要な時に上げれば十分ですぞ。
「では出発ですな」
「そうだね。ヴォルフ達の方でもご飯を作っていかないと、あっちはフィロリアル達も居るから大変だ」
お義父さんが腕まくりをしております。
食事は大事ですからな。
こうして俺達はメルロマルクに密かに戻ったのですぞ。
サーカスをそろそろ開始しなくてはいけませんからな。
「やーやーサーカスの始まりだよー!」
「カーニバルだよ!」
「暗黒舞踏だよ!」
仮装したフィロリアル様方と一緒にテントを張った街でサーカスの広報をしながら練り歩きますぞ。
ピロピロと笛を吹いたり、ゾウにフィロリアル様達が乗りながらサーカスを連呼してある様はこれだけで楽しい雰囲気が出来ますぞ。
ゾウも任務という事で奴隷っぽい格好をして縄を付けられ重くもない重りを付けられて歩きますぞ。
サーカス用に化粧回しは魔物商人が用意していたのでゾウの首に掛けられていました。
フィロリアル様達がちょっと羨ましそうですぞ。
「今夜から開催するんでみんなこぞって見にきてねー!」
と、演目が記されていますぞ。
まだ初期という事で見世物がメインですな。
お義父さん達が練習した奴隷達の見世物虐待ショーと俺とヴォルフの演舞、ゾウの重量挙げとキャッチボールですな。
それとフィロリアル様達のテント内レースですぞ。これは俺も参加してフィロリアル様の背中で曲芸をする手はずとなっています。
ただ監修の奴隷商の配下曰く、小規模な催しだそうですぞ。




