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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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追いかけっこ


「わー!」

「なになにー?」

「どしたのー?」


 お義父さんがヴォルフを正面から抱き留めますぞ。

 ヴォルフはお義父さんの肩に噛みついていますな。


「く……我を失ってる! 元康くん! ヴォルフを冷静にするために寝かせて」


 具体的な指示ですな!


「わかりました! ではスリープランスⅤですぞ!」

「キャイン!?」


 暴れてお義父さんに飛びかかろうとしたヴォルフに睡眠効果のスリープランスで速効で寝かしてやりました。

 ぐったりとヴォルフは白目を剥いて寝転がりましたな。


「うーん……」

「あの、鞭打ちでここまで痛がるのは」

「さすがに無い」


 ウサギ男と雑種のリザードマンが零すように呟きますぞ。


「ああ……これは鞭打ちに対する恐怖だろう。俺だけならヴォルフの攻撃を止められるけど……見世物とするには難しいか」


 白目を剥いたヴォルフを寝かせてお義父さんは優しく撫でました。


「これはそうだな……決闘演舞でもしてもらうのが良いかな。ヴォルフは戦闘故障奴隷だから動きに問題はあるけど元康くん、ヴォルフと組み手でお願い」

「お任せあれですぞ」


 俺とヴォルフが戦闘して俺が勝つシナリオでのプログラムを行う事になりましたな。


「ですが……なるほど、ヴォルフの様に痛がれば良いと言う事でしょうか」

「それもまた痛がり過ぎだから違うね……中々加減が難しいと思うがやってくれ」


 お義父さんが舐められないように口調に注意しつつ命じました。

 ウサギ男と雑種のリザードマンは複雑な顔をして頷きました。

 しばらくしてヴォルフが目を覚ましましたぞ。

 周囲をキョロキョロと見渡したヴォルフがお義父さんに顔を向けた後……。


「くーん」


 申し訳ないとばかりに声を上げて近寄りました。


「嫌な事をした敵って認識は……してないのか?」

「わう」


 鞭を凝視しながらヴォルフは声を上げました。

 嫌な事をして悪かったな。とお義父さんが撫でると気持ちよさそうに目を細めました。


「とはいえ、演技の練習で暴れられたら困る。ヴォルフ、悪かったな」

「バウ!」


 どうやら特に気にしてはいない様ですぞ。


「ヴォルフ……お前は元康くんと戦う演目だ。他のフィロリアル達でも良いけど加減が厳しいので練習をしろ」

「くーん……」


 どこかヴォルフはお義父さんの鞭打つ姿に惜しいとばかりの顔をしてました。


「ヴォルフ、俺は見世物としてお前を使役はするが心の底から嫌な事をする気は無い。わかったか?」

「く……くーん」


 鞭打ちされたいのでしょうかな?


「お義父さんに鞭打ちされたいのですな! 俺も同意ですぞ!」


 バッと服を脱いで背中を見せて鞭打ちを要求ですぞ!

 イエア!


「……」

「……」


 ウサギ男と雑種のリザードマンが俺に変な視線を向けてるような気がしますが気の所為でしょう。

 お前等も鞭打ち仲間ですぞ!

 心地良い撫で鞭打ちを堪能するのですな!


「いや、たぶん違うから。また脱がないで」


 お義父さんに否定されてしまいました。

 それでもヴォルフは恐怖を覚えつつお義父さんに鞭打ちを求める時があるようになったのですぞ。


「しょうがない。ヴォルフ……鞭のここを噛んで、背中に乗るぞ」

「バウ?」


 お義父さんはヴォルフに鞭を噛ませて背中に乗りましたぞ。


「行け!」

「バウバウ!」


 ヴォルフはお義父さんを乗せて駆けましたな。とても楽しげですぞ。

 腕や足に怪我の名残があってぎこちないですが飛び跳ねるように走っていますな。


「わー! なんか楽しそう!」

「おいかけっこー! 混ぜて混ぜてー」

「暗黒疾風狼牙だー! わーい!」


 フィロリアル様がそんなお義父さんとヴォルフのライドオンを楽しげに追いかけますぞ。


「「ピヨ!」」


 ユキちゃんがその光景を目をキラキラして見つめておりました。

 さすがはユキちゃん。そのレースの光景に血が騒ぐのですな。


「俺も行きますぞ! ドライブモードですぞー!」

「うわ!?」

「ヒィ!?」


 ギュルルルン! ですぞ!

 ウサギ男と雑種のリザードマンが声を上げました。

 一体どうしたのですかな?


「ハッハッハ……バウバウ!」


 ヴォルフがお義父さんを乗せて楽しげな声を上げて走っていらっしゃるのでフィロリアル様と一緒に追いかけて行きますぞ。

 するとヴォルフがフッとこっちに振り返ったかと思うと二度見してきました。


「キャインキャインキャイン!?」

「うわ!? どうしたって……ヒ!?」


 バッと脇目も振らずにその場から飛ぶように逃げようとしてますぞ。

 一体どうしたのですかな?

 お義父さんもこっちを見て驚きの声を上げてましたな。


「キャウン!」


 で、飛び方に失敗して錐揉み回転になりかけた所で咄嗟にお義父さんを庇うように抱き留めました。

 ズザザー! っとお義父さんとヴォルフが転がりましたな。

 土煙が発生ですぞ。


「大丈夫ー?」

「痛いー?」

「キター怪我したら治した方が良いよー」

「そうですな。お義父さん大丈夫ですかな?」


 お義父さん達に駆け寄ってドライブモードを解除ですぞ。


「俺は大丈夫だけど……ヴォルフ、大丈夫か?」


 ムクリと起き上がったヴォルフがバッと何故か跳躍して俺に向けて構えますぞ。


「バウ! ウウウウ!」


 腕がすりむいてますな。

 お義父さんが駆け寄って腕を見ますぞ。


「手当が必要か……ヴォルフ、落ち着け」

「バウ……くーん」


 お義父さんに押さえつけられたヴォルフが大人しくなりました。

 なので早速治療ですぞ。


「どうにも上手く機嫌が取れないな……すまんなヴォルフ」

「くーん」


 ペロペロとヴォルフがお義父さんの手を舐めてますぞ。

 俺もそのおててを舐めたいですな。

 むしろお義父さんがペックルになった際は魅惑のお腹をくんかくんかしたいですな。


「というかさっき元康くんがア○キーアートの人間バイクになってたような……」


 お義父さんがシルトヴェルトの使者やウサギ男、雑種のリザードマンに顔を向けると顔を逸らされますぞ。


「ドライブモードですぞ」

「いやそんな誇らしげにしてもな……誰からそんな走行方法教わったのかな?」

「フィーロたんに追いつくために閃いたのですぞ」

「オリジナルかー……なんか色々とわかったような気もする。ちょっと刺激が強いから元康くんはドライブモードの使用は許可制ね。普通に走ってフィロリアル達と遊ぼうよ。元康くん足速いからさ」

「えーですぞ」


 フィーロたんとの夢のランデブーに許可が求められるようになってしまいました。

 しょうがないですな。セカンドモードを必要な時にはやりましょう。


「まあ、ある程度有名になってきたらしても良いけどいきなりは刺激が強すぎるからね。徐々に刺激していかないと飽きられちゃうんだよ」


 いきなりの刺激ではサーカスでは飽きられるのですかな?

 わかりました。


「さてと……なんか脱線しちゃったけどテオドールとシオンは痛がる練習をするんだ。わかったね」

「は……はい」

「承知した……が、主人の体質は把握した」


 雑種のリザードマンは本当に言葉が固いですな。

 以降、二人は痛がる練習をそれぞれし始めたのですぞ。

 こうして馬車は進んで行きました。


「カーニバルだよ!」

「暗黒舞踏だよ!」

「到着だよ!」

「もっともと! ここで良いのー?」


 フィロリアル様方が予定にしている場所に到着したと報告して下さいました。

 とても楽しげな声を上げていますな。


「テオは治療が終わるまでそこで横になってろ。ヴォルフ、お前は付いてきても良いが暴れるなよ。シオンは荷下ろしを手伝え」


 ウサギ男に再度、お灸と針治療を行っていたお義父さんが馬車から降りて指示を出しました。


「はい」

「バウ!」

「承知」


 お義父さんが三人の奴隷達にそれぞれ命令しながら馬車を降り、予定の町の広場で見世物サーカスのテント建築を行いますぞ。


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[気になる点] アスキーアートは株式会社アスキーの名前に由来してないので、伏せ字にする必要はないかと (半角の基礎的な文字という意味の ASCII のほうが元ネタで、アスキーアートも、株式会社もそこ…
[気になる点] 鞭に過剰反応、タクトの主要武器は鞭だったな
[一言] プルルン、ですぞ!
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