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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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商品補充


「うーん……俺がやった方が痛みが無いみたいだし、やめておこうか」

「わかりました!」


 俺の最高火力でツボを一突きしてやろうと思いましたがやめました。


「一瞬でその強ばった筋肉を解きほぐしてタコの様にしてやろうかと思いましたがな」

「やり過ぎて凄い事になりそう。まあ、とりあえずテオは馬車の中で針とお灸をしたまま横になってて」


 そう命令してから今度は雑種のリザードマンことシオンとやらにお義父さんは近寄りました。


「……」

「……」


 お義父さんと雑種のリザードマンが無言で見つめ合いました。

 警戒しているのは分かりますな。


「テオとヴォルフはまだ使い物になる次元じゃ無い。シオン、馬車を降りたら俺の補佐を任せられるか?」

「……わかった」


 命令の範囲で言う事を聞くとばかりに雑種のリザードマンは頷きましたぞ。

 お義父さん曰く、すぐに信用はして貰える訳じゃ無いと苦笑してましたな。

 ですがお義父さんは奴隷達に慕われるようになって行きますぞ。

 割とすぐに慕われるようになりますが、どうなのでしょうかな?

 お義父さんは雑種のリザードマンをマジマジと見つめますぞ。


「……」


 サッと雑種のリザードマンは視線を逸らしました。


「お前も……」

「ん?」

「お前も俺が変だと思っているのか?」

「何が?」


 雑種のリザードマンの問いにお義父さんは小首を傾げていますぞ。


「……」


 ですが雑種のリザードマンはお義父さんの疑問に答えませんでしたな。


「……シオン、君が何を恥じているのか俺は君を知らないからわからない。けど、それは恥ずべき事であると君は思っているのか?」


 ムッとした顔を雑種のリザードマンはしますぞ。


「その顔は思ってないんだろ? なら態々自分の傷口を抉るような真似をするな。よく知らない相手の評価や風聞なんて……ゴミ以下の代物だ」


 お義父さんは赤豚に冤罪を被せかけられましたからな。

 だからこそ悪評に関して思う所があるのでしょう。

 まあ、俺も雑種のリザードマンがどんな悩みを所持しているのかを想像してみますぞ。

 言い方から考えて雑種という所でしょうかな?

 お義父さんもその辺りだろうと察したのでしょう。

 中々お義父さんもフィーロたんのように勘が良いところがありますからな。

 お姉さんもですがな。

 そうして馬車は静かに、それでありながら素早く進んで行きますな。

 フィロリアル様の馬車を引く速度は普通の馬車よりも速いですぞ。


「へへへ、そこのキャラバン! 止まりやがれ!」

「おらぁ! 積荷を素直に寄越せば命までは取らねえでやるぜ?」

「神様の御名の下に悪魔の連中に制裁を加えてやんだよぉ!」

「ブヒィ!」


 と、何やら盗賊にしては怪しげな連中が移動中の俺達の前に立ちはだかりましたな。


「わー……」

「ここまで露骨ですと、察するなというのは無理な話ですね」


 シルトヴェルトの使者が別の馬車からこちらの馬車に飛び乗ってお義父さんに指示を仰ぎに来ました。

 間違い無く三勇教の連中でしょうな。

 この周回では俺も偽勇者とギルドで襲撃を受けましたからな。

 もちろんギルドでも俺は参加して稼ぎますかな。

 あまり稼ぎすぎるとマークされるので……ゼルトブル辺りでやるのが良さそうですな。


「へへへ、お義父さん、資源がノコノコとやってきましたな。捕獲チャンスですぞ、うへへへへ」

「真似しなくて良いよ! 相手と同じ所まで堕ちなくて良いから! 話は戻って……盗賊は資源って感じ?」

「そうですぞ。お義父さん直伝の方法で搾取した後リリースしますかな?」

「いやちょっとまって……それって別の周回の俺の話?」


 お義父さんが何故か呆れた顔で仰いますぞ。


「そう言えば奴隷の話もあったけど……元康くんの知る俺って」

「盗賊リリースは冤罪から救えなかったお義父さん達の手段ですな」


 お義父さんは頭に手を当ててますぞ。

 どうしたのですかな?


「槍の勇者様の知る可能性の盾の勇者様の苦労と変化に心痛み入ります」

「まあ……とはいえ、今の俺は奴隷商人の弟子……しかるべき処理はすべきか」

「バウ?」


 仕事? 処す? 処すの? とばかりにヴォルフが待機してますぞ。

 随分と落ち着いた様子ですが、この手の輩と戦い馴れているという事でしょうな。

 戦闘奴隷らしいとも言えますぞ。


「ヴォルフ、別にこんな所でお前が戦う必要は無い」


 苦笑気味にお義父さんはヴォルフの顔を撫でますぞ。


「くーん?」

「おらぁ! サッサと出てきやがれ!」


 と、盗賊(三勇教徒)が矢を放って来ました。


「エアストシールド」


 パッと飛んで来た矢をフィロリアル様が迎撃するまえにお義父さんが盾を出して止めました。


「話をしている暇は無いか」

「では俺がサッサとやりますかな?」

「殺さないでね?」

「もちろん商品補充ですからな!」


 盗賊に人権は不要ですぞ!


「いや、別にそういう意味じゃないんだけど……」

「ではやりますぞ! エイミングランサーⅣですぞ!」


 ロック数を増やす意味で盗賊共全員に向かってエイミングランサーをⅣにしてぶちかましますぞ。


「な――ギャアアアアアアアア!?」

「や、槍が変な軌道で飛んで――うわあああああああ!?」

「ブヒイイイイイイイ!?」

「――からのパラライズランスⅤですぞ!」


 で、吹っ飛んで動けなくなった連中にそのまま素早く馬車から降りた俺が追撃の状態異常付与ですぞ。


「商品ゲットですぞ!」

「暗黒ハント<絶対捕獲>だよ!」

「キタキタすごーい!」

「ビリビリピクピクしてるー!」


 イエア! ですぞ! フィロリアル様のエールはとても気持ちが良いですな。


「そんなモンスター捕獲ゲーみたいなノリで言ってもなー……」


 お義父さんが髪を搔きながら仰いました。


「愚かな者たちですね。盗賊に偽装して襲いかかるとは……どうしますか? このまま逃がしては有らぬ罪を風聞しかねませんね」


 シルトヴェルトの使者も手慣れてきたのかお義父さんに尋ねて来ました。


「幸いこのキャラバンは奴隷の買い付けも兼ねていますのでね。襲う馬車を間違えた盗賊には相応の報いを課すことが出来ますよ」

「なんだかんだノリノリだね」

「郷に入れば郷に従うのも大事なようですから、盾の勇者様の決定にできる限りの補佐は致しますよ」


 シルトヴェルトの使者の台詞にお義父さんはため息をしました。

 ダメなのですかな?


「ここはそうですね。槍の勇者様の移動手段でメルロマルク外に連れ去りそこで奴隷として売り捌けば良いでしょうね。出来れば足が付かない所で売るのが良いかと」

「最善だとは思うけど手段がエグいなぁ……」


 お義父さんがドン引きしてますぞ。

 ですが最初の世界のお義父さんなら相手の事情を理解したらやって下さりそうですな。


「シルトヴェルトにも行けますぞ」

「ではそこが一番良いでしょう。何……セーアエット領の亜人達を奴隷にしたような国の連中の教徒です。心が痛むような事はありませんよ」

「……」


 雑種のリザードマンが僅かに眉を寄せましたな。


「シオン、イヤな話か?」


 お義父さんがそこですかさず尋ねました。


「……何故自分に?」

「他の者とは異なる反応をしたから、何か事情を知っているか聞いたまでだ」

「……」

「シオン、黙っていてはこっちは何も知ることは出来ないぞ。言いたい事があるなら言え、俺は寛大な主人のつもりだ」


 沈黙する雑種のリザードマンにお義父さんは強めな口調で言わせようとしてますぞ。


「人間の奴隷売買は不満か?」

「そうではありません。提案には賛成です……領主が亡くなったドサクサに奴隷狩りを行った国の連中には相応しい報いです」

「そうか」


 何やら言葉に重みのある言い回しですな。


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― 新着の感想 ―
[一言] この辺りは書籍版のエクレアが似たような話をしていますぞ
[一言]  もしかして、シオンもセーアエット領にいた亜人だったのかな?  もし、サディナさんやラフタリア達と顔見知りとかだったりしたら、また展開が面白くなりそうだな。
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