ライフスワップ
「凄い迅速だ……クロちゃん、凄いね」
「ん……」
「まだ生命力の回復が足りません。自分も力を貸しましょう。ライフスワップ」
と、シルトヴェルトの使者が魔法を使いました。
自身の生命力を分け与える魔法だそうですぞ。
亜人や獣人種が多く持つ適正の属性だとか。
シルトヴェルトの使者は流れで連れて来たのですが、結果的に正解でしたな。
「ぷはっ……うう……すー……ゲホ……」
お姉さんの友人の呼吸が少し安定しましたな。
ただ、咳はまだ止まっていない様ですぞ。
「後は直接回復魔法を使って効果を促進ですぞ。こういうのはお義父さんの魔法の方が適性はありますが、これで辛うじてどうにかなりますな」
俺の回復魔法と薬を使っても症状の改善が遅い、それだけ瀕死だったと言う事ですぞ。
死ぬまで本当にギリギリだったのでしょうな。
「あ、ありがとうございます」
弱り切ったお姉さんが俺達に礼を述べますぞ。
「俺じゃなくて元康くんのお陰だよ」
「いえ、お義父さんで良いのですぞ」
さて、かなり危険な状態ではありましたがどうにか応急手当は出来ましたな。
後は一番の障害の排除が優先ですぞ。
今のお姉さん達は奴隷紋で縛られております。
下手にここから連れ出すと危険なので先に処理しなければいけないのですぞ。
俺は牢屋の出口へと向かいますぞ。
「クロちゃん、お義父さん達の警護をお任せしますぞ」
「うー……クロも必殺仕事人<アサッシン>したいけどわかったー」
「仕事人って……」
「捕らえて同様の報いを受けさせたいですが……この子達の状態を鑑みて下手に人質にされるよりは良さそうですね。槍の勇者様、協力が必要でしょうか?」
「不要ですぞ。迅速に、奴がこの世にいた痕跡を抹消してやりますからな。死体すら残しませんぞ」
カツカツと俺は牢屋から出てクローキングランスと壁抜けで拷問していた貴族が何処にいるのか探しますぞ。
どうやら屋敷内の自室に居るようですな。
外出から帰ってきて、早速拷問へと向かおうとしている最中だったようですぞ。
「さーて、あのガキは死んでるか? 生きてたら、トドメをさしてやるか……ふふふ」
と、どうやらトドメの拷問をしようと考えている最中の様ですな。
独り言を呟いていて気色悪い奴ですぞ。
では、死んだ事すら分からずに……死ね! ですぞ。
「な、なんだ? ギャ――!?」
バーストランスではどれだけ消音にしても気付かれかねませんしブリューナクを放つには室内なので厳しいのでリベレイションファイアフロアーⅩで指定した場所を焼き焦がしてやりましたぞ。
本当は拷問したい所ですが、奴は死体すら残さず跡形も無く消し飛ばしました。
クロちゃんではありませんが、世の為人の為社会の為に文字通り消えてもらいました。
「さてと、ですな」
後はと俺は室内に入り、ソウルイータースピアで死んだ貴族の魂を串刺しにしてやりました。
「では行きますぞ」
『――!?』
何が起こっているのかわかっていないであろう貴族の魂を連れて地下室へと壁抜けでそのまま直に落ちて行きますぞ。
スッと地下室に着地した俺はお義父さん達に合流し、助けたお姉さん達の姿を貴族の魂に見せつけました。
『な……これは――!?』
「お前の拷問をしたい所ではありましたが、時間が無いのでこれを見せつけるだけで勘弁してやりますぞ。ではさらばですぞ」
『おのれ! ギャア――』
そのまま引き抜いて細切れにして散らしましたな。
「ただいま戻りました」
「おかえり元康くん」
「ここの貴族に報いは与えられましたか?」
シルトヴェルトの使者が俺に聞いてきたので頷いてやりますぞ。
しっかりと助けた所を見せつけてから仕留めてやりましたからな。
「当然ですぞ」
で、お姉さん達を確認しようとしたのですが、お姉さんはお義父さんが手を繋いでおりますが、お姉さんの友人は何処でしょうか?
するとフィロリアル姿のクロちゃんの羽毛が膨らんでおりました。
「この子はクロの背中に乗ってるよー」
「おお、それは良かったですぞ」
天然の羽毛で包んで体温の確保をして頂いているのですな。
「では離脱ですな。派手に行くのと静かに行くのだとどちらが良いですかな?」
ここは今までと違うと言う意味で一気にしますかな?
「俺達の活躍をマジマジと証明するのも手ですぞ」
「いやー……出来れば穏便に行きたいな。主犯には報いを受けさせたんでしょ?」
「当然ですぞ。抹殺してやりましたからな!」
グッと親指を立てますぞ。
「抹殺……」
お義父さんがピンと来ないけど凄い事をしたんだろうと言った表情で呟きました。
「では静かに脱出ですな。お姉さんのご友人の意識が混濁していらっしゃるでしょうからポータルで飛ぶのは難しいですぞ。パーティーに所属させねばいけませんからな」
「そうなんだ。じゃあ……行こう」
という事で俺達は静かに脱出しましたぞ。
そのまま町を隠蔽状態で出て解除しましたな。
「まずは治療を優先しましょう。幼いのによく頑張りましたね」
シルトヴェルトの使者がお姉さん達にそう語りかけましたぞ。
それから町の外で半日ほどお姉さんの友人の治療を行いました。
定期的に俺とシルトヴェルトの使者が回復魔法を施し、薬を服用させ続けた所でお姉さんのご友人の意識が戻ったのですぞ。
「ここ……は……」
「リファナちゃん! 良かった。助けが来たんだよ」
お姉さんがご友人の手を握って説明しますぞ。
「良かった。どうにかなったみたいだ……俺は見てるだけなのが悔しいね」
お義父さんが嘆いておりますがしょうがない事なのですぞ。
ですがお義父さんが解放していた盾の力で継続的に服用させた治療薬の効果は上昇しているので完全に見ているだけではありませんぞ。
「とりあえず治療の出来そうな所に搬送ですな。パーティーに誘うので受け取って欲しいですぞ」
意識が戻ったお姉さんの友人に勧誘を飛ばして加入させますぞ。
「メルロマルクの治療院を使うのは難しいですな」
専門的な治療となるとクズの強権が発動中のメルロマルクでは厳しいでしょうな。
「ある程度峠は越えているので数日もあれば強力な回復薬の確保は出来ますがどうしますかな?」
「人命は優先だよ。シルトヴェルトで治療を受けさせる事が出来れば……」
「そうですね。ただ……シルトヴェルトにこの子を連れていき治療して事情を説明をするとなると……」
シルトヴェルトの使者が言葉を濁しましたぞ。
「シルトヴェルト側の攻め込むプロパカンダに取り上げさせられかねない……って所かな? 勇者達が助け出した衰弱した子供達、メルロマルクを許すな! って感じで」
「はい。ここまで邪悪であると……おそらく、戦争になるでしょう」
サクッと対処出来なくはないですし、これまでに無い行動ではありますな。
「出来れば避けたいね。ザマァみろと思う所はあるけど無関係な人達を争いに巻き込みたい訳じゃないんだ」
おお、さすがお義父さんですな。
「勇者権限で内密にするってのは出来そう?」
「出来るかも知れませんが確約は難しいでしょう」
「ではゼルトブルに行き、少々お金は掛かりますが治療して貰うのが良いですな」
お姉さんの友人の治療費など数日もあればあっさりと稼げますぞ。
「ゼルトブルへもいけるのですか、ならそこが良いでしょう。あそこならば深く事情を聞いてくることはありません」
「では行きますぞ! ポータルスピアですぞ!」
という訳で俺達はゼルトブルへと一旦飛んだのですぞ。




