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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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魔王獣

「いってらっしゃーい」


 そんな訳で俺はお義父さんの家の方へと散策と見張りに行きますぞ。

 妙な者たちが居たら追い払うのが仕事ですぞ。

 一応お姉さんやラフ種達がお守りしてますが、念のためですな。

 お義父さんは豚や女性が近づくと眠りが浅くなってしまうそうですからな。

 ラフ種と一緒に居ると安眠出来るとの話ですぞ。

 ちなみにフィーロたんのお家でもあるのですが本日フィーロたんは婚約者の所にお泊まりに行ってますぞ。


「ラフー」

「ラフー」


 ラフ種達がお義父さんの家の周囲で思い思い就寝しております。

 俺は問題無いのでお通しして下さいますぞ。

 お義父さんのご様子はどうですかな?

 本日のお義父さんはアクセサリー作りや調合、錬金術の勉強はせずに寝ていらっしゃる様ですぞ。


「うー……」


 お義父さんの寝言が聞こえて来ますぞ。

 少々苦しげですな。

 そっとカーテンの隙間から確認するとお姉さんが寝ているお義父さんの様子を確認していますぞ。

 お義父さんの頬をお姉さんが撫でると寝言が小さくなりましたな。

 なんとなくですが、幼いお姉さんをあやすお義父さん達の姿が思い出されましたぞ。

 構図が逆ですな。

 

「ラフー」


 ラフちゃんもお義父さんを心配そうに撫でております。

 お義父さんの夢見が悪いのでしょうかな?

 あんまり覗いているとお姉さん達が睨んで来そうなのでお姉さん達が助けを呼ばない限りは立ち去る事にしましょう。

 という訳で俺はそっとその場を離れましたぞ。




 翌朝ですな。

 眠そうなお義父さんが朝のお仕事をしていましたぞ。


「ふわぁあ……」

「眠そうですな、お義父さん」


 魔物舎でラフ種のお世話をしているお義父さんに声を掛けますぞ。


「ああ元康か……最近、寝ても村で何かしてる仕事の夢を見る事が多くてな。ラフタリア達からはうなされてると言われてる」

「そうなのですな。ではお義父さんが安らかに眠れる様に俺もご一緒しますかな?」

「来るな。お前まで騒ぎに混ざると面倒臭い。フィロリアルと戯れてろ」


 と、お義父さんは仰ったのでフィロリアル様のお世話に専念する事にしましたぞ。

 ちなみに虎娘には本気で眠いので虎男の家で大人しくしていろとお義父さんは念入りに注意しておりました。

 昼間、お義父さんが村の集会所で居眠りしているのをみんな目撃しておりましたぞ。

 そんな昼過ぎ、昼寝を終えたお義父さんが再度ラフ種の沢山居る舎でフィロリアル様とラフ種のお子様の世話をしておりましたぞ。

 俺もフィロリアル様のお世話ですぞ。


「ラーフー」

「タリー」

「リーアー」


 お義父さんにブラッシングさせて貰っている所を他のラフ種達も並んで待っていますぞ。

 ちなみにお姉さんもご一緒してますが複雑な顔をしていますな。


「なんて言うか楽しそうだね尚文くん」


 ここでアークがホー君と一緒にやってきましたぞ。


「まあな」

「この魔物達は君が作ったんだって?」

「ああ……何か悪いか?」

「ラフー」


 お義父さんがラフ種とフィロリアル様のお子様を撫でつつ答えますぞ。

 神狩りをしていらっしゃるアーク達からして何か駄目な事でもあるのでしょうかな?


「別に何も無いさ。生命創造を禁忌とは僕たちは定めて無いよね」

「そうだねー。まあ、産み出した命に変な制約を課して抗って苦しむ様を見て悦に浸ってたらその限りじゃ無いけど、ここに居る子達の安定性はしっかりしてるし精霊も認めてるからね」


 アークとホー君は各々見解を述べますな。


「そうか」

「ラーフー」


 ラフちゃんがアークに向かって両手を広げて抱っこの要求をしてますぞ。

 アークは微笑んでラフちゃんを抱き上げるとラフちゃんはそのままアークをよじ登って肩に乗りますな。

 よくやる光景ですぞ。


「ふふ」


 アークもそんなラフちゃんの光景を見つめております。

 そういえばキールとルナちゃんとアークが遊んで居る時がありましたぞ。

 ルナちゃんもヒナ状態で似たようにアークの肩に乗ったりキールの頭の上に着地したりしておりましたぞ。


「……個人的にはダメでも良かったような気もしますけどね」


 お姉さんがぽつりと呟きましたがお義父さんとアークは聞き流している様ですぞ。


「あーもしかして焼き餅ー? 似たようなものなんだし尚文くんに毛繕いして貰えばいいじゃないかー」


 ヒューヒューとホー君が茶化してますぞ。

 俺も遠くで真似ですぞ。ヒューヒュー。


「あの、やめて下さい。離れた所で同じ事を槍の勇者もしないで下さい。ウザいです」

「同世界から来た似たもの同士だな」

「ラッフ」


 ラフちゃんも同様にお姉さんへヒューヒューとしてますぞ。

 是非ともお義父さんにブラッシングして貰うべきですぞ。


「俺もお義父さんに髪を梳いて貰いたいですな。サララン! ですぞ」

「元康も気色悪い事を言うな」

「ふふふ、元康くん。僕に構わず尚文くんに構うと良いさ」

「大丈夫ですぞホー君。俺は君の毛繕いもしたいですぞ」

「いや、割と本気でいらないから」


 なんて俺は絡んでいるとアークがラフちゃんを抱えて尻尾を撫でていますぞ。


「昔の事を思い出すなー僕がこの世界に来た時の話なんだけどさ。この世界はさ、僕の友達が永住を決めた世界だったんだよね」

「そうなのか。そいつも神狩りなのか?」

「ううん。違うよ。ただ、ちょっとした関係で世話をした子の一人。尻尾がふわふわで大きい男の子でね。その尻尾がコンプレックスな子だったなってさ」

「ラフー?」


 と、アークはラフちゃんの尻尾を見ております。


「まあ、ちょっとした特殊な生まれの子でね。その尻尾は魔法を吸収する特性を持っていて、触った相手の魔力さえ吸い取るって特徴があったんだ。生まれた世界じゃ魔王獣って恐れられてたけど、心は繊細だったよ」

「物騒な名前だな」

「名前ほど恐くは無いよ。僕は触っても平気だし仲良くなったんだよ」

「ふわふわで魔力を吸う尻尾ね……」

「俺が使えるアブソーブみたいなものですかな?」


 俺の質問にアークはちょっと考えた後に頷きましたぞ。


「うん。それが特に何もしてないのに発動する感じかなー魔法攻撃が飛んで来そうになるとあの子は尻尾を避雷針に立ててみんなを守ってたなー」


 おお、気持ちは分かりますぞ。

 魔法の避雷針が出来ると安心ですぞ。


「この世界にはあの子の子孫がいるからね。そう思うと時々様子をみたくなる。君だってそうでしょ?」

「……そうだな」


 どうやらアークがこの世界に立ち寄るのはそういった理由が元々あったのですな。

 ここで俺はふと気になったので再度お尋ねしますぞ。


「それはどれくらい前なのですかな?」

「んー……彼が永住したのは、この世界で生命が根付いた頃の話だろうからなーまだ聖武器が一つだった頃の時代だね。僕が来たのは随分後だよ」

「どんだけ前だよ」


 お義父さん達の調査の結果、聖武器は一つの世界につき一つで俺達が今居る世界は八つになってしまっているのですぞ。

 赤豚の本体が起こす騒動で八つの世界がくっついてしまいましたがな。それよりも前の出来事もあったという話ですな。

 かなり前からアークはこの世界に来て下さって居るのですな。

 俺はホー君を見つめますぞ。

 君も来て下さっているのですかな?


「僕は初めてきたよ。だからそんな期待の目を向けないでくれない?」


 キラキラですぞ。

 ああ、残念ですな。

 過去にホー君が来てらっしゃるのでしたら調査しても良かったですぞ。


「魔王獣……」


 お姉さんがぽつりと呟きますぞ。

 そういえばお姉さんの髪などを武器に入れると新しい武器を解放できそうで出来ないのでしたな。

 ラクーン種とは近隣に見えて遠いとお姉さんのお姉さんが仰っていたそうですが……。


「魔王ねぇ、忌み子とかだからそう呼んだのか何なのか分からんが物騒な名称だな。ま……気にくわない奴は大抵魔王なんじゃないか? この世界でも敵国の頭を魔王呼びするぞ」

「似たような所はあるねー君のいた日本での表現なら魔の者の王で魔王と呼ぶだろうけどさ」

「勇者と魔王って対比な印象だけどぶっちゃけゲーム基準だと暗殺者と王様って感じだよねー」


 と、ホー君が茶化して来ますぞ。

 確かに仰るとおりな所はありますな。

 勇者は個人で魔王は王様ですからな。

 この世界では勇者は信仰対象、様々な問題を解決してくれる神様な側面がありますがな。


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[気になる点] 日常系になりつつあって、物語の進みってどうなってたっけと困惑
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