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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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恋愛脳


「学校かー。なんかすげー楽しそうな所なんだな。兄ちゃん! この村でやらないのかー?」

「なんだかんだ色々と教えてるだろ。ある意味ここは学校で寮で村だ。そんな変わらん」

「でも学校って建物で勉強したいぞ、兄ちゃん!」

「どっかの国の学校でも行ってこい! お前等の年齢ならまだ入れるだろ!」


 と、この頃の俺はふとゲーム知識で学園らしき場所の事を思い浮かべて居ましたな。


「あ、そうだ! つーことはアークさんって男なのかー? 俺は男湯に来るなって言われて入れさせて貰えないんだぞ」


 キールは雌ですからな。

 男湯に来る事はお姉さん達に止められてますぞ。

 そんなキールの質問にアークは微笑を浮かべて口元に指を当てて答えますぞ。


「さてどっちでしょう?」

「えー! 教えてくれよー! くんくん……匂いが全然しないからわかんねーよ!」

「あらー。キールちゃんも気になるのー?」

「俺だって男になりてーんだよ!」

「ふふふ」

「なーに勿体ぶってるんだよ。そこの猫は性別無い癖に……あ、僕はオスだよ。男の中の男さ」


 ホー君がそんなアークに呆れるような口調で言いましたぞ。

 性別無しなのですな。

 ですがこのアークはドラゴンの上司……ドラゴンは男女関係ないという話を俺も耳にしてますぞ。


「もう少しくらい勿体ぶらせてくれても良いじゃないか」

「性別が無いねー……ドラゴンは男女関係なく相手にやらかすから上司らしいと言えばらしいのかね」


 お義父さんが警戒気味にアークに尋ねるとアークは小首を傾げつつ答えました。


「ああ、僕は繁殖能力も無いよ。そういう存在ってだけでね。この世界のドラゴンとはまた違うからね」


 完全にそう言った機能が無い存在なのですな。

 ただ、このアークの笑い方や小首を傾げつつ見つめる視線の動きを、俺はなんとなくですが誰かに似ているように感じ始めていましたぞ。


「何か警戒してそうな感じだけど安心してよ。そこの奥さんに逃げられた面倒臭い鳥みたいに遊ぶとかはしないよ」

「あ、それ僕に言っちゃう? 酷いなー。ライン超えたんじゃないかなー?」

「機嫌が良いんだから気にもしてないでしょ、君」


 お義父さんがホー君と何故か俺を見つめて来ますぞ。


「本当、お前等の世界って恋愛脳な世界なんだな」


 なんか酷い扱いをされている気がしますぞ!

 同郷というかたまたまホー君が俺の世界に居たことがあるだけなのですぞ。

 ホー君が奥さんに逃げられたのは俺の世界だからって事にされてるようでイヤですな!


「俺は関係ないですぞ! 好きな相手に逃げられたホー君の自業自得なのですぞ!」

「わ、元康くん、君まで言うんだ! そんな君だって逃げられてるんじゃん?」

「そんな事はありませんぞ! フィーロたーん!」

「やー!」


 フィーロたんはいつも通り元気に答えてくれますぞ。

 照れ屋さんですな。

 軍隊式にヤー! ですぞー! ヤー!


「どうですかな!」

「いや、どうって……」

「言うだけ無駄だ。諦めろ」


 お義父さんが何故かため息をしていますぞ。

 ふふふ、俺とフィーロたんの絆を侮ってはいけませんぞ。


「男女というかハーレムと言えば昔、色々と教えた生徒に居たなー」

「今度はなんだ……」

「イヤね。ある種族の子なんだけどその子の種族って基本的に女性しか生まれなくて男性は極々希にしか生まれないんだ。で、血を維持するために男として生まれると将来の婚約者として同族のハーレムが決まっててさ。親子くらい離れている婚約者も居たみたいだったよ」

「うへ」


 お義父さんがうんざりって顔をしましたな。

 親子ほど離れたですかな……それは確かに厳しい話ですぞ。


「その子はそんな運命がイヤで自由で居られる時期に如何にして一族の問題を解決するかって僕の所に来たんだったよ」

「解決出来たのか?」

「一応ね。他にも色々と一族単位で呪いが掛けられていて、それを解いてね。ハーレムからの脱却って大変そうだったよ」

「ほー……上手くやったもんだな」

「贅沢な悩みだねー。オスの夢なのにね」


 ホー君がここで呟きますぞ。

 気持ちは分かりますぞ。

 俺も昔はそんな夢を持っておりました。

 お義父さんもそんな夢を持っていたとの話ですぞ。

 ですがお義父さんはどうやら一人一人相手が上手く想像出来ていなかったと現実と夢の差違を理解したんだと俺は感じております。


「なんていうか……色々と経験してんだな。お前」

「そりゃあ長く生きているとね。さっきみたいに聞いて来たら色々と話してあげるよ」

「じゃあさーいろんな所を旅してるってなら男になる方法をアークさん知らねえかー?」


 キールがここぞとばかりに聞いてますぞ。

 そういえばキールは雌ですが雄になりたいのですかな?


「君は男になりたいの?」

「俺は男だって思ってたのに女だったんだ!」

「へーそうなんだ。んー……この世界で許可されてたっけなー?」


 どうやら心当たりはあるようですぞ。

 キールの目がキラキラしてますな。


「知らない訳じゃないけど、世界の理の範囲でしか僕は教えないし作ったりしないからね。この世界の法則に照らし合わせて、材料とか製法が許可されたら考えといてあげるよ」

「わかったぜ! また色々と教えてくれよなー」


 キールも話を聞いて満足したようですぞ。


「やっぱり僕の話は無くて良かったね」

「君の場合は人をからかったり冗談を言ったりする所に問題があると思うんだけどなー」

「冗談は会話のエッセンスだよ。それを言ったら君は遠回しな言い回しを多用するじゃないか」

「素直に言えば良いってものじゃないからだよ」

「どうもキールを性転換させれるような話に聞こえたが……」

「僕の知っている方法がこの世界で再現出来て、更に許されるのならって程度かな? 尚文君も性転換に興味あるかい?」


 アークがお義父さんに若干挑発的な目線で尋ねますぞ。


「なんで俺が性転換しなきゃならないんだ!」

「そうです!」

「そうですわ」


 お義父さんに合わせてお姉さん達も抗議しますぞ。


「可能性がぶら下がっていたら気になるかもしれないじゃないか」

「つーか……心当たりがあるんだな。そういやうちの家出竜が雌の方にからかわれて旅に出てるが……」


 ああ、初代フィーロたんのライバルですな。

 村に居着いている、俺と争うライバルは助手の妹でまた別ですぞ。


「ははは、何処でも恋多きって感じみたいだね。尚文君の家事能力だと女性だったら人気出てたりしてね」


 ホー君がお義父さんに冗談を言ってますぞ。


「確かにお義父さんが女性だったら、愚かだった頃の俺は赤豚とどっちが正しいのかもっと調べたかもしれませんな」


 知れば知るほどお義父さんは味わいが出る方で料理が上手で世話上手ですからな。


「うへ……本気でやめろ。気色悪い。男を辞めるつもりはねえよ。結局、神狩りでも恋愛脳か」

「そりゃあ僕はね! 情熱的に妻との恋愛をするのさ! それが僕の生き様さ!」


 ホー君がバサァ! っと翼と尾羽を広げてアピールしてますぞ。


「って妻に逃げられた浮気鳥が言ってもね。まあ人生色々と経験してみるのは楽しいんじゃないかな。場所によっては神様だって恋愛するんだしさ」

「まあ……そんな話はそこら中に腐るほど転がってるが……」


 アークはその輪の外と言った雰囲気を宿しているのが少々残念そうに感じますぞ。


「あらー別に性別とか関係なく好きか嫌いかって事は出来るんじゃないかしら?」


 お姉さんのお姉さんがアークに後ろからハグをしますぞ。


「そうだね。一緒にいるって事が出来るのはわかってるよ」


 大人な対応でアークはお姉さんのお姉さんのハグをすり抜けました。


「ちなみに猫には過保護な保護者が実は二匹居てね。時々連絡をしてたりするんだよ」

「そっちも神狩りか」

「定義で言えば僕の配下って意味だとそうだけどー……説明しづらいかな。僕のために作られた子って意味合いが強いよ。まあ、話はこれくらいにして片付けをしようよ」


 アークは食器の片付けを始めますぞ。

 ちなみにお義父さんは片付けに関してそこまでやりませんぞ。

 何故かというとお姉さんがやりたがる事でお義父さんが勝手にやっていると非常に残念そうにするからですな。


「ああ、掃除は担当がいるから程々にな。何かするならやりたい事を言ってくれ。錬金術に詳しいそうだが……その件は保留な」

「わかってるって」


 といった形で一時解散となりました。



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― 新着の感想 ―
浮気するような奴が神とか言われてたら悪と認定して存在そのものを消したい。
[一言] キールくんが男の子になったらルナちゃんとくっつくんですかね?まあルナちゃんはキールくんの性別とか気にしなさそうですけど
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