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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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未知の島

 本来、ペンギンの関節は体の中に収められていて蹲踞と呼べるような骨格をしているのですな。

 ヤンキー座りとも言えそうですぞ。

 ……ペックルのお義父さんはそんな姿勢で座っているのでしょうか?

 ほぼフリッパーの力でお義父さんはよじ登ってきて下さいますぞ。

 錬、樹……そして俺へと登るその姿……なんとなくお義父さんに迫られているみたいで興奮してきますな。


「んっしょ! よいしょ!」

「むふふ……」

「元康さん? 足をばたつかせないでくださいよ。何なんですか大人しく出来ないとか!」


 お義父さんが登ってきて俺の視線で丁度お腹が見えますぞ。

 フカフカのお義父さんのお腹ですぞ。もふもふですな!

 もっふー! ですぞ

 くんかくんかですぞ!


「ちょっと元康くん!?」

「うお! 揺れる」


 錬が踏ん張りきれずにそのまま俺達は前のめりに倒れ、お義父さんは後ろ向きに落下しますぞ。


「危ない」

「危ないなの」


 ガシッと崩れた俺達を尻目にお義父さんはライバルとサクラちゃんが一緒に掴んで助けましたぞ。


「何なんですか! 元康さん。こんな事もあなたは出来ないのですか! 馬鹿ですか!」

「俺は馬鹿じゃ無いですぞ! お義父さんの魅惑のお腹が目の前にあったので堪能してただけですぞ」

「魅惑のお腹って何!? めちゃくちゃだよ!」

「あの……勇者様方」


 婚約者が申し訳なさそうに挙手しますぞ。


「今の勇者様方は小さいので、私たちが乗せましょうか」

「その方が良いなの。槍の勇者が落ち着かないからささっとやるべきなの」

「そうだね……持ち上げてもらった方が俺も楽だし」

「むしろなんでしなかったのでしょうね」


 そんな訳で錬を台座にそれぞれ俺達は持ち上げて置いてもらいましたぞ。


「イツキ様」

「リーシアさん。僕はともかく元康さんがいけないと思うのですけどね」


 納得出来てないと言った様子の樹をリースカに錬の上に置いてもらいましたぞ。

 次は俺の番という事でユキちゃんが俺を抱きかかえて樹の上に乗せましたな。


「ユキさん。元康さんが暴れるので尚文さんを乗せきるまで支えておいてください」

「わかりましたわ! 元康様、しばらくの辛抱ですわ」


 ユキちゃんが俺を支えていますぞ。

 そんな俺は落ち着きが無い訳はないですぞ。

 土台の錬が貧弱すぎるだけなのですぞ。


「ナオフミ、行くよー」

「お願い。サクラちゃん」


 そしてサクラちゃんに持ってもらったお義父さんが俺の上に乗せられましたな。お義父さんのモフモフが後頭部に一心に感じられますぞ。

 卵を温める部分ですな。ホカホカですぞ。


「……まだ効果が無いですね」

「あの壁画がガセだったら暴れるぞ」

「ユキさん。サクラさん手を離して離れて下さい。支えてはいけないのかもしれません」

「離れがたいですがわかりましたわ」

「わかったー」


 サッとユキちゃん達が手を離して立つと……特に変化は無いですぞ?


「……何も起こらないね」

「あそこまで勿体ぶってハズレは無いでしょう」

「この謎かけ部分が歯がゆい……他に何が足りないって言うんだ?」

「勇者達、このオブジェが持ってる道具が違うんじゃないなの?」

「ああ……そこまで対応してないとダメって事?」

「そこも謎かけですか?」

「上手く行ったらチャラリチャララランって鳴ったらわかりやすそうだけどやってみようか」


 俺はクワですな!

 スコップみたいなもので余裕ですぞ!


「のこぎり……ボスドロップにありましたね」

「ロープはダンジョンに入る前に武器に入れてたな」

「釣り竿……はさすがに入れてないよ」

「ドロップにもありませんでしたよね」

「ちょっと買ってきますから待っててください」


 婚約者が走って市場まで行って帰ってきますぞ。

 で、お義父さんが釣り竿を持ちましたが何も反応無いですぞ。


「……ハズレ、ですかね。念のため皆さん武器に入れてそれを装備してみましょう」


 注文の多い樹に合わせてお義父さん達が武器に入れて変化させますぞ。

 するとビリビリっと何かが体を迸りましたぞ。

 トーテムの周囲と俺達が立って居る場所が輝き始めましたな。

 カッと地面に赤い稲妻のような物が走ってゴゴゴ……と物音がし始めますぞ。

 同時にトーテムの開拓動物の目が光りましたな。


「どうやらこれが正解だったみたいですね。出来れば肩車だけで終わってほしかったですよ」


 俺達は肩車を辞めて物音の方角へと行きますぞ。

 すると海岸の先……海の一部がボコボコと大きく波打っていましたぞ。

 やがてサバァ! っと大きな音を立てて……壁画の通りに新たな島が浮上して来ましたぞ!


「アレはなんだ!?」

「新しい島!?」

「さっき、カルミラ島の原住民と呼ばれた生物が居たぞ」

「勇者達らしいぞ。その勇者が島の謎を解いてるらしい」

「すげぇえ……」


 との声が聞こえてきますぞ。

 ウサウニーなので聞き耳の精度も抜群ですぞ。

 改めて思いますが、人間とは別の感覚があって、コレがお姉さんのお姉さんやキール達の感覚なのでしょうな。


「どうやら上手く行きましたね」

「わー……なんて言うか、本当に冒険してるって感じだね俺達」

「そうだな……」

「早速行こうなのー」


 ライバルがバサァっと翼を広げて飛んで行きますぞ。

 浮かび上がった島に向けて俺達は一路進みますぞ。

 当然のことながら島の浮上に、島にいた冒険者達を初めとした人々も恐る恐ると言った様子で島へと向かって行きますぞ。




「未知の島ですね。母上が絶対に来たがるでしょうね」

「忙しくて来れないって話だったね」

「はい。ですが、仕事を片付けて急いで来ると思うわ」


 婚約者がサクラちゃんの背に乗って、隣を泳ぐお義父さんに答えますぞ。

 当たり前の様にお義父さんは泳いでおります。

 俺はユキちゃんの背に乗っての移動ですぞ。サブマリンモードでも良かったのですが、ユキちゃんの背に乗った移動も悪く無いのですぞ。


「ナオフミはやーい」


 水面を足で漕いで進むサクラちゃんが颯爽と泳いで行くお義父さんを目で追いますぞ。


「なおふみ、ペックルが馴れてきたなの?」

「うん。結構速く泳げるね。いつでも戻れるならみんなと泳ぐときに便利そうだねー」

「確かに速いなの。楽しそうなの」

「逆に僕は泳げないので勘弁してほしいですね」

「そうだそうだ」


 錬と樹はライバルの背に乗って飛んでの移動ですぞ。


「錬はともかく、樹、お前も飛ぶのが良いのでは無いですかな?」

「忘れていた事を思い出させないでください」

「ダンジョンで色々と発見があったようで何よりなの。今度なおふみに色々と教えてもらって今後に利用できるか覚えておくなの」

「尚文さん! 注意してくださいね! じゃないと他の僕たちが大変な事になりますから!」


 そんなやりとりをしながら俺達は新たな島に到着しましたぞ。


「一番乗りーですぞ」


 俺は島へと上陸しましたぞ。

 まだ草木が生えておらず、海底にあったお陰で海草や珊瑚などが所々にあって、海底を歩いているような錯覚を覚えますな。


「これはこれで中々綺麗な島ですね。魔物はいるでしょうかね」

「活性化がこの島に適応している場合は魔物とか出てきそうで恐いね」


 と、俺達は進んで行きますが特に魔物らしい姿は見かけませんな。

 ただ……生活の痕跡らしき石の柱の跡みたいな物が散見しますぞ。


「一つだけ沈んだ島って形相をしてるなー。一夜にして沈んだとかだとロマンがあるような気がするけどどうなんだろうね」

「一体何でしょうね。そもそもの話としてこの島……凄いエネルギーを放ってませんか?」


 島から赤いオーラみたいな物が出ているのが分かりますな。

 活性化が噴出しているというのが正しいかもしれませんぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] お義父さんのお腹をもふもふくんかくんかする元康が気持ち悪くて面白かったですw もうフィーロの匂いがしなくても関係無いんですねw フィーロスキン被せたサクラちゃんにルパンダイブしたり、四聖編の…
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