記憶の銃
「隠しスキルとかありそうですものね。合体スキルとかもありますし」
「錬と樹はルナティック・ジャッジメントをいつの間にか習得しているのですぞ」
「元康が使える謎スキルの話だが、それっておかしくなった俺達が使えた技だろ」
「習得していたらおかしくなっていると自覚しなくちゃいけないスキルですよ」
「文字通りルナティックになってるって意味でな!」
錬と樹が絶対に覚えたくないとばかりに言ってますがそれはどういう意味ですかな!
フレオンちゃんやブラックサンダーと楽しくしている内に覚える魅せスキルなのですぞ!
お義父さんも覚えたいと思っていたはずなのですぞ。
「それで尚文、どんな感じだ?」
「えっと、斬撃を飛ばすスキルで斬撃を出して着弾するところで重ねる様に逆手斬りでエアストバッシュを当てる感じかな」
「かなりの曲芸だな……単純に十字切りで良くないか? クロスブレイクってスキルが一応あるぞ」
「それを言ったら元も子も無いでしょ」
「ふむ……こうか? エアストスラッシュからの……セカンド……スラッシュクロス!」
っと錬は出て来る魔物に向かって斬撃を飛ばし重ねる様にスキルを放って倒しましたな。
「……コンボスキルになったな。威力やコストを考えると悪くはないが任意で当てるのは面倒そうだ」
「一発で当てるのも中々だと思うけど?」
「そこはステータスの恩恵だな。ステータスの早さがあるから飛んでく斬撃にも追いつきやすいし思ったよりは簡単だ」
ある程度武器のアシストもあるのでしょうな。
「俺のドライブモードみたいなものですぞ」
「同類にするな。それとお前のそれは絶対に運用が違ってる。絶対にアシスト無しでやってるだろ」
確かにスキル名はありませんがコンボみたいなものですぞ。
「スラッシュクロス……Ⅹで放てばダブルクロスですね」
「ある意味中二かな? 続けざまにクロスブレイクを撃つんだね」
「十字が好きすぎですね」
「中二ネームの絵文字のアレってダガーって打つんだよね。錬は知ってるはず」
「そっちの方角に持って行くな! それを言ったら樹だって変な十字武器やスキルがあるはずだろ」
「十字砲火って奴?」
「僕が好んで使ってる訳じゃ無いですが……」
錬が樹を仲間に引き入れようとして居ますぞ。
「タワーシールドとか十字型だったりする事は多いけど……そういう代物だしなー。あ、ゲームとかだと弓が謎のクロス弓とかあるよね」
樹も持ってる? っとお義父さんが尋ねますぞ。
「無くはないのですけど癖が結構ありますよ」
樹が謎の弓が二つ重なっている弓へと武器を変化させましたな。
「普通に引けないんですよね」
「これって弓矢として狙い定めて飛ぶの?」
「どちらかというとパチンコに近いですかね引く力は倍で威力も倍って考えなんでしょうか普通に失敗作ですよ」
「そんな失敗作をコピーしている樹は何なんだ?」
「僕のはフォーブレイの宝物庫で過去の人物が保存していた弓をコピーしただけですから何でも無いですよ。何より聖武器の弓はこの形状だと糸で引いている訳じゃないので運用出来ます」
錬の指摘に樹が余裕で返しましたぞ。
なので俺は指摘してやりましょう。
「最近の樹は銃ばかりですぞ」
「弓の勇者とは」
「うるさいですね。確かに弓の方が攻撃力が高かったり連射性が上のもありますが引き金を引くだけで済むので今は銃を使ってるだけですよ」
弓から銃へと文明が進んでいく過程の話ですな。
指先一つでなまり玉を飛ばせる様になったお陰で腕力の必要性が無くなったのですぞ。
ですがこの世界ではステータスが威力の増減に関わりますからな。
下手な銃は玩具と同じなのですぞ。
しかも構造やコストの面で面倒な銃はそこまで流通しませんからな。
「ルドガとモイラが非常に強い武器ではあるのですけどね。こう、最強の銃とか武器は無いのでしょうか」
「まーゲーマーとしては気になる所ではあるよね。自分が使えるこの世界最強の武器って何だろう? ってさ。元康くんは知ってる?」
「カスタマイズ性が非常に強いのでどの武器も一長一短だと思いますぞ」
という所で樹が何やら変わった銃を前に使っていた光景が思い出されましたぞ。
アレは何時の何処でしたかな?
ちょっと思い出しますぞ。
「そういえば……樹が何処かの周回……ああ、魔法が飛び出す銃を使っているのを思い出しましたぞ」
「魔法放射器ですかね? 杖など魔力が籠った武器をタンクに入れて魔力を吸い上げて発射する銃です」
いえ、何か別の銃でしたぞ?
アレは何処でしたかな?
『ここをこうして、こうやってー弾丸を用意してー』
『また昔取った杵柄で君は妙な武器を錬金術の講座で作ってるねー』
『良いじゃ無いか、お手本だよ。はい完成、合成魔法弾丸銃・エレメンタルブリットと弾丸一式ー』
『……召喚獣とか呼び出せそうな武器だな』
お義父さんらしき声が再生されましたぞ!
「合成魔法弾丸銃・エレメンタルブリットという銃は知りませんかな?」
「なんですそれ? 文字的には魔法合成をして放てる銃みたいですが」
「よく思い出せませんぞ。ですがお義父さんが召喚獣が呼び出せそうだと感想を言った覚えがありますぞ」
「どんな見た目なのか分かったような気がする。けどそれってもはや銃じゃなく魔砲と言えるような」
俺の言葉に錬は勝機を見たとばかりに胸を張りますぞ。
「樹、お前も中々キワモノの武器を手に入れるみたいじゃないか」
「僕が作ったものじゃないですよ! 尚文さん。もっと具体的に教えて下さらないと中二仲間だと僕が思われてしまいますから教えて下さい」
「んー……とあるアニメで出てきた武器なんだけど銃の形をした召喚道具ってのが正しいかな。弾丸の組み合わせで強力な生き物を召喚して攻撃して貰う感じで」
「ゲームによってはあるな。召喚」
錬もその辺りは理解して居るようですぞ。
俺もここは理解出来ますな。何せ魔界大地の最上位属性魔法は何かを召喚して効果が発揮されるものでしたからな。
エフェクトも派手でしたぞ!
「そう言った代物を再現した形かな? そこから考えると世話をしてる魔物とかを呼び出す銃とかも作ろうと思えば出来るかもね。こう……ガエリオンちゃんを呼び出してブレスを吐いて倒してもらうみたいな」
「そこでガエリオンを出すと途端に締まりが無くなるな。ドラゴンが召喚されて強力な攻撃をしてくれるカッコいいエフェクトのはずなのに」
激しく同意ですな。
ライバルを呼び出すなどお笑い所も良い所ですぞ。
「その流れだとフィロリアルも召喚魔法にありそうですけどね」
「そういえばお義父さんや婚約者が小さなフィロリアル様やラフ種をファミリアとして呼び出していましたぞ」
アレはどうやって習得するのでしょうか? 今までループしていましたが分かりませんぞ。
いえ……扇豚、では無くグラスという者が何か生き物を使役していたのを思い出しましたぞ。
「この世界にも召喚はあるみたいだね」
「そもそも僕たちも召喚された訳ですからあるでしょうよ。つまり小規模の召喚道具って事なんですね」
「そうなるね。話は戻って十字かー……」
「戻すな。Xでも十字でも良いだろ、樹の話に戻せ」
「ダブルクロスってエフェクト的に下手すると米ってなるよね」
「途端にかっこ悪くなりますね。錬さん、注意しましょう」
「だから樹の話に戻せ!」
錬の声が木霊しますぞ。
「お義父さん米もありますがむしろ尻の穴ではないのですかな?」
「元康くんが直球だ……」
「敢えて避けていたのに言いますね、元康さん」
「元康、お前の穴を二つにしてやろうか!」
錬の攻撃で俺の尻を二つ以上に出来ると思えるとは無謀も良い所ですぞ!
なんてやりとりをしながら俺達は進んで行きました。