原因考察
「そこそこ品質が良い素材とかも手に入るよね。オレイカル鉱石とか、ジオードとか」
「不要な物は武器に入れてるが持ち帰ったほうが良いのか?」
「どうなんでしょうね。それと元康さんが掘るだけで土が綺麗に消えて、ダンジョンのギミックだって分かりますね」
「みんなで冒険して行く感じで結構楽しいね」
「こんな姿じゃなければ悪くは無いと思いますけどね」
「強化をしっかりしてるから歯ごたえはあんまり無いのが難点だな。時々ギミックが必要なのが面倒って所だなっと……なんか妙なパーツが出てきたぞ」
またも模型のパーツが掘っている途中で見つかりましたぞ。
ちなみにジオードは俺が感覚で砕いて中身を確認しましたぞ。
魚っぽい化石が多いですな。
「他にも出てるけど……水晶ドクロとか黄金の飛行機とか……何個も出るとありがたみが無いね」
「これって何なんですか?」
樹が水晶で作られたドクロを手に取って聞きますぞ。
ちなみに人間版や亜人版等のバリエーションがありましたぞ。
「あれ? 樹ってオーパーツの方は知らない感じ?」
「なんかゲームなどでは目にするような気がするのですが出典はそこまで詳しく無いですね」
「俺も同じ感覚だな」
「まー……カテゴリーで言えばオカルトだから樹の世界だと謎の解明とかされてそうなんだけどね」
「僕も何でも知ってる訳ではないですよ」
「オーパーツですぞ。地上絵とか色々とある代物の一つですな。ですが、これは全て贋作という所でしょうな」
オカルトマニアな豚などと俺は知り合う事がありましたからな。
かなり早口で色々とまくし立てながら説明してくるので覚えておりますぞ。
「元康くんこの辺り詳しいの?」
「その辺りで変な騒動に巻き込まれたような覚えがあるような……無い様な覚えがありますな」
「どっちなんですか……」
「色々とありすぎて覚えきれないのですぞ」
「まあ、この辺りの品々が本当に存在したと仮定して物語とか作られたりするからね。元康くんの世界だと本物とかもあるのかもね」
「むしろ樹の世界では無いですかな?」
「確かに……その辺りで異能バトルをして世界の命運を賭けた戦いとかありそうだね」
俺とお義父さんの会話に樹が眉を寄せ、錬がなぜか樹から距離を取りますな。
「嫌だな……あずかり知らぬ所で戦いが発生していて悪が勝ったら世界が滅ぶとか……」
「勝手に僕の世界の裏側を想像して距離を置かないで下さいよ。そもそも世界の命運を賭けた戦いを僕たちはしてたでしょうが」
「言い得て妙だね。とは言っても俺達じゃない俺達と元康くんが戦った訳だけどさ」
お義父さんの言葉が若干重いような、遠い物を見るような声音でしたぞ。
で、そのまま掘り進めて出た道を進んだ先でボスと遭遇して倒しましたぞ。
今回戦ったボスはカルミラ島でLv上げをした後に、割り振られた国で戦ったボスをなんとなく連想しましたな。
次元ノ氷狼という氷属性の大きな狼の魔物ですぞ。
あの頃の俺でも倒せる魔物で、ゲーム知識で見覚えのあるボスモンスターでしたぞ。
「やっぱりあっさりと倒せちゃうねー」
「大分ダンジョンの構造を覚えてきましたね。強化済みの僕たちならそこまで時間を掛けずに行けるでしょう」
「後は道中のギミック次第って所かな」
「そうですね。ほぼ幻影ですけど、カルマーと付く島固有の魔物は相変わらず出てきますね」
「ペングーとペックルとか、こう……なれの果てみたいな感じがして嫌だね。島固有のドロップ装備を加工すると変化するし」
「尚文さん。僕の命中に匹敵するような嫌な事を言わないで下さいよ。僕の場合はカルマースクイレルですか?」
「俺はカルマードッグか」
「カルマーラビットですな。真っ黒ですぞ」
「で、俺はカルマーペングーって感じ? 深夜に食事を取るとかで変異しそうだね。樹は水で増殖するのかな?」
量産型樹ですかな? ちょっと気色悪いですぞ。
「またどこからかネタを……あなたのオタク知識は僕たちのゲーム知識を上回りますよ」
「元康やガエリオンから聞いた話だと武器に内包された呪いの武器シリーズがあるから、その辺りに手を染めたらなるんじゃないか?」
「ありそうですね。目に見えて邪悪そうですよ。何処かでボスとして出てきそうで嫌な感じです」
「ゲーム知識とかのボスには居ないの?」
「錬さんのゲームでは居ました?」
「いないな。島で見るボス辺りが限度だ」
「俺もですぞ」
あくまでカルミラ島などの経験値効率の良いイベントではカルマーシリーズの魔物を倒す事で経験値稼ぎをしていましたからな。
「ただ、ちょっとわくわくはするよね。俺達がそんな姿にはならないとしてもさ」
「カルマーのキングとか安直なボスが居そうだと俺は思うが……最上階のボスは知ってるぞ。アーベントグレートDという翼が剣のドラゴンだ」
「僕の知識も名前は違うけど似たようなものですね」
「ですぞ」
「んじゃその辺りが出そうだね。どんどん進んで行こう」
という訳で俺達は更に進んで行きますぞ。もふもふ探検隊の冒険は続くのですぞ。
「先ほどの雑談での話ですけど別の可能性として僕たちが存在する訳ですが、平行世界を観測出来ない僕たちからしたら理解が及ばないですね」
「錬や樹は元康くんみたいにループしたいとか思わないの?」
「したとしても精々数周して理想的な世界を構築してループから脱する事ですかね。物語とかだと上手く行かなそうですけど」
「そうだね。結局元康くんがなんでループしているのかは分からない訳だし」
思えば不思議ですな。
ですが俺はお義父さんとフィーロたんの為に戦い続けるだけですぞ。
「俺たちもループ出来たら楽だけど、それはそれで関係がリセットされるのでかなり辛いよね。一緒にループ出来たら幾分かは楽だけどさ……サディナさんやラーサさんとまた知り合って仲良く出来る自信は無いなー」
「いえ、お義父さんはかなりの頻度でお姉さんのお姉さんやパンダとは仲良くしていると思いますぞ?」
何せ最初の世界のお義父さんもパンダと飲み仲間には成っていましたからな。
お姉さんのお姉さんとも仲良くしておりました。
「知らずに巡り会うのと知ってて巡り会うのだと違うでしょ。元康くんがフィーロって子に会えないのと同じようなものだよ。サクラちゃんなんだし」
う……これは痛い所を突かれたのですぞ。
思えばループでサクラちゃんかフィーロたんかを選択出来る所に今は立てて居ないのですぞ。
「物語とかだと主人公や極一部、それこそ黒幕辺りが一緒にループしてるとかが相場だね」
「は! つまりライバルを殺せば俺のループは終わるのですな!」
ライバルめ!
全ての黒幕のくせに俺を謀って何度もループをさせているのですな!
「いやいや、いきなり決めつけるのは早計でしょ。そもそもガエリオンちゃんが黒幕だった場合は、俺と相思相愛になった段階でループをやめちゃうんじゃないの?」
「確かにそうですよね」
「だろうな。俺だってそこでやめると思うぞ。あそこまで尚文に執着していたガエリオンがああも大人しくなったんだ」
く……ライバルに身を捧げたお義父さん、あそこで俺はループが終わっていた可能性もあったのですかな?
真実は何処にあるのでしょうか?
……ぼんやりと、前にループした最後の瞬間の別れを言うお義父さんの顔が思い出されますぞ。
あのループの続きだったのでしたな。
『君は僕―――――た、その彼に逢いたいのかい?』
く……また声を思い出して頭痛がしますぞ。
「ガエリオンさんの目的って尚文さんだった訳ですし、上手く行ったループが構築出来たらやめますよね。仮に元康さんがループを望んだとしてループしてしまったとしても、今度は元康さんを止めさせるはずですし」